合宿先での恐怖体験

古い旅館の怪

これは、私が高校2年の時の出来事です。クラスの行事で古い旅館に合宿することになったのです。

私が振り当てられた部屋は入った瞬間から、なんだか嫌な予感のする部屋でした。部屋の作りや広さに問題があったというわけではありません。なんだか、禍々しい空気に満ちていたのです…

他の子達は何も気づかないのか、賑やかにそれぞれ荷物を置いて談笑し始めました。

私も仲の良い友人と話しをしていたのですが、その時、隣で、ふふふという女性の笑い声が聴こえたのです。私たちはてっきり隣りにいた有紗が笑ったのだと思い、

「ちょっと、有紗、変な声で笑わないでよ（笑）」と彼女に向かって言いました。

すると有紗は、不思議そうな顔で、え？私笑ってないよと言うのです。

その時はそれでなんとなく話が終わりました。

恐ろしい出来事が起こったのは、その夜でした。今日のスケジュールを終え、それぞれ部屋に戻り、布団にはいりました。夜も更けたた頃でしょうか…？

昼間聞いた女の笑い声がまた聴こえたのです。ふふふ…あはは…

今度は部屋にいた全員の耳にハッキリと聴こえました。

その声は段々と大きくなり、部屋の白い壁に誰かが引っ掻いたような跡がガリガリと出来始めたのです。血のような赤い爪痕です。

私たちは泣きながら、先生のいる部屋に逃げ込んで、その夜は先生の部屋で夜を明かしました。

「やっぱり、出ましたか…」

翌朝、旅館の人に事情を聞くと、あの部屋で昔、1組の男女が心中をしたそうです…

今もその部屋には怨霊と化した2人の男女が巣食っているのかもしれません…                                    fin.