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太陽元気
10話 夢の中☆
しおりを挟む和泉は琴音の胸を揉みながら、執拗に耳に舌を這わせている。
「はぁ………琴音さん……、琴音さん…………。ふ………っ……はぁ……」
和泉のハァハァと言う荒い息遣いとペチャぺちゃと耳を舐める水音を聞きながら、琴音はビクビクと体を震わせて、ぎゅうっと瞳を閉じた。
(ひぃ……ん、ぁ………はぁ……耳、やぁ………)
目の端からは、ポロリと涙が溢れる。悔し涙だ。
(………………うぅ……、太陽君……。悔しいですけど、今回は諦めます………、うぅ……)
今の琴音には、この状況を打破する術が無い。和泉を説得しようにも、今のご乱心な和泉は聞く耳を持ってはくれないだろう。そうなれば、残された道はただ一つだけ、和泉を大人しく受け入れて、和泉が満足するのを待つしか無い。
(……もう、それしか無いですよね?………仕方ないです。……ん?あれ?)
覚悟を決めて、全身の力を抜いて和泉の好きな様にさせようとしたが、いつの間にか和泉の荒い呼吸は聞こえなくなっている、耳を舐められるのも止まっていた。
琴音が恐る恐る瞳を開くと、泣きそうな顔の和泉が琴音をじっと見下ろしていた。
「…………え?」
琴音が疑問の声を上げると、和泉は、そっと琴音の目元を撫でた。どうやら溢れた琴音の涙を優しく拭っているようだ。
「……………琴音さん、今度こそ、ハッキリと分かりましたか?力で敵わない男に無理やり襲われて、とても怖かったでしょう?抵抗なんて出来ないでしょう?」
そう言って、和泉は困った様に笑う。その瞳はハイライトは無いが、先程までの、どんよりと濁った瞳とは違い、優しい色を浮かべている。
「え?……先生……?」
「ごめんね。……君に分かって欲しくて、少し強引な手段に出てしまいました。……………安心して、これ以上は何もしませんから……」
和泉は両手を上げて、緩く首を振っている。
「…………無理やりキスをした事も謝ります。……ごめんね。僕は、少しおかしくなっていたみたいです。どうにかしないと、君を説得しないといけないって、一晩中考えて……でも、どうしたら良いのか、分からなくて………、頭の中がぐちゃぐちゃで……それで、こんな風に、君を泣かせてしまいました……。だけど、僕は、……どうしたら良いのか分からなくて、僕は……、僕は………。男の人の怖さを、力の強さを。君に、ちゃんと知って欲しくて………でも、これでは、駄目ですよね……。こんなの……最低です。君の心を傷つけて、しまいました………」
ポタポタと上から和泉の涙が落ちてくる。
「あ………和泉……先生」
(和泉先生………。そんなに、私達の事を心配してくれて居たんですか?教師としての責任感?……それに、ここに来てからは寝不足続きで、先生も、精神的に色々と限界だったんでしょうか?………そうですよね。先生は、前にも苦しいって言ってましたもんね。………………今回先生が暴走してしまったのは、バグでは無くて、私の行動の結果なのでしょうか?)
