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遭遇の経緯(4)
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――まさか、死んでいるのでは。
最近カルナスは様子がおかしかった、というモーランの話を思い出し、シルヴァリエは胸騒ぎに襲われた。
「団長……どうかしましたか?」
死んでいるとしたら、シルヴァリエにとっては、死体など見るのははじめてだ。
むしろ一生なくていい経験である。人を呼ぶべきか悩んだ。しかし、もしも寝こけているだけなら、大騒ぎしたシルヴァリエのほうが笑い者だ。
シルヴァリエは勇気を振り絞り、部屋のなかへ足を踏み入れた。おそるおそる、カルナスのほうへ近づき、声をかける。
「団長……?」
できる限り離れたところから、覗き込むようにして、シルヴァリエはカルナスの様子を伺った。そして、驚くべき発見をした。
「…………」
……シルヴァリエは、わずかでもカルナスの心配をしてしまった自分が、馬鹿らしく思えた。
カルナスは、全裸でベッドサイドに座り込み、顎から先だけをベッドに預けて、自慰を行なっていた。
しかも、シルヴァリエがドアをノックし、何度か声までかけたというのに、それに気づく様子もなく。
シルヴァリエはそのまま足音を忍ばせカルナスの背後に近づき、股間に回した上腕の動きに応じて筋肉が躍動する肩を、ぽん、と叩いた。
「カルナス団長、なにやって……」
「ああ、あ――――――――――――――っ!」
驚かすつもりが、驚かされたのはシルヴァリエのほうだった。
肩を叩いた刺激のせいなのかどうなのか。カルナスは、シルヴァリエの目の前で、顔をベッドシーツに押しつけくぐもった嬌声をあげながら、達した。
「あ、ぁぁ、あ……」
しばらく肩で息をしていたカルナスだったが、やがて腕の動きを再開する。
まともな状態ではない――――。
シルヴァリエはカルナスの肩を掴み、強引に自分のほうを向かせた。
「カルナス団長! なにやってるんですか?!」
「え……ぁ、ああ! あッ!」
快楽で淀んでいたカルナスの目にシルヴァリエが映った直後、カルナスは再び射精。透明の液体が、シルヴァリエのズボンにまでかかった。
見れば、カルナスの下腹部と両手は己の精液でべたべたに汚れている。精液、といってもすでに限界を超えて出してしまっているようで、シルヴァリエのズボンにかかったそれはほとんど水みたいな状態だ。
シルヴァリエの経験上、どんなグラマラスな美女を前にしたって、こんな状態では勃起すらままならない。普通ならば。カルナスがどんなに強靭な肉体を持っていたとしてもだ。
しかし、カルナスの下半身は、まだ足りないとばかり半立ち状態でシルヴァリエを睨みつけている。それに気づいたカルナスが、慌てて前を隠したが、両手に収まりきらず、腕の隙間から赤剥けした先端がコンニチハしているという有様だ。
「き、貴様ッ! シルヴァリエ! 勝手に私の部屋へ踏み入るとは――」
「訓練開始しているのに団長が来ないというから、呼びに来たんですよ」
「え? ええっ?! もうそんな時間……」
カルナスが周囲を見回し、驚愕の表情になった。
よく見ればカルナスの目の下は落ち窪み、全体的な雰囲気も、以前対峙した時に比べだいぶんやつれているように見える。
元気なのは下半身ばかり。
シルヴァリエは少し考えてから、言った。
「カルナス団長、そこ、見せてもらえます?」
「あ?」
「だから、そこ。その手をどけて、ちょっと見せて……」
「ば、馬鹿か貴様! 色情狂めッ!」
膝をつき、カルナスの股間に手を伸ばしたシルヴァリエは、カルナスにしたたかに頬を打たれた。
最近カルナスは様子がおかしかった、というモーランの話を思い出し、シルヴァリエは胸騒ぎに襲われた。
「団長……どうかしましたか?」
死んでいるとしたら、シルヴァリエにとっては、死体など見るのははじめてだ。
むしろ一生なくていい経験である。人を呼ぶべきか悩んだ。しかし、もしも寝こけているだけなら、大騒ぎしたシルヴァリエのほうが笑い者だ。
シルヴァリエは勇気を振り絞り、部屋のなかへ足を踏み入れた。おそるおそる、カルナスのほうへ近づき、声をかける。
「団長……?」
できる限り離れたところから、覗き込むようにして、シルヴァリエはカルナスの様子を伺った。そして、驚くべき発見をした。
「…………」
……シルヴァリエは、わずかでもカルナスの心配をしてしまった自分が、馬鹿らしく思えた。
カルナスは、全裸でベッドサイドに座り込み、顎から先だけをベッドに預けて、自慰を行なっていた。
しかも、シルヴァリエがドアをノックし、何度か声までかけたというのに、それに気づく様子もなく。
シルヴァリエはそのまま足音を忍ばせカルナスの背後に近づき、股間に回した上腕の動きに応じて筋肉が躍動する肩を、ぽん、と叩いた。
「カルナス団長、なにやって……」
「ああ、あ――――――――――――――っ!」
驚かすつもりが、驚かされたのはシルヴァリエのほうだった。
肩を叩いた刺激のせいなのかどうなのか。カルナスは、シルヴァリエの目の前で、顔をベッドシーツに押しつけくぐもった嬌声をあげながら、達した。
「あ、ぁぁ、あ……」
しばらく肩で息をしていたカルナスだったが、やがて腕の動きを再開する。
まともな状態ではない――――。
シルヴァリエはカルナスの肩を掴み、強引に自分のほうを向かせた。
「カルナス団長! なにやってるんですか?!」
「え……ぁ、ああ! あッ!」
快楽で淀んでいたカルナスの目にシルヴァリエが映った直後、カルナスは再び射精。透明の液体が、シルヴァリエのズボンにまでかかった。
見れば、カルナスの下腹部と両手は己の精液でべたべたに汚れている。精液、といってもすでに限界を超えて出してしまっているようで、シルヴァリエのズボンにかかったそれはほとんど水みたいな状態だ。
シルヴァリエの経験上、どんなグラマラスな美女を前にしたって、こんな状態では勃起すらままならない。普通ならば。カルナスがどんなに強靭な肉体を持っていたとしてもだ。
しかし、カルナスの下半身は、まだ足りないとばかり半立ち状態でシルヴァリエを睨みつけている。それに気づいたカルナスが、慌てて前を隠したが、両手に収まりきらず、腕の隙間から赤剥けした先端がコンニチハしているという有様だ。
「き、貴様ッ! シルヴァリエ! 勝手に私の部屋へ踏み入るとは――」
「訓練開始しているのに団長が来ないというから、呼びに来たんですよ」
「え? ええっ?! もうそんな時間……」
カルナスが周囲を見回し、驚愕の表情になった。
よく見ればカルナスの目の下は落ち窪み、全体的な雰囲気も、以前対峙した時に比べだいぶんやつれているように見える。
元気なのは下半身ばかり。
シルヴァリエは少し考えてから、言った。
「カルナス団長、そこ、見せてもらえます?」
「あ?」
「だから、そこ。その手をどけて、ちょっと見せて……」
「ば、馬鹿か貴様! 色情狂めッ!」
膝をつき、カルナスの股間に手を伸ばしたシルヴァリエは、カルナスにしたたかに頬を打たれた。
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