16 / 39
南端の水の都-サウザンポート-
1話 妖術
しおりを挟む
枯れる事の無い太陽に、ひび割れた大地。
顔があれば、きっと寂しげにしているその土地で、俺達は馬車に揺られていた。運転を務める牛乳売りのおっちゃんが、前方を見たまま俺たちに声をかけた。
「それにしてもあんちゃん達、そんな軽装でこの荒野を抜けようだなんてちと無理があるさね。偶然おらが通りかからなきゃ死んでただよ?」
「いやー、助かりました。この出会いに感謝します」
「きゅるる!」
少し前の事。俺達は宿泊の町を旅立ち、その足で南端の水の都を目指していた。どこまでも続く草原もすこしずつ、閑散とした荒廃の地に顔色を変えた時の事。後から追いかけてきた荷馬車に呼び止められた。
曰く、そんな軽装でこの荒野を抜けようだなんて死にに行くようなものだ。運賃を取ったりなんてしないからおとなしく荷台に乗りな、とのこと。
そして、俺達はお言葉に甘え、荒野を荷馬車で進んでいるところだったという訳だ。
「ウルさん、ウルさん」
アリシアが耳元で囁いた。
ひそひそ話をしたいようだったので、俺は小声でどうしたんだいと問い掛ける。
「ウルさんのアイテムボックスの中には十分な水も食料も野営道具もありますよね? どうしてそれを言わないんです?」
そう。
腐っても俺たちは元SSSランク冒険者。
旅は慣れたものであり、当然準備不足が祟って道中で野垂れ死ぬなんてことはない。それなのにどうしてこのおっちゃんにお世話になるのか。
アリシアの疑問はもっともだった。
一応、理由はある。
まず、アイテムボックスに旅の道具一式を詰め込むなんて一般的に不可能だからだ。俺は膨大な魔力量にものを言わせて拡張しているからテントなんかも持ち運べるが、それを告げれば俺が実力者であることを話さなければならない。
見たところこの布袋腹のおっちゃんは護衛もつけていないようだし、名のある冒険者であればお金を払ってでも護衛を頼む可能性がある。
好意を受け取っても受け取らなくても、どちらにせよ同行するのなら、お互いフランクな関係でいたいものだ。だから黙っていた。
というのをアリシアに説明するのは面倒なので。
「ま、人の好意は素直に受け取っておこうぜ」
と返した。
アリシアは俺の考えを見通せたわけではないらしいが、俺なりに考えがあるという事は分かってくれたようで、「そうですか」と言ってからは何も詰られなかった。
「おーい、峠に差し掛かるだよ。気を付けるさね」
「分かりました!」
笠雲がかかる険山に差し掛かる頃。
俺が考えていた事は山賊に遭遇する可能性だった。
峠に入れば、山道は前か後ろの二方向にしか続かない。全方向に逃げられる荒野と違って、簡単に囲われてしまう。
杞憂で終わればいいのだが、はたして。
「おい待ちな!」
「さ、山賊!?」
「ああそうだ。金目のもの置いてってもらおうか?」
……あー。
出そうになった、そんな抜けた声を噛み殺す。
俺が馬車から降りようと立ち上がるのを見て、アリシアはようやく合点がいったと得意げな表情をした。
「わかった。金目のものは渡す。だから命と荷馬車は見逃してほしい」
「ぼ、ぼうず! 何してるんだ」
「へっ! 物分かりの良いガキだな! お前みたいなのは長生きできる……が、見逃すかどうかはお前の手持ち次第だなぁ?」
「そうかい、じゃあ、こんなのはどうだ?」
そう言って俺はアイテムボックスから金の延べ棒を取り出した。それも一つではなく、複数だ。
「ほう、金の延べ棒とはずいぶん羽振りがいいではないか。それなら馬車と荷物を買い直した方が安くつくのではないか?」
「あいにく、俺は相乗りさせていただいてる身分なんでね。せめてもの恩返しってやつだな。この馬車に、おっちゃんも思い入れあるだろうし」
「ふん、で? それはどこで手に入れたものだ?」
「王都の賭場で一発当ててな。ちょうど持て余してたところだ。これで道を譲ってくれるか?」
「……いいだろう」
そう言って、近寄ろうとする山賊。
それを俺は機先を制して停止させる。
「おっと、それ以上近づくな。すれ違いざまにバッサリ、なんて笑えないからな」
「ではどうやって受け渡す」
「俺がここから投げる」
「ふざけるな。傷が付いたらどうする」
「さあ、その時に俺は既に所有権を放棄している。嫌なら仲間を密集させて落とさないよう精々気を付けな」
へりくだらない俺の態度。
