鬼の騎士団長が淫紋をつけられて発情しまくりで困っているようなので、僕でよければ助けてあげますね?

狩野

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ドS主人シルヴァリエとドジっこ下男カルナス

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いつも読んでいただきありがとうございます。m(_ _)m

こちらは、お気に入り100突破の感謝というか2022年になった記念というか消化不良だった主人と下男プレイを書きたかったというか、などなどの理由により発生したExtra小説になります。

諸般の事情により普段とだいぶ設定が違いますが、ゆるい気持ちでお楽しみいただけますと幸いです^^

――――――――――――――――――――――――――――――



「……よくも、まあ」

 高級ワインが髪の先からぽたぽた落ちる状態のまま、シルヴァリエはクッションに頬杖をついて床に這いつくばるカルナスを見下ろしていた。

 床には下男のカルナスが落としてしまったトレイとワインの瓶が転がっている。一杯分のワインが注がれたグラスだけは奇跡的にシルヴァリエがキャッチしたが、それ以外はまさに惨状、と言ってよい。

「よくもまあ、ここまで奇跡的な粗相ができるものだな、カルナス」

 シルヴァリエはワインで濡れた髪をかきあげながら言った。

 雇ったばかりの下男カルナスのことが、最近のシルヴァリエのもっぱらの悩みのタネだ。

「申し訳ありません……」

 前びらきのシャツにサスペンダーつきのズボンをつけたカルナスが、同じくワインまみれの状態で、シルヴァリエの前で這いつくばって絨毯に頭をこすり付けている。家の召使いたちには皆もう少し見栄えのする制服を支給しているのだが、カルナスときたら一日に何度も汚して台無しにしてしまうので、メイド頭の怒りを買い、今は下男仲間のだれがしから借りた服を着ているそうだ。

「このワインの値段がわかるか? お前の給金に換算すると――一ヶ月どころか、一年分でもおっつかないぞ」
「えっ……」
「ついでに言えば、お前が今こぼれたワインをなすりつけているその絨毯は、十年分でも足りないな」
「えっ?! あっ!!」

 カルナスは弾かれたように顔を上げ、ワインで赤く染まった絨毯を手のひらでゴシゴシと擦った。

 その結果、絨毯の赤いシミはますます大きく広がった。

「だ、旦那さま……私は……どうすれば……」

 カルナスが泣きそうな顔でシルヴァリエを見上げてくる。

 思えば、この顔に騙されたのだ。

 シルヴァリエが街中を歩いている際、大声で怒鳴りつけながらうずくまるカルナスにひどい折檻を加えている男を目にしたのは一週間ほど前のこと。

 見かねて止めたシルヴァリエを、今と同じように涙目で見上げてくるカルナスを哀れに思い、その場で店主の言い値を払い、いわばカルナスを買い取った。

 そんな役立たずをこの値段で買うとは、とんだ酔狂ものだ、と捨て台詞を吐かれたものの、金に関する悩みといえばその使い道だけ、という環境に生まれついたシルヴァリエにとっては大した金額ではなかった。

 とはいえ家にはすでに十分な数の召使いを抱えている。そのまま別れようにも身よりがないというカルナスを放逐するわけにもいかず、自分の身の回りの世話でもさせようと連れ帰ったのだが――結果、カルナスに激怒していた店主の気持ちが少しだけわかってしまった。

 料理をするだの楽器を弾くだの、これといった特技がないのは言うに及ばず。掃除をさせれば元より汚し、物を運搬させれば壊すか失くす。ならば壊すのは得意なのかと不用品の解体などさせてみれば、シルヴァリエの祖父が使用人のひとりとやりとりしていたと思しき古い恋文の束を発見し、家族の中に嵐が吹き荒れる。いっそなにもしないでくれと言いたくなるが、何もしないでふらふらしているカルナスを見て同じ立場の使用人たちがいい気分になるはずもない。

