6 / 36
ゴムのボール
しおりを挟む
僕はステータスウィンドウを閉じ、改めてその内容を整理してみる。
『僕は、この世界へスポーツを広めるために転生させられたらしい』
神に出会った記憶はないと思っていたけど、メールの内容から察するに、会っていたのだろう。
そんな記憶はあるような気もするが、あまり思い出したくないと思うのは何故だろう。
まあ、あの神様の態度を見れば、一目瞭然か。
でも、どうして僕が? ってのは置いておくとして、もしかしたらまた野球ができるかもしれないんだ。これを喜ばずにして、いられるものか。
「やったー!!」
「マルクス様?」
いかんいかん、うっかり叫んじゃった。
「ううん、何でもないよ」
「そうですか。ゆっくりお休みになってくださいね」
「は~い」
ふう、焦ったぜ。
これじゃあ、ただのお子様じゃねえか。まあ、お子様だけど……。
とりあえずメアリーを誤魔化せたのは良しとして、どうしよっか。
何かしらアクションを起こす必要はあると思うけど、まずはボールの入手?
それからキャッチボールをするためのグローブと、打つためのバットを作って、その後ベースにライン引きの順番かな。
いずれは球場も欲しいけど、百メートル四方のグランドがあったら十分だし、あとでいいや。
でも、ボールか……。
前世の子供の頃は広告用紙をクシャクシャにしてボールを作り、新聞紙を丸めてバットにして遊んだような記憶はあるけど、たぶんこの世界で紙は貴重だろうから無理だよね。代わりになりそうな物といえば……ミカン?
いやいや、無しでしょう。食べ物を粗末にしたら勿体ないお化けが出ちゃうし。
この世界にいるかわからないけど、ファンタジーだったらもしかして……。
うん、アホな考えは一旦忘れて、真面目に考えよう。
野球のボールっていったら、軟式か硬式。
軟式ボールの素材はゴムだから、この世界にゴムの木があれば作れそうだよね。
神様が普及させろって言うくらいなんだから、素材くらいあるでしょう。
まずは調べてみるか。
僕はステータスウィンドウを開き、神様から教えられたとおりにテキスト欄へ記入してみた。
『野球用のボール』
こんな感じかな。検索ボタンはないみたいだけど、どうすりゃいいんだ。
『ゴムボール、軟式ボール、硬式ボール』
おっと、選択肢が出てきた。これってたぶんクリックすればいいヤツだよね。
じゃあ、どうしよっか。僕はまだ五歳だから、安全面を考えてゴムボールってのもあり? 手本を見せる立場の僕がボールを怖がっていたらダメだよね。
うん、まずはゴムボール一択と。
『ゴムボール』
『素材 ゴムの木の樹液
アロン樹の根の粉末
ネンチャクカマキリの体液』
「…………げっ、マジでファンタジーだった」
とりあえず……、ゴムの木はあるんだ。それにアロン樹は知らないけど、問題ないでしょう。
でも、お前はダメだ。ネンチャクカマキリって何だよ。魔物か!? 魔物なのか!?
ぐをおおおっ!! どうすんだ、これ。ハアハアハア。
あ……、やべえ、熱が出た。
「あら、マルクス様? 少しお熱があるようですね。すぐに着替えましょう」
目ざとく僕の体調変化に気づいたメアリーが、すぐに着替えさせてくれる。
そして、またベッドの中へと思いきや、彼女はメイド服を脱ぎ、畳んでから一緒に中へって……。
(アウト!)
