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湖畔の歓待(3)
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シルヴァリエがカルナスに追いついたのは、家令が案内した部屋のなかへちょうど入ろうしているところだった。
「シルヴァリエ?」
足音に気づいたカルナスがシルヴァルエの方を見て、目を見開く。
「ルイーズは送ってきたのか?」
「途中まで」
「途中?」
「ルイーズがあとはいいと。嫌われてしまったかな」
「……それは……」
「ここは来客待合用の小部屋か。僕もここで待っていていいかな」
部屋のなかを覗いたシルヴァリエが、カルナスではなく案内していた家令に向かって尋ねる。
もちろんでございます、と家令が答えるや否や、シルヴァリエはカルナスを部屋に押し込むようにした後で自分もそれに続き、後ろ手にドアを閉めた。
「シルヴァリエ、お前、なにをした」
扉が閉まるなり、カルナスはシルヴァリエに、息を吐く音と変わらぬような潜めた声で、しかし胸ぐらをつかまんばかりの勢いで、尋ねた。
「なにをした、って、なんですか?」
カルナスにあわせシルヴァリエも囁くような声で、尋ね返す。
「ルイーズになにか嫌われるようなことをしたのか」
「は?」
シルヴァリエの眉が、つり上がった。
「なにもしてませんが。いったいなにを気にしているんです?」
「なにもせずに嫌われることなどあるか」
「なんですかその言い分は。だいたい、団長には関係ないでしょう。それより僕には聞きたいことが……」
「お前が、よその国の要人に失礼をしていないかを気にしているんだ! なにをした?」
「…………」
シルヴァリエが無言になったので、カルナスはさらに何か言おうと口を開く。シルヴァリエはその口に、噛み付くように口付けた。
「?!」
ふいをつかれ何をされているのかカルナスが気づかないうちに、シルヴァリエはカルナスの背後に両手を回し、背伸びするようにシルヴァリエに迫っていたカルナスの尻肉をかき回すように揉む。
ズボンの上からでも十分な弾力を感じるそこの割れ目に指を這わせるころになってようやく、我に返った様子のカルナスがシルヴァリエの手から逃れようともがきはじめた。
「やめろっ!」
なおも潜めた声で、カルナスが怒りを露わにした。シルヴァリエはそんなカルナスの顎を掴み、再び強引に口付ける。
唇を引き結んで一方的な行為に抵抗するカルナスに対し、シルヴァリエは硬く閉じた唇を無理に割り開こうとはせず、誘うようにその周辺に小さなキスを繰り返す。カルナスが何か言おうと口をひらけば、きっとすぐにシルヴァリエに侵入されてしまう。つまりは、何かを言おうとすることはキスを誘う行為だと――シルヴァリエが勝手に決めたカルナスにはあまりに不利なそのルールをゆっくり教え込むように、頑なな唇を甘噛みし、舌先で嬲る。
扉一枚開ければ誰がいるのかわからないようなところで、いったいどれだけそうしていたのかシルヴァリエにもわからなくなったころ、シルヴァリエは密着しているカルナスの体の異変に気づいた。
「――淫紋、また元気になっちゃいました?」
シルヴァリエはカルナスの股間の膨らみを自分の太腿で撫でるように足を動かしながら、愉悦を含んだ声で尋ねる。
「それともこれはカルナス団長自身の反応?」
「…………っ」
「ねえ、どっちですか、カルナス団長」
「ち……」
カルナスが何か言おうと口を開いた瞬間、シルヴァリエはその隙間に舌を滑りこませ、口全体を強く吸った。
ベルトをしたままのズボンから強引に汚れたシャツの裾を引き出し、その隙間から素肌に触れる。
「ひゃめ……」
カルナスがなおも抵抗の言葉を口にするのをさらに深いキスで黙らせ、シャツを捲り上げカルナスの上半身を露わにしながら肌の感触を確かめる。
「シルヴァリエ、やめろ、やめてくれ、今は……」
呼吸が荒くなってきたカルナスのために一度唇を離してやると、カルナスはシルヴァリエの胸元にすがりつくようにして懇願した。
シルヴァリエはそれを鼻で笑っていなす。
「カルナス団長は口先ばっかり」
「違う、シルヴァリエ!」
「本当にいやなら本気で抵抗すればいいじゃないですか。あなたは僕よりずっと強いんですから」
「物音を立てて……人が来たら……」
「人が来たら困るから、って言いたいんですか? じゃあ、そういうことにしておきましょうか」
シルヴァリエは含み笑いをしながら再びカルナスに口付け、その脇腹のあたりを指先で撫で上げた。