 とにかく、カルナスを引き取ったシルヴァリエが、なにかしらカルナスにできることを探さなければならなかった。

「……まあ、いい。タオルを持ってこい」
「えっ……?」
「いや、えっ、じゃないだろう。溢れたワインを拭くためにタオルが必要なことくらい、お前にだってわかるだろう、カルナス?」
「わかりますが……タオルをくれと言いに行くと……」
「? 行くと?」
「怒られます」
「…………」
「またなにかこぼしたのか、って。次にこぼしたらもう許さないって言われているんです」
「実際にこぼしたているんだから仕方ないだろう。メイド頭を怒らせたからといってすぐクビにするわけではない。安心して怒られてこい」
「怒られるのはイヤです……怖いです……」

 カルナスが口のなかでモゴモゴ言いながらうつむく。シルヴァリエはさすがにイラついてきた。誰かに怒られたくない、という気持ちはわかる。怒られたい人間などそうはいないだろう。そしてカルナスはたしかにメイド頭によく怒られている。シルヴァリエも見た。そして、メイド頭はなかなか怖い。だがやってしまったものは仕方ない。責任は引き受けるべきだ。それに、だ。本来、メイド頭以上に怒っていいのは――台無しにされたワインや絨毯の持ち主であるシルヴァリエ自身なのである。ただ、シルヴァリエが怒りをあらわにする性格ではないというだけだ。

「甘えるのもいい加減にしないか、カルナス。私を見ろ、カルナス。ずぶ濡れでベタついている。拭くものがなくてこの惨状をどうおさめる? お前が舐めて綺麗にするとでもいうのか」
「あっ、は、はい!」
「え?」
「舐めます!」

 言うなりカルナスはシルヴァリエに顔を寄せ、その額に垂れるワインを舐めとった。

「?!」
 
 思わぬ展開にシルヴァリエが硬直している間にも、カルナスは舌を這わせ、あるいは口で吸い、シルヴァリエの顔についたワインを舐めとっていく。その動きは重力に従って垂れていくワインを置い、顔から首筋、やがてシャツの上へと移っていった。

「カルナス、お前……」
「はい?」
「……ここにもついているぞ」

 シルヴァリエがワインで汚れた指先をカルナスの目の前につきつけると、カルナスは躊躇うことなくそれを口に含み、舌を絡ませるようにしてなめとった。

 指先を包む心地よい感覚に、シルヴァリエは思わず生唾を飲み込んだ。

 生暖かく、柔らかい、上等の絹に包まれているようなその感覚は、若くして歓楽街を遊び尽くしたシルヴァリエにとっても未知の領域だった。相手が不器用極まるカルナスだと油断していただけに、その感覚はシルヴァリエを驚かせる。

 そうこうしている間にもカルナスの舌は、シルヴァリエの上半身を伝って下半身の方へと進む。着衣の皺の間にたまるワインを追っているうち、カルナスの口は自然とシルヴァリエの股間のあたりへ進んでいった。

 敏感なあたりにカルナスの吐息がかかる。シルヴァリエは自分の分身が勃起したことを自覚した。

 布をつっぱらせているそこに気付かぬはずもないだろうに――いやもしかしたら気づいていないのかもしれないが――カルナスは股間周辺を執拗に舐め続ける。

「……っ! カルナス!」

 シルヴァリエは思わず叫んだ。

「な、なんでしょう、旦那さま」

 シルヴァリエの前に膝をついたまま、カルナスはシルヴァリエを見上げた。その目元には不安が滲んでいる。

「あ、あの、またなにかやらかしてしまいましたでしょうか……?」

 考えてみれば、シルヴァリエがカルナスについて知っていることと言えば、街中で怒られていた店主に雇われていた、ということくらいだ。それ以前もあちこちで雇われてはやらかして解雇、を繰り返していたというが、そうだろうな、と思ったきり詳しくは聞いていない。もしかしたらカルナスには男娼の経験があり、わざとやってシルヴァリエの反応を楽しんでいるのでは、と疑ったのだが、カルナスの顔を見てシルヴァリエの疑いは消えた。

 そもそも、金銭管理には厳しいシルヴァリエが思わず絆されるほどの愛嬌があり、その上遊び慣れたシルヴァリエを唸らせるほどのテクニックを持っているとなれば、それ以外について多少難があったとて、娼館が手放すはずはないだろう。