元々、和泉は悪夢に魘されて眠れない日々を送って居た。大人だから、教師だからと、弱音も吐かず、皆の前では、そんな弱った姿だって見せない。だけど、本当は常にプレッシャーや死の恐怖に押し潰されそうになっていたのだ。そんな時に、太陽と琴音が親密になったのを見て、余計に心労を掛けてしまったのだろう。
和泉の話した太陽の話が、一切の脚色が無い本当の話なら、和泉の行動は間違っては居ないし、その心労も計り知れない物だっただろう。言葉での説得ではどうにもならず、寝不足で思考力の落ちた頭では、解決策なんて思い浮かばなくて、それで今回の暴挙に至ったと言うのなら、納得出来る。
琴音の上で静かに涙を流す和泉の姿は、ヨレヨレにくたびれて、哀れだ。落ち窪んだ目元にカサカサの唇。ボサボサの髪の毛。それが琴音のせいだと思うと、罪悪感が湧いてくる。
(先生………。そうですよね、立場上、私達の事を放っておくなんて出来ませんよね?それに先生も、とっても優しい人ですもん。見て見ぬふりなんて出来ませんよね)
「……………お願いです。琴音さん……。少しの間だけでも、太陽君と過ごすのを止めて下さい。……せめて此処に居る間は、僕の目の届く所での交流に留めて下さい……。じゃないと……僕は……僕は………」
さめざめと泣く和泉を見ながら、琴音は考える。
(…………うーん、太陽君攻略には、まずは和泉先生の説得とメンタルケアが必須条件、なのでしょうか?……………そこさえクリア出来れば、太陽君攻略も、それ程難しくは無い?…………仕方ありませんね。今回は、一度仕切り直しです。残念では有りますが………得た物は大きいです。色々と情報を得られましたから)
◇◇◇◇◇◇
「先生……。もう、泣かないでください。私、ちゃんと分かりましたから、先生が私達の事を本気で心配してくれていたって事が、やっと理解出来ました。……先生の言う通り、太陽君との交流は、談話室とか、他の人の居る所でします。………それなら、大丈夫ですよね?」
ベッドに隣同士で腰掛けて、未だに泣いている和泉の背中を優しく撫でながら、琴音は声を掛ける。
和泉はスンスンと鼻を啜り、そしておずおずと琴音に視線を向けた。
「………っ……琴………。観音坂さん、本当に、分かってくれたんですか?………僕の、事、怒っていませんか?」
泣いたせいで、更に目は真っ赤に充血している。痛々しいその姿に、琴音は胸が痛む。
「はい、先生。本当にしっかりと理解しました。……それに怒ってません。私達の為に、してくれた事ですもんね?確かに少し怖かったですけど、…………」
「そうですよね。怖かったですよね………。ごめんなさい。観音坂さん………。キスも、もしかして初めてだったんじゃ無いですか?初めてが、僕みたいなおじさんでごめんね……」
和泉はしょんぼりと項垂れて、ボソボソと言う。
「え?………、いえ、確かにキスは初めてですけど、でも、嫌なんかじゃ無いですし、先生はおじさんなんかじゃ無いですよ?寧ろ初めてが先生みたいなイケメンでラッキーです。なんちゃって………えへへ」
他の周回で、キスもセックスも経験済みのビッチですから大丈夫ですよ、貴方とも何度もずっこんバッコンしてました。とは言えず、一応今回の周回では、キスもセックスも未経験なので、そう答える。これ以上和泉が自己嫌悪で落ち込まない様にと、笑顔のオマケ付きだ。
「……………本当に?……それは本当ですか?………ラッキー………イケメン?……、そうですか………、君から見て、僕はおじさんじゃない?……恋愛対象として、有りですか?」
また、和泉の瞳にギラギラとした光が浮かぶ。
(ん?……。おっと……なんだか、また雲行きが怪しくなって来ましたね……。もしかして、私、また余計な事を言っちゃいましたか………)
琴音は内心で冷や汗をかく。
「………先生、あの、とりあえず、一度お部屋まで送ります。……寝ましょう?今の先生は寝不足で、疲れちゃってるんです。だから、ね?お部屋に帰ってゆっくり休みましょう?私、側に居ますから。何か食事も作りますよ」
「…………本当ですか?一緒に居てくれるんですか?料理も?本当に…………、琴音さん………」
