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夢の結晶 特別編 彼が白衣に着替えたら 後編
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僕が教授に、就任してから、三ヶ月が過ぎたある日、聖愛医療センターの新センター長の真壁先生から、久しぶりに、連絡があった。先日、東京の青山医科大学病院から、紹介状を持参した、患者さんで、治療をしているのだけれど、あまり経過が良くない、本人が、最近、三島教授の噂を聞き、診察を希望している。引き受けて、頂けないだろうか。という内容だった。僕も、古巣のピンチを、何とか救ってあげたいとの思いで、この話を快諾する事にした。あとは、東京からこの病院までの移動方法か。ぼんやりと、考えていた頭の中に、民間の救急車を使ったらと、急に思いつき、先日もらった名刺の電話番号に電話してみた。運の良い事に、希望した日時を予約できた私は、真壁先生に、折り返しの連絡をして、正式に、大学病院への転院が、決まった。当日の患者さんの移動には、奥田が同乗して、容態を注意深く診てくれる事にも、心強さを、感じていた。早速、僕は、助教授の前田君に、転院希望の患者さんの移動の事を伝え、受け入れの準備をするように、話した。その二週間後、その当日になった。朝から、急患が、立て続けに入り、気がつくと、午後の一時近くになっていた。僕の応接室のテーブルには、井上君が、用意してくれていた、「竹善」の懐石弁当が置かれていた。僕が、美味しい味を堪能している所に、井上君が、温かいお茶を運んできた。そのお茶を、一口啜ると「井上君、この懐石弁当、すごく美味しいね。どこで、こんなに、美味しいお店が、あるの知ったの。」「実は、京都に引っ越しする前に、平井先生に、教えていただきました。三島先生は、そういう事には、無頓着だから、と、言って。他にも、綺麗な芸子さんのいる店や魅力的なホステスさんのいる店など。連れて行って、息抜きさせるようにと、言われております。」「僕は、綺麗な女性の店は、遠慮するよ。でも、この「竹善」の懐石弁当は、気に入ったな。ここは、お店で、懐石料理、食べられるの、昼食、時間が、あったら、お店でも食べたいな。女将さんを紹介してね。」「今度、ランチ、大丈夫か、聞いてみますね」「うん、頼むよ。こんなに、忙しいと、楽しみは、食事だけだもの。」何だか、久しぶりに、きちんとした昼飯を食べた気がする。井上君の、入れてくれた、温かい緑茶も、しばらくゆっくり飲む事もなかったなあと、食後のコーヒーを、飲みながら僕が、ぼんやり考えていた時、携帯電話が鳴った。見ると、非通知の番号だった。 不審に思いながらも、電話に出ると、名古屋警察からだった。今日、東京から患者を乗せて、移動中の民間救急車が、高速道路で、大型トレーラーに、突っ込まれる事故に遭い、救急車が、横倒しの状態になって、一名が、救急車の外に、投げ出され、意識不明の重体になった。という一報だった。僕は、その重体の一名の名前を聞いて、激しく動揺した。より、詳しい状態を聞くと、救急隊員の二名と、搬送中の患者さんは、怪我もなく、無事であり、すぐに、別の民間の救急車で、こちらの病院に、向かって、搬送を続けているという事で、そちらは、安心した。僕が、携帯電話を切ると、平井先生からすぐに、電話が来た。高速道路に、横倒しになった救急車の近くには、ガソリンが、漏れはじめて、投げ出された、奥田先生は、今だに、救出されていない、私の同期生に航空自衛隊の新田という、知人がいる、そいつに頼んで、ヘリコプターから、奥田を救出する事を頼んだ、その後、名古屋大学に、運んで、オペになる、必ず救出できるから、三島、お前に奥田のオペを頼みたいという、緊急の要請だった。僕は、電話を切ると、井上君に、今日の午後の予定を全てキャンセルするように伝え、ロッカーに行きバイクのヘルメットを、抱え、地下駐車場に全力で、走った。ヘルメットを被り、バイクに乗ると、地下駐車場の出口の守衛さんに白衣を放り投げ、「僕の忘れ物、ロッカーに入れておいて」ぽかんとした守衛が、目にした白衣の名札には、「東照大学病院 教授 三島裕次郎」「えっ、すると、い今のバイクの人は。。。きょ。。。教授 え~~~~」薄暗い、地下駐車場の奥の、そのまた奥まで、守衛の絶叫が、木霊した。
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