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備えるための道具集め
回帰者の告白
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ララスティは自分の予想と違う方向に進んでいるカイルとエミリアを見て、『真実の愛』とは何なのかと考え込んでしまう。
エミリアがカイルに一目ぼれするのは同じなのに、カイルの感情が前回と違うのは、やはりララスティの行動が二人の鍵になっているのだろうか。
だったら、『真実の愛』は試練がなければ成立しない不安定なものともいえる。
(そのようなものに、わたくしは負けてしまいましたの?)
王太子妃になるための努力も、愛されようと努力したことも、縋った全ても何もかもが無駄だったのだろうか。
カイルとのお茶会のために王宮の廊下を歩いていると、向かいから一人の男性が歩いてくるのが見え、その人物を確認して横にずれ足を止めた。
「やあ、ララスティ」
「ごきげんよう、ルドルフ様」
もう王族ではなくなったのでルドルフ様と呼ぶようになったが、前回の記憶がある分なのかララスティにはこちらの敬称の方がしっくりくる。
「いまちょっといいかな?」
「わたくしにご用ですか? これからカイル殿下とお茶会なのですが……」
「ああ、だったら終わったらでかまわないよ。兄上の執務室に居るから人を寄越しなさい」
ララスティが頷いたのを確認してルドルフは立ち去っていく。
ルドルフがこんな風にララスティに絡んでくることは珍しく、この時期に何かあっただろうかと考えたが、前回はこのように呼び出しを受けた記憶はなかった。
その後、カイルとのお茶会をいつも通りに終わらせると、珍しくカイルがすぐに用事があると言って先に席を立って部屋を出ていった。
ルドルフとの待ち合わせがあるララスティは、メイドにお茶会が終わったことをルドルフに伝えるように言ってそのまま部屋で待つ。
しばらくそのままでいるとドアがノックされて返事をすればルドルフが入ってきた。
まさか来るとは思っていなかったララスティが慌てて立ち上がろうとしたが、ルドルフは「そのままで」といって止める。
「時間をもらって済まない」
「いえ、どのようなご用でしょうか?」
先ほどまでカイルが座っていた場所に座ったルドルフの前に、新しいティーセットが並べられている。
テーブルの上にはカイルがいた時に食べていたお茶菓子が片づけられ、新しいもので整えられた。
ララスティが用件を聞いているのにルドルフはそれに答えず、紅茶のカップに自分の懐にあるポケットから取り出した瓶の中身を数滴たらす。
そのとたんにふわりと甘い花の蜜のような香りが漂い、思いがけないいい香りにララスティも気が休まったように感じた。
「ラベンダーの蜂蜜なんだ。あまり流通しているものじゃないけど、私は好きでね」
言ってティースプーンを使って紅茶を混ぜると一口飲み「うん、おいしい」というルドルフに、ララスティはいったい何をしたいのだろうと内心で首をかしげてしまう。
「さて、なんの用と聞かれると、カイルとのことなんだけど、兄上が気にしているんだ」
「陛下が?」
気にするようなことがあっただろうかと考えていると、ルドルフは「まあ、本題は別だけど」と言って人払いをし、部屋にはララスティとルドルフだけが残される。
「君の異母妹だけど、随分と話題になっているね」
「エミリアさんですか?」
「異母姉であるララスティのドレスやアクセサリーを、母親と一緒になって奪っていく悪女、だったかな? 本当に人と言うのは他人の噂話が好きだよね」
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。今はそんなことはしておりませんので」
咄嗟にルドルフは従姉弟姪の所有物を奪うエミリアに不快感を抱いていると思いララスティが謝るが、「そうじゃない」と否定されてしまう。
違うのであればどういう意味だろうと不思議に思っていると、ルドルフはもう一口紅茶を飲んでカップをソーサーにゆっくりと戻した。
そして二呼吸ほど置いて「うまくいっているじゃないか」と笑みを浮かべて言った。
「……なんのことでしょうか?」
「ミリー姉上の死後から、君の動きは確認させてもらってる。アインバッハ公爵家を巻き込んで、随分しっかりと計画を立てているじゃないか」
ルドルフの言葉にララスティは微笑みを浮かべたまま何も言わない。
何か言えばすぐに隙をつかれるとわかってしまうからだ。
王太子妃教育を受けていたとはいえ、つい最近まで王族として生きてきて、今は次期公爵として動いているルドルフに小娘がかなうわけがないと、ララスティはこのピンチを回避する方法を考える。
「ああ、最初に言っておくけど、私はララスティの敵じゃない。むしろ最大の味方だ」
この状況でそう言われて信じる人がどれほどいると思っているのだろうか。
「私は君のためなら何度だってやり直してもいい。そう、君が満足するまで何度だって付き合うさ」
「なにをおっしゃっていますの?」
