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27話 卯月立花えっち

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 例えばだ。
 仕事を終えて、大好きな恋人の待つ家に帰る。そこでその恋人と、自分の後輩がえっちしている場面に出くわしたとしたら、どんな行動に出るだろう。

「え、に、新里さんと……唯ちゃん……? え、なんで」
「はーいそこまでね。【大好きな後輩が一緒で嬉しい】よね」
「……はい」

 まあ当然困惑するよな。
 もっとももともと、卯月とはあくまでセフレだ。それでもやはり、自分の家を自分以外の男女が愛の巣にするのは抵抗があるだろう。人によっては掲示板に相談レベルだ。

 だから、【催眠】で塗り替える。
 嫌悪感の根源は立花唯という不純物が混入している点だ。そこに対する認識を挿げ替えてやるだけで、トッピングが一品増えたと思わせるだけで、不快感は幸福感に変換されるだろう。
 今日も一日一善を達成してしまったぜ。

「えへへぇ、せんぱぁい」
「わわっ、ゆ、唯ちゃん!?」
「うへへぇ、センパイのお肌やわらかぁい。センパイの香りがしますぅ♥」
「んあっ、だ、だめ……唯ちゃん!」

 催眠で出来た一瞬の虚。
 立花がそこを突いて、卯月に寄りかかった。その綺麗な指を卯月の首筋に這わせると、悪い顔をする。顔を肌に埋めるように近づけて、くんかくんかと鼻を利かす。既に出来上がっている彼女はそれだけで幸せそうだ。

 対する卯月は少し困惑のよう。
 それも当然であろう。バイト先の後輩に、それも同性に攻め寄られているのに、湧いて出る感情は喜びと来た。今までの自己認識と今現在の知覚の差異に違和感を抱かずにはいられない。
 その違和感は、催眠の糧になるわけだが。

「せんぱぁい、キスしたいですぅ」
「えぇっ!? そ、そんな……女の子同士だし……」
「先輩はわたしとキスしたくないですかぁ?」
「だって……あっ♥ち、ちがっ」

 催眠は認識の齟齬を、都合がいい方に改竄する。
 本来の自分と替えられた自分で違和感を感じる度に、本来の自分の定義を順次改竄していくのだ。自分はノーマルだという認識と、後輩に攻め寄られて嬉しいと感じる自分。正しいのは後者だと誤認するように出来ている。

 事実。
 卯月は終始、立花から顔を背けている。だが背けているだけで、時間経過とともに視線がちらちらと立花の方を向くようになってきている。好意の先として認識し始めているのだ。

「それじゃあ確認してみましょう! もし先輩の本心がキスをしたくないなら、キスをしたら不快な気持ちになるはずです!」
「うぅ……不快にならなかったら……?」
「その時は先輩も、私を好きってことですよね! いきますよ、んっ♥」
「あ、唯ちゃん待っ……んんっ!? んうっ♥」

 本来がどうだったかは知らない。
 ただ、今の彼女は、唯がいるだけで幸せなのだ。それは覆しようのない真実。作り上げられた心理。嫌がったのは、最初の一瞬だけで、次の一コマには嬉しそうな顔が映っている。

「んあぁ……」
「せんぱぁい、嫌でしたかぁ?」
「……ヤじゃない」
「あはぁ♥」

 その一言が皮切りだった。
 おそらく、彼女の中の大好きという認識に修正が掛かったのだろう。もともと俺は、後輩として好きなのか、性的に好きなのかは明示しなかった。彼女の困惑は、その曖昧性に対する処理落ちと言っても構わない。

 二人の唇が、また交叉する。
 ぷっくらした唇の赤が、頬に耳に伝播する。時折、酸素を求める音が荒い息となって零れ落ちる。親鳥がひな鳥にエサを与えるよう。どちらが親でどちらが雛かは知らないが、互いに腹をすかせた雛のように、母性本能に従う親鳥のように何度も結ぶ。

