鬼の騎士団長が淫紋をつけられて発情しまくりで困っているようなので、僕でよければ助けてあげますね?

狩野

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湖畔の歓待(7)

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「主人に逆らう下男をしつける方法、知ってます?」

 カルナスが首を横に振る。

「そうして椅子の背につかまらせておいて、尻に鞭を振るうんです。今となっては時代遅れの、古い方法ですよ。野蛮ですよねえ」

 そう言いながらシルヴァリエは、カルナスが下半身に身につけていたものを膝のあたりまでずり下げた。突然光のもとに晒されたカルナスの後孔が、きゅっと収縮する。シルヴァリエはカルナスの蟻の門渡りにある淫紋を撫で上げた。

「……っ!」

 カルナスが全身緊張させる。魔術師ではないシルヴァリエには魔力の度合いなどわからないが、その淫紋は、以前見たときよりも少し色が薄まっているように見えた。

 シルヴァリエはテーブルの上に置かれていた食用油を手に垂らし、菊門に指先をめり込ませた。

「――っ!」
「残念ながら今は鞭がないですから。代わりに中から可愛がってあげますね」
「や、やめ……っ」
「うしろ、すでに少し緩んでますね。昨日ほぐしてあげたからかな。それとも、さっきのキスのせい?」

 言いながらシルヴァリエは二本目の指を入れ、さらに半勃ちになっていたカルナスの陰茎を軽くしごいて完全な勃起状態にさせてからもう一本指を増やし、前後に動かす。

 カルナスの下半身から、ぐちゅ、ぐちゃ、ぐちゅ、と、柔肉を蹂躙する音が途切れることなく響く。耳を犯されているような気分になりながらも必死に声をこらえていたカルナスは、シルヴァリエの手が自分から離れたのに気づいてほっと息をつく。しかし、次の瞬間、熱くて太いものが自分のなかに侵入してきた衝撃に、目の前が真っ白になる。

「ああ?! ああ、ああああああっ!」
「あぁ、やっぱり挿れてほしかったんですね、カルナス団長」
「ひぅ……」
「カルナス団長の中、ぐっちゃぐちゃですね。柔らかいのに締め付けてきますよ。気持ちいいな」
「ぅ……あ……」
「このままだと最後までしたくなっちゃうので、いったん抜きますね」
「ぇ……?」

 言葉通り、一度カルナスの中に押し込まれたシルヴァリエのものが引き抜かれると、カルナスの口から、惜しむような吐息が漏れた。シルヴァリエは少し笑って、

「淫乱なカルナス団長はこのまま待たせるとつらいかな。別のものをいれておいてあげますね」

 と、腰に差していた短剣の紐を解き、舌をはわせる。

「いらない……やめろ、シルヴァリエ……」

 動くな、というシルヴァリエの言いつけを律儀に守り、手を椅子の背に置いたままシルヴァリエのほうを向けないでいるカルナスだったが、背後で聞こえる金属音に不安を隠せない。シルヴァリエは油を垂らした鞘を、カルナスの後孔に侵入させた。

「ひ……っ! あ、ぁ、あ……なに……これ……っ!」
「短剣の鞘です。カルナス団長、力を抜いて」
「あ、ああ、やだ、入って……くる……」
「そりゃあ入れてますから」

 シルヴァリは短剣の鞘を半分ほどカルナスに埋め込んだところで止めた。

「これ以上はきついかな。ふふ、カルナス団長、前、また元気になっちゃいましたね。気に入っていただけてなによりです」
「や、やだ、や、抜け、抜け……っ!」
「抜こうにもカルナス団長が食いついてはなしてくれませんよ。ほら」

 シルヴァリエは後孔から顔を覗かせる出ている鞘の根元をつまんで軽く左右に揺らした。

「あ、あひっ! やめ、それ、動かすな……っ!」
「この短剣は僕も気に入ってるんですから、締め付けすぎて壊さないでくださいね」

 そう言いながら、シルヴァリエはカルナスのズボンと下着を上に引き上げた。下着とズボンの布の硬さにより、シルヴァリエの鞘はカルナスの後孔に押し込まれた状態で完全に固定される。

「う……ぁ……」

 ゆっくりと息を吐いて呼吸を整えようとするカルナスを長椅子に横たわらせたシルヴァリエは、そのシャツのボタンをはずして服を半脱ぎの状態にさせると、後ろ手に袖を縛り上げた。

「……なにを……」
「では、ルイーズのところへ行って竪琴を引いてきます。カルナス団長のお言いつけ通りにね。ですから、団長もその格好で僕を待っていてくださいね?」
「ぃ……ん……っ!」

 カルナスが否定とも肯定とも捉えがたい声を出したのは、シルヴァリエがその乳首を指で弾いたからだ。

「この格好のまま部屋に誰か入ってきたら大変ですねぇ、カルナス団長。ベッドまで連れて行ってあげましょうか? それともここで待ちます?」
「べ、ベッドに……行く……から、どけ……あ、あああっ! やぁっ!」

 勝手に立ち上がろうとしたカルナスにまたがったシルヴァリエは、軽く腰を振って自分の太腿でカルナスの陰茎をズボン越しに刺激しながら、両乳首を爪でひっかくように弄んだ。

「連れて行ってあげる、って言ってるのに意地をはるのは可愛くないですよ。連れて行って、っておねだりするならそうしてあげます」
「やめろ、やめ、それ、いや……あ、ああっ!」
「ベッドに行きたい?」
「行く、行くから、行きたい、ベッド、行く……!」
「連れてって、って言うんですよ。ベッドに連れてって、って」
「ベッド……行くそれ、やめ……ベッド、行くから……シルヴァリエ、やめろ、やめて……連れてっ……て……ベッド……連れてって……!」
「はい、仰せの通りに、カルナス団長」

 シルヴァリエは手を放し、極度の緊張状態から一転して弛緩したカルナスの額にキスをすると、シルヴァリエはカルナスを横抱きに持ち上げた。

「重い……だろうが……」

 両腕を縛られたままのカルナスが、せめてシルヴァリエの負担を和らげようとでもいうように、体をシルヴァリエのほうへ寄せる。

 途中で少しよろけたもののカルナスを寝室まで運んだシルヴァリエは、カルナスをベッドへ下ろすと、

「見た目より全然軽いですね、カルナス団長」

 そう言いながら、カルナスの髪を撫でた。

「……馬鹿を言え」

 カルナスが憮然とした表情になる。見た目よりも重いというのはそれだけ筋肉量が多いということで、カルナスにとっては軽いと言われるほうが屈辱だ。

 しかしシルヴァリエは、それに臆することなく耳元で囁いた。

「いいえ、軽かったですよ。羽でも生えているのかと思いました」

 カルナスの顔が一瞬にして赤くなった。

「お、お前……」
「僕がいない間に飛んでいかないで。お使いが終わるまで、いい子で待っててくださいね」

 ベッドに横たえたカルナスにシルヴァリエはそう言って軽くキスをし、天蓋の布を下ろした。

 シルヴァリエの足音が遠ざかり、部屋の扉から出て行くのを確認して、カルナスはほっと息を吐き、柔らかすぎるベッドに頭を沈める。

 体を少し動かすたびに内部のものが擦れて、呼吸が乱れるが、

「どうということはない……」

 と、カルナスはひとり呟く。

 シルヴァリエがわずかに開けて行った寝室の窓の隙間から、やがて竪琴とフルートの調べが天蓋の中にまで流れてきた。それは古の恋の歌だったが、ベッドの上のカルナスはそうとは知らぬまま、瞼を閉じた。
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