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14-2. 村の兄弟(カイルside)
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「じいちゃんただいま!」
カティア姉ちゃんの宿から何とか日暮れ前に戻って来れた。森は馬を走らせにくいし、行きはトマスさんに気を遣って走って疲れたし、昼メシも食べて腹いっぱいだったから休み休みで帰ってきたけど、あぁ疲れたー。
「おかえりカイル、ご苦労さん」
「トマスさんも無事街まで行けそうだったよ」
「そりゃ良かった。この村に閉じ込められては商人さんはたまったもんじゃないだろう」
外の村がどうかはあまり知らないけど、この村はみんな人あたりが良いと思う。トマスさんが来た時もみんなで歓迎したし、もしあのまま身動き取れなくなってたとしても、不便がないように過ごしてもらえたとは思う。でも商売が出来ないのはやっぱりしんどいんだろう。俺たちがいきなり畑を耕せなくなるようなもんだもんな。
「そうだ、カティア姉ちゃんの所に修行だとか言って人が増えてたよ」
「ほう…もしかして明るい髪色をしたかっこいいお兄さんじゃないか?」
「うん、イケメンだった。イケメンが二人と、あとめちゃくちゃかわいい女の子がいた」
ガチャン、と後ろで音がして振り返ると、ゲイル兄ちゃんが持ってた工具を落として青い顔で立っていた。やべぇ。
「カイル、詳しく聞かせてくれ」
「えっと…エリザさんの古い知り合いの親戚?とかで、今度街に宿を作るとかで、それで修行に来てるんだって」
「古い知り合いの親戚ってもうそれ赤の他人じゃないか…!」
あーやっぱりそう思うよな。俺も思った。カティア姉ちゃんお人好しすぎんだろって。
「男性が二人だなんて、カティアは無理矢理丸め込まれたりしてるんじゃないだろうな!」
俺の肩を掴んできてがくがくと揺さぶられた。兄ちゃんはカティア姉ちゃんの事になると本当にウザいほど心配性になるんだよなぁ。
「無理矢理って感じではなかったと思うよ、仲良さそうだったし」
そう言うとそれはそれでショックだったらしく、俺の肩を揺らすのをやめて俯いた。俺の肩に置いた手に力が入って痛い。そんなに心配で他の男が気になるならさっさと嫁にもらっちゃえばいいのに。そして俺の肩を離してほしい。
「はっはっ、ゲイルも試練の時かもしれんなぁ。私が行った時にいたお兄さんなら、覚悟を決めて相当頑張らないと駄目かもしれんよ?」
「じいちゃん会ったことあるのか?」
「一人はこの前カティアちゃんの所に泊まった時に、朝方来たお兄さんだろう。宿の色んな所をじぃっと見ていたがそれも新しい宿の参考にと思っていたのかもなぁ」
じいちゃんが会ったことがあって、警戒してないならカティア姉ちゃんも大丈夫だろう。じいちゃんの人を見る目はピカイチだとこの村では有名だ。
「で、覚悟を決めないといけないってどういう事?」
「まず見た目はとにかく良かった。着ている物もシンプルだが仕立てが良かったし、仕草も綺麗だった。どこか良い所のご子息じゃないかと思うよ」
「兄ちゃんもう色々負けてんじゃん」
「うるさい、カティアは人を表面で判断する人間じゃない」
じいちゃんの話に肩から手は離してくれたけど、今度はゴツンと頭を叩かれた。何だよ、ほんとの事じゃん。怒るってことは自分でも認めてるってことじゃねーか。
「あとなぁ、カティアちゃんを見る目がとにかく優しかったし、最初は私を警戒していたんだよ。カティアちゃんを守ろうという気概を感じたね。もしかしたら前からの知り合いかもしれないなぁ」
確かに、何か距離近かったし。兄ちゃんには言えないけどキッチンでいちゃついてたし。あ、でもターニャって子もいたから別にいちゃついてたわけじゃねぇのかな?いちゃついてなくてあの距離感は逆にに兄ちゃんにとって相当やべぇと思うけど。