アウトだよね。
普通濡れたタオルをオデコにあてるとかでしょう。
そりゃあ、まるっきり下着姿ってわけじゃないけど、さっきまでと比べて生地が薄いし、感触がモロに伝わってきて、どうしていいかわからなくなる。
でも……。
「わたしが一緒にいますから、安心してお休みくださいね」
彼女は僕を軽く抱きしめてくれた。
そして、その温もりに包まれて安心した僕は、すぐに寝入ってしまったのだった。
『僕は、この世界へスポーツを広めるために転生させられたらしい』
神に出会った記憶はないと思っていたけど、メールの内容から察するに、会っていたのだろう。
そんな記憶はあるような気もするが、あまり思い出したくないと思うのは何故だろう。
まあ、あの神様の態度を見れば、一目瞭然か。
でも、どうして僕が? ってのは置いておくとして、もしかしたらまた野球ができるかもしれないんだ。これを喜ばずにして、いられるものか。
「やったー!!」
「マルクス様?」
いかんいかん、うっかり叫んじゃった。
「ううん、何でもないよ」
「そうですか。ゆっくりお休みになってくださいね」
「は~い」
ふう、焦ったぜ。
これじゃあ、ただのお子様じゃねえか。まあ、お子様だけど……。
とりあえずメアリーを誤魔化せたのは良しとして、どうしよっか。
何かしらアクションを起こす必要はあると思うけど、まずはボールの入手?
それからキャッチボールをするためのグローブと、打つためのバットを作って、その後ベースにライン引きの順番かな。
いずれは球場も欲しいけど、百メートル四方のグランドがあったら十分だし、あとでいいや。
でも、ボールか……。
前世の子供の頃は広告用紙をクシャクシャにしてボールを作り、新聞紙を丸めてバットにして遊んだような記憶はあるけど、たぶんこの世界で紙は貴重だろうから無理だよね。代わりになりそうな物といえば……ミカン?
いやいや、無しでしょう。食べ物を粗末にしたら勿体ないお化けが出ちゃうし。
この世界にいるかわからないけど、ファンタジーだったらもしかして……。
うん、アホな考えは一旦忘れて、真面目に考えよう。
野球のボールっていったら、軟式か硬式。
軟式ボールの素材はゴムだから、この世界にゴムの木があれば作れそうだよね。
神様が普及させろって言うくらいなんだから、素材くらいあるでしょう。
まずは調べてみるか。
僕はステータスウィンドウを開き、神様から教えられたとおりにテキスト欄へ記入してみた。
『野球用のボール』
こんな感じかな。検索ボタンはないみたいだけど、どうすりゃいいんだ。
『ゴムボール、軟式ボール、硬式ボール』
おっと、選択肢が出てきた。これってたぶんクリックすればいいヤツだよね。
じゃあ、どうしよっか。僕はまだ五歳だから、安全面を考えてゴムボールってのもあり? 手本を見せる立場の僕がボールを怖がっていたらダメだよね。
うん、まずはゴムボール一択と。
『ゴムボール』
『素材 ゴムの木の樹液
アロン樹の根の粉末
ネンチャクカマキリの体液』
「…………げっ、マジでファンタジーだった」
とりあえず……、ゴムの木はあるんだ。それにアロン樹は知らないけど、問題ないでしょう。
でも、お前はダメだ。ネンチャクカマキリって何だよ。魔物か!? 魔物なのか!?
ぐをおおおっ!! どうすんだ、これ。ハアハアハア。
あ……、やべえ、熱が出た。
「あら、マルクス様? 少しお熱があるようですね。すぐに着替えましょう」
目ざとく僕の体調変化に気づいたメアリーが、すぐに着替えさせてくれる。
そして、またベッドの中へと思いきや、彼女はメイド服を脱ぎ、畳んでから一緒に中へって……。
(アウト!)
アウトだよね。
普通濡れたタオルをオデコにあてるとかでしょう。
そりゃあ、まるっきり下着姿ってわけじゃないけど、さっきまでと比べて生地が薄いし、感触がモロに伝わってきて、どうしていいかわからなくなる。
でも……。
「わたしが一緒にいますから、安心してお休みくださいね」
彼女は僕を軽く抱きしめてくれた。
そして、その温もりに包まれて安心した僕は、すぐに寝入ってしまったのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?


ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる