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あわゆき 誠四郎の一分 第4話
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人々の中に、入っ行くと、二人の女子の、水死体が、あった。いつの間にか私の隣に来ていた、お絹さんに「あなた方には、酷すぎる。見ない方が、良い。」と言った、次の瞬間、「お雪ちゃん、お幸ちゃん。」そう言った時、相模屋の夫婦が、娘と女中の身元確認に現れ、二人の名前を叫び、号泣した。お絹の口から「どうして、お雪ちゃんが、もうすぐ祝言なのに。」私は、何も、掛ける言葉が見つからず、お絹さんの背中を、子供をあやす時のように、トントンと、軽く叩き、落ち着くのを待つしかなかった。ようやく、歩ける状態になった、お絹さんを、心配して、私は、今日も、家まで送ろうと申し出た。橋から暫く行った所に、甘酒の幟が見えたので、その店に座らせ、甘酒とよもぎ饅頭を注目した。顔色の良くない、お絹に、体が温まるからと、甘酒を飲むように勧めた。何口か飲むと、お絹の目から、涙が、後から後から、流れて来て、止める事が、できなかった。私は、何も言わず、暫くそのまま、泣かせておく事にした。私は、その間、やりきれない思いで、甘酒を啜り、饅頭を頬張った。泣き止んだ、お絹が、着物の袂から、綺麗な手拭いを出し、私の口元に、付いていた餡を拭ってくれた。私は「すまぬ」というと、店の女中に、ヨモギ饅頭と、店の名物の麩饅頭を、折り詰めにしたものを、土産用に包ませ、勘定を払った。帰り道は、何も話さなかったが、さほど、その間が嫌とは思わず、むしろ私には、心地良かった。店の前までくると、私は先程、店で包ませた物を「この店の饅頭は、旨いから皆で、食べて下さい。」と、女中の菊に持たせた。「滝川様、ありがとう存じます。おやすみなさい」「気を落とすなと言うのは、無理な事は、わかっておるが、自分の体も、労るように」とだけ、言い残して、私は悲しむ、お絹の姿を見たくなかったので、後ろを振り返らず、家路についた。
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