ララスティが警戒心を強めるとルドルフは「何から話すべきかな」と少し考えるようにテーブルを指で軽く叩く。
「まず、君はあの事故で死ななかった」
急な話だが、ララスティは眉を顰める。
事故と言う単語で思い出されるのは前回の人生の最期だからだ。
あの時の体を襲った衝撃は本物で、死んでいないと言われても簡単に信じることは出来ない。
それに死んでいないのならば、こうして巻き戻っているのはどういうことなのかと言う疑問もある。
「半死状態とでもいえばいいのかな。一人で行動できる状態ではなかったし、意識がもうろうとしている時間がほとんどだった」
「何のことをおっしゃっているのか、わたくしにはわかりかねます」
「前回の君のことを話しているんだ、ララスティ」
ルドルフの言葉の後僅かな沈黙が流れ、ララスティは「ふう」と息を吐きだす。
気分を落ち着けるためにカップを手にして紅茶を一口飲もうとしたが、自分の指先がかすかに震えていることに気づき、きゅっと手を握り締めた。
「前回とはなんのことでしょうか? わたくし、以前にルドルフ様に何か失礼なことをしたのでしょうか?」
わざと的外れなことをいうララスティに、ルドルフは怒ることもなく優しい視線を向ける。
「すぐに受け入れることは難しいだろう。君はあの事故から四十年近く生きていた」
「な……にをおっしゃって?」
そんなことあるわけがない、とララスティは首を横に振る。
「記憶がないのは事故で頭を打った後遺症だろう。残念だけど、本能的行動はとれたが、日常生活は介護が必要だったからね」
ルドルフが言っていることが真実だとしたら、ルドルフも巻き戻っているとララスティは気づき、自分の行動だけが前回との相違の原因ではないのかもしれないと考える。
「私との関係は事実婚、と言う感じかな」
「…………はい? 今、なんとおっしゃいました?」
「事実婚。ララスティは死んだことになっていたから、籍を入れることはできなかったんだ。それに籍を入れても社交界に出ることもできなかったしね」
ルドルフの話の内容が濃すぎてララスティは「整理する時間をくださいませ」と言って、震える指先を叱咤してカップの取っ手を摘むとゆっくりと紅茶を飲む。
喉を通っていく温かい紅茶の温度に冷えていた体が少しだけ温かくなった気がし、ララスティは改めてルドルフを見る。
こんな嘘をついてルドルフに何の得はないはずだ。
時間を巻き戻った、ララスティとは前回事実婚をしていたなど、頭がおかしいと言われるかもしれない。
それでもこうして言っているということは事実だからだろうか?
ルドルフの真意を確認しようとじっと見つめるが、何を考えているのか読めない笑みを浮かべるばかりで、ララスティは戸惑ってしまう。
「ルドルフ様は、わたくしにそれを言ってどうするおつもりなのですか?」
「どうとは?」
「なにかわたくしにさせたいことがあるとか……」
ララスティはそれしかないのだろうと考えて言うが、ルドルフは「まさか」と笑う。
「私はやり直したいといったララスティの願いを叶えているだけだよ。君がやり直したいのなら何度でも付き合うし、なんだってしよう。そこにある程度の犠牲があったところで気にしないさ」
嘘を言っている感じはないが、信じていいのかとララスティは悩んでしまう。
ルドルフはあまり一気に話しても混乱するだろうといって話を切り上げる。
そうして先ほど自分のカップに入れた小瓶をララスティの前に置いた。
「前回、君はこの蜂蜜が好きだった。今回も気に入るといいが、とりあえず試してみないか?」
「ありがとうございます」
ララスティは思ったよりも飾り気のない小瓶を手に取ってからルドルフを見る。
「あの……ルドルフ様がわたくしにこのように接触してくるのは、どうしてでしょうか?」
「愛しているからだよ」
「え?」
「私はね、ララスティ。君を誰よりも何よりも、どんな世界に行ったとしても一番愛しているんだ」
「は? え? あの!?」
あまりにもまっすぐな愛の告白にララスティが動揺して小瓶を落としそうになり、慌てて握りしめる。
「あの、愛って」
「そのままだよ。君を愛してる。ああ、前回その感情に気づいたのは君が十八歳になったぐらいかな? カイルとの間の事で悩んでる姿を見てどうにかしてあげたいって思ってたんだ」
まあ、間に合わなかったけど。と言ったルドルフの表情は少し暗く、ララスティは何と声をかけるべきかわからなかった。
「さて、あまりララスティを独り占めしておくわけにもいかないね。そろそろ帰りなさい。何を話していたか聞かれたら、カイルとの婚約について相談していたと言っていいよ。兄上にもそう言っているしね」
「……わかりました」
ララスティは頷いてから静かに立ち上がり、ドアの前まで歩いていくと一度振り返りカーテシーをしてから扉を開け部屋を出ていった。
エミリアがカイルに一目ぼれするのは同じなのに、カイルの感情が前回と違うのは、やはりララスティの行動が二人の鍵になっているのだろうか。
だったら、『真実の愛』は試練がなければ成立しない不安定なものともいえる。
(そのようなものに、わたくしは負けてしまいましたの?)