それに山賊のリーダーらしき人物は、イライラしたようにこめかみをぴくぴくさせた。それでもまずは慎重に延べ棒を受け取ることを優先したのだろう。仲間を一箇所に集め、パスを要求する。
「言っておくが、あまりに明後日の方向に投げようものなら命は無いと思え」
「ああ、分かってるよっと!」
俺は下から掬い上げるように延べ棒を投げた。
陽の光に煌めくそれは、放物線を描いて、ぴたり山賊の中心線の前に舞い降りる。
山賊が、一つ残さず、大事そうに抱えた時だ。
「吹きすさべ! «突風ノ珠»!」
「なっ!」
俺が放った空気砲が、山賊を吹き飛ばした。
リーダーらしきその人物にその弾丸が刺さった瞬間、嵐が弾けたように周囲にいる山賊を巻き込んで咲き乱れる。
俺はすぐに荷台に乗り込み、牛乳売りのおっちゃんに声をかけた。
「出して! すぐに!」
「ま、まかせろ!!」
ガタンゴトンと車輪を跳ねさせ、荷馬車は行く。
普通だと大変な目に合っているところだろうが、アリシアが衝撃緩和の呪文を詠唱済みのため問題は無い。長い付き合いだからその辺は心配いらずだ。
「くそ! 待ちやがれ!」
「はっはー! おととい来やがれってんだ!」
「キサマァ!」
馬車は変わらず猛スピード。
そんな荷車に追いつくことを諦めたのか、延べ棒で十分だと判断したのか、山賊たちがおってくる事は無かった。十分に距離を取ったところで、馬車はまたゴトゴトとゆっくり進みだした。
一段落ついて、おっちゃんが口を開いた。
「すまねえな、この馬車を守るために大変な出費をさせちまって。ありゃ一体いくらになるだか」
「あはは、大丈夫ですよ。心配しないでください」
いいつつ、俺はアイテムボックスからさらに延べ棒を取り出した。
「驚いた、まだ持ってただか」
「あはは、これからさらに驚くことになりますよ。ほら、«解除»」
瞬間、延べ棒が「ぽふっ」という音を立ててただの葉っぱになった。おっちゃんが目を見開いて口をあんぐりとさせる。
「上手いもんでしょう? 昔、タヌキの獣人から教えてもらったんです」
「ああ! 驚いただ! こんな妖術みたいな技があるんだな。ん? そいじゃあ今頃山賊たちは?」
「ははっ、思っているでしょうね」
俺はニッと笑ってこう続けた。
「タヌキに化かされた、ってね」
顔があれば、きっと寂しげにしているその土地で、俺達は馬車に揺られていた。運転を務める牛乳売りのおっちゃんが、前方を見たまま俺たちに声をかけた。
「それにしてもあんちゃん達、そんな軽装でこの荒野を抜けようだなんてちと無理があるさね。偶然おらが通りかからなきゃ死んでただよ?」
「いやー、助かりました。この出会いに感謝します」
「きゅるる!」
少し前の事。俺達は宿泊の町を旅立ち、その足で南端の水の都を目指していた。どこまでも続く草原もすこしずつ、閑散とした荒廃の地に顔色を変えた時の事。後から追いかけてきた荷馬車に呼び止められた。
曰く、そんな軽装でこの荒野を抜けようだなんて死にに行くようなものだ。運賃を取ったりなんてしないからおとなしく荷台に乗りな、とのこと。
そして、俺達はお言葉に甘え、荒野を荷馬車で進んでいるところだったという訳だ。
「ウルさん、ウルさん」
アリシアが耳元で囁いた。
ひそひそ話をしたいようだったので、俺は小声でどうしたんだいと問い掛ける。
「ウルさんのアイテムボックスの中には十分な水も食料も野営道具もありますよね? どうしてそれを言わないんです?」
そう。
腐っても俺たちは元SSSランク冒険者。
旅は慣れたものであり、当然準備不足が祟って道中で野垂れ死ぬなんてことはない。それなのにどうしてこのおっちゃんにお世話になるのか。
アリシアの疑問はもっともだった。
一応、理由はある。
まず、アイテムボックスに旅の道具一式を詰め込むなんて一般的に不可能だからだ。俺は膨大な魔力量にものを言わせて拡張しているからテントなんかも持ち運べるが、それを告げれば俺が実力者であることを話さなければならない。
見たところこの布袋腹のおっちゃんは護衛もつけていないようだし、名のある冒険者であればお金を払ってでも護衛を頼む可能性がある。
好意を受け取っても受け取らなくても、どちらにせよ同行するのなら、お互いフランクな関係でいたいものだ。だから黙っていた。
というのをアリシアに説明するのは面倒なので。
「ま、人の好意は素直に受け取っておこうぜ」
と返した。
アリシアは俺の考えを見通せたわけではないらしいが、俺なりに考えがあるという事は分かってくれたようで、「そうですか」と言ってからは何も詰られなかった。
