80 / 90
本文
別離の道程(4)
しおりを挟む
ひと月という時間はあっという間に過ぎた。シルヴァリエは仕立て屋を頻繁に出入りさせてルイーズとの婚姻の儀のための衣装を何枚も新調し、それ以上にカルナスの服を作って、着せては脱がした。
シルヴァリエが婚姻の儀のために王都と国境の砦を往復する際の護衛の任にはモーランが隊長を務める第三小隊が主につくことになり、さらにカルナスとグランビーズも同行するという体制に決まった。ほぼ完全にシルヴァリエの主張が通った格好だったが、唯一の例外はグランビーズがつくことだ。シルヴァリエがモーランから聞き及んだところによれば、グランビーズが同行することはモーランも直前まで知らされていなかったらしい。シルヴァリエは一瞬ノルダ・ロウの顔を思い浮かべ、もしかしたら自分に対する牽制なのかもしれないと思ったが、すぐにどうでもよくなった。
この頃には、水月邸でシルヴァリエとカルナスの関係を知らない者はいなくなっていた。当初は自室でのみことに及ぶようにしていたシルヴァリエだったが、四六時中横に置いているカルナス相手に自制心は徐々に低下していく。これだけ抱いているのにカルナスに飽きるという気持ちが一向に湧いてこない自分自身が不思議に思いながら、部屋で、浴室で、食堂で、廊下の角で、柱の影で、枯葉の上で、冷たい水辺で、ありとあらゆるところでカルナスと繋がっていると、このまま永遠にふたりきりでいられるのではないかと錯覚してくる。
だがそんなわけはない。ルイーズとの婚姻の儀に向けた出立は明日に迫っていた。
「特製の馬車をあつらえましたよ」
手錠を後ろ手に嵌められた状態でシルヴァリエに背を向け腰を振っているいるカルナス相手に、シルヴァリエは言った。
「カーテンを引くと外から見えなくなるのはもちろん、防音構造を入れさせました。中で喘いでも、外に声が盛れる心配はありません。知っているみんなに囲まれた中でいっぱいセックスできますよ。嬉しいでしょう?」
「ぅ……ぁ……っ、あ……っ、あ……っ」
カルナスは返事をしない。シルヴァリエの上で腰を振ることに集中しているようだ。ベッドの前に置いた置いた鏡越しに見えるカルナスの前は勃起して、先端にはシルヴァリエにより射精をコントロールされている証である、銀の棒の末端がのぞいている。
「カルナス団長。顔、あげて」
シルヴァリエはカルナスにつけた首輪のリードを引く。うつむいていたカルナスの顎があがり、その表情が鏡に映し出された。頬は紅潮して視線は虚ろで口は半開き。欲望で惚けきっている。
「そろそろ限界かな。昨晩から前も後ろもずっとイけてませんもんね。中で出してもらう気持ち良さ、覚えちゃいましたもんねえ。もう僕にイってもらわないと自分もイけないんでしょう。可哀想に」
「う、ぅぅ、あ……、んん、ん――――っ!!」
カルナスの体が大きく弓なりにしなった。
「ダメですよカルナス団長、一人でイっちゃダメです。一度抜いて」
「や、ぁ、ああ……っ」
「ほら、抜いて」
「ああ、あ――っ!」
シルヴァリエはカルナスの体を強引に持ち上げ、中から自分のものをじゅぽんと引き抜いた。激しい痙攣を繰り返すカルナスを自分のほうに向かせ、自分の顔を跨らせる。
「お尻のほうは少しお休みましょうか。その間はまた前を可愛がってあげますね」
「いや、い……やめ、ああ、や、あぎ、ああ、ああっ! あひ、ひいいいいいっ! うあ、あ、ああ、いぎ、あ、ひ――っ!」
戒めがなければすでに数えきれないほどの絶頂に達していたであろうカルナスの陰茎は、軽くキスをしただけでその刺激に耐えかね、その持ち主の絶叫を引き出した。
このひと月というもの、カルナスはただただシルヴァリエに従順だった。召使いの目があるところでことに及ぼうとしたときも、嫌がりはしたものの結局シルヴァリエに従った。
ただひとつ、キスを避けるような素振りを除いては。
そのことに、シルヴァリエはもっと早くから気づいていた。娼婦のなかには、体を売る身に残された矜持と称し客とのキスを拒否する者もいるという。もしかしたらそういう理由だったのかもしれないが、それでもシルヴァリエがキスを強要すればカルナスはそれに応えただろう。
それでは意味がなかった。シルヴァリエはそう思い、自分からキスをしかけることもしなくなった。
交わされなくなったキスの代わりに、シルヴァリエはカルナスの勃起しきった陰茎を舌でつつき、口に含み、歯を立て、舐めまわした。そうするたびに聞こえてくるカルナスの絶叫が妙に心地よかった。
「今日は、イけませんからね」
シルヴァリエはカルナスの陰茎を指先で優しく撫でながら言った。
「出発までずっとこうしてましょう。僕に蕩かされ切った顔を騎士団のみんなに晒しながら一緒に馬車に乗り込みましょう、ね」
