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第43話 信には信で
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私は城の一室に捕らわれの身となった。小さな窓から眼下に見えるのは城の墓地。なんとも陰気な場所だけど、地下牢よりはましだ。
『密漁は死罪』。その言葉がぐるぐると頭の中を巡る。
自分の首に縄がかかることを想像し、私は首元を押える。そこには我が身にそぐわない上等のスカーフがある。
思えば、このスカーフをくれた人に求愛されていた頃が、人生で一番いい時だったと思い返す。ほんの数日前のことなのに。
あの人は今、どうしているだろう。無事に帰り着いたのだろうか。きっともう、私のことなど忘れたに違いない。あの人はもっと素敵な女性と愛し合って、幸せに暮らすのだ。彼の隣に相応しい、もっと美しい女性と……。
そう思って私はいったん目を閉じる。次に目を開けて前を見ると、そこにいたイアシントと目が合った。
小さな野ネズミ。彼は私の服に隠れ、一緒にここまで来てくれた。
「さっきは助けてくれてありがとう……」
私が言い終わるより先に、彼が言った。
「王子の馬で戻ったのが幸いしたな」
「は?」
私が郷愁にふけっている間も、彼は全く別のことを考えていたようだ。
「あれなら誰も、馬からあなたを引きずり降ろせなかっただろう」
私は彼の言わんとすることを考え、思いついた。
小川での調べを終えて城に戻った時、私はリュシアン王子の馬の前側に乗せられていた。私を咎めた巡検使の男が待ち構えていたが、彼はくやしそうに私たちを見送るだけだった。私は王子の手によって馬から降ろされ、王子の命でこの場所まで連れてこられた。
巡検使の男は手出しができなかったのだ。
「巡検使なんて、陰険な連中さ。人の首を落とせば落とすだけ、手柄になって出世するんだから……」
イアシントは毒づいた。私は苦笑する。
私が小川で出会った男は巡検使なのだと聞いた。国の役人で、地方を巡視し不正を告発するのが役目。領内だけでは決着がつかない問題に上の立場から助言し、時に裁判に口出しすることもあるという。
これについてリュシアン王子は言った。
『余計なおせっかいというやつだな。事情を知らない奴が偉ぶったところで、かえって火種を大きくするだけだ。ちょうどいい量刑というのは領内の連中が知っている……そうさせておけばいいものを』
王子は巡検使と対決する姿勢だった。今回の密漁疑惑でも死罪以外の可能性について示唆していたし、イアシントも、まだまだ私がここで終わるとは思っていないようだ。
「見たくないか?」
イアシントが言うなり、別の風景が現れた。一瞬、吹き付ける風のようなものを感じて私は腕で顔を覆い、そして目を開けて見た。
これは何かの物の記憶だ。イアシントの魔力が引き寄せている。
そこは薄暗い漁師小屋のようだ。誰かが網の破れを直している。
風雨のおさまった夜明け。その者が川に出て、水中に網を沈める。彼が密漁者だ。
彼は小川の下流側から入って、また下流側に去って行った。と、いうことは。
「ヴァロン領の人間じゃないな」
と、イアシントが言う。
私は首を振って疑問を口にする。
「でも、魔力で見せた光景では、証拠にならないでしょう?」
「本人にもう一度、同じことを繰り返させればいい」
「同じ?」
「ここに来る前に、川番が言っていただろう。普段やらないやり方で、網の修理がされていたと」
イアシントはにやりと笑った。自信たっぷりだ。
「ちょっと、一働きしてこよう。期待していてくれ」
「イアシント、ちょっと待って」
飛び出して行こうとするネズミを私は呼び止めた。
「どうして。私を助けてくれるの?」
「おかしなことを言う。あなたが先に俺を助けたのに。忘れたのか」
確かに、初めて大聖堂の中庭で出会った時、『名前を呼んでくれ』と言われて、そうした。
訳も分からずに、それがイアシントをこの世に引き留め助けることとは知らずに、そうした。たったそれだけだのこと。
「でも、代わりに、私があんたにしてあげられることは、何もない」
私の不安を笑い飛ばして、イアシントは言う。彼の姿がこの時だけ人になる。
「あなたは何か企みを持って俺を助けたか? そうじゃないだろう。……信頼されて、応える。それが使い魔にとって本望。信には信で報われる。それで十分だ」
「……ありがとう、イアシント」
「まかせてくれ」
イアシントは再びネズミの姿に戻る。そしてそのまま、窓から外壁をつたって出て行った。
***
音沙汰がなく昼が過ぎ、夜が過ぎた。私は希望を捨てない。何が起きているのか知りたいと思うけれど、それはかなえられない。
そうやって三日がたった頃だと思う。ある夕方に、私は部屋から出された。
連れていかれた場所はモリスの執務室。モリスは何の前置きもなく、いきなり私に言った。
「お前に解雇を言い渡す。明日の夜明けとともに城を出なさい」
は? 解雇? 死罪ではなくて? 密漁疑惑はどうなった?
