鬼の騎士団長が淫紋をつけられて発情しまくりで困っているようなので、僕でよければ助けてあげますね?

狩野

文字の大きさ
上 下
27 / 90
本文

高原の狩猟(5)

しおりを挟む
 馬から降り、自分が投げた小槍の刺さる茂みの中を確認したカルナスは、そのまま周辺を歩き始めた。

 シルヴァリエも同じように茂みの中を覗き込んだところ、かなりの量の血が地面に染み込んでいる。これが兎のものだとすると、一撃で死にはしなかったものの確実に致命傷だ。逃げたにしても、あまり遠くには行っていないだろうとあたりをつけ、血の痕跡を追い、それが途絶えたあたりを探し始める。

 カルナスに半ば背を向けるようにしながらもさりげなく視界の端に捉えているのは、去り際のノルダ・ロウから「カルナス団長が深追いしそうになったら止めてください」と耳打ちされたからだ。もちろん、ノルダ・ロウに言われなくてもそうするつもりだったが、と、シルヴァリエは心の中でなにかに抗弁しながら、兎を探し続けた。

 しかしあっさり見つかるかと思ったら、意外に時間がかかる。

「ここは違うかな……カルナス団長、いました?」

 シルヴァリエは背中越しにカルナスに問いかけたが、カルナスは無言のまま、小槍であちこちの茂みをガサガサと薙ぎ払っている。

「カルナス団長、兎、いました?」

 聞こえなかったのかな、と、シルヴァリエはもう一度呼びかけた。しかしそれでもカルナスからの返事はない。

「カルナス団長?」

 シルヴァリエがカルナスに近づいていくと、カルナスは弾かれたように急に首だけシルヴァリエのほうを向いて、シルヴァリエから距離を取るように横歩きに二、三歩移動した。

「……僕が、なにか?」
「…………なにも」
「だったら返事くらいしてくださいよ」
「お前は森の外で待っていろ」
「え?」
「私ひとりでいい」
「そういうわけには行きません。同行するって約束したんですから」
「私は不要と言った」
「ひとりになりたいのは、その股間のモノが理由ですか?」
「――――っ?!」

 カルナスが息を呑み、その場にかがみこむ。

 シルヴァリエはカルナスの後ろに立ち、前の方を覗き込んだ。

「やっぱりな。歩き方が少しおかしいと思ったんですよね」
「――貴様!」

 かまをかけられたことに気づいたカルナスが立ち上がって逃げようとするのを、シルヴァリエは後ろから抱き抱えるようにして捕まえた。

「カルナス団長は素直すぎるんですよ」

 シルヴァリエがカルナスのむき出しになっている首筋にふっと息を吹きかけると、カルナスはびくんと肩を震わせた。

「はなせ……っ!」
「ああ、ズボンの上からだとそんなに目立たないですね。よく見れば気づくかもしれないっていうくらいです。いつから勃ってたんですか?」
「…………」
「団長って呼ばれながら、みんなの前で勃起してたんですか? それで半矢の獲物にかこつけて自慰をしようと」
「ち、違う! あの時はまだなんともなかった!」
「じゃあさっきから?」

 喋ることでカルナスの気を引きながら巧みにベルドを外していたシルヴァリエは、緩んだズボンの隙間から片手を忍び込ませ、カルナスの肌に直接触れた。

「?! し、シルヴァリエ?! 何をしている!!」
「このままだとつらいでしょう。手伝ってあげます」
「いらん!」
「僕とふたりきりになって、昨晩のことを思い出しちゃったんですか?」

 探り当てたカルナスの陰茎の先端を軽く撫で上げながら、シルヴァリエはカルナスの耳元に甘く囁くように尋ねた。

「バカか! 淫紋のせいだ……! 昨日だって、結局……」
「え?」
「…………っ」

 しまった、と言わんばかりに、カルナスは口もとを抑えた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...