Energy vampire

紫苑

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後編

複雑過ぎる心理

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(私…いつか、彼が一時の感情でさよならと言ってしまったと…ごめんなさいと言ってくれると思ってた…

例え時間がかかっても、彼が謝ってくれさえすれば、許そうと思ってた…

今まで、彼が何を言っても、どんな失礼なことを言っても、聞き流してきたけど…

さすがにこれは…)

誤解と被害妄想が多すぎて、何から説明したらいいのかもわからないし、例え、順を追って、それは違うよと優しく諭したところで、今の彼は、恐らく聞く耳は持たないだろう…

 舞花は自身が病に付していたこともあり、もうそれ以上、考えられなかったので、まず、彼のSNSを探してわかるものについては、ブロックし、そのままスマホの電源を落とした。

  (今は何も考えたくない…)

彼女が仕事を休みはじめてから、ひと月はたとうとしていた頃の出来事だった。

彼女にしてみれば、これだけ悪態ついたら、さすがにもう気が済んだと思うし、今後彼が私に関わって来ることも無いだろう…

今度こそ、もう終わりにしよう…
私に力を貸してくれて、大切にしてくれたあの人はもういないんだ…

もともと、幻だったのかもしれないな…

彼女は静かに目を閉じた。

    彼女の母親は、あまり食欲もなく、一向に回復せずに、自室に引きこもっている娘のことを大層心配していたが、どうすることも出来ずに見守るしかなかった。

    一方、LANDYの方は、言うだけ言って気が済んだかと言えば、全くそんなことは無く、こんなはずじゃなかった…なんでこんなことになったんだろう?…と すべて自分が撒いた種なのに、イライラを募らせていた。

 彼の中に何人かの彼自身がいて、身勝手で打算的で、自分のことしか考えていない、人を利用し裏切ることなんて何とも思わない冷徹なLANDYや、自分に自信がなくて臆病で、寂しがり屋でほんとはかまって欲しくて堪らないのに、無駄に高いプライドが邪魔をする、究極のかまってちゃんのLANDY…

挙げたらキリがないほどたくさんのLANDYがいた。

  深層心理の深いところでは、

(失いたくなかった…こんな未来は想像もしてなかった…もう高望みはしないから傍にいて欲しい…!)

絶縁状を叩きつけた当初は、舞花と話したいという気持ちを抑えるのに必死だった…

なるべく他の事を考えようと思うのに、ともすれば、彼女の事ばかり考えていた。女性に対して、非常に奥手だったLANDYが、こんなに心地よいと感じたのは、舞花が初めてであった。

だからこそ、自分の思い通りにならなかった事に理不尽に腹が立ったり、いらついていたりしたのである。

 表層心理では、理不尽に彼女を憎み、

中層心理では、彼女の才能やキャラクターを羨ましくて妬ましくて仕方がなく、自分自身が彼女のようになりたかった。

そして、深層心理では、深すぎる想いと執着と依存があったのである。

 舞花自身は、大切に思ってきたのは私だけだった…半年以上の月日をかけて信頼関係を築けたと思っていたのは私1人だった…と思っていたのだが…

    人の心を鋭いナイフで切り裂いておきながら、LANDY自身も同じだけ傷ついていたのである…

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