白の皇国物語

白沢戌亥

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15巻

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 伝説というにはあまりにも滑稽こっけいで。
 喜劇というにはあまりにも破壊的で。
 教訓というにはあまりにも刹那せつな的で。
 運命というにはあまりにも不憫ふびんで。
 結局のところ、彼女たちを示す言葉は『皇王レクティファールの皇妃』に落ち着く。
 我々はそのような女性たちを母として育った。
 彼女たちは母親として我々を愛してくれたし、我々もあの数多あまたの女性たちを分け隔てなく愛している。だが、父と一緒にいる母たちは我々の目から見ても年頃の娘だった。
 あの状態の母たちを『母』と呼ぶのは、ものの分別がつかない幼い弟や妹たちだけだ。
 世のことわりをある程度知ってしまえば、あの愚にも付かぬ騒々そうぞうしい日々は、彼らの過去の焼き直しなのだと分かる。
 我々がまだこの世界のどこにもいなかった頃の幻想。
 父が単なる男であり、母が単なる女であった頃の日常。
 我々はそれを見て育つ。
 そして学ぶのだ。
 我々の両親をはんとするのは、あまりにも危険だと。


 ――後宮改修工事に伴う区画整理で床下から発見された、とある皇子の日記より



   第一章 レクティファールの誤算 



 最近レクティファールは家臣たちに、機嫌きげんが悪い婚約者をなだめる方法をたずねることが多い。
 問われた家臣の大半は家庭を持っている者で、その苦労を知っていることもあり、レクティファールの問いに対して真剣に、そして親身になって答えた。
 しかし、それが実を結んだという話はあまり聞かない。

「どうにも、難しい話ですな」

 リンドヴルム公爵こうしゃく家皇都屋敷。
 食事をともにしたあと、いつものように酒をみ交わしながら近況を話していたアルフォードの言葉に、カールはさもあらんと天をあおいだ。

「あのふたりは仲が良かった。それこそ実の姉妹のように育ってきました。奥方様の一件もあって、いささかいびつではありましたが、お互いに妹、そして姉と見ていたのは間違いありません」

 主従を超えた繋がりは、貴族社会ではそうめずらしくない。
 こうした関係があってこそ人としてとうな価値観が形成される、と信じられているためだ。
 皇国の貴族は確かに特権階級だが、その実情は世襲せしゅう制の官僚かんりょうに近い。責任を果たすのに必要だから貴族という地位が与えられるだけで、実務をこなせない者はあっさり爵位しゃくいを取り上げられてしまう。
 もしも貴族が家と名を守りたいと思うならば、後継者を一廉ひとかどの人物に育てなければならない。幼くして跡を継ぐ場合など、多少の事情は斟酌しんしゃくされるものの、すでに成人していたら、一切の言い訳は許されない。国は彼らの家が蓄積した経験を求めているのであり、彼ら個人かその家に意味を見出しているわけではないのだ。
 裏を返せば、そういった経験を活用できるよう後継者を育てることもまた、貴族として国に対して果たすべき責任だと言える。

「――教育を間違ったか」

 カールがうめくのも無理はない。
 彼は、ふたりの子どものどちらにも、公爵家の跡取りとして必要な教育を施したつもりだった。
 その教育は、たとえ跡取りにならずとも国のためになる。
 エーリケは少し不真面目ふまじめな部分もあるが、自らの責任からのがれるような卑怯ひきょう卑劣ひれつな男ではない。
 メリエラは若い分、荒削あらけずりな部分はあるが、己のやるべきことに対する姿勢は至極しごく真面目まじめだ。
 だが――

真面目まじめに過ぎましたな」
「だな」

 カールはアルフォードの言葉に深々とうなずいた。
 常に正しいことを正しく実行するのを躊躇ためらわない。人に優しく、必要ならば厳しく、他者のために苦労することをいとわない。まさにメリエラは、貴族の中の貴族だ。
 しかし、真面目まじめさも過ぎれば頑固がんことなり、偏狭へんきょうとなる。

「愛することさえも真面目まじめとは、我が娘ながらなんとも難しく育ったものだと思う」
「うちの娘も似たようなものです。だからこそ気が合ったのでしょうが」

 互いを支えている間は良かった。それぞれが相手の足りない部分を補い合い、高め合う関係だった。

「相性が良かった分、こじれると面倒だ」
こじれるなんてものじゃありません。お互いが何を考えているか完全に理解している間柄あいだがらで、男を取り合う。――考えただけでも恐ろしい」
「ああ、恐ろしいな」