「……問題ない。続けろ」
「はい」

 カルナスがほっとした表情で再びシルヴァリエの股間に顔を埋める。

「カルナス」
「はい」
「服を脱がせろ」
「え? 旦那様の服をですか?」
「そうだ」
「私が?」

 シルヴァリエの服の着付けを担当しているのは別のメイドだ。不思議そうな顔をするカルナスに、シルヴァリエは言った。

「ワインは服の下まで染み込んでいる。服の上からでは埒があかないだろう」
「あ、はい。わかりました」

 取ってつけたような理由を本気で信じている様子で、カルナスはもたもたした手つきでシルヴァリエの服のボタンを、上から下まではずした。

「旦那さま、座ったままでは袖が抜けな……」
「袖はそのままでいい。舐めろ」
「は、はい」

 ボタンが外れたシャツの胸元をシルヴァリエが左右に開くと、剥き出しの肌にカルナスの舌が当たった。

「……カルナス」
「はい?」
「舌を止めるな。舐めながらこちらを見るんだ」
「ふ、ふぁい」

 言われた通り、カルナスはシルヴァリエの肌に赤い舌を這わせながら上目遣いにシルヴァリエを見た。

 シルヴァリエはそうされながら半ば無意識に手を伸ばし、カルナスの肩や腕、胸元や腹を撫でさすり始めた。シルヴァリエが触れた瞬間カルナスは怯えたようにびくりと反応したが、怖い目つきで自分を見下ろしてくるシルヴァリエに怯えた様子で、何も言わないままシルヴァリエの肌を舐め続ける。

 シルヴァリエの指先が、シャツに隠された少し硬いものに触れる。指先を押し返す感覚の心地よさにそこを何度も撫でて、さすり、つまみ上げると、カルナスが「あっ」と声を上げた。

「なんだ?」
「旦那さま、そこは……」
「そこ?」
「あの……そこを触られると……」
「そこ、とは、どこだ?」
「……いえ……その……」
「ワインを舐めとるのだろう、カルナス。続けなさい。そうでないなら、メイド頭にこっぴどく怒られてタオルをもらってこい」
「それは……いやです」

 カルナスは逡巡した末、再びシルヴァリエの胸元に顔を寄せた。シルヴァリエが指先で乳首を弾くと、カルナスの口から漏れた熱い息がシルヴァリエの肌にかかる。シルヴァリエが片手に持ったままだったグラスからワインを舐めながら乳首に爪を立てると、カルナスの体は電撃に打たれたようにそれきり動かなくなった。

「カルナス、どうした。まだ終わっていないぞ」
「…………ぁ……あ、の……っ」
「ん?」
「こ、ここ……」

 カルナスが、自分の乳首を弄ぶシルヴァリエの手をそっと掴んだ。

「ここを触られると、おかしく……」
「ここがどうした」

 シルヴァリエはそこを指の腹で優しく撫でたのち、再び爪を立てた。

「んぅっ!」
「こんな小さなところを摘まれただけで息を荒くして仕事ができなくなるなんて、おかしいだろう」
「は、はい……」
「ほら、続けるんだ」
「はい……」

 そう返事をしてシルヴァリエの鎖骨のあたりに口を寄せたものの、カルナスは体を時折びくびくさせては熱い息を吐くばかりだ。

「……カルナス、お前は」
「は、はい……」
「いつもそうやって主人を誘っているのか?」
「え?」
「何でもない。勝手にやめるな。続けろ」
「も、申し訳ありませ……あ、んっ!」

 胸もとから離れたシルヴァリエの手に股間を下から上に撫でられ、カルナスは甘い声をあげる。そして恥じるように、自分の口を両手で塞いだ。

「なんだここは。ずいぶん膨らんでるな」
「ぁ……」
「この下に何を隠している? まさか何か盗んだんじゃないだろうな」
「ち、違いますっ!」
「何もできないくせに手癖まで悪いとなると、とてもお前をうちにはおいておけないな」
「違います、盗んだりなんかしてません!」
「じゃあなぜここはこんなになっているんだ?」
「それは……」

 勃起しました、と自分からは言えないらしく、カルナスは真っ赤になって俯いた。

「怪しいな」
「そんな……本当に何も入っていません。これは、その……自分の……」
「自分の?」
「…………」
「服を脱げ」
「え……?」
「全部だ。まだ何か隠していないか調べてやる」
「隠してなんか……」
「だったら脱げるだろう?」
「…………はい」