私は猛烈に混乱した。
そこにリュシアン王子が現れてモリスに何かを手渡した。
「これでいいか?」
「結構です」
王子は呆然自失としている私に気づくと、モリスに言った。
「おい、説明してやれ」
「かしこまりました」
モリスはリュシアン王子に向かって頭を下げる。
用が済んだ王子は出て行こうとして、ふと立ち止まった。
「レア」
王子に名前を呼ばれて、私はびっくりして顔を上げる。王子は表情を変えずに言った。
「新しい主人によく仕えるように……ジャンヌもそれを望んでいる」
私は恐れ入って頭を下げ、何も言えずにリュシアン王子の後ろ姿を見送る。
ああ、全く訳が分からない。一体全体、何があったというのか?
「レア、聞きなさい」
モリスが言う。彼は事の顛末を説明してくれた。
川番たちの調べによると、密漁に使われ漁網は隣のオルラント領のものだということだ。破れの修理の方法が特徴的だった。確認を進めていたその夜に、保管していた漁網が一斉に切られるという事件が起きた。
「保管庫には鍵がかかったままだったから、ネズミの仕業ではないかということだったが……」
モリスはさらに言葉を続ける。
翌朝川番が、たまたま漁網を直している漁師に声をかけたところ、その漁師が突然逃げ出した。逃げた漁師の直していた網を見ると、密漁で使われた網と同じ結びの方法があった。
漁師仲間たちは彼について証言する。
その漁師は一か月ほど前にやって来た。素性は知らない。川で舟が転覆しているのを助けて、そのまま漁師小屋に住み着いた。捨てる網があれば欲しいと言って、古い網を持って行った。
密漁で使われた網を漁師仲間たちに見せると、
「確かに、その漁網で。うまいこと直したもんだ」
と、感心した様子で網の結び目を手で触った。彼らの知らない技法だった。
「そういえば、この前の嵐の後は、片付けに来なかったなぁ」
と、誰かれなく言った。それはちょうど小川に網がかけられたと思われる頃だ。
逃げた漁師が網を沈めた本人か、何か事情を知っていると疑わる。しかし当人が逃げてしまったのでは真相は分からず。
そんなことがあって、ヴァロン領とオルラント領では、今回の問題はそれぞれの領内の問題として取り扱うことにした。お互いに事を荒立てたくない。領地の侵犯など、何もなかったのだ。
私の罪は、城の言いつけを破って小川の境界の杭に触れたこと。
お城に来たばかりのリゼットにはまだ注意が行き届いていなかったことが考慮され、厳重注意と、当面の間、独りで外出することが禁じられた。
モリスは、リュシアン王子から受け取ったばかりの書状を私に持たせる。
「通行証だ。国のどこでも通用する。これを持って王都に行け。ギヤール家を探していると言えば、誰もが分かる……」
ギヤール家というのがリュシアン王子の乳母の家系。そこのご息女の女中となるべく、王子は私の通行証を書いてくれたのだ。馬上で約束された通りに。
私は書状を受け取って、ありがたく胸に押し頂いた。
「でも、巡検使はどうなったの? 口出しは、なかったの? 」
私の疑問にモリスは苦笑いした。
「幸いと言うべきか……、奴には、もっと優先すべき事案が発生したのだ」
オルラント領のある村で、崖の土砂の下に埋まっている荷車が発見されたのだと言う。荷物の中にたくさんの金貨や高価な宝飾品があって、そのほとんどは盗品と見られた。
「発見された金品の帰属をめぐって騒動が起き、その仲裁に向かったのだ」
財宝の取り分を決定するのに口添えすれば、見返りが期待できるのだろう。あるいは口利きを期待して、先に賄賂が贈られるのかもしれない。少なくとも、ちっぽけな密漁騒ぎよりは、よほど実入りがいいと思われる。
なるほど。分かった気がする。私も城に残ったままではまずい。
巡検使の関心が別にあるうちに密漁騒ぎの当事者たちを追い出し、今回の件は終わらせてしまおうという目論見が見えた。
「それにしても」
と、モリスは言う。
「村民がいうには、野ネズミが騒ぐので不審に思って見に行ったら、荷車が埋まっているのを発見したという話だ。漁網の件といい、今回の件はネズミたちにしてやられたような気分だな……」
きっとそれはイアシントのせいだ。
『密漁は死罪』。その言葉がぐるぐると頭の中を巡る。
自分の首に縄がかかることを想像し、私は首元を押える。そこには我が身にそぐわない上等のスカーフがある。