「んあっ♥んふぅ……んんっ♥んっ、ちゅぱっ」
「んふふっ、せんぱぁい♥」
「うにゅぅ」

 さて、と。
 幸せそうな二人を見ているのもなかなかに乙ではあるが、そろそろ俺も混ぜてもらおう。もとはと言えば卯月とセックスするためにここに来たわけだしな。
 卯月に抱き着いている立花に抱き着き、首筋を舐める。

「立花、ずいぶん楽しそうだな」
「ひゃぁっ♥に、新里さん♥んあっ♥そこきもちいぃっ♥」
「あぁ……唯ちゃんずるいっ」
「えへへぇ♥♥」

 すっかり快楽の虜に落ちた立花だ。
 首筋を舌が這うだけでも快楽を覚えているらしい。身をよじらせ、ゾクゾクを体で表現する。それを見て嫉妬を覚えたのは卯月。俺は気付いているが、知らない振りをして構わず立花の体を貪る。
 首筋から肩甲骨を通って脇の下。お下りなれば左側。横っ腹を経由して、彼女の敏感肌を優しくなぞる。ときおり出向く、自衛のための立花の御手。それを外しつつ舌を這わせると、彼女はみをくねくねさせる。男の本能をくすぐる演舞のようだ。

「わ、わたしもっ、新里さんっ!」

 俺の視線を奪う様に、卯月が行動に出る。
 この空間で、彼女だけが有している唯一のアドバンテージ、着衣。彼女は決してそれを失うような愚行、すぐに服を脱ぐという行為には踊り出さなかった。最大限、そのメリットを生かす。

 彼女がスカートを、たくし上げる。
 あと数センチ、ただ数センチ。それだけでパンツが見えてしまう、そんなポジションで停止させた。はっと彼女の顔を見れば、俺の視線を奪えたことにご満悦の様子で、したり顔を浮かべている。えっちだ。

「新里さん、ずるいじゃないですかぁ……。私、今日の為に一週間お待ちしておりましたのですよ……? 新里さんは、どうですか? ほら、あとほんの少しでおパンツが見えちゃいますよ?」

 花魁の風格。
 言葉にすれば、そんなところだろうか。こちらの欲望を見透かすような、深い瞳と気高い笑み。二つをもってして、俺を手玉に取ろうとしている。
 乗った。

「ちぃっ、もう一度上下関係を叩き込んでやる。二度とそんな挑発的な行動をとれないほどにな!」
「あっ♥あっ♥やぁんっ♥新里さんのえっち♥」
「ならそれで喜んでるお前はいったいなんだ?」
「あんっ♥変態ですぅ♥新里さんにぃ、パンツの上からおまんこ触られるだけで喜んじゃう変態ですぅ♥こんな変態にご寵愛をぉ♥♥」

 スカートを捲る。
 パンツは割れ目に食い込んでいた。くっきり浮かび上がった筋に沿って、指を這わす。すこし、湿った部分が出てきたと思えば、みるみるうちに全体が水気を帯びていく。

「あっ♥あっ♥新里さん♥新里さんっ♥♥」
「んーなんだ? よっと」
「ふぉっ!? ひっぎぃぃぃっ♥♥にゃぁぁぁ♥」

 パンツを上に引っ張る。
 突然の刺激に驚いた後、彼女はぶしゃぁぁと潮を吹いた。布でこされて勢いを失って、ぽたぽたと床に落ちる。彼女が立っていられなくなって、膝をついた時には、小さな水たまりができていた。重力に従って落ち着いたスカートが、裾から吸水していく。