「あのお兄さんとカティアちゃんが今お互いをどう思ってるかはわからないが、お前がカティアちゃんを渡したくないなら、相当頑張らないといけないぞ?そもそもカティアちゃんはお前がどう思ってるかすら知らないんだからな」
兄ちゃんがカティア姉ちゃんを好きなのなんて、村の全員が知ってるし、兄ちゃんの態度を見れば初対面の人でもわかるくらいなんだけど、残念なことに本人はわかってないんだよなぁ。そんでたぶん、カティア姉ちゃんは兄ちゃんにそういう気持ちを持ってないと思う…。兄ちゃんだって、働き者だし頼り甲斐もあるし、俺はよく叩かれるけど基本的には優しいし、見た目だってそこまで悪くはないと思う。押したらカティア姉ちゃんだって意識してくれるかもしれないけど兄ちゃんはそれが出来ない。本当にカティア姉ちゃんをお嫁さんにしたいならそこからがんばらないと駄目だって事だ。
「……雨季が明けたら様子を見に行くよ…」
「雨季の間にあっちが進展しないと良いけどな」
ゴッツンと、さっきの2倍の強さで叩かれた。イテェ。
「まぁまぁ頑張りなさい。私はカティアちゃんが孫になってくれたら嬉しいがね。ゲイルが村から出ていってしまうのは惜しいが」
「あれ、お嫁さんに来てもらうんじゃなくて、兄ちゃんが婿に行くの?」
「宿とカティアちゃんを見守れというのがエリザさんの遺言だからなぁ。私の孫のせいで宿を潰すわけにはいかないだろうよ」
エリザさんにそんな事言われてたんだ。兄ちゃんも初めて聞いたらしく、ぽかんとしている。
「冗談だ。ほれ、そんな程度で揺らぐようじゃ負けだぞ」
「冗談かよ!」
たちが悪すぎる。エリザさんに怒られるよじいちゃん。
「エリザさんの遺言は本当だぞ?ただ、カティアちゃんが望むなら宿は捨てても良いと私は思っている。カティアちゃんにそう望ませる事が出来るかどうかだな、ゲイル」
兄ちゃんの顔を見ると、えらい真面目な顔になっていた。これは雨季が明けたら面白いものが見れるかもしれない。俺だってカティア姉ちゃんが本当の姉ちゃんになってくれたら嬉しい。俺は気合い入れに兄ちゃんの背中をバシンと叩いた。
カティア姉ちゃんの宿から何とか日暮れ前に戻って来れた。森は馬を走らせにくいし、行きはトマスさんに気を遣って走って疲れたし、昼メシも食べて腹いっぱいだったから休み休みで帰ってきたけど、あぁ疲れたー。
「おかえりカイル、ご苦労さん」
「トマスさんも無事街まで行けそうだったよ」
「そりゃ良かった。この村に閉じ込められては商人さんはたまったもんじゃないだろう」
外の村がどうかはあまり知らないけど、この村はみんな人あたりが良いと思う。トマスさんが来た時もみんなで歓迎したし、もしあのまま身動き取れなくなってたとしても、不便がないように過ごしてもらえたとは思う。でも商売が出来ないのはやっぱりしんどいんだろう。俺たちがいきなり畑を耕せなくなるようなもんだもんな。
「そうだ、カティア姉ちゃんの所に修行だとか言って人が増えてたよ」
「ほう…もしかして明るい髪色をしたかっこいいお兄さんじゃないか?」
「うん、イケメンだった。イケメンが二人と、あとめちゃくちゃかわいい女の子がいた」
ガチャン、と後ろで音がして振り返ると、ゲイル兄ちゃんが持ってた工具を落として青い顔で立っていた。やべぇ。
「カイル、詳しく聞かせてくれ」
「えっと…エリザさんの古い知り合いの親戚?とかで、今度街に宿を作るとかで、それで修行に来てるんだって」
「古い知り合いの親戚ってもうそれ赤の他人じゃないか…!」
あーやっぱりそう思うよな。俺も思った。カティア姉ちゃんお人好しすぎんだろって。
「男性が二人だなんて、カティアは無理矢理丸め込まれたりしてるんじゃないだろうな!」
俺の肩を掴んできてがくがくと揺さぶられた。兄ちゃんはカティア姉ちゃんの事になると本当にウザいほど心配性になるんだよなぁ。
「無理矢理って感じではなかったと思うよ、仲良さそうだったし」