思えば、このスカーフをくれた人に求愛されていた頃が、人生で一番いい時だったと思い返す。ほんの数日前のことなのに。
あの人は今、どうしているだろう。無事に帰り着いたのだろうか。きっともう、私のことなど忘れたに違いない。あの人はもっと素敵な女性と愛し合って、幸せに暮らすのだ。彼の隣に相応しい、もっと美しい女性と……。
そう思って私はいったん目を閉じる。次に目を開けて前を見ると、そこにいたイアシントと目が合った。
小さな野ネズミ。彼は私の服に隠れ、一緒にここまで来てくれた。
「さっきは助けてくれてありがとう……」
私が言い終わるより先に、彼が言った。
「王子の馬で戻ったのが幸いしたな」
「は?」
私が郷愁にふけっている間も、彼は全く別のことを考えていたようだ。
「あれなら誰も、馬からあなたを引きずり降ろせなかっただろう」
私は彼の言わんとすることを考え、思いついた。
小川での調べを終えて城に戻った時、私はリュシアン王子の馬の前側に乗せられていた。私を咎めた巡検使の男が待ち構えていたが、彼はくやしそうに私たちを見送るだけだった。私は王子の手によって馬から降ろされ、王子の命でこの場所まで連れてこられた。
巡検使の男は手出しができなかったのだ。
「巡検使なんて、陰険な連中さ。人の首を落とせば落とすだけ、手柄になって出世するんだから……」
イアシントは毒づいた。私は苦笑する。
私が小川で出会った男は巡検使なのだと聞いた。国の役人で、地方を巡視し不正を告発するのが役目。領内だけでは決着がつかない問題に上の立場から助言し、時に裁判に口出しすることもあるという。
これについてリュシアン王子は言った。
『余計なおせっかいというやつだな。事情を知らない奴が偉ぶったところで、かえって火種を大きくするだけだ。ちょうどいい量刑というのは領内の連中が知っている……そうさせておけばいいものを』
王子は巡検使と対決する姿勢だった。今回の密漁疑惑でも死罪以外の可能性について示唆していたし、イアシントも、まだまだ私がここで終わるとは思っていないようだ。
「見たくないか?」
イアシントが言うなり、別の風景が現れた。一瞬、吹き付ける風のようなものを感じて私は腕で顔を覆い、そして目を開けて見た。
これは何かの物の記憶だ。イアシントの魔力が引き寄せている。
そこは薄暗い漁師小屋のようだ。誰かが網の破れを直している。
風雨のおさまった夜明け。その者が川に出て、水中に網を沈める。彼が密漁者だ。
彼は小川の下流側から入って、また下流側に去って行った。と、いうことは。
「ヴァロン領の人間じゃないな」
と、イアシントが言う。
私は首を振って疑問を口にする。
「でも、魔力で見せた光景では、証拠にならないでしょう?」
「本人にもう一度、同じことを繰り返させればいい」
「同じ?」
「ここに来る前に、川番が言っていただろう。普段やらないやり方で、網の修理がされていたと」
イアシントはにやりと笑った。自信たっぷりだ。
「ちょっと、一働きしてこよう。期待していてくれ」
「イアシント、ちょっと待って」
飛び出して行こうとするネズミを私は呼び止めた。
「どうして。私を助けてくれるの?」
「おかしなことを言う。あなたが先に俺を助けたのに。忘れたのか」
確かに、初めて大聖堂の中庭で出会った時、『名前を呼んでくれ』と言われて、そうした。
訳も分からずに、それがイアシントをこの世に引き留め助けることとは知らずに、そうした。たったそれだけだのこと。
「でも、代わりに、私があんたにしてあげられることは、何もない」
私の不安を笑い飛ばして、イアシントは言う。彼の姿がこの時だけ人になる。
「あなたは何か企みを持って俺を助けたか? そうじゃないだろう。……信頼されて、応える。それが使い魔にとって本望。信には信で報われる。それで十分だ」
「……ありがとう、イアシント」
「まかせてくれ」
イアシントは再びネズミの姿に戻る。そしてそのまま、窓から外壁をつたって出て行った。
***
音沙汰がなく昼が過ぎ、夜が過ぎた。私は希望を捨てない。何が起きているのか知りたいと思うけれど、それはかなえられない。
そうやって三日がたった頃だと思う。ある夕方に、私は部屋から出された。
連れていかれた場所はモリスの執務室。モリスは何の前置きもなく、いきなり私に言った。
「お前に解雇を言い渡す。明日の夜明けとともに城を出なさい」
は? 解雇? 死罪ではなくて? 密漁疑惑はどうなった?