 カルナスは少し迷いながら、それでも追い出されるよりはマシとばかり、おずおずと服を脱ぎ始めた。

「脱いだものは調べる。渡せ」
「……わかりました」

 シルヴァリエは受け取った服をおざなりに眺めただけで、後ろへ放り投げる。カルナスはシャツにズボン、それに靴下まで脱いでシルヴァリエに預け、最後に下半身を覆う肌着を足から抜き、片手で股間を隠したまま、肌着をシルヴァリエに渡した。

「隠すな」

 シルヴァリエはその肌着も後ろへ放り投げ、言った。

「やはりそこに何か隠しているな」
「違います……っ!」
「ならば見せられるだろう。足を開いてそこに立て。両手は頭の後ろだ」
「はい……」

 カルナスは泣きそうな表情になりながら、言われた通りの姿勢をとった。

 年齢を聞く限りすでに成人しているはずだが、初めて見るカルナスの体は、全体的に未成熟な印象を受けた。体毛がないわけではないが全体的に薄い。不器用だが怠け者ではないその体にはほどよく筋肉がついているがそれもどこか線が細く、隆起した胸の蕾は咲き始めの桜色。体の中央で雄々しく勃起しているペニスも淡いピンクだ。

「おい、なんだこれは?」

 シルヴァリエは少し息を荒くして、指先でカルナスの亀頭を弾いた。

「あっ! 旦那さま、そこは……」
「腰を引くな。主人の前でこんなに勃起して、失礼だぞ、カルナス」
「申し訳ありませ……あ、あああっ! だめ、やめてくださ……ああっ!」

 シルヴァリエが亀頭を何度か弾くと、カルナスは切羽詰まった声をだし、あっさりと射精した。

「カルナス、お前……」
「あ、ああ、申し訳ありませ……」

 カルナスがやらかしたことを見せつけるように白濁の液で汚れた手を開いて見せると、カルナスは慌ててその手にとりつき自分が出した青臭いそれを舐めとりはじめた。

「……手の掃除は後でいい。カルナス、後ろを向け」
「え?」
「まだ調べは終わっていないぞ。後ろを向いて、自分の手で尻を左右に広げて見せろ」
「は? はい」

 カルナスにはシルヴァリエの意図がまったく検討つかなかったらしく、不思議そうな顔で言われた通りの姿勢をとる。双丘の奥のアナルはペニスと同じくピンク色だ。シルヴァリエはそこに、片手に持っていたままだったグラスのワインを垂らした。

「ひっ?!」
「動くな」
「はい……」

 垂らしたワインをカルナスのそこに塗りこめるようにしながら、その窄まりの中央へ、ゆっくりと指を埋め、前後に動かす。ワインで濡れた感覚に気をとられていたカルナスも、次第自分が何をされているのか気づきはじめたようだ。

「だ、旦那さま……っ?!」
「なんだ」
「な、なにを……なにをなさっているのですか、そこは、汚いです……っ!」

 気づいたはいいが、心配するポイントがどうもずれている。

「謙遜しなくていいぞカルナス。なかなか綺麗な色をしている。それに、括約筋もよく働いているようだ。指を締め付けてくる感触が心地よい」
「かつやく……きん……?」
「もう一本入れたらどうなるかな? そら」
「えっ?! あっ、あ、あひっ?!」

 指一本で限界かと思われたカルナスの肛門は、隙間からねじ込んだ二本目をきつく締め上げながらも受け入れた。シルヴァリエが中を探っていると、ぷっくらとふくらんでいるところに指先があたった瞬間、カルナスの体が大きく跳ねた。

「ん、んんっ!」
「どうした?」
「な、なんでも……」
「ここがお前の前立腺か?」
「ぜんりつ……?」
「ここを擦られると、射精しそうになる?」
「えっ、あっ、ああ、んっ……!」

 シルヴァリエの見立ては概ね正解だったようだ。しかしカルナスは甘い声をあげるばかりで、それを認めない。シルヴァリエが執拗にそこを撫でていると、カルナスの体が小さく痙攣し、絨毯の上にぱたぱたと白い液が溢れ落ちた。