そう言うとそれはそれでショックだったらしく、俺の肩を揺らすのをやめて俯いた。俺の肩に置いた手に力が入って痛い。そんなに心配で他の男が気になるならさっさと嫁にもらっちゃえばいいのに。そして俺の肩を離してほしい。
「はっはっ、ゲイルも試練の時かもしれんなぁ。私が行った時にいたお兄さんなら、覚悟を決めて相当頑張らないと駄目かもしれんよ?」
「じいちゃん会ったことあるのか?」
「一人はこの前カティアちゃんの所に泊まった時に、朝方来たお兄さんだろう。宿の色んな所をじぃっと見ていたがそれも新しい宿の参考にと思っていたのかもなぁ」
じいちゃんが会ったことがあって、警戒してないならカティア姉ちゃんも大丈夫だろう。じいちゃんの人を見る目はピカイチだとこの村では有名だ。
「で、覚悟を決めないといけないってどういう事?」
「まず見た目はとにかく良かった。着ている物もシンプルだが仕立てが良かったし、仕草も綺麗だった。どこか良い所のご子息じゃないかと思うよ」
「兄ちゃんもう色々負けてんじゃん」
「うるさい、カティアは人を表面で判断する人間じゃない」
じいちゃんの話に肩から手は離してくれたけど、今度はゴツンと頭を叩かれた。何だよ、ほんとの事じゃん。怒るってことは自分でも認めてるってことじゃねーか。
「あとなぁ、カティアちゃんを見る目がとにかく優しかったし、最初は私を警戒していたんだよ。カティアちゃんを守ろうという気概を感じたね。もしかしたら前からの知り合いかもしれないなぁ」
確かに、何か距離近かったし。兄ちゃんには言えないけどキッチンでいちゃついてたし。あ、でもターニャって子もいたから別にいちゃついてたわけじゃねぇのかな?いちゃついてなくてあの距離感は逆にに兄ちゃんにとって相当やべぇと思うけど。
「あのお兄さんとカティアちゃんが今お互いをどう思ってるかはわからないが、お前がカティアちゃんを渡したくないなら、相当頑張らないといけないぞ?そもそもカティアちゃんはお前がどう思ってるかすら知らないんだからな」
兄ちゃんがカティア姉ちゃんを好きなのなんて、村の全員が知ってるし、兄ちゃんの態度を見れば初対面の人でもわかるくらいなんだけど、残念なことに本人はわかってないんだよなぁ。そんでたぶん、カティア姉ちゃんは兄ちゃんにそういう気持ちを持ってないと思う…。兄ちゃんだって、働き者だし頼り甲斐もあるし、俺はよく叩かれるけど基本的には優しいし、見た目だってそこまで悪くはないと思う。押したらカティア姉ちゃんだって意識してくれるかもしれないけど兄ちゃんはそれが出来ない。本当にカティア姉ちゃんをお嫁さんにしたいならそこからがんばらないと駄目だって事だ。
「……雨季が明けたら様子を見に行くよ…」
「雨季の間にあっちが進展しないと良いけどな」
ゴッツンと、さっきの2倍の強さで叩かれた。イテェ。
「まぁまぁ頑張りなさい。私はカティアちゃんが孫になってくれたら嬉しいがね。ゲイルが村から出ていってしまうのは惜しいが」
「あれ、お嫁さんに来てもらうんじゃなくて、兄ちゃんが婿に行くの?」
「宿とカティアちゃんを見守れというのがエリザさんの遺言だからなぁ。私の孫のせいで宿を潰すわけにはいかないだろうよ」
エリザさんにそんな事言われてたんだ。兄ちゃんも初めて聞いたらしく、ぽかんとしている。
「冗談だ。ほれ、そんな程度で揺らぐようじゃ負けだぞ」
「冗談かよ!」
たちが悪すぎる。エリザさんに怒られるよじいちゃん。
「エリザさんの遺言は本当だぞ?ただ、カティアちゃんが望むなら宿は捨てても良いと私は思っている。カティアちゃんにそう望ませる事が出来るかどうかだな、ゲイル」
兄ちゃんの顔を見ると、えらい真面目な顔になっていた。これは雨季が明けたら面白いものが見れるかもしれない。俺だってカティア姉ちゃんが本当の姉ちゃんになってくれたら嬉しい。俺は気合い入れに兄ちゃんの背中をバシンと叩いた。
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