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10話 奴隷
しおりを挟む「…………ん。………あ」
千絵が目を覚ますと、そこは知らない部屋の清潔なベッドの上だった。ドクターの姿は見えない。それに、一瞬自分が裸かと感じてしまう様な着心地の服に着替えさせられていた。それは、ピッタリとしたボディースーツだ。ドクターの着ていたのに似ている。だが、胸と股間の部分にチャックが付いていて、少しエッチな事を思わせるデザインだ。これを開ければおっぱいもおまんこも丸出しだ。
「凄い……。服を着てないみたいな感覚……。こっちの世界って、凄く進歩してるのかな?」
ドクターから、元々の服の事を弱い繊維と言われた事を思い出す。千絵がポツリと呟くと、それに返事が返って来た。
「ええ。……今、貴女が着ているのは最新の技術で作られた宇宙服、の様な物……ですよ。炎にもかなりの時間耐えられますし、寒さにも耐えられます。なのに着心地は抜群……でしょう?」
ドクターの声だ。千絵はハッとして、キョロキョロとする。すると少し離れた机にプラスチックケースが置いてあった。医務室の様な部屋で見た物と同じだ。
そして、やはり中にドクターは居た。薄緑色のスライムが、ウネウネと動いている。
「ドクター?」
千絵が声を掛けて、突くと、またウネウネと動く。
「申し訳有りません。この様な姿で………。まだ人間の姿には、短時間しかなれません……ですよ。なので貴女を抱けない。………はあ。残念です……」
しょんぼりとした声が聞こえる。神人の言った通り体に発声器官が無くても、問題無く話が出来る。
(前に居た人……人間の男の人の、………遺伝子情報を取り込んだって言ってたっけ?……凄い。本当に夢じゃないし……現実なんだ。)
スライム状のドクターをツンツンしながら、千絵は意識を失う前の事を思い出す。そして赤面した。
(あ……、私。………すっごくエッチな事をしちゃったんだ……やだぁ。恥ずかしいよぉ。)
カアッと染まった肌と顔を覆う手を見て、ドクターはクスクスと笑っている。
「とっても、可愛らしかったですよ?絶頂と共に分泌液……、潮を噴いて気を失ったんです。………ふふ、処置は問題無かったですから。安心してください……ですよ。…………とってもエッチな体ですから、繁殖もきっと、楽しめます♡流石に今日はゆっくりと休んで頂きますけど。明日からは、頑張りましょうね♡」
(あ……うぅ……。私、潮噴いて気絶しちゃったんだ?……恥ずかしいけど。………でも気持ちよかったなぁ……♡はぁ………、ん?明日から頑張る?え?もう明日から、するの?)
ドクターのその言葉に、顔を覆っていた手を外して視線を向けると、うにょーんとドクターの体が伸びた。そして机の上に置かれた、一冊の本を手(?)に取った。
「明日から、繁殖を始めて行きます……ですよ。貴女も元の世界に帰る為には、早く子を産まないといけませんよね?条件は【人間】の子供100人ですから、中々大変です。なので早いに越したことはないです。……ですけど、明日はとりあえずは顔合わせです。……この図鑑の中から、とりあえず3人。お選び下さい。………気に入った方が居ない場合はこちらで選ばせて貰います。……おっと、食事と迎えが来ましたね。………それではワタシは、今日は失礼します。明日の朝、そこのパネルが赤になった頃に迎えに来ますよ。」
ドクターがそう言うと、ピーンと言う機械音がして、部屋の扉が開いた。
(わぁ……。なんだろう?岩。……ゴーレムさんかなぁ?)
入って来たのは、ゴツゴツとした岩の様な肌の人に似た生き物。正確には余り人間に似ては居ない。シルエットは人間だが、その顔の部分には黒い穴が空いているだけで、口も鼻も無い。服も着ていないから、少しだけ怖い。
「……………」
一言も話さず。そのゴーレムはドクターの入ったケースを持ち上げた。
「ん?ああ。人間No.1番さん。大丈夫、怯えないでください。……ソレは岩人です。性格は温厚なので、危険は無いです。こうして施設内部の雑用等に従事してくれています。………ふふ、安心してくださいね。知能は低く。自立思考は苦手なので、岩人と貴女が交わる事は有りません。……それにソレも、液人同様、分裂にて増えます。………したくとも出来ない……ですよ。岩人は、命令した事は真面目にこなすので。奴隷として一般的に広く使われてる……ですよ。ふふ。なので貴女も何かあれば命令すると良い……ですよ」
「え?……奴隷」
千絵は、またポツリと呟いた。だけど今度はそれに返事は返ってこない。
「さ、食事も持って来てくれましたから、それを食べて今日は体を休めてくださいですよ。この部屋の中なら好きに過ごして下さって結構ですからね。……では、本当にワタシはこれで………」
ドクターは岩人に連れられて部屋を出て行った。その後ろから、一回り小さな岩人がカートを押して入って来た。小さな岩人はカートを千絵の前で止めると、じっと千絵を見つめて、何も言わずに部屋を出て行った。
「あ…………。一人になっちゃった……、ご飯?」
カートの上には、ステーキとスープにサラダが置かれていた。
(なんのお肉だろう?…………でも良い匂いだわ……。)
ぐーっと千絵のお腹が鳴った。
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