 カールは、千年を生きた白龍は、身体の奥底から震えた。
 まるでもうひとりの自分をにくみ、もうひとりの自分と相争うようではないか。
 どれだけ思考を巡らせようと、相手にはそれが手に取るように分かるし、相手の思考もまた簡単に理解できる。
 これを恐ろしいと言わずに何を恐ろしいと言えばいいのか。

「下手を打てば一生のさわりになる。もしそうなったら、妻に何とびればいいか」
「さりとて、我々にできることなどありましょうか」

 アルフォードは現状に歯痒はがゆさを感じつつも、自分が何らかの形で事態の収拾に寄与できるとは思っていなかった。
 娘同士のめごとに親が――それも男親が首を突っ込んでもろくなことにならないのは、この上もないほど明白である。カールも同じ結論に達したからこそ、こうしてただ酒をあおっているのかもしれない。

「ここはひとつ、殿下の男気おとこぎを信じてみるしかないかと」
「――やめてくれ、余計に不安になる」

 悲しげに顔をしかめたカールの言葉も至極しごくもっともである。
 レクティファールは、公人としては必要な決断力を有している。しかし、私人としての彼の決断力を信頼できるかと言えば、カールは全力で頭を横に振るだろう。

「殿下の親の顔を見てみたいものだ。よくもまあ、あのような人物を育てた」
「ははは、意外とお館様やかたさまに似ている方かもしれません」

 それは、カールの過去をよく知るからこその言葉だ。
 側室を持たずとも、カールは若い頃から多くの女性たちと関わりを持ってきた。
 刃物を振り回す女から逃げたことも一度や二度ではない。そう考えれば、カールは正しくエーリケの父親であり、レクティファールの父代わりなのだった。

「だからこそ、不安なのだ」

 その表情は、アルフォードがこれまで見たことがないほど情けないものだったという。


 レクティファールはそれなりに頭が回る。
 だが、女性に対する場合は、下手に頭を回すと余計な厄介やっかいごとを招き寄せることを知っていた。これまでそれによって多くの生傷を作ってきたのだ、いい加減学習もする。
 だからこの日も、机にひじをついたレクティファールは余計なことを考えず、ただ真実のみを後宮の自室に呼んだメリエラとウィリィアに告げた。

「ウィリィアは側妃にする」

 それは、様々な事情を加味してくだした決断だった。
 私人としての考えも多少含まれてはいるが、大半は公人としての考えからもたらされたものだ。
 しかし、その言葉はメリエラの逆鱗げきりんに触れた。

「――!!」

 彼女はレクティファールの言葉を頭の中で数百回繰り返し、そして自分が理解している世の道理と並べくらべてみ込むと、一気に怒り狂った。

「レクト……自分が何を言っているか分かる?」
「分かりますとも、今後のふたりの人生に大きく関わることです」
「だったら……!」

 メリエラはレクティファールに近付くと、机に両手をたたきつけた。

「なんでそんなことになったの!?」
「そんなことと言われましても、これが必要だと判断し、ウィリィアにもたずね、結論をくだしたまでです」

 怒りにゆがんだメリエラの相貌そうぼうを見ても、レクティファールはまったくおくする気配がない。彼の背後に控えるマリカーシェルが、目の前の龍族が発する怒気どきに身体が反応するのを抑えるために苦労していたにもかかわらず、だ。

「ウィリィア!」
「はい」

 メリエラに名を呼ばれ、ウィリィアは毅然きぜんと主人に向き直る。
 ここでおびえるような真似まねはできない。もしそんな態度を取れば、単に言葉をろうするよりも主人をおとしめることになってしまう。

「どういうつもりなの? わたしがあなたにそれを求めると思った? 確かにわたしとあなたの立場は違う。だけどそれは白龍の家の中でのこと。その家から出てまで続けるつもりはないわ」