「あ……あぁ……」

 絶頂後の余韻を楽しんでいる様子のカルナスを、シルヴァリエは厳しい声で読んだ。

「カルナス」
「あ……っ、は、はい……」
「お前ときたら、また主人の前で勝手に射精したばかりか、絨毯にまでこぼしたのか」
「すみませ……」
「なにもできないどころか、こんなにいやらしい子だったとは」

 そう言いながらシルヴァリエは、カルナスの後孔に差し入れたままだった指をぐるりと回転させた。シルヴァリエの目に、緊張で引き締まるカルナスの内腿が映った。

「こんな穴に指を入れられたくらいで絶頂するようになふしだらな下男は、ウチにはおいておけないな」
「そんな……」
「お前には元手もかかっていることだし、どこかにでも売るしかないか。せめてもの親切だ。そんなにいやらしいことが好きなら、娼館にでも売り払ってやろうか?」
「い、いやです旦那さまっ!」

 カルナスが切羽詰まった声を出す。

「なんでもします、ここに、旦那さまのそばに置いてください……っ!」
「そうは言ってもな……こうして少しいじっているだけで、お前ときたら体をビクビクさせて、いまにもイッてしまいそうじゃないか」
「も、もうしません……っ、あっ、ああ、んん……」
「そう言いながらそんな甘い声を上げて。いい加減なことを言うものじゃない」
「あっ、あ、いい加減じゃありませ……本当に……本気で……んっ、ひっ、旦那さま、そこは……」
「本当になんでもできるか?」
「でき……ま……す……っ!!」
「ふむ」

 シルヴァリエはカルナスの中に入れていた指を抜き、ソファから立ち上がった。

「ならば試してやろう。カルナス、足はそのままで、両手を床につきなさい」
「は……はい」

 カルナスは自分の尻から手をはなし、両手を自分の足元についた。はたから見ると体を真っ二つに折り畳んで、尻の穴だけをシルヴァリエに差し出しているような姿勢だ。

「素直なのはお前の数少ない長所だよ、カルナス」

 シルヴァリエはそう言いながら、自分の下穿きの中から勃起しきったペニスを取り出し、カルナスのアナルに押し当てた。

「ありがとうございま……あの、旦那さま、なにか当たって……」
「疑問は禁止だ、カルナス。今からお前が言っていいのは”はい”だけだ」
「……はい」
「お前の穴がどれくらいいやらしいか、調べてあげよう。嬉しいだろう?」
「はい……あ、ああっ、あっ、ああっ、あ……!」

 シルヴァリエがのペニスがすぶすぶとカルナスの中に入っていくと、その分空気が押し出されたとでもいうように、カルナスの口から鈍い声が漏れた。それが快楽なのか苦痛なのかはわからなかったが、すべてをおさめ切ったシルヴァリエがふと見ると、カルナスの片手が絨毯の上を離れ、自分のペニスを握りしめていた。

「カルナス、手を床につけ。勝手に触るのは許さないよ」
「は、はい、でも、旦那さま……」
「返事は”はい”だけだと言っただろう?」
「でも旦那さま、抑えていないと……」
「ん?」
「抑えていないと……また出ちゃいますぅ……」

 カルナスが消え入りそうな声でそう言った。

 シルヴァリエは自分の血が沸き立つような興奮を覚えた。

「カルナス、お前……入れられただけで射精しそうになったのか?」
「……はい」
「……………まったくいやらしい下男だな。これは厳しいしつけが必要そうだ」

 シルヴァリエはそう言って、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。

「は、はい……ひっ? あ、あう、旦那さま、そこ、なか、擦っちゃ……あ、あああっ、んっ! ああ、んひっ、あああ、あ……」
「ペニスを押さえている手をはなすなよ、カルナス」
「は、はいぃ、わかりまし……たぁっ! あ、あああ、旦那さまっ! 旦那さま、おしり、おかしいです、そこ、なんで、きもちい……っ!」
「それはよかった。だが、私がいいという言うまで出すんじゃないぞ、カルナス。お前は少し我慢というものを覚えなければな……」
「はいいっ! うぁ、ああ、旦那さま、旦那さまぁ……っ!」