和泉から、熱っぽい視線を向けられて、琴音は困惑する。気づけば、腰に和泉の腕が回っていた。
(あれ?あれれ?………やっぱり先生って私の事が好きなのでしょうか?それとも、説得の為に襲うフリをして、ムラムラしちゃったんでしょうか?……先生、女子高生大好きですもんね?………まあ、今回の太陽君攻略は失敗ですし、先生とそう言う関係になっちゃっても、良いですけど。……でも流石に此処では困りますね。………太陽君の部屋ですし)
和泉がどう言うつもりかは分からないが、和泉との関係がどうなるとしても、此処では困る。
「はい、先生。ほら、お部屋に行きましょう。ね?」
微かに冷や汗をかきながら、ニコリと微笑んで琴音は、そっと和泉の腕を解くと、立ち上がる。
先に部屋を出ようと扉に向かおうとして、そして、落ちていた布を踏んで盛大にすっ転んだ。
踏んだのは、琴音が放り投げたパンツだった。
◇◇◇◇◇◇
転ぶ瞬間受け身を取ろうと、体をひねると、ぐるりと回転してお尻から落ちて、床に強かに打ち付ける。
「いっ!!!!うぐぅっ!!!!!」
ドシーンと言う音と、琴音の悲鳴が部屋に響く。
和泉はと言うと、琴音を追おうと立ち上がり掛けたのか、中腰の様な中途半端な体勢で、ポカンと間抜けな顔をしていた。その視線は、琴音のおっぴろげになった股の間に釘付けだ。
「……………え?」
スカートは捲れて、M字開脚の様な体勢で座り込んでいる琴音の股間は、丸見えだろう。本来ならパンツ丸見え状態だが、今の琴音はノーパン。なので、まだ濡れてテラテラと光っているおまんこが御開帳だ。
(ひぃぃぃぃ!!!!ま、また先生に、とんでも無い所を見られてしまいましたっ!!!!!なんで床にパンツが、有るんですかぁ?!いや、放り投げたのは私ですけど……、うぅ……なんて言い訳をしたら良いのでしょうか……)
琴音はすぐに隠したが、和泉は未だにこちらを凝視している。良く見れば、股間が膨らんでいる。
「あ……あはは、パ、パンツを、履き忘れていました。す、すみません。すぐに履くので、あっち向いていて貰っても良いですか?」
そう慌てて声を掛けるが、和泉の目はギラギラと欲に塗れていた。
(ひ、ひぃっ?!不味いですっ!!!先生のヤる気に火をつけてしまいましたか?!嘘っ!!!こんな色気もなんにも無いお股おっぴろげに興奮しちゃったんですか?!あわわわわ!!!)
「いやぁっ!!!先生っ!!!ま、まって、此処では嫌ですっ!!!!嫌ぁ!!!!それに今は、お尻が痛いですっ!!!待ってください!!!!」
強かに打ったお尻が痛くて、上手く立ち上がれない間に、和泉はフラフラと近づいて来て、そしてまた琴音に、のしかかって来た。
今度は先程の襲うフリとは違う。今の和泉は完全に理性が飛んでいる様子だ。
「はぁ……はぁ♡琴音さん……♡はぁ……♡もう、我慢出来ません……。そんなに、いやらしい姿を見せつけられたら……僕は………。はぁ♡君のおまんこも、既に準備万端でぬるぬるじゃ無いですか♡嗚呼、そうだ。これは夢だ……。そうに決まってます♡そうじゃなきゃ、こんなに僕に都合の良い事が起こる筈無いです……。パンツを履き忘れるなんて……ありえませんよ。それに、濡れ濡れのとろとろなんて、あり得ません♡ふふふ♡ほら、指が簡単に入っちゃいますよ?ふふふ♡夢なら、我慢しなくても良いんだ♡琴音さん♡………ふふ♡指が気持ちいいですか?僕の指を、嬉しそうに、きゅうきゅう締め付けてますよ?」
和泉は琴音のおまんこに指を一本埋めると、くちゅくちゅと抜き差しして、恍惚の表情だ。先程まで解していたおまんこは、和泉の言う通り、簡単に指を根本まで飲み込んで、嬉しそうに、締め付けている。
「ひぃぃぃ!!!!ま、待ってください、先生!!現実です!!!これ現実ですからっ!!!!パンツ履き忘れは、確かにアレですけど、でも現実なんですっ!!!!ちょっ……せめて、部屋を移動しましょう?!ここ、太陽君の部屋ですよっ?!」
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