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42話 アスモデウスと【能力】えっち
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【媚霧】とアスモデウスが呟いた。
二人きりの室内に甘い香りが充満する。先ほどまでの行為で放たれた性臭すらかき消すほどに強烈な匂いだ。だが、不思議と胸焼けするようなものではない。むしろ、どこか心安らぐような……。
「さて奏夜、第二幕と行こうじゃないか」
「あ、ああ」
アスモデウスの指先が、俺の胸板を撫ぜた。
ただ、それだけ。
たったそれだけのことで、脳にびりびりとした快楽が押し寄せた。
「あぎっ!?」
「あっはは! いい声で反応してくれるね! それ」
「待……!」
また撫でられたのだ。そう理解したのは自身がエビ反りになり、達しない絶頂を迎えてからだった。快楽が体の内で暴走してわけが分からなくなる。
「もう一回射精しちゃいなよ♥今の君なら余裕だろ?」
「あっが……っ」
アスモデウスの愛撫が俺の理性を砕く。
気持ちいいという感覚で頭がいっぱいになって、他の一切が塗り潰されそうだ。だが、思考を止めるわけにはいかない。
(【媚霧】の効果か……っ!)
あれからだ。あれ以来、明らかに俺の感度が上昇した。俺の知らない能力。アスモデウスが長い年月をかけて築いてきた力。実力差というものが如実に表れている。
「ほら、我慢は体に毒だよ♥イっちゃえ♥」
「ああああ!」
その時、俺は能力の覚醒を自覚した。
必要に応じて、スキルが顕現したのだという事を理解した。アスモデウスと俺の間にある決定的な実力差を打ち消すための能力。
「はぁ――【感覚共有】!」
「なっ!? ひゃあああんん!?」
この土壇場で覚醒したスキル。
それは自身と対象の感覚を共有するスキルだった。それも、絶対量ではなく相対量での共有である。
例えば敏感な人が快楽値10で絶頂するうち9の快楽を受けていたとする。その人が快楽値100で絶頂する感じにくい人と感覚を共有すると90の快楽を受けるというものだ。
使い方は、直感で理解した。
そして、この能力であれば実力差を大きく埋められることもな。
「我慢は体に毒って言ったな、アスモデウス。そうさせてもらうよ!」
「ひゃあぁん♥待って♥やめっ♥」
「待たないし、やめない」
「ひっぐぅぅぅ♥♥」
俺はアスモデウスのおっぱいをいじくり回した。打てば響くところまで快楽の限界が押し寄せていることは俺自身が一番知っている。
イクときは一緒にだ。
「んにゃあああぁぁぁあ♥♥イッグゥゥゥ♥」
「くっ、ふ……射精る!!」
アスモデウスが潮を吹くのと、俺が白濁液をこぼすのは同時だった。それ自体は、今までも何度となく経験してきたからわかる。だが、その後の多幸感を俺は知らなかった。
「お、おお?」
深い絶頂の後、快感が残るというやつだろうか。
射精した後とは思えないほどじっくりと、快感はなかなかに引いてくれない。感覚共有によって得られた新体験だった。
「くっふぅ……やってくれたね奏夜」
「それは、お互い様だろ」
しばらくして、互いに落ち着いて、そんな言葉を交わした。アスモデウスは観念したというように【媚霧】を解除した。俺は俺で【感覚共有】を解除する。
「ふぅ、いや、まいったねぇ。奏夜、君は一体どうすれば堕ちてくれるんだい?」
「さぁな……個人的にはとっくに落ちててもおかしくないと思ってるんだけどな」
「でも、堕ちないんだよね……はぁ」
アスモデウスがため息をついた。決して長くはない、むしろ短いくらいのそれには悲しいとか呆れとかの感情ではなく、怠惰のそれが多分に含まれていた。