「――なんの本だ?」

 カルナスの声で、シルヴァリエは我に返った。

 騎士団宿舎の地下にある資料室。ここで、過去の狩猟際の資料を探しているというカルナスに付き合って――というかそんなカルナスにちょっかいをかけるためにやってきたシルヴァリエだが、真剣な様子のカルナスに手を出す隙もなく、片隅で埃をかぶっていた置いてあった古い本を開いたらつい読み耽ってしまっていたようだ。

「しゅ――」
「しゅ?」
「いえ。なんでも。大した本じゃありません」

 読んでいたのはてっとり早く言えばエロ本で、しかもそのキャスティングを自分とカルナスに変換して読んでいたものだから、気恥ずかしくなったシルヴァリエは慌ててそうごまかす。

「なるほど?」

 シルヴァリエの答えに満足しなかった様子カルナスはひょいと首を傾げ、シルヴァリエが持っていた本の表紙へ視線を走らせる。それに気づいたシルヴァリエは本を慌てて自分の体の後ろに隠した。

「”主人と”……ん。おい、シルヴァリエ、隠すな」
「カルナス団長がお気になさるような本じゃありませんよ。くだらなくてつまらない、通俗小説です」
「それにしては随分と熱心に読んでいたじゃないか」
「それは、その、僕はくだらない人間ですから。くだらない本が面白いんです」
「奇遇だな。私もくだらない人間なので、くだらない本に興味があるんだ」

 嘘をつけ、とシルヴァリエは思った。体だけの関係とはいえ頻繁にカルナスの部屋に出入りしていると、その趣味嗜好も徐々に見えてくる。カルナスが好んで読むのは武術の教本や歴史書、あるいは法律書など騎士団長の職務に役立つようなお堅い内容のものばかり。内容がまるでないエロ小説などはカルナスの好みの真逆に位置しているはずだ。

 もっとも、そんなくだらないものを試しに読ませてどんな反応をするか見てみたい気持ちはある。だが、できれば淫紋の効果が強まっている時にしておきたい。今のカルナスにこんなものを読ませたら、ましてそれを、カルナスが仕事をしている横でシルヴァリエが読み耽っていたということがわかったら、しばらく寝室に入れてもらえないかもしれない。それはシルヴァリエにとって是非とも避けたい事態である。

「それで? どういう内容なんだ?」
「……あの」
「うむ」
「その、僕もはじめのほうを読んだだけなんであまりよくはわからないんですけど……主人が……ある家の主人が、なにもできないと思われていた下男の数少ない長所を発見して、手ずからそれを伸ばしていくという……」
「部下の能力開発ものか」
「はい、まあ、そんな感じと言えばそんな感じの」
「それは私にとっても興味深いテーマだな。通俗小説だからといってなにが劣るものでもない。読み終えたら詳しく内容を教えてくれないか? 良さそうなら私も読もう」
「……ええ、もちろん」

 シルヴァリエは顔がひきつっているのがわからないよう気をつけて返事をしながら、背後で丸めている”ドS主人とドジっこ下男”を、どうやって秘密裏に処分するか頭を悩ませていた。


~Fin~
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感想 8

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みんなの感想(8件)

いとまっち
2022.04.15 いとまっち

逞しい騎士団長とお貴族様のお戯れ。
…いいです!
まさかルイーズが男だったなんてどんでん返しが面白かったです。
なんかカルナスが刺されてあやふやになっちゃったけど、ちゃんと後日、二人で婚姻の儀を行って欲しいです。
貴族生活に擦れてるシルヴァリエですが、新婚生活でカルナスに感化され、愛する者をを誠実に愛する、というまっとうな?夫になって欲しいなあ。
でも時々お仕置きも忘れずに!

解除
penpen
2022.02.19 penpen

エピローグ・・・え?∑(@_@;)エピローグ〜∑∑(´゚д゚`)
え?終わり?違いますよね?完結ってなってないし(_・ω・)_ババァン!!

解除
夏生 羽都
2022.02.19 夏生 羽都

完結おめでとうございます。
ハラハラしながらも毎日更新を楽しみにしながら読ませていただきました。
シルヴァリエ目線だと、入団当初のカルナスの印象は良くなかったのですが、ノルダ・ロウが見ていたカルナスを知ってからもう一度読み返すと、違った印象で見れそうです。
細かい心理描写も丁寧で、何回も読み返させていただいていました。
読み応えのある作品をありがとうございました。

解除

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