元高校球児の僕だけど、異世界転生したら称号が球界のプリンスだった

かわなお

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ステータスオープン

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 さてさて、反省はここまでとして、そろそろ本題へ入ろう。

 僕は異世界転生を果たした。
 ということは、当然あるであろう異世界チート。
 もしくは、僕が王子であることから乙女ゲームだったりするかもだけど、まあ試すべきだよね、アレを。
 女神様に出会った記憶はないけれど、きっとあるはず。いや絶対にある。

 僕は心の中であの言葉を念じてみた。

(ステータス オープン)

―――――――――――――――――
 ステータス

 (名前) マルクス・ルナ・バトラウス (年齢)五歳 (性別)男
 (所属) バトラウス王国第三王子

 (能力)
  (ちから)  1/99
  (スタミナ) 1/99
  (知力)   1/99
  (走力)   1/99
  (遠投力)  1/99
  (守備力)  1/99
  (長打力)  1/99
  (指揮力)  1/99

 (技能) 鑑定 1/10
 (称号) 球界のプリンス

――――――――――――――――――

 おおっ、でた! 
 ほんとに出た。

 へえ~、ステータスウィンドウってこんな感じなんだ…………って、いやいや、ちょっと待て。
 おかしいだろ、これ。

 ちからとスタミナ、知力は、わかる。
 けど、走力? 遠投力? 守備力? 長打力?

 これって全部、野球のステータスだよね。しかもオール1って。そりゃあまだ五歳だし、なんも鍛えてないけどさ。

 でも、それよりもっと気になるのが称号。
 球界のプリンスって何? 
 僕は王子様だけど、違うでしょ。
 だいたいステータスっていったら、体力に魔力、それと攻撃力や防御力だよね。鑑定はうれしいけど……。
 それに僕は高校生止まりだし、球界のプリンスどころじゃないわ! ハアハアハア……。

「マルクスさま。いかがなさいました?」

 おっと、いけない。興奮してメアリーがいたこと忘れてた。

「ううん、なんでもないよ」

 僕がそう伝えても、心配そうな彼女。
 昼間、頭を打っているだけに、体調の変化を気にしているようだ。

「あら、マルクスさま、汗をかいていらっしゃいますね。御寝間着を着替えましょうか」

「あ、うん」

 メアリーからそう指摘され、僕は背中に感じる嫌な感触に気づく。
 どうやら想像以上に興奮していたらしく、全身汗だくとなっていた。

 彼女は素早く僕の服を脱がせると、身体を拭いてから新しい服へと着替えさせてくれる。
 流石に手慣れたもので、僕はすぐに布団の中へ戻された。

「ありがとう」

「はい、ゆっくりお休みなさってくださいね」

「うん」

 ……って、こんなの好きになっちゃうよ。

 僕の精神年齢は18歳だからね。
 同年代の子と付き合うより、彼女くらいが合っていると思う。

 それで僕は良くないと思いつつ、メアリーのことをもっと知りたくて……。

(ごめんね。鑑定)


 ――――――――――――

 ステータス

 (名前)  メアリー・ラクソニール (年齢)十五歳 (性別)女
 (所属)  ラクソニール伯爵家長女
       マルクス・ルナ・バトラウスの侍女

 (能力)
  (ちから)  5/12
  (スタミナ) 6/15
  (知力)   8/20
  (走力)   3/08
  (遠投力)  2/10
  (守備力)  3/07
  (長打力)  2/05

――――――――――――

 ん、んんん……ふぅ……。
 
 えっと、とりあえず、メアリーって貴族だったんだ。
 王族に仕える侍女だったら、それも当然か。
 それに、上位貴族のお嬢様が行儀見習いで就いたりするって、ラノベで読んだ気もするし。
 でも、侍女って、確か女性につく専属メイドのような存在だよね。
 どうして僕の侍女なんだ?
 
 う~ん、わからん。
 
 まあ、それよりも……またこれか。
 なんで彼女にまで適用されるかな。
 僕と比べて分母がだいぶ小さいみたいだけど、こっちがマックスってことで合ってるよね。
 メアリーの場合、分母が小さいから、あそこまででストップって感じかな。

 ただ、これじゃあゲームみたいなステータスだよね。

 …………ん、ゲーム? いや、そりゃあ乙女ゲームの世界かもなんて思ったりもしたけど、まさかそっち? 野球チームを作ろう的な……。

 うん、この件は一旦放置で。
 考えないようにしよう。

 変なことは忘れて、僕は再び眠りに就こうと目を閉じる。
 彼女もそれを察したのか「お休みなさいませ、マルクス様」と一声かけて、部屋の隅に用意されたソファーへと戻っていった。

 けれど、『ピコーン』と頭に直接響く音で、僕の眠りは妨げられるのだった。
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