「こんなに楽しいのはこの世に生を受けて初めてだよ? 初めてなんだけどさぁ……、私はこの後下克上を果たさないといけないんだよね。永遠にも思われた悲願なんだよ。だからさ、【早く堕ちてよ】」
「断る」
「……え?」
アスモデウスが【催眠】を使ったのだと理解した。
だが、それは事前に知っていたスキルであるし、当然対策は立ててある。
「なん、で。どうして催眠を拒める……?」
「なあアスモデウス。自己暗示って知ってるか? 知らなくてもいいんだけどな。要するに、鏡に向かって俺自身に既に催眠をかけてきた。『アスモデウスが催眠を掛けようとしたら焦点を外せ』とな」
「な……っ!?」
【催眠】は確かに強力だが、弱点もある。それは互いに目を合わせていなければ作用しないこと。催眠を掛けられると予期したならば、目を逸らしてしまえば催眠に掛かることはない。
「それよりもだ、アスモデウス。つれないこと言うなよな? お前にとっては大事の前の小事でも、俺にとってはボス戦なんだ。【もっと気持ち良くなってくれよ】」
「は……? あっぎっぃ!? お♥あ……っ♥ あああああああ!?」
逆に、催眠を掛けてやった。ベッドの上でよがり狂うアスモデウスに馬乗りになり、続けざまに能力を行使する。糸切り歯で腹を割かれた親指を、アスモデウスの額に押し付ける。
「待♥やめっ♥」
「まぁまぁ。日頃の感謝だって。遠慮せずに受け取ってくれよ。【30分間の絶頂を禁止する。罰則は、心の譲渡】」
「あ、ぐっそれは、ズルいぃぃぃぃぃ♥♥」
「おっと、【制約を果たすまでの能力行使を禁ず】」
「あっ……♥かっは♥」
絶頂の禁止は【制約】の能力、能力は【催眠】を駆使して禁止させた。俺の能力がアスモデウスに通じるか、半ば賭けであった。だからこそ、その前に『もっと気持ち良くなれ』という催眠に掛かるかを確認した。
結果は上々。俺自身が悪魔に近づいたからなのか、それとももともと通じたのか、それは分からないが、能力はきちんとアスモデウスに通じた。
一転攻勢だ。ついでなので、ステータス改竄によってアスモデウスの身体能力を下げておく。
「やっ、待って♥今催眠で敏感になっちゃってるからっ♥」
「当たり前だろ? 俺がそう仕組んだんだから」
「あっぎぃっぃぃぃ!? くっ♥あんっ♥やっ♥めぇぇぇ♥♥」
アスモデウスの全身をまさぐる。
舌で、唾液でアスモデウスの四肢を貪りながら、空いた両手で愛撫でをする。この閉口作業にも随分慣れたものだ。アスモデウスは色欲の悪魔どころか、無垢なる乙女のように恥じらって快感に抗っている。
「ら、めぇぇぇ♥私はぁ♥ソロモンを殺しゃないとぉぉ♥」
「アスモデウス、今だけは俺だけを見て」
「っ♥♥んにゃぁぁああぁぁ♥それやめっ♥胸がキュンってすりゅ♥奏夜に恋しちゃうぅぅ♥♥」
「お前を離さない」
「~~~~っ♥♥♥♥」
アスモデウスはビクンビクンしながらも、声を殺して快楽に抗った。シーツを歯でギュッと噛み締め、声が出ないように、俺の顔を見ないようにと必死だ。
必死なので、差し出された尻を両手でもみもみする。彼女の臀部は、羽毛布団より柔らかかった。
「ひっぐぃ♥待っ♥♥だめっ♥イっちゃう♥イっちゃうからやめてぇぇ♥」
「イっちゃえよ。大丈夫。一回くらいイったって、お前なら催眠に打ち勝てるさ」
「ひぐぅぃぃぃ♥一回♥一回らけぇ……♥」
息も絶え絶えと言った様子のアスモデウス。能力を封じられ、無力な雌になった彼女だったが、くすくすと笑うとそれを拒否した。
「ははっ、悪魔の囁きを聞いたのは初めてだよ……でも、残念だったね♥あっ♥私は奏夜をもう侮らないし♥悪魔の甘言には惑わされないぃ♥」
私自身が悪魔だからね。
そう言うアスモデウス。
「おいおい、俺は人間だぜ?」
