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夢の結晶 第1話
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気がつくと私は、泣いていた。何故なのか全く、理由は、わからないが、手に涙が落ちて、気づいた。相変わらず自分が、誰なのか、思い出せない。鏡に映る姿を、まるで見知らぬ人を見るように、ぼんやり見ていると、後ろに、白衣を着た男が、立っていた。髪の色は黒く、少し癖毛で、いつも後ろ髪が、はねていた。それが、知的な瞳と、対照的に、私の目には、好ましく映った。「窓の外を、見ましたか、綺麗な月です。」そう言って、彼は窓を開け放した。ゆっくりと、私は窓に、近づくと、外を見た。「もう少し、上の方だよ。」彼が、指差す方を見ると、丸く淡い光が見えた。あれが月というものらしい。美しい事だけは、わかったが。私は、後ろを振り返って聞いた。「あなたの名前を、教えて」「私の名前は、三島。」「あなたは、お医者さんなの。」「そうだよ。他に何か聞きたい事は、ない。」「沢山ありすぎて、何から聞いたらいいか、わからない。」「みんな、同じような事を、言うよ。焦らず、今日は、とりあえず、月を眺めてみよう、月の光は、人の心を癒す効果が、あるらしいから。」
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