「あひっ♥こんなの勝てるわけないぃ♥♥本能が屈服したがっちゃってりゅぅ♥♥」
「分かったら服脱げ。立花ともども可愛がってやるよ」
「うへへぇ♥新里さぁん♥」

 ということで、彼女のベッドに立花と一緒に上がる。
 ……強度大丈夫だろうか。

「あんっ♥新里さんっ」
「ちょっ、卯月!?」
「あはぁ♥新里さん♥♥早くぅ♥♥」

 俺はその日、ルパンダイブを見た。
 おかしい、ついさっきまで彼女は衣装を着ていたはずだ。だというのに次の瞬間には彼女は裸体になっていて、ベッドに飛び込んでいる。

「おま、どうやって着替えた!?」
「やぁん♥早着替えなんて、ウェイトレスの必須科目ですぅ♥♥」
「早着替えなんてレベルじゃなかったよな?」

 まあいい、一つ分かったことがある。
 このベッドは頑丈だ。二人分の負荷がかかっているところに人が飛び込んでもびくともしなかった。まさに縁の下の力持ちだ。八百万の神に感謝します。

「うへへぇ♥新里さんのおちんちん♥♥」
「あ! 唯ちゃん抜け駆けはダメだよぅ!」
「でしたらぁ♥先輩もご一緒に」
「当然だよっ!」

 ぺろぺろ、と。
 俺のちんぽを境界線に、美女二人の顔が立ち並んでいる。えっちだし、綺麗だ。凄い、凄いんだけど、あれだな。自分の陰茎が汚物過ぎて画面から外したくなるな。いや、逆か? 自分というどす黒い欲望で、綺麗なものを塗りつぶす。それこそが絶対の快感なのではないだろうか?

「ちゅぱっ♥んっ、ぺろ、ぺろ♥♥」
「んふぅ……ちゅっ♥ん、ちゅっちゅ♥♥」

 いいや、どうでも。
 今はこの幸せを噛み締めよう。美少女二人が俺の為に献身的になってくれてるんだ。それ以外どうだってよく思えてくるだろう?

 ちんぽが輝く、唾液に塗れて。
 潤滑油です。そう主張する唾液は間違いなく採用されるだろう。一際輝く存在だったからな、採用担当の人も光るものを見出すに違いない。

「あむっ……♥ぢゅ……ぢゅ、んふぅ……♥♥」
「あーんっ♥ぢゅっ、ぢゅぢゅ♥んふっ♥んぢゅっ♥」

 かぷりと咥える彼女たち。
 彼女らがコーティングした唾液が、自転車に打ち上げられた水たまりのように飛沫を上げる。彼女らの顔を汚していく。あるいは還元しているだけなのだが、ぬらりと輝く表情は、それだけで心動かされる。

「あ、射精そう」
「あはぁ♥まってましたっ♥♥」
「新里さぁん♥卑しい変態にお恵みをっ♥♥」
「うっ、射精る!」

 どぴゅっ、どぴゅっと。
 白い花火が打ち上げられた。暗幕のような彼女らの髪にへばりついたそれは、さながら夜に浮かぶ白い雲。幻想的で神秘的な空間と言っても差し支えないだろう。

「あはっ♥♥まだこんなに出るんだ♥すっごい♥」
「んはぁ♥新里さんのせーし♥うれしっ♥」

 自分の顔や髪、肌にかかった精液を、丁寧に掬っては口に運ぶ彼女たち。お客様を迎え入れるが如く、真心こめて腹内へ納めまする。五臓六腑が健やかになりて、薫風来たるは喉より。そんな表情をしている。

「さて、俺のちんぽは一つしかないけど、どっちから入れようかなー?」
「あんっ♥新里さぁん……♥もう、奥が疼いちゃって仕方ないのぉ……♥新里さんのおちんちんで、私の膣内かき混ぜて欲しいのぉ♥」
「って言ってるけど、立花ちゃんは?」
「私は先にいただいてますからね♥先輩を優先してあげてください♥センパイのおねだりなんていうお宝シーンもいただけましたし、ぐへへぇ♥」

