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3話 小野寺と催眠えっち:同級生

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「【可能な限り俺を見て】」

 それだけ。
 実に単純な命令だ。
 俺は再び席に着く。
 さて、どう転ぶかな。


 古い記憶だ。
 私、小野寺おのでら琴葉ことはは、真っ赤に燃える空を覚えている。父の実家に、顔を出した時の事だ。水の張った田んぼに広がる夕焼け空を、私はきっと忘れないだろう。

 そんな、幻想的な情景に惹かれてからというもの、私は夕日が大好きになった。中でも、秋に見る夕景は本当に至高だ。郷愁のような、ほんのりと切ない何かを届けてくれる。

 最近のお気に入りは、この教室から覗く暮れ方。校門に続くアスファルトの中心に沈んで行くのが、もののあはれだ。
 そうして、毎日のように暮れ残るまで眺めていたら、面白いことに気が付いた。毎日、同じ時間に下校する生徒がいたのである。授業が終わってすぐ、あるいは戸締りギリギリまで残っていて、それで同じ時間に帰るのなら分かる。でも彼は、そのどちらでもなく、ちょうど夕日がきれいな時間に帰るのだ。
 面白い偶然だな、くらいに思っていた私だけれど、ある曇りの日に気付いた。雲が広がっていなければ夕日がきれいな時間なのに、その生徒を見かけなかったのである。そんな事が何度か続いて、気付いた。

(あぁ、この人も、夕景がすきなんだ)

 それに気づいてから、彼が帰るのを見届けるのが私のささやかな幸せになった。夕日が好きというだけで、単純だと私も思った。
 でもさ、共通の趣味を持つ相手って言ったら、ほんのちょっぴりロマンティックじゃない?

 そういうわけなので、私は今日もこの教室で夕日を待つ。いつものように級友たちはまばらに帰路につき、いつもどおり私は本を読む。
 でも、この日だけは。
 ――いつもと違うことが起きた。

「小野寺さん」

 ふと声を掛けられ、本の世界から意識を引っ張り出された。目の前にはクラスメイトの男子が立っている。名前は確か、新里にいさと奏夜そうや。あまり、ううん。ぜんぜん接点のない人だ。

「【――】」

 この時間帯までいるなんて珍しいな、なんて思っていると、彼が口を開いた。なんて言ってたっけ。聞き返そうと思ったけど、私の口から出た言葉は「分かった」の一言だった。あれ、私、何を頼まれたんだっけ?

 彼はその後また自分の席に戻っていった。何だったんだろう。気になるな。彼が席に着いても、小説に向き直るでもなく彼を見続けた。彼はそのまま机に突っ伏して寝てしまった。大丈夫かな。大丈夫だね。まだ戸締りまで時間あるし。

 ……なぜだろう。彼から目が離せない。
 ずっと彼の事を見ている。

(頼みごとが何だったか気になってる……?)

 ううん。そんなことは無い。いや、気にならなくはないけれど、わざわざ聞き直そうとは思わない。なら、どうしてこんなにも彼を見てしまうのだろう……。
 そうしてどれだけ、彼を見ていただろう。

「おーい、そろそろ閉めるぞ」
「えっ!?」

 気が付けば、戸締りの先生が教室に来ていた。どうして? まだ夕日も見てないのに。そう思い、窓の外を見て、ようやく私は気づいた。
 外にはもう、夜の帳が広がっている。

(え……、嘘……。見過ごした? 私が、夕焼け空を?)

 空が目に入っていなかったなら、まだ分かる。
 けれど窓にカーテンが広がってるわけではなく、あの胸を打つ陽の差し込みを、心ゆさぶる神秘な斜陽を、見逃すなんて?

「おい、寝てるのか? 戸締りの時間だぞ」
「うぃす、起きてるんで大丈夫っす。すぐ帰ります」
「あ、ま、待って。私も」

 急いでカバンを手に取って、彼と一緒に教室を出た。
 あれ? 一緒に帰る必要、あったかな?
 ううん。そうしないと彼を見れないもんね。
 当然のことだよね。
 ……あれ?