 そう言いながらも、メリエラはウィリィアが自分に遠慮してその結論を出したとは思っていない。これは、ある意味でメリエラにいどむようなものだ。
 権威としては正妃が上だが、側妃には側妃にしかない特権がひとつだけある。
 それは様々なしがらみからのがれ、ひとりの女として夫に接することができるという点。
 情が深い者ならば、この上ない特権だろう。
 メリエラでさえ、許されるならば側妃でいたかったと常に思っているほどなのだから。
 だから、納得できない。
 メリエラは本心ではただひたすらに、ウィリィアと同格でありたいと願っていた。同じ男を前にして、同じ立場でそのちょうを争いたい。
 メリエラは自分とともに成長してきた姉のような女性を、自分よりもすぐれていると思っている。否、ねたんでいる。
 容姿や家の格といった自分の意思が介在しない部分ではなく、生まれ落ちてからの努力によって積み重ねられた部分において、自分はウィリィアにおとっていると考えていた。
 だから、せめてこれだけは、同じ戦場で同じ条件で戦いたいと思っていたのだ。
 それならば負けてもあきらめがつく、少なくとも自分を納得させるだけの理由を見出すことができる。
 しかし――

「姫さまは決してそう望まないと思いました。ですが、これがもっとも姫さまのためになると考えたのです」

 ウィリィアはそんなメリエラの意図を知った上で、拒否した。


「わたしのため……ですって?」
「はい」

 ウィリィアにはウィリィアの考えがあった。
 無論、メリエラに先んじたいという本心がわずかにでもあったことは否定できない。
 しかしそれを差し置いても、ウィリィアは正妃という道を選ぶことはできなかった。

「姫さまはもう、おひとりで進むべきと存じます」
「――――」

 ウィリィアの言葉にメリエラの怒りが一瞬途絶え、困惑に取って代わる。

「これまで姫さまには良くしていただきました。ですが姫さまは、わたしの向こうに亡くなった奥様を見ておられた。おそらくあの日からずっと」

 顔を伏せたウィリィアの睫毛まつげが震えている。
 あの日以来、メリエラはより一層ウィリィアになついた。
 そしてウィリィアもまた、メリエラを守ることで自分の心を守るようになった。
 傍目はためには、悲しみを乗り越えるために幼い主従が寄り添っていると見えただろう。カールでさえそう考えた。
 だが、現実はわずかに異なる。
 彼女たちは互いに依存した。
 メリエラは母をよく知り、その背を追いかけていたウィリィアに母の面影を重ねる。そしてかたわらにいることで、崩れそうになる自己を保った。
 ウィリィアは己の罪の意識を少しでも軽くするため、やはりメリエラを必要とした。己の存在価値の証明として、主人のすこやかな成長を必要とした。
 メリエラは庇護者ひごしゃとしてのウィリィアを欲し、ウィリィアは被庇護者ひひごしゃとしてのメリエラを必要とした。そんな状況に、幼い本人たちさえ気付いていなかった。
 そして成長するに従い、そうした本能から始められたことは、大人としての理性と良識に覆われて当たり前のものとなってしまっていたのだ。

「姫さま、もうお気付きになっているのでしょう? わたしたちはもうお互いに、過去から目を背けることはできないのだと」

 他者と歩むための通過点である恋愛こそ、ふたりの関係に終止符しゅうしふを打つものだったのは、必然と言えた。
 どれだけ家族を大切に思っている者がいたとしても、大半はやがて、家族以外の誰かとともに生きていくことになる。
 メリエラとウィリィアも、自覚がないままその一線を越えていた。険悪な空気になっているのは、きっかけを作ったのが同一の人物だったから、というだけのことだ。

「ウィリィア……」

 メリエラはウィリィアの強い意思の込められた視線にたじろいだ。
 これまで自分に対して、ウィリィアがこのような目をすることはなかった。
 いさめることはあっても常に味方であり、掛け替えのない『姉』だった。しかし、今彼女の目の前にいるのは、その『姉』の姿をした『女』だった。
 自分と争うことさえさない『他人』がそこにいた。

「――――」

 それ以上は何も言葉を発することができないまま、メリエラはレクティファールの前から走り去る。

「メリア!」

 思わず追いかけようとしたレクティファールだが、肩をマリカーシェルによって押さえ込まれる。彼女の内心を示してか、そのまま後ろに倒れてしまいそうなほど、強い力だった。

「殿下が行っても無意味とは言いませんが、こじれるだけです。メリエラ様は全部分かっておられるのですから、あとは自分で自分を納得させるだけです」

 出来の悪い弟を諭すようなマリカーシェル。
 ウィリィアは彼女の姿に、自分とレクティファールを重ねる。
 あの頃は良かった。
 だが、あの頃に戻りたいとは思わなかった。

