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1話 もう我慢できないっ!!!
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「ユウ!!!お疲れ様。今日はもう上がっても良いよ!!!」
店長のその言葉に片付けていたお皿をサッと棚にしまって、私。山田裕子(33)はふうと額の汗を拭った。
「お疲れ様です、店長。ではお言葉に甘えてお先に上がらせて貰いますね」
そう言葉を返した相手、店長の頭には犬の耳が付いていた。本物である。
◆◆◆◆◆◆
山田裕子がこの世界【エヴァシエス】に召喚されたのは2年前。たまたま近くを歩いていた可愛らしい女子高生の聖女召喚に巻き込まれた。足元が光ったと思えば目の前はきらびやかなお城の広間。そして女子高生に駆け寄るイケメン(多分王子)裕子の前には申し訳無さそうな顔のおっさん(誰?)
僅か0.5秒で察した。
(おっふ。これは……………やばいやつじゃないのかしら?)
最近仕事の行き帰りにスマホで小説を読むのにハマっていたのでこのパターンはやばいやつでは?虐められるか追い出されるか殺されるか………そのどれかのパターン?と震えたがおじさんはめちゃくちゃ頭をペコペコ下げて居るし可愛い女子高生も心配そうに裕子を見ていた。
結局は裕子の心配は杞憂で手厚く保護して貰い、この世界の説明や今回の件の謝罪をまさかの王様からも頂けた。この世界の常識も学ばせて貰い暫くの生活費も頂けて半年前に職場も紹介して貰いやっと裕子は自立する事が出来たのだ。
(まさか本当に魔法やモンスターが存在する世界だなんて…………。凄いわ…………)
城で学んだ事は驚く事ばかりだったが最近そう言う小説を読んでいたこともあり難なく受け入れる事が出来たのだ。
魔法。モンスター。ギルド。英雄。聖女
奴隷。多種多様な種族。
此処エヴァシエスは良くあるファンタジー小説その物であった。あの聖女女子高生とは城に滞在中殆ど会えなかったが城を出る際は見送りに来てくれて王子と仲良さげに並んで手を振ってくれた。それにほっこりとして裕子はこの世界エヴァシエスで新生活をスタートさせたのだった。
職場の食堂は客層も良いし店長も店員も皆優しい。なんのスキルも持たない一般人の裕子だがそれなりの生活を送れていた。
(私って運が良いわね。ふふ…………)
見る物聞く物そのどれもが目新しくて最初は浮かれていた。だが生活が落ち着くとムクムクと欲望が湧いてくる。それは時に夜眠れない程で裕子は頭を悩ませていた。
◆◆◆◆◆◆
(よしっ
今日は早く上がれたし、……………………本当に大丈夫かしら?)
不安とドキドキが入り交じる中、裕子はローブを頭からすっぽりと被り夜の街を歩く。少しだけいかがわしい匂いのする路地裏。それに心臓は高鳴る。
(はぁ♡いいわぁ♡…………この感じ♡)
裕子はうっとりとその雰囲気に酔う。
今日の裕子の目的、それは痴漢(痴女)させてくれる相手と待ち合わせしているのだ。
(本当に………来るのかしらぁ?)
裕子には昔から少しだけ人には言えない趣味があった。【痴漢(痴女)したい願望】である。
勿論本当にしたら犯罪なので元の世界では似たような性癖の人とそう言う掲示板で出会って疑似的な痴漢プレイを楽しんだものだ。電車やバス。人の多い公園や映画館。果てはデパートの一角。
(はあ……♡久々で既に体が火照って来たわ♡)
20代後半から性欲が強くなり月に3度は同じ趣味の男と出会っていたのにこちらに来てからはほぼ2年そう言う事とは無縁である。忙しさと新しい世界に慣れる為に必死でそんな事を考える余裕も無かったのだ。
だが落ち着いた今、我慢できない欲望が日々湧いてくる。何度も自慰をして性欲を発散させようとしたがどうにも収まらなくて毎夜毎夜切ないため息を吐いたものだ。そんな日々を数週間過ごして、もう我慢ならないと夜の酒場に繰り出してそれとなく情報を集めた。そしてやっと目的のお店を見つけた♡そこは特殊な性癖の者同士をマッチングさせてくれる、
要するに【出会い系酒場】だった。店員に金を握らせて裕子の希望を告げるとコクリと一度頷かれて奥へと消えていった。暫くして戻って来た店員から小さなメモを手渡された。
そこには日時と時間。それと目印が記されていた。
(うふふ♡…………お互いに詮索は不可♡だけど……それはこっちとしても好都合ね♡)
裕子の提示した条件は相手は出来るだけ若い子で容姿は問わないが痴漢プレイを楽しめる様な演技が上手な人。怯えたりしてくれるとなお良い、と言う物である。
(………………本気で嫌がってる風にしてくれないと燃えないしね………。それに年下の可愛い子って大好き♡はあ……♡)
所謂イメージプレイだ♡
待ち合わせ開始と同時にイメプは始まる♡出会った瞬間から裕子が痴漢する側で相手はされて怯えながらも気持ち良くなる♡と言う設定だ♡
お互いに一切の個人的な情報は無しで目印にはお互いローブ着用で胸元に赤い花を挿している。本当なら電車とかでしたいがこの世界に電車は無い。なので今回は久々な事もありお試しで路地裏だ。
それでも外なのでバッチリ興奮する♡
(そろそろね…………、ちゃんと来てるのかしら?)