 何か引っかかったような気がするけれど、彼が帰っちゃいそうだったので急いで追いかけた。
 あの違和感は、何だったんだろう。

(どうしちゃったんだろ、私)

 大好きな夕焼け空を見逃したのは、彼を見ていたからだ。
 気づかないほど夢中で彼を見ていたからだ。
 だとするならば、そうだというのならば。

(もしかして、彼のこと、夕日より好きなのかな?)

 そんなことを考えてしまうと、もう彼の顔を見れっこなかった。


 下校時刻になって、小野寺と俺は帰路についていた。催眠は概ね予想通り、いや、期待以上の効果を見せてくれている。ただ一つの想定外を除いて。
 小野寺の視線を背中に感じ、振り返る。小野寺は、ばっと明後日の方向を向いた。なんでだ?

(おいアスモデウス。【催眠】ってもしかして永続的な効果じゃないのか?)
「いいや? 術者が解かない限り半永久的に続くよ?」
(だったらどうして小野寺は顔を逸らすんだ?)
「あはは、奏夜が言ったんじゃん。『可能な限り』ってね。奏夜の顔を見れない理由があるんでしょ」

 なんだそれ。顔を見れない理由ってなんだ?
 ……はっ! まさか!

(おいアスモデウス。もしかして小野寺は俺に惚れたのか?)
「あはは、ようやく気付いた? そう、面白いほど催眠の効果を受けて君への好感度が爆上げよ」
(マジで?)
「そりゃもう大マジよ」

 マジで?
 ただ俺を見ろと言っただけなのに?
 ……いやいや待て待て。落ち着いて考えろ。
 今は何らかの何らかの勘違いで好感度が上がってるだけなんじゃないか? 明日には冷静になって「昨日の私どうかしてたんだ」ってなっている可能性もあるんじゃないか?
 となると、俺のとるべき行動は一つ!

「小野寺、お前家どっち?」
「ふぇっ!?」
「送ってくよ。もう時間も遅いしさ」

 今日中に小野寺を堕とす。それしかない。
 だから正確に言うとこれは送って行くではない。ついて行くだ。……なぜいま告白しないのか? そんな勇気があればこの年まで童貞こじらせていません。チキンの心理をわかってくれ。

「いや! そんな悪いよ!」
「気にすんなって。俺の家、門限とかないし」
「でも、そんな」

 小野寺はしばらくまごついた後、こくりと顔を伏せて呟いた。

「……じゃ、じゃあ。んっ、お願いしてもいいかな?」

 小野寺が俺の顔を見てないもんだから、俺はぺろりと舌を這わせた。

「もちろん」
「こ、ここ、こ、こっちれす!」

 おおっ!? 小野寺が俺の腕を引っ張って小走りになった。
 マジか! おいマジか!
 なんか青春っぽい事してんぞ! 俺が!

 夜の街を走る走る。駅からは遠ざかるが、小野寺を堕とすためだ。安いもんだろ。
 街灯を頼りに駆ける駆ける。夜風が気持ちいい。
 しばらくして、小野寺と書かれた表札のある家の前で彼女は足を止めた。どうやら到着らしい。

 あ、やべ。
 この後の展開何も考えてないぞ。

「あ、あの。新里くん、だったよね? 今日はありがとう」
「お、おう、気にすんなって」

 やっべ。
 何テンション上がって小走りしちゃってんの? 帰り道で徐々にいい雰囲気にして、保険をかけた上で告白するつもりだったのに。何やってんだよ、俺。
 くそ、力を得ても俺は俺なのか。

「そ、それでね!」
「……あぁ」
「もし、もし時間があったらなんだけどさ」

 ふと、小野寺と向き合っていることに気付いた。
 あ、あれ? 恥ずかしくてこっち見れなかったんじゃないの?
 恋の魔法解けたの? レジストされたの?
 戸惑う俺に、聞こえてきたのはずいぶん耳ざわりのいい言葉。

「うち、寄ってく……?」

 そんなこと、小野寺が上気した顔で言うものだから。
 俺は二つ返事で頷いた。


 小野寺の家にお邪魔した俺は、二階の一室に通された。
 ベッドと机と、小物とぬいぐるみ。タンスに鏡にエトセトラ。
 ももいろを基調にした、整理整頓のいき届いた部屋だった。

 あれ? 小野寺着替えないの?
 小野寺はこれから制服を脱ぐんじゃないのか?
 ここは小野寺の部屋じゃないのか?
 それとも女子はそうでもないのか?