王太子妃になるための努力も、愛されようと努力したことも、縋った全ても何もかもが無駄だったのだろうか。
カイルとのお茶会のために王宮の廊下を歩いていると、向かいから一人の男性が歩いてくるのが見え、その人物を確認して横にずれ足を止めた。
「やあ、ララスティ」
「ごきげんよう、ルドルフ様」
もう王族ではなくなったのでルドルフ様と呼ぶようになったが、前回の記憶がある分なのかララスティにはこちらの敬称の方がしっくりくる。
「いまちょっといいかな?」
「わたくしにご用ですか? これからカイル殿下とお茶会なのですが……」
「ああ、だったら終わったらでかまわないよ。兄上の執務室に居るから人を寄越しなさい」
ララスティが頷いたのを確認してルドルフは立ち去っていく。
ルドルフがこんな風にララスティに絡んでくることは珍しく、この時期に何かあっただろうかと考えたが、前回はこのように呼び出しを受けた記憶はなかった。
その後、カイルとのお茶会をいつも通りに終わらせると、珍しくカイルがすぐに用事があると言って先に席を立って部屋を出ていった。
ルドルフとの待ち合わせがあるララスティは、メイドにお茶会が終わったことをルドルフに伝えるように言ってそのまま部屋で待つ。
しばらくそのままでいるとドアがノックされて返事をすればルドルフが入ってきた。
まさか来るとは思っていなかったララスティが慌てて立ち上がろうとしたが、ルドルフは「そのままで」といって止める。
「時間をもらって済まない」
「いえ、どのようなご用でしょうか?」
先ほどまでカイルが座っていた場所に座ったルドルフの前に、新しいティーセットが並べられている。
テーブルの上にはカイルがいた時に食べていたお茶菓子が片づけられ、新しいもので整えられた。
ララスティが用件を聞いているのにルドルフはそれに答えず、紅茶のカップに自分の懐にあるポケットから取り出した瓶の中身を数滴たらす。
そのとたんにふわりと甘い花の蜜のような香りが漂い、思いがけないいい香りにララスティも気が休まったように感じた。
「ラベンダーの蜂蜜なんだ。あまり流通しているものじゃないけど、私は好きでね」
言ってティースプーンを使って紅茶を混ぜると一口飲み「うん、おいしい」というルドルフに、ララスティはいったい何をしたいのだろうと内心で首をかしげてしまう。
「さて、なんの用と聞かれると、カイルとのことなんだけど、兄上が気にしているんだ」
「陛下が?」
気にするようなことがあっただろうかと考えていると、ルドルフは「まあ、本題は別だけど」と言って人払いをし、部屋にはララスティとルドルフだけが残される。
「君の異母妹だけど、随分と話題になっているね」
「エミリアさんですか?」
「異母姉であるララスティのドレスやアクセサリーを、母親と一緒になって奪っていく悪女、だったかな? 本当に人と言うのは他人の噂話が好きだよね」
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。今はそんなことはしておりませんので」
咄嗟にルドルフは従姉弟姪の所有物を奪うエミリアに不快感を抱いていると思いララスティが謝るが、「そうじゃない」と否定されてしまう。
違うのであればどういう意味だろうと不思議に思っていると、ルドルフはもう一口紅茶を飲んでカップをソーサーにゆっくりと戻した。
そして二呼吸ほど置いて「うまくいっているじゃないか」と笑みを浮かべて言った。
「……なんのことでしょうか?」
「ミリー姉上の死後から、君の動きは確認させてもらってる。アインバッハ公爵家を巻き込んで、随分しっかりと計画を立てているじゃないか」
ルドルフの言葉にララスティは微笑みを浮かべたまま何も言わない。
何か言えばすぐに隙をつかれるとわかってしまうからだ。
王太子妃教育を受けていたとはいえ、つい最近まで王族として生きてきて、今は次期公爵として動いているルドルフに小娘がかなうわけがないと、ララスティはこのピンチを回避する方法を考える。
「ああ、最初に言っておくけど、私はララスティの敵じゃない。むしろ最大の味方だ」
この状況でそう言われて信じる人がどれほどいると思っているのだろうか。
「私は君のためなら何度だってやり直してもいい。そう、君が満足するまで何度だって付き合うさ」
「なにをおっしゃっていますの?」
ララスティが警戒心を強めるとルドルフは「何から話すべきかな」と少し考えるようにテーブルを指で軽く叩く。
「まず、君はあの事故で死ななかった」
急な話だが、ララスティは眉を顰める。
事故と言う単語で思い出されるのは前回の人生の最期だからだ。
