16 / 90
本文
逢瀬の約束(5)
しおりを挟む
そのドアを開けてみると、目の前に人ひとりどうにか昇れるような、木造りの階段が現れた。
シルヴァリエは階段に足をかけ、昇り始めた。
上から、はっきりと、ガタガタッ、という物音が聞こえたが、今度は足を止めない。
案の定――上はちょっとした小部屋になっているようだ。
訓練用の木剣や先に重りをつけた棒がいくつか端に寄せられている他は、読みすぎてぼろぼろになったと思しき子供向けの本が数冊積み上がり、あとは休憩用らしい簡易ベットと毛布。
そして――頭から足の先まで毛布をすっぽり被り、藁の上にシーツを被せただけの、ベッドとも呼べないようなベッドの上で膝を抱えているのは――カルナスだ。
「――カルナス団長」
「し……シルヴァリエ……」
「なにをしてらっしゃるんですか」
「な……なにも……」
カルナスが怯えている。
自分に。
シルヴァリエは、背中がゾクゾクした。
「く、くるな! ここへ何をしに来た、帰れ!」
「僕がどこにいようと何をしようと何も言わないじゃないですか、普段は。どうしたっていうんですか、カルナス団長。そこ、何か隠してるんですか?」
シルヴァリエはカルナスのほうへ近づくと、カルナスが頭からかぶっている毛布の端を掴み、思い切りひっぱった。しかし、カルナスが毛布をぎゅっと掴んで掴んで離さないので、ひきはがすことはできない。シルヴァリエはなおも緩急をつけて毛布を引っ張りながら言った。
「ねえ、見せてくださいよ」
「や、やめろっ! こっちへ来るな! 向こうへ行けっ……出て行け!!」
「大きな声を出すと馬がびっくりしちゃいますよ、カルナス団長」
「……っ!」
カルナスの意識が一瞬階下の馬のほうへ行った瞬間を逃さず、シルヴァリエは渾身の力をこめて毛布を引っ張った。カルナスの手から毛布が離れ、隠していたものが露わになった。
「あっ……!」
「ほら、いけないもの隠してた」
「……っ」
「めちゃくちゃ勃起してますね。大丈夫ですか?」
「……お前に心配されるいわれはない」
さきほどシルヴァリエに馬のことを言われたのがきいたのか、カルナスは囁くような声で、憎々しげに言い返した。体を前かがみにして、自分の股間を両手で隠しながら。
「淫紋、まだ消えてないんですか」
「お前には関係ない」
「消えてないんですね」
「関係ないと……」
「いつからそんなになってたんですか? 今日の訓練中からずっと? みんなが一生懸命訓練してる姿を、おちんぽ勃てながら見てたんですか?」
「ば、ばかっ! そんなわけがあるか! さっき急に――」
「声が大きいですってば。さっきまで、ノルダ・ロウと一緒でしたね。勃起したところ、見られたんですか」
「見られてたまるか……!」
「見せたらどうにかしてくれたんじゃないんですか。見られたかったから勃起したのでは?」
「馬鹿が、いい加減にしろ!」
「団長は、あのノルダ・ロウとはそういう関係じゃないんですね?」
「そういう関係……?」
想像すらしていなかったことを言われた、と言わんばかりのカルナスのきょとんとした表情を見たら、急にかっとなって――シルヴァリエはカルナスをベッドに押し倒し、口付けた。
シルヴァリエは階段に足をかけ、昇り始めた。
上から、はっきりと、ガタガタッ、という物音が聞こえたが、今度は足を止めない。
案の定――上はちょっとした小部屋になっているようだ。
訓練用の木剣や先に重りをつけた棒がいくつか端に寄せられている他は、読みすぎてぼろぼろになったと思しき子供向けの本が数冊積み上がり、あとは休憩用らしい簡易ベットと毛布。
そして――頭から足の先まで毛布をすっぽり被り、藁の上にシーツを被せただけの、ベッドとも呼べないようなベッドの上で膝を抱えているのは――カルナスだ。
「――カルナス団長」
「し……シルヴァリエ……」
「なにをしてらっしゃるんですか」
「な……なにも……」
カルナスが怯えている。
自分に。
シルヴァリエは、背中がゾクゾクした。
「く、くるな! ここへ何をしに来た、帰れ!」
「僕がどこにいようと何をしようと何も言わないじゃないですか、普段は。どうしたっていうんですか、カルナス団長。そこ、何か隠してるんですか?」
シルヴァリエはカルナスのほうへ近づくと、カルナスが頭からかぶっている毛布の端を掴み、思い切りひっぱった。しかし、カルナスが毛布をぎゅっと掴んで掴んで離さないので、ひきはがすことはできない。シルヴァリエはなおも緩急をつけて毛布を引っ張りながら言った。
「ねえ、見せてくださいよ」
「や、やめろっ! こっちへ来るな! 向こうへ行けっ……出て行け!!」
「大きな声を出すと馬がびっくりしちゃいますよ、カルナス団長」
「……っ!」
カルナスの意識が一瞬階下の馬のほうへ行った瞬間を逃さず、シルヴァリエは渾身の力をこめて毛布を引っ張った。カルナスの手から毛布が離れ、隠していたものが露わになった。
「あっ……!」
「ほら、いけないもの隠してた」
「……っ」
「めちゃくちゃ勃起してますね。大丈夫ですか?」
「……お前に心配されるいわれはない」
さきほどシルヴァリエに馬のことを言われたのがきいたのか、カルナスは囁くような声で、憎々しげに言い返した。体を前かがみにして、自分の股間を両手で隠しながら。
「淫紋、まだ消えてないんですか」
「お前には関係ない」
「消えてないんですね」
「関係ないと……」
「いつからそんなになってたんですか? 今日の訓練中からずっと? みんなが一生懸命訓練してる姿を、おちんぽ勃てながら見てたんですか?」
「ば、ばかっ! そんなわけがあるか! さっき急に――」
「声が大きいですってば。さっきまで、ノルダ・ロウと一緒でしたね。勃起したところ、見られたんですか」
「見られてたまるか……!」
「見せたらどうにかしてくれたんじゃないんですか。見られたかったから勃起したのでは?」
「馬鹿が、いい加減にしろ!」
「団長は、あのノルダ・ロウとはそういう関係じゃないんですね?」
「そういう関係……?」
想像すらしていなかったことを言われた、と言わんばかりのカルナスのきょとんとした表情を見たら、急にかっとなって――シルヴァリエはカルナスをベッドに押し倒し、口付けた。
0
お気に入りに追加
432
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…



性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる