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トイレの中で
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手洗い場の鏡に顔を移すと、顔どころか首まで赤かった。それに少し目が潤んでいる。何度も顔を振り、赤みが去ってくれることを祈る。ここは家じゃないし、今は夜じゃない。オフィスで、仕事の時間だ。あんな変態プレイを思い出して、うっとりしているなんておかしい。
がんばった甲斐があってか、あるいはトイレのひんやりした空気のおかげか、赤みは徐々にひいてきた。そろそろ戻ろう、と思ったところで、トイレのドアが開く。
「さいと……」
斉藤は一瞬トイレのなかをぐるりと見回し他に人がいないことを確認すると、手洗い場の前にいる俺の口元を押さえ、もう反対の手で俺の体をだきかかえるようにして、トイレの奥のほうへずんずん進んで進んでいった。
「?!」
本能的に身の危険を感じ、連れ去られまいとして踏ん張ろうにも、俺の足は宙を掻いただけだった。俺を抱えたまま一番奥の個室に入り、鍵をかける。男ふたりがこもるには少し狭いそこで、斉藤は俺の体を壁に押し付けると、片手で口を塞いだまま、もう片方の手でポケットから見慣れたものを取り出し目の前でぶらぶらと振って見せた。
アナルプラグだ。
「持ってきてるじゃないですか。嘘つきですね」
「さ、斉藤、会社では……」
「こんなものを会社に持ちこんだのは誰ですか? 僕じゃない」
「だ、だって……お前が……」
「下、脱いで。片足だけ」
斉藤に言われるまま、ベルトをはずし、スラックスから片足だけを引き抜く。おおうもののなくなった足は、足先が再び地面につく前に膝裏を斉藤に押さえられ、柔軟体操みたいな無理のある姿勢で高くかかげられた。
斉藤は俺の尻の穴にプラグの先をあてがい、強引に押し込んだ。おそらくそのままでも入っただろうが、俺が小さく呻いたのに気づいてすぐに中断し、プラグの先を舌でべろりと舐めあげた。俺に見せつけるように。
「先輩も濡らして」
アナルプラグを差し出され、俺はそれを口に含んだ。リモートセックスでは何度もやっていたプレイだ。斉藤はほどなくそれを俺の口から取り出すと、再び尻の穴にあてがい、中に押し込んだ。
今度は先ほどよりもスムーズだ。しかし立ったままの姿勢ははじめてだった。入れ慣れているはずのものが、普段とは違うところにあたる感触がなんだか怖くて、思わず斉藤の腕を掴むと、斉藤は俺の額に軽くキスをした。
斉藤が近づくと、斉藤の匂いが濃くなる。アナルプラグを収め切ったのか、斉藤は持ち上げていた俺の足を戻し、足元に落ちていたパンツを履かせ、ズボンを引き上げ、ベルトを締めた。後ろに手を回し、スラックスの上から念のためとばかりプラグを押し込み直し、いつの間にか片手に持っていたリモコンのスイッチを入れた。
「あ、ああ、ぁ、ああ……」
中の振動。だめ。弱い。
「斉藤、ダメ、だめ。定例、会……しごと……」
快楽に身を震わせながら、シワひとつない斉藤のシャツを掴み、訴える。俺は先輩で、ここは会社だ。しっかりしなければ。
斉藤は無言のまま、俺の口に自分の口を合わせてきた。舌と舌、粘膜と粘膜が絡み合う。斉藤の匂いがあまりに濃くて、なんだか泣きそうになる。しばらくしてそうしていると、いつの間にか振動は止まっていた。
「行きましょうか」
斉藤が個室のドアを開け、俺の腰を抱くようにして外に連れ出した。
がんばった甲斐があってか、あるいはトイレのひんやりした空気のおかげか、赤みは徐々にひいてきた。そろそろ戻ろう、と思ったところで、トイレのドアが開く。
「さいと……」
斉藤は一瞬トイレのなかをぐるりと見回し他に人がいないことを確認すると、手洗い場の前にいる俺の口元を押さえ、もう反対の手で俺の体をだきかかえるようにして、トイレの奥のほうへずんずん進んで進んでいった。
「?!」
本能的に身の危険を感じ、連れ去られまいとして踏ん張ろうにも、俺の足は宙を掻いただけだった。俺を抱えたまま一番奥の個室に入り、鍵をかける。男ふたりがこもるには少し狭いそこで、斉藤は俺の体を壁に押し付けると、片手で口を塞いだまま、もう片方の手でポケットから見慣れたものを取り出し目の前でぶらぶらと振って見せた。
アナルプラグだ。
「持ってきてるじゃないですか。嘘つきですね」
「さ、斉藤、会社では……」
「こんなものを会社に持ちこんだのは誰ですか? 僕じゃない」
「だ、だって……お前が……」
「下、脱いで。片足だけ」
斉藤に言われるまま、ベルトをはずし、スラックスから片足だけを引き抜く。おおうもののなくなった足は、足先が再び地面につく前に膝裏を斉藤に押さえられ、柔軟体操みたいな無理のある姿勢で高くかかげられた。
斉藤は俺の尻の穴にプラグの先をあてがい、強引に押し込んだ。おそらくそのままでも入っただろうが、俺が小さく呻いたのに気づいてすぐに中断し、プラグの先を舌でべろりと舐めあげた。俺に見せつけるように。
「先輩も濡らして」
アナルプラグを差し出され、俺はそれを口に含んだ。リモートセックスでは何度もやっていたプレイだ。斉藤はほどなくそれを俺の口から取り出すと、再び尻の穴にあてがい、中に押し込んだ。
今度は先ほどよりもスムーズだ。しかし立ったままの姿勢ははじめてだった。入れ慣れているはずのものが、普段とは違うところにあたる感触がなんだか怖くて、思わず斉藤の腕を掴むと、斉藤は俺の額に軽くキスをした。
斉藤が近づくと、斉藤の匂いが濃くなる。アナルプラグを収め切ったのか、斉藤は持ち上げていた俺の足を戻し、足元に落ちていたパンツを履かせ、ズボンを引き上げ、ベルトを締めた。後ろに手を回し、スラックスの上から念のためとばかりプラグを押し込み直し、いつの間にか片手に持っていたリモコンのスイッチを入れた。
「あ、ああ、ぁ、ああ……」
中の振動。だめ。弱い。
「斉藤、ダメ、だめ。定例、会……しごと……」
快楽に身を震わせながら、シワひとつない斉藤のシャツを掴み、訴える。俺は先輩で、ここは会社だ。しっかりしなければ。
斉藤は無言のまま、俺の口に自分の口を合わせてきた。舌と舌、粘膜と粘膜が絡み合う。斉藤の匂いがあまりに濃くて、なんだか泣きそうになる。しばらくしてそうしていると、いつの間にか振動は止まっていた。
「行きましょうか」
斉藤が個室のドアを開け、俺の腰を抱くようにして外に連れ出した。
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