シルヴァリエの言葉にカルナスの絶叫が答えた。シルヴァリエはカルナスの陰茎を口の奥まで含み、思い切り吸い上げた。
シルヴァリエが婚姻の儀のために王都と国境の砦を往復する際の護衛の任にはモーランが隊長を務める第三小隊が主につくことになり、さらにカルナスとグランビーズも同行するという体制に決まった。ほぼ完全にシルヴァリエの主張が通った格好だったが、唯一の例外はグランビーズがつくことだ。シルヴァリエがモーランから聞き及んだところによれば、グランビーズが同行することはモーランも直前まで知らされていなかったらしい。シルヴァリエは一瞬ノルダ・ロウの顔を思い浮かべ、もしかしたら自分に対する牽制なのかもしれないと思ったが、すぐにどうでもよくなった。
この頃には、水月邸でシルヴァリエとカルナスの関係を知らない者はいなくなっていた。当初は自室でのみことに及ぶようにしていたシルヴァリエだったが、四六時中横に置いているカルナス相手に自制心は徐々に低下していく。これだけ抱いているのにカルナスに飽きるという気持ちが一向に湧いてこない自分自身が不思議に思いながら、部屋で、浴室で、食堂で、廊下の角で、柱の影で、枯葉の上で、冷たい水辺で、ありとあらゆるところでカルナスと繋がっていると、このまま永遠にふたりきりでいられるのではないかと錯覚してくる。
だがそんなわけはない。ルイーズとの婚姻の儀に向けた出立は明日に迫っていた。
「特製の馬車をあつらえましたよ」
手錠を後ろ手に嵌められた状態でシルヴァリエに背を向け腰を振っているいるカルナス相手に、シルヴァリエは言った。
「カーテンを引くと外から見えなくなるのはもちろん、防音構造を入れさせました。中で喘いでも、外に声が盛れる心配はありません。知っているみんなに囲まれた中でいっぱいセックスできますよ。嬉しいでしょう?」
「ぅ……ぁ……っ、あ……っ、あ……っ」
カルナスは返事をしない。シルヴァリエの上で腰を振ることに集中しているようだ。ベッドの前に置いた置いた鏡越しに見えるカルナスの前は勃起して、先端にはシルヴァリエにより射精をコントロールされている証である、銀の棒の末端がのぞいている。
「カルナス団長。顔、あげて」
シルヴァリエはカルナスにつけた首輪のリードを引く。うつむいていたカルナスの顎があがり、その表情が鏡に映し出された。頬は紅潮して視線は虚ろで口は半開き。欲望で惚けきっている。
「そろそろ限界かな。昨晩から前も後ろもずっとイけてませんもんね。中で出してもらう気持ち良さ、覚えちゃいましたもんねえ。もう僕にイってもらわないと自分もイけないんでしょう。可哀想に」
「う、ぅぅ、あ……、んん、ん――――っ!!」
カルナスの体が大きく弓なりにしなった。
「ダメですよカルナス団長、一人でイっちゃダメです。一度抜いて」
「や、ぁ、ああ……っ」
「ほら、抜いて」
「ああ、あ――っ!」
シルヴァリエはカルナスの体を強引に持ち上げ、中から自分のものをじゅぽんと引き抜いた。激しい痙攣を繰り返すカルナスを自分のほうに向かせ、自分の顔を跨らせる。
「お尻のほうは少しお休みましょうか。その間はまた前を可愛がってあげますね」
「いや、い……やめ、ああ、や、あぎ、ああ、ああっ! あひ、ひいいいいいっ! うあ、あ、ああ、いぎ、あ、ひ――っ!」
戒めがなければすでに数えきれないほどの絶頂に達していたであろうカルナスの陰茎は、軽くキスをしただけでその刺激に耐えかね、その持ち主の絶叫を引き出した。
このひと月というもの、カルナスはただただシルヴァリエに従順だった。召使いの目があるところでことに及ぼうとしたときも、嫌がりはしたものの結局シルヴァリエに従った。
ただひとつ、キスを避けるような素振りを除いては。
そのことに、シルヴァリエはもっと早くから気づいていた。娼婦のなかには、体を売る身に残された矜持と称し客とのキスを拒否する者もいるという。もしかしたらそういう理由だったのかもしれないが、それでもシルヴァリエがキスを強要すればカルナスはそれに応えただろう。
それでは意味がなかった。シルヴァリエはそう思い、自分からキスをしかけることもしなくなった。
交わされなくなったキスの代わりに、シルヴァリエはカルナスの勃起しきった陰茎を舌でつつき、口に含み、歯を立て、舐めまわした。そうするたびに聞こえてくるカルナスの絶叫が妙に心地よかった。
「今日は、イけませんからね」
シルヴァリエはカルナスの陰茎を指先で優しく撫でながら言った。
「出発までずっとこうしてましょう。僕に蕩かされ切った顔を騎士団のみんなに晒しながら一緒に馬車に乗り込みましょう、ね」
シルヴァリエの言葉にカルナスの絶叫が答えた。シルヴァリエはカルナスの陰茎を口の奥まで含み、思い切り吸い上げた。
0
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる