鬼の騎士団長が淫紋をつけられて発情しまくりで困っているようなので、僕でよければ助けてあげますね?

狩野

文字の大きさ
上 下
34 / 90
本文

湖畔の歓待(3)

しおりを挟む
 シルヴァリエがカルナスに追いついたのは、家令が案内した部屋のなかへちょうど入ろうしているところだった。

「シルヴァリエ?」

 足音に気づいたカルナスがシルヴァルエの方を見て、目を見開く。

「ルイーズは送ってきたのか?」
「途中まで」
「途中?」
「ルイーズがあとはいいと。嫌われてしまったかな」
「……それは……」
「ここは来客待合用の小部屋か。僕もここで待っていていいかな」

 部屋のなかを覗いたシルヴァリエが、カルナスではなく案内していた家令に向かって尋ねる。

 もちろんでございます、と家令が答えるや否や、シルヴァリエはカルナスを部屋に押し込むようにした後で自分もそれに続き、後ろ手にドアを閉めた。

「シルヴァリエ、お前、なにをした」

 扉が閉まるなり、カルナスはシルヴァリエに、息を吐く音と変わらぬような潜めた声で、しかし胸ぐらをつかまんばかりの勢いで、尋ねた。

「なにをした、って、なんですか?」

 カルナスにあわせシルヴァリエも囁くような声で、尋ね返す。

「ルイーズになにか嫌われるようなことをしたのか」
「は?」

 シルヴァリエの眉が、つり上がった。

「なにもしてませんが。いったいなにを気にしているんです?」
「なにもせずに嫌われることなどあるか」
「なんですかその言い分は。だいたい、団長には関係ないでしょう。それより僕には聞きたいことが……」
「お前が、よその国の要人に失礼をしていないかを気にしているんだ! なにをした?」
「…………」

 シルヴァリエが無言になったので、カルナスはさらに何か言おうと口を開く。シルヴァリエはその口に、噛み付くように口付けた。

「?!」

 ふいをつかれ何をされているのかカルナスが気づかないうちに、シルヴァリエはカルナスの背後に両手を回し、背伸びするようにシルヴァリエに迫っていたカルナスの尻肉をかき回すように揉む。

 ズボンの上からでも十分な弾力を感じるそこの割れ目に指を這わせるころになってようやく、我に返った様子のカルナスがシルヴァリエの手から逃れようともがきはじめた。

「やめろっ!」

 なおも潜めた声で、カルナスが怒りを露わにした。シルヴァリエはそんなカルナスの顎を掴み、再び強引に口付ける。

 唇を引き結んで一方的な行為に抵抗するカルナスに対し、シルヴァリエは硬く閉じた唇を無理に割り開こうとはせず、誘うようにその周辺に小さなキスを繰り返す。カルナスが何か言おうと口をひらけば、きっとすぐにシルヴァリエに侵入されてしまう。つまりは、何かを言おうとすることはキスを誘う行為だと――シルヴァリエが勝手に決めたカルナスにはあまりに不利なそのルールをゆっくり教え込むように、頑なな唇を甘噛みし、舌先で嬲る。

 扉一枚開ければ誰がいるのかわからないようなところで、いったいどれだけそうしていたのかシルヴァリエにもわからなくなったころ、シルヴァリエは密着しているカルナスの体の異変に気づいた。

「――淫紋、また元気になっちゃいました?」

 シルヴァリエはカルナスの股間の膨らみを自分の太腿で撫でるように足を動かしながら、愉悦を含んだ声で尋ねる。

「それともこれはカルナス団長自身の反応?」
「…………っ」
「ねえ、どっちですか、カルナス団長」
「ち……」

 カルナスが何か言おうと口を開いた瞬間、シルヴァリエはその隙間に舌を滑りこませ、口全体を強く吸った。

 ベルトをしたままのズボンから強引に汚れたシャツの裾を引き出し、その隙間から素肌に触れる。

「ひゃめ……」

 カルナスがなおも抵抗の言葉を口にするのをさらに深いキスで黙らせ、シャツを捲り上げカルナスの上半身を露わにしながら肌の感触を確かめる。

「シルヴァリエ、やめろ、やめてくれ、今は……」

 呼吸が荒くなってきたカルナスのために一度唇を離してやると、カルナスはシルヴァリエの胸元にすがりつくようにして懇願した。

 シルヴァリエはそれを鼻で笑っていなす。

「カルナス団長は口先ばっかり」
「違う、シルヴァリエ!」
「本当にいやなら本気で抵抗すればいいじゃないですか。あなたは僕よりずっと強いんですから」
「物音を立てて……人が来たら……」
「人が来たら困るから、って言いたいんですか? じゃあ、そういうことにしておきましょうか」

 シルヴァリエは含み笑いをしながら再びカルナスに口付け、その脇腹のあたりを指先で撫で上げた。

 カルナスの全身がびくんびくんと反応する。

 シルヴァリエの手がカルナスのベルトにかかったところで、部屋の外からルイーズの声がした。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...