「どの、口がぁ♥」
アスモデウスの首に手を回し、口づけを交わす。
甘く、蕩けるようなキスだ。そして、もう一方の手では彼女の秘所をまさぐる。アスモデウスが気持ちよさそうに、あるいは快楽から逃れようとして腰をカクカクさせる。
「ほら、何だったっけ? 『我慢は体に毒』なんじゃないのか?」
「あんっ♥ら、めぇぇぇ♥まだ、私にはぁぁぁ♥やらなきゃいけないことがありゅぅぅぅ♥♥」
「うんうん。早くイこうねー」
「あひっ♥あっ♥あっ♥ちがっ♥私のにゃすべきはぁぁぁ♥♥」
アスモデウスの声色に、余裕なんてどこにもない。催眠の効果もあるのだから、今すぐにイったっておかしくはない。だというのにアスモデウスはイかない。理性を保っている。これが人間と、色欲の悪魔の違いだろうか。快楽に耐性があるのかもしれない。
まあ、彼女を堕とす術はいくつか用意してある。
催眠を重ね掛けするもよし、ステータスや記憶を改竄するもよし、制約に絶頂の我慢を追加するのもよしだ。アスモデウスに開花させてもらった才能を以て彼女を幸せにする。この上ない恩返しだ。
だが、まだその手は使わない。
これらを使えば簡単に堕とせるかもしれないが、出来るならば彼女自身に堕落してもらいたいものだ。可能な限り素に近い彼女が俺を求める。そんな状況を俺は待ち望んでいるのだ。
それでも、色欲の悪魔としてのプライドだろうか。
アスモデウスはなかなか絶頂しなかった。約束の30分まで、もうあと3分もない。
「くっふぅ……♥みくびったわねぇ奏夜……♥30分じゃあとても足りなかったでしょう♥♥覚悟しなさい♥30分が過ぎてぇ♥私の能力が解禁された時が最期よぉ♥♥」
「確かにな……じゃあ【時間停止】だな」
「……ぇ?」
俺にはあって、アスモデウスに無い力――【時間停止】。この閉じた能力の世界では、3分後の世界は永遠にやってこない。
「当たり前だよなぁ? さて、アスモデウス。聡明なお前なら分かるだろう?」
「……あ、あは、あはは!」
アスモデウスは嗤う。狂ったように。
否、もう狂っていたのだろう。内に秘めたる狂気を、強靭な信念によって押さえつけていただけで。だが、その信念も、無間地獄の前では所詮無力だ。
彼女はあと3分間イってはならない。
3分後は永遠にやってこない。
三段論法から、彼女は永遠にイってはいけない。
だが、彼女の体は今、催眠によって感度マシマシ淫乱マックス。この27分を耐えたのは流石だ。だがそれが後1日、1週間、1年と耐え続けないとなればどうだろう。確実にどこかで限界が訪れる。
だからこそ彼女は笑った。
絶望の淵に瀕して彼女は笑った。
「この、悪魔め」
色の無い瞳から涙をこぼすアスモデウス。
そんな彼女に俺は情欲を覚えてこう言った。
「そりゃどうも」
二人きりの室内に甘い香りが充満する。先ほどまでの行為で放たれた性臭すらかき消すほどに強烈な匂いだ。だが、不思議と胸焼けするようなものではない。むしろ、どこか心安らぐような……。
「さて奏夜、第二幕と行こうじゃないか」
「あ、ああ」
アスモデウスの指先が、俺の胸板を撫ぜた。
ただ、それだけ。
たったそれだけのことで、脳にびりびりとした快楽が押し寄せた。
「あぎっ!?」
「あっはは! いい声で反応してくれるね! それ」
「待……!」
また撫でられたのだ。そう理解したのは自身がエビ反りになり、達しない絶頂を迎えてからだった。快楽が体の内で暴走してわけが分からなくなる。
「もう一回射精しちゃいなよ♥今の君なら余裕だろ?」
「あっが……っ」
アスモデウスの愛撫が俺の理性を砕く。
気持ちいいという感覚で頭がいっぱいになって、他の一切が塗り潰されそうだ。だが、思考を止めるわけにはいかない。
(【媚霧】の効果か……っ!)