カツカツとヒールの足音が響く路地裏。人の姿は今の所無い。曲がり角を曲がった先、薄暗い隅の方にお目当ての人物を見つけて裕子は涎を垂らしそうになった。
(……………ちゃんと来てる♡)
店長のその言葉に片付けていたお皿をサッと棚にしまって、私。山田裕子(33)はふうと額の汗を拭った。
「お疲れ様です、店長。ではお言葉に甘えてお先に上がらせて貰いますね」
そう言葉を返した相手、店長の頭には犬の耳が付いていた。本物である。
◆◆◆◆◆◆
山田裕子がこの世界【エヴァシエス】に召喚されたのは2年前。たまたま近くを歩いていた可愛らしい女子高生の聖女召喚に巻き込まれた。足元が光ったと思えば目の前はきらびやかなお城の広間。そして女子高生に駆け寄るイケメン(多分王子)裕子の前には申し訳無さそうな顔のおっさん(誰?)
僅か0.5秒で察した。
(おっふ。これは……………やばいやつじゃないのかしら?)
最近仕事の行き帰りにスマホで小説を読むのにハマっていたのでこのパターンはやばいやつでは?虐められるか追い出されるか殺されるか………そのどれかのパターン?と震えたがおじさんはめちゃくちゃ頭をペコペコ下げて居るし可愛い女子高生も心配そうに裕子を見ていた。
結局は裕子の心配は杞憂で手厚く保護して貰い、この世界の説明や今回の件の謝罪をまさかの王様からも頂けた。この世界の常識も学ばせて貰い暫くの生活費も頂けて半年前に職場も紹介して貰いやっと裕子は自立する事が出来たのだ。
(まさか本当に魔法やモンスターが存在する世界だなんて…………。凄いわ…………)
城で学んだ事は驚く事ばかりだったが最近そう言う小説を読んでいたこともあり難なく受け入れる事が出来たのだ。
魔法。モンスター。ギルド。英雄。聖女
奴隷。多種多様な種族。
此処エヴァシエスは良くあるファンタジー小説その物であった。あの聖女女子高生とは城に滞在中殆ど会えなかったが城を出る際は見送りに来てくれて王子と仲良さげに並んで手を振ってくれた。それにほっこりとして裕子はこの世界エヴァシエスで新生活をスタートさせたのだった。
職場の食堂は客層も良いし店長も店員も皆優しい。なんのスキルも持たない一般人の裕子だがそれなりの生活を送れていた。
(私って運が良いわね。ふふ…………)
見る物聞く物そのどれもが目新しくて最初は浮かれていた。だが生活が落ち着くとムクムクと欲望が湧いてくる。それは時に夜眠れない程で裕子は頭を悩ませていた。
◆◆◆◆◆◆
(よしっ
今日は早く上がれたし、……………………本当に大丈夫かしら?)
不安とドキドキが入り交じる中、裕子はローブを頭からすっぽりと被り夜の街を歩く。少しだけいかがわしい匂いのする路地裏。それに心臓は高鳴る。
(はぁ♡いいわぁ♡…………この感じ♡)
裕子はうっとりとその雰囲気に酔う。
今日の裕子の目的、それは痴漢(痴女)させてくれる相手と待ち合わせしているのだ。
(本当に………来るのかしらぁ?)
裕子には昔から少しだけ人には言えない趣味があった。【痴漢(痴女)したい願望】である。
勿論本当にしたら犯罪なので元の世界では似たような性癖の人とそう言う掲示板で出会って疑似的な痴漢プレイを楽しんだものだ。電車やバス。人の多い公園や映画館。果てはデパートの一角。
(はあ……♡久々で既に体が火照って来たわ♡)
20代後半から性欲が強くなり月に3度は同じ趣味の男と出会っていたのにこちらに来てからはほぼ2年そう言う事とは無縁である。忙しさと新しい世界に慣れる為に必死でそんな事を考える余裕も無かったのだ。
だが落ち着いた今、我慢できない欲望が日々湧いてくる。何度も自慰をして性欲を発散させようとしたがどうにも収まらなくて毎夜毎夜切ないため息を吐いたものだ。そんな日々を数週間過ごして、もう我慢ならないと夜の酒場に繰り出してそれとなく情報を集めた。そしてやっと目的のお店を見つけた♡そこは特殊な性癖の者同士をマッチングさせてくれる、
要するに【出会い系酒場】だった。店員に金を握らせて裕子の希望を告げるとコクリと一度頷かれて奥へと消えていった。暫くして戻って来た店員から小さなメモを手渡された。
そこには日時と時間。それと目印が記されていた。
(うふふ♡…………お互いに詮索は不可♡だけど……それはこっちとしても好都合ね♡)
裕子の提示した条件は相手は出来るだけ若い子で容姿は問わないが痴漢プレイを楽しめる様な演技が上手な人。怯えたりしてくれるとなお良い、と言う物である。
(………………本気で嫌がってる風にしてくれないと燃えないしね………。それに年下の可愛い子って大好き♡はあ……♡)
所謂イメージプレイだ♡
待ち合わせ開始と同時にイメプは始まる♡出会った瞬間から裕子が痴漢する側で相手はされて怯えながらも気持ち良くなる♡と言う設定だ♡
お互いに一切の個人的な情報は無しで目印にはお互いローブ着用で胸元に赤い花を挿している。本当なら電車とかでしたいがこの世界に電車は無い。なので今回は久々な事もありお試しで路地裏だ。
それでも外なのでバッチリ興奮する♡
(そろそろね…………、ちゃんと来てるのかしら?)
カツカツとヒールの足音が響く路地裏。人の姿は今の所無い。曲がり角を曲がった先、薄暗い隅の方にお目当ての人物を見つけて裕子は涎を垂らしそうになった。
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