 俺がわたわたしていると、小野寺が俺の胸に顔をうずめてきた。

「新里くん……、わたし、今日ヘンなの。放課後から、ずっと新里くんから目が離せなくって」
「お、おう」

 俺も小野寺から目が離せねぇよ。
 小野寺の手が、俺の手に触れる。
 絹のようにすべすべだ。

「新里くん、聞こえる? 私の心音。新里くんと一緒にいるだけでドキドキが止まらないの」
「お、俺も。小野寺と一緒にいると、どきどきする」
「ほんとっ!?」

 小野寺が俺の手を取り、小野寺の心臓に導いてくれた。その手前には当然柔らかいものがあるわけででしてねぇ。えっと、その、はい。控えめに言って最高でした。おっぱい。
 それを遠回しに告げると、小野寺は俺を引っ張ってベッドに引き込む。俺はベッドに倒れ込んだ彼女に覆いかぶさる。

「ねぇ、新里くん。今日、両親とも帰ってこないの。新里くんさえよかったら、え、えっちしない……?」
「!?」
「ご、ごめん! 今日知り合ったばっかみたいなのに、何言ってるんだろ! 忘れて!」
「ごめん無理!」

 小野寺に覆いかぶさった。それはもう獣のように襲い掛かった。両手で彼女の顔を挟み、唇を奪う。アスモデウスにされた時の事を思い出しながら、小野寺の口内を蹂躙してやった。

「んっ♥ふわぁ♥」

 伸ばした舌に、彼女が応えてくれる。俺たちは何度も互いを貪り合った。しばらくして、自然な形で唇が離れる。彼女の顔が網膜に映ると、キスだけだというのに、既にとろけ切っていた。

「おねがい♥新里くん♥体がうずいて仕方ないの♥」
「小野寺……いいんだな」

 小野寺が、こくんと頷いた。
 もう、限界だった。
 限界だったけど。
 ……さて、困った。

 知っての通り、俺は女性経験と言う物がない。
 対象を人間に絞るだけで絶無になってしまうほどだ。
 ゆえに、なんだが。

(……やっべ。スカートの脱がし方わかんね)

 「小野寺……いいんだな」じゃねえよ! 明日も学校だぞ? 着衣セックスなんてできるわけないだろ。おいおいどうすんだよこれ。
 分からん。けど多分上なら脱がせそうな気がする。制服のボタンを外し、ベストのボタンを外す。一度小野寺を座らせて上着を脱がしてやった。最後にブラウスをひん剥けば前半パートは達成したといっても過言ではない。脱がせた後はまた寝かした。

 ……やべぇな。何がヤバいって、こうしてる間にも小野寺が潤んだ目でこっちを見てくれてるのがヤバイ。シーツをぎゅっと握りしめて、不安と期待の入り混じった瞳でこっちを見つめてくれているんだ。それだけで怒張がマッハなわけ。ここまで来てスカートの脱がし方わからないとは言いたくない。一気に冷めるぞ。
 どうする――俺ッ。

「はぁ、スカートの横にファスナーがあるんだよ」
(ア、アスモデウス様っ……!)
「ふふん、崇めるといいよ」

 そうだった! 俺には最強のエロ神様が付いているんだった。いける、この戦、勝てるぞ!