あの時の体を襲った衝撃は本物で、死んでいないと言われても簡単に信じることは出来ない。
それに死んでいないのならば、こうして巻き戻っているのはどういうことなのかと言う疑問もある。
「半死状態とでもいえばいいのかな。一人で行動できる状態ではなかったし、意識がもうろうとしている時間がほとんどだった」
「何のことをおっしゃっているのか、わたくしにはわかりかねます」
「前回の君のことを話しているんだ、ララスティ」
ルドルフの言葉の後僅かな沈黙が流れ、ララスティは「ふう」と息を吐きだす。
気分を落ち着けるためにカップを手にして紅茶を一口飲もうとしたが、自分の指先がかすかに震えていることに気づき、きゅっと手を握り締めた。
「前回とはなんのことでしょうか? わたくし、以前にルドルフ様に何か失礼なことをしたのでしょうか?」
わざと的外れなことをいうララスティに、ルドルフは怒ることもなく優しい視線を向ける。
「すぐに受け入れることは難しいだろう。君はあの事故から四十年近く生きていた」
「な……にをおっしゃって?」
そんなことあるわけがない、とララスティは首を横に振る。
「記憶がないのは事故で頭を打った後遺症だろう。残念だけど、本能的行動はとれたが、日常生活は介護が必要だったからね」
ルドルフが言っていることが真実だとしたら、ルドルフも巻き戻っているとララスティは気づき、自分の行動だけが前回との相違の原因ではないのかもしれないと考える。
「私との関係は事実婚、と言う感じかな」
「…………はい? 今、なんとおっしゃいました?」
「事実婚。ララスティは死んだことになっていたから、籍を入れることはできなかったんだ。それに籍を入れても社交界に出ることもできなかったしね」
ルドルフの話の内容が濃すぎてララスティは「整理する時間をくださいませ」と言って、震える指先を叱咤してカップの取っ手を摘むとゆっくりと紅茶を飲む。
喉を通っていく温かい紅茶の温度に冷えていた体が少しだけ温かくなった気がし、ララスティは改めてルドルフを見る。
こんな嘘をついてルドルフに何の得はないはずだ。
時間を巻き戻った、ララスティとは前回事実婚をしていたなど、頭がおかしいと言われるかもしれない。
それでもこうして言っているということは事実だからだろうか?
ルドルフの真意を確認しようとじっと見つめるが、何を考えているのか読めない笑みを浮かべるばかりで、ララスティは戸惑ってしまう。
「ルドルフ様は、わたくしにそれを言ってどうするおつもりなのですか?」
「どうとは?」
「なにかわたくしにさせたいことがあるとか……」
ララスティはそれしかないのだろうと考えて言うが、ルドルフは「まさか」と笑う。
「私はやり直したいといったララスティの願いを叶えているだけだよ。君がやり直したいのなら何度でも付き合うし、なんだってしよう。そこにある程度の犠牲があったところで気にしないさ」
嘘を言っている感じはないが、信じていいのかとララスティは悩んでしまう。
ルドルフはあまり一気に話しても混乱するだろうといって話を切り上げる。
そうして先ほど自分のカップに入れた小瓶をララスティの前に置いた。
「前回、君はこの蜂蜜が好きだった。今回も気に入るといいが、とりあえず試してみないか?」
「ありがとうございます」
ララスティは思ったよりも飾り気のない小瓶を手に取ってからルドルフを見る。
「あの……ルドルフ様がわたくしにこのように接触してくるのは、どうしてでしょうか?」
「愛しているからだよ」
「え?」
「私はね、ララスティ。君を誰よりも何よりも、どんな世界に行ったとしても一番愛しているんだ」
「は? え? あの!?」
あまりにもまっすぐな愛の告白にララスティが動揺して小瓶を落としそうになり、慌てて握りしめる。
「あの、愛って」
「そのままだよ。君を愛してる。ああ、前回その感情に気づいたのは君が十八歳になったぐらいかな? カイルとの間の事で悩んでる姿を見てどうにかしてあげたいって思ってたんだ」
まあ、間に合わなかったけど。と言ったルドルフの表情は少し暗く、ララスティは何と声をかけるべきかわからなかった。
「さて、あまりララスティを独り占めしておくわけにもいかないね。そろそろ帰りなさい。何を話していたか聞かれたら、カイルとの婚約について相談していたと言っていいよ。兄上にもそう言っているしね」
「……わかりました」
ララスティは頷いてから静かに立ち上がり、ドアの前まで歩いていくと一度振り返りカーテシーをしてから扉を開け部屋を出ていった。
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