私は猛烈に混乱した。
そこにリュシアン王子が現れてモリスに何かを手渡した。
「これでいいか?」
「結構です」
王子は呆然自失としている私に気づくと、モリスに言った。
「おい、説明してやれ」
「かしこまりました」
モリスはリュシアン王子に向かって頭を下げる。
用が済んだ王子は出て行こうとして、ふと立ち止まった。
「レア」
王子に名前を呼ばれて、私はびっくりして顔を上げる。王子は表情を変えずに言った。
「新しい主人によく仕えるように……ジャンヌもそれを望んでいる」
私は恐れ入って頭を下げ、何も言えずにリュシアン王子の後ろ姿を見送る。
ああ、全く訳が分からない。一体全体、何があったというのか?
「レア、聞きなさい」
モリスが言う。彼は事の顛末を説明してくれた。
川番たちの調べによると、密漁に使われ漁網は隣のオルラント領のものだということだ。破れの修理の方法が特徴的だった。確認を進めていたその夜に、保管していた漁網が一斉に切られるという事件が起きた。
「保管庫には鍵がかかったままだったから、ネズミの仕業ではないかということだったが……」
モリスはさらに言葉を続ける。
翌朝川番が、たまたま漁網を直している漁師に声をかけたところ、その漁師が突然逃げ出した。逃げた漁師の直していた網を見ると、密漁で使われた網と同じ結びの方法があった。
漁師仲間たちは彼について証言する。
その漁師は一か月ほど前にやって来た。素性は知らない。川で舟が転覆しているのを助けて、そのまま漁師小屋に住み着いた。捨てる網があれば欲しいと言って、古い網を持って行った。
密漁で使われた網を漁師仲間たちに見せると、
「確かに、その漁網で。うまいこと直したもんだ」
と、感心した様子で網の結び目を手で触った。彼らの知らない技法だった。
「そういえば、この前の嵐の後は、片付けに来なかったなぁ」
と、誰かれなく言った。それはちょうど小川に網がかけられたと思われる頃だ。
逃げた漁師が網を沈めた本人か、何か事情を知っていると疑わる。しかし当人が逃げてしまったのでは真相は分からず。
そんなことがあって、ヴァロン領とオルラント領では、今回の問題はそれぞれの領内の問題として取り扱うことにした。お互いに事を荒立てたくない。領地の侵犯など、何もなかったのだ。
私の罪は、城の言いつけを破って小川の境界の杭に触れたこと。
お城に来たばかりのリゼットにはまだ注意が行き届いていなかったことが考慮され、厳重注意と、当面の間、独りで外出することが禁じられた。
モリスは、リュシアン王子から受け取ったばかりの書状を私に持たせる。
「通行証だ。国のどこでも通用する。これを持って王都に行け。ギヤール家を探していると言えば、誰もが分かる……」
ギヤール家というのがリュシアン王子の乳母の家系。そこのご息女の女中となるべく、王子は私の通行証を書いてくれたのだ。馬上で約束された通りに。
私は書状を受け取って、ありがたく胸に押し頂いた。
「でも、巡検使はどうなったの? 口出しは、なかったの? 」
私の疑問にモリスは苦笑いした。
「幸いと言うべきか……、奴には、もっと優先すべき事案が発生したのだ」
オルラント領のある村で、崖の土砂の下に埋まっている荷車が発見されたのだと言う。荷物の中にたくさんの金貨や高価な宝飾品があって、そのほとんどは盗品と見られた。
「発見された金品の帰属をめぐって騒動が起き、その仲裁に向かったのだ」
財宝の取り分を決定するのに口添えすれば、見返りが期待できるのだろう。あるいは口利きを期待して、先に賄賂が贈られるのかもしれない。少なくとも、ちっぽけな密漁騒ぎよりは、よほど実入りがいいと思われる。
なるほど。分かった気がする。私も城に残ったままではまずい。
巡検使の関心が別にあるうちに密漁騒ぎの当事者たちを追い出し、今回の件は終わらせてしまおうという目論見が見えた。
「それにしても」
と、モリスは言う。
「村民がいうには、野ネズミが騒ぐので不審に思って見に行ったら、荷車が埋まっているのを発見したという話だ。漁網の件といい、今回の件はネズミたちにしてやられたような気分だな……」
きっとそれはイアシントのせいだ。
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