あれからだ。あれ以来、明らかに俺の感度が上昇した。俺の知らない能力。アスモデウスが長い年月をかけて築いてきた力。実力差というものが如実に表れている。
「ほら、我慢は体に毒だよ♥イっちゃえ♥」
「ああああ!」
その時、俺は能力の覚醒を自覚した。
必要に応じて、スキルが顕現したのだという事を理解した。アスモデウスと俺の間にある決定的な実力差を打ち消すための能力。
「はぁ――【感覚共有】!」
「なっ!? ひゃあああんん!?」
この土壇場で覚醒したスキル。
それは自身と対象の感覚を共有するスキルだった。それも、絶対量ではなく相対量での共有である。
例えば敏感な人が快楽値10で絶頂するうち9の快楽を受けていたとする。その人が快楽値100で絶頂する感じにくい人と感覚を共有すると90の快楽を受けるというものだ。
使い方は、直感で理解した。
そして、この能力であれば実力差を大きく埋められることもな。
「我慢は体に毒って言ったな、アスモデウス。そうさせてもらうよ!」
「ひゃあぁん♥待って♥やめっ♥」
「待たないし、やめない」
「ひっぐぅぅぅ♥♥」
俺はアスモデウスのおっぱいをいじくり回した。打てば響くところまで快楽の限界が押し寄せていることは俺自身が一番知っている。
イクときは一緒にだ。
「んにゃあああぁぁぁあ♥♥イッグゥゥゥ♥」
「くっ、ふ……射精る!!」
アスモデウスが潮を吹くのと、俺が白濁液をこぼすのは同時だった。それ自体は、今までも何度となく経験してきたからわかる。だが、その後の多幸感を俺は知らなかった。
「お、おお?」
深い絶頂の後、快感が残るというやつだろうか。
射精した後とは思えないほどじっくりと、快感はなかなかに引いてくれない。感覚共有によって得られた新体験だった。
「くっふぅ……やってくれたね奏夜」
「それは、お互い様だろ」
しばらくして、互いに落ち着いて、そんな言葉を交わした。アスモデウスは観念したというように【媚霧】を解除した。俺は俺で【感覚共有】を解除する。
「ふぅ、いや、まいったねぇ。奏夜、君は一体どうすれば堕ちてくれるんだい?」
「さぁな……個人的にはとっくに落ちててもおかしくないと思ってるんだけどな」
「でも、堕ちないんだよね……はぁ」
アスモデウスがため息をついた。決して長くはない、むしろ短いくらいのそれには悲しいとか呆れとかの感情ではなく、怠惰のそれが多分に含まれていた。
「こんなに楽しいのはこの世に生を受けて初めてだよ? 初めてなんだけどさぁ……、私はこの後下克上を果たさないといけないんだよね。永遠にも思われた悲願なんだよ。だからさ、【早く堕ちてよ】」
「断る」
「……え?」
アスモデウスが【催眠】を使ったのだと理解した。
だが、それは事前に知っていたスキルであるし、当然対策は立ててある。
「なん、で。どうして催眠を拒める……?」
「なあアスモデウス。自己暗示って知ってるか? 知らなくてもいいんだけどな。要するに、鏡に向かって俺自身に既に催眠をかけてきた。『アスモデウスが催眠を掛けようとしたら焦点を外せ』とな」
「な……っ!?」
【催眠】は確かに強力だが、弱点もある。それは互いに目を合わせていなければ作用しないこと。催眠を掛けられると予期したならば、目を逸らしてしまえば催眠に掛かることはない。
「それよりもだ、アスモデウス。つれないこと言うなよな? お前にとっては大事の前の小事でも、俺にとってはボス戦なんだ。【もっと気持ち良くなってくれよ】」
「は……? あっぎっぃ!? お♥あ……っ♥ あああああああ!?」
逆に、催眠を掛けてやった。ベッドの上でよがり狂うアスモデウスに馬乗りになり、続けざまに能力を行使する。糸切り歯で腹を割かれた親指を、アスモデウスの額に押し付ける。
「待♥やめっ♥」
「まぁまぁ。日頃の感謝だって。遠慮せずに受け取ってくれよ。【30分間の絶頂を禁止する。罰則は、心の譲渡】」
「あ、ぐっそれは、ズルいぃぃぃぃぃ♥♥」
「おっと、【制約を果たすまでの能力行使を禁ず】」
「あっ……♥かっは♥」
絶頂の禁止は【制約】の能力、能力は【催眠】を駆使して禁止させた。俺の能力がアスモデウスに通じるか、半ば賭けであった。だからこそ、その前に『もっと気持ち良くなれ』という催眠に掛かるかを確認した。
結果は上々。俺自身が悪魔に近づいたからなのか、それとももともと通じたのか、それは分からないが、能力はきちんとアスモデウスに通じた。
一転攻勢だ。ついでなので、ステータス改竄によってアスモデウスの身体能力を下げておく。