「おーい、峠に差し掛かるだよ。気を付けるさね」
「分かりました!」
笠雲がかかる険山に差し掛かる頃。
俺が考えていた事は山賊に遭遇する可能性だった。
峠に入れば、山道は前か後ろの二方向にしか続かない。全方向に逃げられる荒野と違って、簡単に囲われてしまう。
杞憂で終わればいいのだが、はたして。
「おい待ちな!」
「さ、山賊!?」
「ああそうだ。金目のもの置いてってもらおうか?」
……あー。
出そうになった、そんな抜けた声を噛み殺す。
俺が馬車から降りようと立ち上がるのを見て、アリシアはようやく合点がいったと得意げな表情をした。
「わかった。金目のものは渡す。だから命と荷馬車は見逃してほしい」
「ぼ、ぼうず! 何してるんだ」
「へっ! 物分かりの良いガキだな! お前みたいなのは長生きできる……が、見逃すかどうかはお前の手持ち次第だなぁ?」
「そうかい、じゃあ、こんなのはどうだ?」
そう言って俺はアイテムボックスから金の延べ棒を取り出した。それも一つではなく、複数だ。
「ほう、金の延べ棒とはずいぶん羽振りがいいではないか。それなら馬車と荷物を買い直した方が安くつくのではないか?」
「あいにく、俺は相乗りさせていただいてる身分なんでね。せめてもの恩返しってやつだな。この馬車に、おっちゃんも思い入れあるだろうし」
「ふん、で? それはどこで手に入れたものだ?」
「王都の賭場で一発当ててな。ちょうど持て余してたところだ。これで道を譲ってくれるか?」
「……いいだろう」
そう言って、近寄ろうとする山賊。
それを俺は機先を制して停止させる。
「おっと、それ以上近づくな。すれ違いざまにバッサリ、なんて笑えないからな」
「ではどうやって受け渡す」
「俺がここから投げる」
「ふざけるな。傷が付いたらどうする」
「さあ、その時に俺は既に所有権を放棄している。嫌なら仲間を密集させて落とさないよう精々気を付けな」
へりくだらない俺の態度。
それに山賊のリーダーらしき人物は、イライラしたようにこめかみをぴくぴくさせた。それでもまずは慎重に延べ棒を受け取ることを優先したのだろう。仲間を一箇所に集め、パスを要求する。
「言っておくが、あまりに明後日の方向に投げようものなら命は無いと思え」
「ああ、分かってるよっと!」
俺は下から掬い上げるように延べ棒を投げた。
陽の光に煌めくそれは、放物線を描いて、ぴたり山賊の中心線の前に舞い降りる。
山賊が、一つ残さず、大事そうに抱えた時だ。
「吹きすさべ! «突風ノ珠»!」
「なっ!」
俺が放った空気砲が、山賊を吹き飛ばした。
リーダーらしきその人物にその弾丸が刺さった瞬間、嵐が弾けたように周囲にいる山賊を巻き込んで咲き乱れる。
俺はすぐに荷台に乗り込み、牛乳売りのおっちゃんに声をかけた。
「出して! すぐに!」
「ま、まかせろ!!」
ガタンゴトンと車輪を跳ねさせ、荷馬車は行く。
普通だと大変な目に合っているところだろうが、アリシアが衝撃緩和の呪文を詠唱済みのため問題は無い。長い付き合いだからその辺は心配いらずだ。
「くそ! 待ちやがれ!」
「はっはー! おととい来やがれってんだ!」
「キサマァ!」
馬車は変わらず猛スピード。
そんな荷車に追いつくことを諦めたのか、延べ棒で十分だと判断したのか、山賊たちがおってくる事は無かった。十分に距離を取ったところで、馬車はまたゴトゴトとゆっくり進みだした。
一段落ついて、おっちゃんが口を開いた。
「すまねえな、この馬車を守るために大変な出費をさせちまって。ありゃ一体いくらになるだか」
「あはは、大丈夫ですよ。心配しないでください」
いいつつ、俺はアイテムボックスからさらに延べ棒を取り出した。
「驚いた、まだ持ってただか」
「あはは、これからさらに驚くことになりますよ。ほら、«解除»」
瞬間、延べ棒が「ぽふっ」という音を立ててただの葉っぱになった。おっちゃんが目を見開いて口をあんぐりとさせる。
「上手いもんでしょう? 昔、タヌキの獣人から教えてもらったんです」
「ああ! 驚いただ! こんな妖術みたいな技があるんだな。ん? そいじゃあ今頃山賊たちは?」
「ははっ、思っているでしょうね」
俺はニッと笑ってこう続けた。
「タヌキに化かされた、ってね」
10
お気に入りに追加
1,058
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる