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夢の結晶 特別編 彼が白衣に着替えたら (最終話) 走れ三島華麗なる変身
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真っ黒なバイクは、風のように、高速を走り抜けた。「そろそろ、ヤバそうだ。」視線の先に、Nシステムを確認した僕は、ヘルメットのシールドをおろした。次の瞬間、ヘルメットの正面に、ドクロマークが光り、センサーの感知を、弾き返した。思った以上の効果だったな、高い買い物だけど、備えあれば憂いなしか。僕は、心の中で、一人呟くと、秘密のターボエンジンを出し、更にスピードを加速させた。名古屋のインターチェンジを下りて、南へ約15分行けば、名古屋大学病院が、見えるはず。僕は、オペの手順を、もう一度、頭の中で、シュミレーションした。その頃、航空自衛隊の新田純三は、部下の沖田恵美に、今回の出動要請の概要を話し、最期に「任務の遂行と、患者の無事の搬送を願う」その後、沖田は軽く一礼すると、装備を背負ってヘリコプターに乗り行く先を、もう一度確認した。名古屋大学の屋上のヘリポートで、医師の友部由美子をピックアップした後、事故現場の奥田医師を救出し、再び、名古屋大学病院の屋上のヘリポートに、着陸する。後は、名古屋大学病院の医療チームに患者を引き渡す。沖田は、救出の時に、最も重要な 降下用のワイヤーロープを、もう一度確認した。名古屋大学病院のヘリポートが、見え、手を振る白衣姿の医師が、確認できた。着陸し、ドアを開けると、病院のIDカードを手に「名古屋大学病院 医師 友部由美子 よろしく。」看護師一名を伴い、時間を惜しむように乗り込んだ。どれ位の沈黙が、続いただろうか。やがて、上空から警察車両の赤色灯が、無数に光って、みえた。「あの、救急車が横倒しになっている所の上空に」ドアを開ける前に沖田は、友部医師と看護師に、なるべく反対側のドア側へいるようにとだけ告げ、すぐに「降下準備よし、降下。」言うが、早いか、あっという間に、地上にたどり着き、要救助者の奥田医師に、近づき「航空自衛隊 沖田恵美 大丈夫ですか、これから救出致します。」合図の後、地上に下ろされたタンカに奥田を手早く乗せ、しっかり固定した事を確認すると、収容の合図を送った。祈るような気持ちで、地上から見上げ、収容完了の合図を受けると、下ろされたロープに、飛び付き、あっという間にヘリコプターの中へと入った。現場から少し離れ、安心した、その時、後ろで、大きな爆発音と火柱が、上がった。間一髪だったな。その場にいた、誰もが、思った。奥田医師は、思った以上に、出血が酷く、輸血を受けながらの搬送になった。そのうち、名古屋大学病院の屋上のヘリポートに、到着した、屋上の横には、医療チームが待機していた。患者は、慎重に下ろされ、検査室で、CTとMRI、血液検査が早急に、行われ、三島教授の待つ第三オペ室に、運ばれた。東照大学病院から名古屋大学病院の浜田學教授に、緊急オペの話しが、ついており、手術室や医師、看護師などの医療チームを貸していただける事となった。僕は、奥田の検査結果の全てに目を通し、麻酔科医の準備が、整ったのを確認して「これより、奥田透の頭部外傷手術を行います。よろしくお願いいたします。」その直後、僕の手に最初のメスが、渡された。頭を開頭してみると、出血も損傷も、それほど酷くはなかった、頭蓋骨の陥没骨折と、頭の他には、左足の骨折位で、あとは、無数の打撲位だった。あんなに、ひどく、アスファルトに、叩きつけられて、これだけとは、伊達に体を鍛えて、筋肉付けていなかった、運の良い奴だ。と思っていた、僕の目に、15センチ程の明らかに腫瘍と思われる塊を見つけるまでは。予想外の展開に、僕は、打ちのめされた。が、すぐに、組織の
一部を迅速診断に出した。結果は、悪性の腫瘍だった。場所的に、完全に取り除けるのか、微妙な所だった。「生食、用意して、あと、胎児用レーザーも、お願い。」僕は、腫瘍の根元に生食を打って、だいぶ盛り上げた後、胎児用レーザーで、慎重に腫瘍の根元を焼き切った。結果、腫瘍は全て摘出する事に成功した。奥田は、その後、ICUに移され、翌日には、意識がはっきりとして、会話もできるようになった。「みんな、大学教授という権力を持つと、誰もが、変わるが、三島、お前だけだな、変わらなかったのは、本当に欲というものに、無欲なんだな、お前は。これからも、患者さんの為に、変わらない三島でいろよ。」僕は黙って、奥田の手を握ると頷き「退院したら、懐石料理の旨い店で、一杯やろう」「そうだな、お前の教授就任のお祝いも、まだだったしな。」静かな満月の夜が、二人の門出を密かに、祝福していた。 Fin
一部を迅速診断に出した。結果は、悪性の腫瘍だった。場所的に、完全に取り除けるのか、微妙な所だった。「生食、用意して、あと、胎児用レーザーも、お願い。」僕は、腫瘍の根元に生食を打って、だいぶ盛り上げた後、胎児用レーザーで、慎重に腫瘍の根元を焼き切った。結果、腫瘍は全て摘出する事に成功した。奥田は、その後、ICUに移され、翌日には、意識がはっきりとして、会話もできるようになった。「みんな、大学教授という権力を持つと、誰もが、変わるが、三島、お前だけだな、変わらなかったのは、本当に欲というものに、無欲なんだな、お前は。これからも、患者さんの為に、変わらない三島でいろよ。」僕は黙って、奥田の手を握ると頷き「退院したら、懐石料理の旨い店で、一杯やろう」「そうだな、お前の教授就任のお祝いも、まだだったしな。」静かな満月の夜が、二人の門出を密かに、祝福していた。 Fin
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