「やっ、待って♥今催眠で敏感になっちゃってるからっ♥」
「当たり前だろ? 俺がそう仕組んだんだから」
「あっぎぃっぃぃぃ!? くっ♥あんっ♥やっ♥めぇぇぇ♥♥」
アスモデウスの全身をまさぐる。
舌で、唾液でアスモデウスの四肢を貪りながら、空いた両手で愛撫でをする。この閉口作業にも随分慣れたものだ。アスモデウスは色欲の悪魔どころか、無垢なる乙女のように恥じらって快感に抗っている。
「ら、めぇぇぇ♥私はぁ♥ソロモンを殺しゃないとぉぉ♥」
「アスモデウス、今だけは俺だけを見て」
「っ♥♥んにゃぁぁああぁぁ♥それやめっ♥胸がキュンってすりゅ♥奏夜に恋しちゃうぅぅ♥♥」
「お前を離さない」
「~~~~っ♥♥♥♥」
アスモデウスはビクンビクンしながらも、声を殺して快楽に抗った。シーツを歯でギュッと噛み締め、声が出ないように、俺の顔を見ないようにと必死だ。
必死なので、差し出された尻を両手でもみもみする。彼女の臀部は、羽毛布団より柔らかかった。
「ひっぐぃ♥待っ♥♥だめっ♥イっちゃう♥イっちゃうからやめてぇぇ♥」
「イっちゃえよ。大丈夫。一回くらいイったって、お前なら催眠に打ち勝てるさ」
「ひぐぅぃぃぃ♥一回♥一回らけぇ……♥」
息も絶え絶えと言った様子のアスモデウス。能力を封じられ、無力な雌になった彼女だったが、くすくすと笑うとそれを拒否した。
「ははっ、悪魔の囁きを聞いたのは初めてだよ……でも、残念だったね♥あっ♥私は奏夜をもう侮らないし♥悪魔の甘言には惑わされないぃ♥」
私自身が悪魔だからね。
そう言うアスモデウス。
「おいおい、俺は人間だぜ?」
「どの、口がぁ♥」
アスモデウスの首に手を回し、口づけを交わす。
甘く、蕩けるようなキスだ。そして、もう一方の手では彼女の秘所をまさぐる。アスモデウスが気持ちよさそうに、あるいは快楽から逃れようとして腰をカクカクさせる。
「ほら、何だったっけ? 『我慢は体に毒』なんじゃないのか?」
「あんっ♥ら、めぇぇぇ♥まだ、私にはぁぁぁ♥やらなきゃいけないことがありゅぅぅぅ♥♥」
「うんうん。早くイこうねー」
「あひっ♥あっ♥あっ♥ちがっ♥私のにゃすべきはぁぁぁ♥♥」
アスモデウスの声色に、余裕なんてどこにもない。催眠の効果もあるのだから、今すぐにイったっておかしくはない。だというのにアスモデウスはイかない。理性を保っている。これが人間と、色欲の悪魔の違いだろうか。快楽に耐性があるのかもしれない。
まあ、彼女を堕とす術はいくつか用意してある。
催眠を重ね掛けするもよし、ステータスや記憶を改竄するもよし、制約に絶頂の我慢を追加するのもよしだ。アスモデウスに開花させてもらった才能を以て彼女を幸せにする。この上ない恩返しだ。
だが、まだその手は使わない。
これらを使えば簡単に堕とせるかもしれないが、出来るならば彼女自身に堕落してもらいたいものだ。可能な限り素に近い彼女が俺を求める。そんな状況を俺は待ち望んでいるのだ。
それでも、色欲の悪魔としてのプライドだろうか。
アスモデウスはなかなか絶頂しなかった。約束の30分まで、もうあと3分もない。
「くっふぅ……♥みくびったわねぇ奏夜……♥30分じゃあとても足りなかったでしょう♥♥覚悟しなさい♥30分が過ぎてぇ♥私の能力が解禁された時が最期よぉ♥♥」
「確かにな……じゃあ【時間停止】だな」
「……ぇ?」
俺にはあって、アスモデウスに無い力――【時間停止】。この閉じた能力の世界では、3分後の世界は永遠にやってこない。
「当たり前だよなぁ? さて、アスモデウス。聡明なお前なら分かるだろう?」
「……あ、あは、あはは!」
アスモデウスは嗤う。狂ったように。
否、もう狂っていたのだろう。内に秘めたる狂気を、強靭な信念によって押さえつけていただけで。だが、その信念も、無間地獄の前では所詮無力だ。
彼女はあと3分間イってはならない。
3分後は永遠にやってこない。
三段論法から、彼女は永遠にイってはいけない。
だが、彼女の体は今、催眠によって感度マシマシ淫乱マックス。この27分を耐えたのは流石だ。だがそれが後1日、1週間、1年と耐え続けないとなればどうだろう。確実にどこかで限界が訪れる。
だからこそ彼女は笑った。
絶望の淵に瀕して彼女は笑った。
「この、悪魔め」
色の無い瞳から涙をこぼすアスモデウス。
そんな彼女に俺は情欲を覚えてこう言った。
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