 アスモデウスの言う通り、スカートの横部分を探る。汚名返上の為必死に探る。まさぐっている手に、それっぽいものが掛かった。これだ! 慎重に降ろしてやる。ホックもついていたのでそれも外してあげた。
 スカートを下ろそうとすると、彼女もそれを、腰を浮かせることで手伝ってくれた。続けざまにショーツも剥いてやる。白地に、ピンクの刺繍が入ったエロティックな下着だ。いや、下着なら何でもエロい気はするけど。
 ショーツは明らかに濡れていた。彼女の秘部からは愛液がトロトロとつたっている。
 えっちだ。

「おねがい♥キて♥」
「――まかせろッ!」

 俺自身もさっと服を脱ぎ捨てて、小野寺に情欲をぶつけた。
 先っちょと先っちょのライトキス。それだけで快感が押し寄せ、カウパーがとくとくと滴り落ちる。そのまま前進すると、ぬるりと亀頭が潜り込む。アスモデウスと経験していなければ、あっという間に達してしまっていただろう。多幸感が走り抜ける。

「あぁ、うっ♥あぁん♥」

 小野寺の嬌声が聞こえた。鼓膜から脳がとろけそうだ。

「ん゛あぁッ!? やっあ……っ♥」

 小野寺の声が、ちょっぴり苦痛に歪んだ。破瓜の痛みだと理解するのに一秒といらず、「あぁ、小野寺、処女だったんだな」と思ったが、今更俺の腰は止まらない。
 盛りのついた猫の様に突き動かす。

「あっ♥クる♥キちゃうぅぅぅぅ♥お出迎えする気まんまんにゃのバレちゃうぅっ♥」
「小野寺! すげぇおもてなしだ!」
「あぁ♥いらっしゃいましぇぇっ♥ずっと……、おまちしておりました♥」

 ずぶずぶと押し込む俺のちんぽを、けれど彼女はしっかりと受け止めてくれた。感動だ。一番奥までたどり着く頃には、俺のちんぽはすっかり彼女のまんこに収まってしまった。

「小野寺、動いてもいいか?」
「うん♥うん♥うごいてっ♥つ、突いてくだしゃいぃ♥♥新里くんのおちんちんれぇ♥わたしのおまんこぉ……突いてくりゃしゃい♥♥♥」

 許可を得たので、ゆっくりと抽挿を開始した。
 小野寺の膣はきつく、動かすたびに襞を抉っているような気がしてくる。その感想が正しいかは置いておき、小野寺はやはり苦しそうにしていた。だけど、少しずつ、彼女も腰を動かし始めてくれる。俺の動きに合わせて、彼女も動く。
 やがて二人の間にリズムが出来る。腰と腰が打ち付け合うときに、パンパンパンと、阿吽の呼吸でリズムを刻む。

「ひっやあぁあん♥奥っ♥奥までキちゃってるのぉぉっ♥きもちいいぃぃっ♥♥らめぇ♥らめにゃにょぉぉ♥」
「小野寺……好きだっ」
「にいしゃとくん♥わたしも、しゅき♥しゅきなの♥あっ♥はぁん゛っ♥らめらめらめぇ♥だいしゅきがとみゃらにゃいの゛ぉっ♥♥♥」

 彼女が乱れている。あの日、夕焼けに吸い込まれそうなくらいお淑やかだった彼女が、こんなにも乱れてくれている。脳みそが熱を帯びて焼き切れそうだ。

「小野寺! もう限界っ」
「うにゃあ゛ぁぁっ♥新里くん♥新里くん゛っ♥おちんちんから出りゅ、あかちゃん汁っ♥わたしに注いでぇ゛ぇぇっ♥」
「くっ、うぅ、射精るっ!?」
「ああぁん♥♥イく……っ♥イ゛っちゃうぅぅっ♥♥♥」

 締め付けられた空間で、息子が最後の雄叫びを上げるのが分かる。びゅるるッ、びゅるるッと白濁液が小野寺に襲い掛かる。

「ふにゃぁつ! あったかいみるく、キたぁぁぁぁぁっ♥」

 獣のように吼えるちんぽが、彼女の城を攻め落とす。多大な幸福感の中で見つけた彼女の顔は、快楽に飲まれて、やはり幸せそうだった。
 多少なり興奮が引いて、お熱が下がり、ふと気づく。

「お、小野寺? 膣内に射精しちまったけど、きょ、今日って」
「にい、さとくぅんっ♥らいじょうぶ、らよ♥♥安全日らから……心配しにゃいれ♥」

 小野寺の熱っぽい眼差しが、俺を捉えていた。
 あぁ、幸せが止まらない。
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