 なるほど、一理ある。
 それなら先に卯月から頂くとしよう。抱き寄せて、腰を掴んで狙いを定める。割れ目にちんぽが触れると、それだけで再び立ち上がった。何度射精したかなんて関係ない。求める声がある限り答え続ける。それが漢ってもんだろう。

「あっあっ♥新里さんのおちんちんっ♥」
「入れるぞ、卯月」
「あっ♥お、お願いしますぅ♥♥この熱を解き放ってほしいのぉ♥♥」
「おーけー、任せろ」

 お互い準備は万全だった。
 愛液に満ちたまんこ、唾液に塗れたちんぽ。磁石のN極とS極のように、二つが惹かれ合う。引力が二人を結びつける。

「んあぁぁぁっ♥♥こっれぇ♥これだけが私の生き甲斐なのぉ♥♥んんっ♥あっ♥あっ♥しょこ♥しょここすられりゅのしゅきぃぃぃっ♥♥」
「へぇ、じゃあこっちは?」
「あんっ♥あっ♥あっ♥しゅきっ♥どっちもきもちいぃっ♥もっろ、もっろぉ♥カイカンを教えて欲しぃのぉぉぉっ♥♥」

 ぬっぷぬっぷ。
 俺が動かしていたはずの腰は、いつの間にか彼女も動かしている。くねくねと動かすからだに、吸い込まれるかのようだ。いや、既に飲み込まれてるんだけどね。

「既に破顔一笑しておきながらこれ以上の幸福を求めるか、欲張りさんめ」
「んあぁぁぁっ♥♥ごめんなさいっ♥貪欲な淫乱女でごめんなさいぃぃっ♥♥」
「ほら、お仕置きだ。喰らえっ」
「あっ♥あんっ♥もうしわけごじゃいましぇぇん♥♥もっと深く躾けて下しゃいぃ♥心の奥底まであなた色に染めて欲しいのぉ♥♥」

 ぱんっぱんっ。
 ペースを上げる。音色も変わる。抱き寄せる彼女の滑らかな肌が触れる度に、心地よい感覚が全身を包んでいく。柔らかい乳房がむにゅっと押し付けられる。声援を受けたちんぽが一皮剥ける。雄々しいそれが彼女の膣内を東奔西走駆け巡る。

 ごりっごりっ。
 あるいは凶器なマジカルチンポ。だがそれが与えるのは一方的な快楽のみだ。イキ狂う。無間地獄、いや、無限極楽を顕現させる。

「あっ♥ぐっ♥んあぁぁぁっ♥♥もうらめぇ♥イク、イっちゃうぅ♥おねがいぃ♥はやくキてぇ♥♥」
「まったく、しょうがない甘えん坊さんだな」
「はひぃぃぃっ♥卑しくおねだりする事しか能のない私にぃ♥どうかご寵愛をっ♥お恵みをぉぉ♥♥」
「おら、射精すぞ! 一緒にイけ!」

 どぴゅるるるっ、どぴゅるるるっ。
 俺の精液が彼女の子宮に注入される。その一方で、彼女も同様にガチ恋汁を噴出する。

「あっ♥あっ♥イグイグイグゥゥ♥♥いっしょにイ゛グの゛ぉぉぉっ♥♥ん゛ぎひぃぃぃぃっ♥♥イックゥ――っ♥♥♥♥」

 満たされていく。
 俺は今、こいつらを支配しているのだ。そんな幸福感が、俺を包んでいく。

「新里さんっ♥ツギはわたしとですよっ♥♥」

 そう言って、俺を抱き寄せたのは立花。
 抜け落ちていく。満たされつつあった支配欲が、カラカラに渇いていく。どうやらこの欲望は、どこまで行っても満たされることはないのかもしれない。

「あたりまえだ。全身余すことなく俺色に染めてやるから覚悟しておけ」
「あぁ♥ステキ♥♥」

 結局、めちゃくちゃセックスした。

 なんどでも、なんどでも。
 それこそ月が空高く上るまで。ずっと。
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