「殿下、わたしも失礼します」
「分かった。メリアをよろしく」

 レクティファールは微笑を浮かべ、ウィリィアにメリエラを託す。
 たとえふたりの関係が変わろうとも、ウィリィアがメリエラの姉のような存在であることは変わらない。

「はい」

 ウィリィアは、これまでレクティファールには見せたことのない優しい表情でうなずいた。彼女の中で起こった変化が、その表情から険を減らしたようだ。

「それでは」

 一礼し、扉をくぐるウィリィア。
 彼女の後ろ姿を見て、マリカーシェルは羨望せんぼうを感じずにはいられなかった。

(成長の持つ美しさは、若い娘にしかないわね)

 口に出そうものなら、確実に同僚たちにからかわれるであろう思い。
 マリカーシェルは、自分も随分ずいぶん歳を取ったものだと、少しだけ寂寥感せきりょうかんを覚えるのだった。


         ◇ ◇ ◇


 皇国の文化のうち、およそ三割は隣国の〈イズモ神州しんしゅう連合〉からもたらされたものだと言われている。
 冬の時期に行われる『銀星祭ぎんせいさい』もそのひとつで、これは家族とともに銀色の星を飾った針葉樹を囲み、うたげもよおすものである。
 可能な限り家族など、大切な人々と一緒にいるべき日とされ、仕事を早めに切り上げる職場も少なくない。しかしそうした特徴から、家族以外の誰かと夜を過ごす日という側面も与えられるようになった。
 たとえば友人たちと夜通し騒いだり、恋人と一緒に過ごすことも考えられる。もちろんそんな特別な日であっても、仕事がある者たちはいるが。
 ただ、皇国の多くの人々はこの日を楽しみにしていた。国を挙げての特別な日で、商人たちはこれを盛り上げて商機にしようと企んでいる。
 また、普段はきっかけを掴めずに、気になる異性に声を掛けられない者にとっては好機と言える日だった。
 特に、若者たちはそう考える傾向が強かった。
 皇国軍の最高学府である騎士学校でさえ、例外ではない。


「だいぶ盛り上がっているようですね」
「は、はい」

 レクティファールは『レクト・ハルベルン』として、もはや着慣れたと言ってもいい士官の軍装をまとい、騎士学校の敷地を歩いていた。
 隣を進むのはわずかに顔をうつむかせたタキリ・イチモンジ。彼女はレクティファールの言葉に答えながらも、腰の前でせわしなく指先を動かしていた。

(うわあああああああああああっ、マリア様、何故なぜわたしなどにこのお役目をぉ!!)

 実は彼女、騎士学校に籍は置いてあるものの、今は海軍本営で実務研修を受ける立場にあった。本来なら今日もそのはずだったのだが、朝登庁するとすぐに元帥げんすい官房からの使いが来て、騎士学校へ向かえと命じられたのである。
 何かの手続きが必要になったのかと首を傾げつつ騎士学校へと辿たどり着いた彼女を出迎えたのは、陸軍の軍装に身を包んだレクティファールだった。
 その姿を見付けたときに「うひぇあ」と意味のない悲鳴を上げたことは、タキリにとって忘れたい記憶である。

「みんな浮ついているようにも見えますが、やはり祭は誰にでも平等ですね」

 レクティファールは嬉しそうに候補生たちの姿を眺めている。
 ただ軍務に必要な知識を学ぶだけではなく、何故なぜこの国を守るのかを見出すためにこそ、あらゆる軍学校は存在している。
 そこで経験した日々をかてとして、若き軍人たちは防人さきもりの任務にくのである。

「毎年、似たような雰囲気ふんいきになります。講義室でもそういった話ばかりで……」
「いいことじゃないですか。実にうらやましい」

 うらやましいというレクティファールに、タキリは思わず顔を上げた。
 世間一般の認識として、皇王――正確にはまだ皇太子だが――人々が望むあらゆるものを手に入れた存在だ。誰かをうらやむことなどあり得ないと考えられている。
 しかし、タキリの目の前にいる青年は、そうした評価にまったく当てまらない。

「青春、青春。こういう時期は本当に貴重でしょう。あとになって欲しがっても、そうそう手に入るものじゃない」
「マリア様は、その、自分は常に青春を謳歌おうかしているとおっしゃっていましたが……」
「本人がそう信じているならそれはそれでいいんじゃないですか? 私はあれを青春とは認めたくありませんが」

 人のことを面白おかしく玩具がんぐにすることが青春であってたまるものか――レクティファールは少しだけ遠くを見詰めた。

「それなら、レクト様はどのようなものを〝青春〟だと思われますか?」
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