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沈黙の蜜月(3)
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相互愛撫を続けながらも決定的な刺激は与えず、自分の膝の上で身悶えるカルナスを眺めていたら、部屋のドアがノックされる音がした。カルナスの体が小さく跳ね飛び、怯えたようにドアを見る。
「パイが焼き上がったのかな。思っていたより早いですね。カルナス団長、少し待っててくださいね」
カルナスの首輪をソファのひじかけに繋いだままシルヴァリエはひとりソファから立つと、はだけたままだった自分の前を軽く整え、部屋扉へ向かった。ドアを開ける前にカルナスのほうを確認すると、カルナスは入り口のほうから見て死角になる位置にこそこそと隠れている。
外に立っていたのは予想通りメイド頭だったが、焼き立てのパイの匂いはしなかった。その代わりメイド頭は、銀色のトレイに乗せた布張りの小箱を恭しくシルヴァリエに差した。
「ジェイミー・ガーランドの使いだと名乗る方がこれを。シルヴァリエ様の依頼の品だといえばわかる、とのことですが」
小包の横に置かれたメッセージカードには「ジェイミー・ガーランド」とある。シルヴァリエはメッセージカードの裏側に書かれている請求金額を確認するとカードをトレイに戻し、小箱を手に取り蓋を開けて中身を一瞥すると、再び閉めた。
「ジェイミーの使いというのは?」
「下でお待ちいただいております」
「支払いを済ませておいてくれ。金額はここに書かれている額面の2倍を」
「承知致しました」
扉を閉めて部屋のなかに向き直ったシルヴァリエは、不安げなカルナスと目があって、にっこり笑った。
「大丈夫ですよ、あのジェイミー・ガーランドと僕の、個人的な取引です」
「……なんの取引だ?」
カルナスが不安を払拭できないといった表情のまま尋ねる。
「取引というほど大したものでもないんですけどね。ちょっとした買い物って感じで。ほら」
シルヴァリエは箱を開け、金属の棒のようなものを取り出してカルナスに見せた。長さは中指と同じかそれより少し長く、太さは指の半分ほど。棒の先端には輪がついている。そして、一見ただの金属のように見えたそれは、シルヴァリエが軽く撫でてやると、一瞬生き物のようにうねり、すぐもとに戻った。
その棒の用途に思い至ったらしいカルナスが絶望的な表情で首を横に振る。
「シルヴァリエ……」
「はい」
「いやだ……それは……」
「気持ち良すぎますもんね。でも、別に気持ちいいの我慢しなくていいですよ。これをつけた後はね」
「い、いやだっ!」
後ずさろうとするカルナスの動きにつられて、ソファが揺れる。自分とソファを繋いでいるリードの存在に気づいたカルナスが、ソファのひじかけに結ばれているそれを解いている間に、シルヴァリエはカルナスとの距離を詰めた。
「し、シルヴァリエ! シルヴァリエ、お前の望むことはなんでもやる。口でもやるし、セックスもする! 他のことだって、なんでもする、だから、それは――」
カルナスが全てを言い終わらないうちに、シルヴァリエはリードの端を捕まえて、カルナスを強引に手元に引き寄せた。
「ほら、逃げるじゃないですか。首輪も、手錠も、必要でしょう?」
「シルヴァリエ! 違う、これは……」
「ソファに戻ってください、カルナス団長。ああ、いや……下を脱いで、そこの壁に手をついて。そしてお尻を突き出して?」
「し、したら……しないか?」
「何を言っているのかわかりませんね。僕の言うこと、きけるんですか、きけないんですか」
「…………」
交渉不能とみたらしいカルナスが、一縷の望みを託すように、シルヴァリエの言うがまま、下を脱ぎ、尻を突き出した。
カルナスの首輪と繋がっているリードを握ったままのシルヴァリエは、壁に手をついたカルナスの足を少し開かせると、自分のズボンの前を広げ、中に押し入った。
「パイが焼き上がったのかな。思っていたより早いですね。カルナス団長、少し待っててくださいね」
カルナスの首輪をソファのひじかけに繋いだままシルヴァリエはひとりソファから立つと、はだけたままだった自分の前を軽く整え、部屋扉へ向かった。ドアを開ける前にカルナスのほうを確認すると、カルナスは入り口のほうから見て死角になる位置にこそこそと隠れている。
外に立っていたのは予想通りメイド頭だったが、焼き立てのパイの匂いはしなかった。その代わりメイド頭は、銀色のトレイに乗せた布張りの小箱を恭しくシルヴァリエに差した。
「ジェイミー・ガーランドの使いだと名乗る方がこれを。シルヴァリエ様の依頼の品だといえばわかる、とのことですが」
小包の横に置かれたメッセージカードには「ジェイミー・ガーランド」とある。シルヴァリエはメッセージカードの裏側に書かれている請求金額を確認するとカードをトレイに戻し、小箱を手に取り蓋を開けて中身を一瞥すると、再び閉めた。
「ジェイミーの使いというのは?」
「下でお待ちいただいております」
「支払いを済ませておいてくれ。金額はここに書かれている額面の2倍を」
「承知致しました」
扉を閉めて部屋のなかに向き直ったシルヴァリエは、不安げなカルナスと目があって、にっこり笑った。
「大丈夫ですよ、あのジェイミー・ガーランドと僕の、個人的な取引です」
「……なんの取引だ?」
カルナスが不安を払拭できないといった表情のまま尋ねる。
「取引というほど大したものでもないんですけどね。ちょっとした買い物って感じで。ほら」
シルヴァリエは箱を開け、金属の棒のようなものを取り出してカルナスに見せた。長さは中指と同じかそれより少し長く、太さは指の半分ほど。棒の先端には輪がついている。そして、一見ただの金属のように見えたそれは、シルヴァリエが軽く撫でてやると、一瞬生き物のようにうねり、すぐもとに戻った。
その棒の用途に思い至ったらしいカルナスが絶望的な表情で首を横に振る。
「シルヴァリエ……」
「はい」
「いやだ……それは……」
「気持ち良すぎますもんね。でも、別に気持ちいいの我慢しなくていいですよ。これをつけた後はね」
「い、いやだっ!」
後ずさろうとするカルナスの動きにつられて、ソファが揺れる。自分とソファを繋いでいるリードの存在に気づいたカルナスが、ソファのひじかけに結ばれているそれを解いている間に、シルヴァリエはカルナスとの距離を詰めた。
「し、シルヴァリエ! シルヴァリエ、お前の望むことはなんでもやる。口でもやるし、セックスもする! 他のことだって、なんでもする、だから、それは――」
カルナスが全てを言い終わらないうちに、シルヴァリエはリードの端を捕まえて、カルナスを強引に手元に引き寄せた。
「ほら、逃げるじゃないですか。首輪も、手錠も、必要でしょう?」
「シルヴァリエ! 違う、これは……」
「ソファに戻ってください、カルナス団長。ああ、いや……下を脱いで、そこの壁に手をついて。そしてお尻を突き出して?」
「し、したら……しないか?」
「何を言っているのかわかりませんね。僕の言うこと、きけるんですか、きけないんですか」
「…………」
交渉不能とみたらしいカルナスが、一縷の望みを託すように、シルヴァリエの言うがまま、下を脱ぎ、尻を突き出した。
カルナスの首輪と繋がっているリードを握ったままのシルヴァリエは、壁に手をついたカルナスの足を少し開かせると、自分のズボンの前を広げ、中に押し入った。
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