カルナスの全身がびくんびくんと反応する。
シルヴァリエの手がカルナスのベルトにかかったところで、部屋の外からルイーズの声がした。
「シルヴァリエ?」
足音に気づいたカルナスがシルヴァルエの方を見て、目を見開く。
「ルイーズは送ってきたのか?」
「途中まで」
「途中?」
「ルイーズがあとはいいと。嫌われてしまったかな」
「……それは……」
「ここは来客待合用の小部屋か。僕もここで待っていていいかな」
部屋のなかを覗いたシルヴァリエが、カルナスではなく案内していた家令に向かって尋ねる。
もちろんでございます、と家令が答えるや否や、シルヴァリエはカルナスを部屋に押し込むようにした後で自分もそれに続き、後ろ手にドアを閉めた。
「シルヴァリエ、お前、なにをした」
扉が閉まるなり、カルナスはシルヴァリエに、息を吐く音と変わらぬような潜めた声で、しかし胸ぐらをつかまんばかりの勢いで、尋ねた。
「なにをした、って、なんですか?」
カルナスにあわせシルヴァリエも囁くような声で、尋ね返す。
「ルイーズになにか嫌われるようなことをしたのか」
「は?」
シルヴァリエの眉が、つり上がった。
「なにもしてませんが。いったいなにを気にしているんです?」
「なにもせずに嫌われることなどあるか」
「なんですかその言い分は。だいたい、団長には関係ないでしょう。それより僕には聞きたいことが……」
「お前が、よその国の要人に失礼をしていないかを気にしているんだ! なにをした?」
「…………」
シルヴァリエが無言になったので、カルナスはさらに何か言おうと口を開く。シルヴァリエはその口に、噛み付くように口付けた。
「?!」
ふいをつかれ何をされているのかカルナスが気づかないうちに、シルヴァリエはカルナスの背後に両手を回し、背伸びするようにシルヴァリエに迫っていたカルナスの尻肉をかき回すように揉む。
ズボンの上からでも十分な弾力を感じるそこの割れ目に指を這わせるころになってようやく、我に返った様子のカルナスがシルヴァリエの手から逃れようともがきはじめた。
「やめろっ!」
なおも潜めた声で、カルナスが怒りを露わにした。シルヴァリエはそんなカルナスの顎を掴み、再び強引に口付ける。
唇を引き結んで一方的な行為に抵抗するカルナスに対し、シルヴァリエは硬く閉じた唇を無理に割り開こうとはせず、誘うようにその周辺に小さなキスを繰り返す。カルナスが何か言おうと口をひらけば、きっとすぐにシルヴァリエに侵入されてしまう。つまりは、何かを言おうとすることはキスを誘う行為だと――シルヴァリエが勝手に決めたカルナスにはあまりに不利なそのルールをゆっくり教え込むように、頑なな唇を甘噛みし、舌先で嬲る。
扉一枚開ければ誰がいるのかわからないようなところで、いったいどれだけそうしていたのかシルヴァリエにもわからなくなったころ、シルヴァリエは密着しているカルナスの体の異変に気づいた。
「――淫紋、また元気になっちゃいました?」
シルヴァリエはカルナスの股間の膨らみを自分の太腿で撫でるように足を動かしながら、愉悦を含んだ声で尋ねる。
「それともこれはカルナス団長自身の反応?」
「…………っ」
「ねえ、どっちですか、カルナス団長」
「ち……」
カルナスが何か言おうと口を開いた瞬間、シルヴァリエはその隙間に舌を滑りこませ、口全体を強く吸った。
ベルトをしたままのズボンから強引に汚れたシャツの裾を引き出し、その隙間から素肌に触れる。
「ひゃめ……」
カルナスがなおも抵抗の言葉を口にするのをさらに深いキスで黙らせ、シャツを捲り上げカルナスの上半身を露わにしながら肌の感触を確かめる。
「シルヴァリエ、やめろ、やめてくれ、今は……」
呼吸が荒くなってきたカルナスのために一度唇を離してやると、カルナスはシルヴァリエの胸元にすがりつくようにして懇願した。
シルヴァリエはそれを鼻で笑っていなす。
「カルナス団長は口先ばっかり」
「違う、シルヴァリエ!」
「本当にいやなら本気で抵抗すればいいじゃないですか。あなたは僕よりずっと強いんですから」
「物音を立てて……人が来たら……」
「人が来たら困るから、って言いたいんですか? じゃあ、そういうことにしておきましょうか」
シルヴァリエは含み笑いをしながら再びカルナスに口付け、その脇腹のあたりを指先で撫で上げた。
カルナスの全身がびくんびくんと反応する。
シルヴァリエの手がカルナスのベルトにかかったところで、部屋の外からルイーズの声がした。
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