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6. 魔石術
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「ターニャ、この荷物はクローゼットで良いですか」
「ベッドの移動終わったぞターニャ」
「素敵なお部屋ね、カティア。ありがとう」
とりあえず荷物を部屋に運んでしまいましょうと案内したのだが、3人からものすごい圧をかけられている。従者2人は既にターニャ呼びだし、エドアルドからは敬語が消えた。サリタニアもだいぶラフな口調になっている。え、貴族ってこんなにすぐに敬語なしに話せるようになるもんなの…?私の中の貴族に対するイメージが偏見だらけなのかと不安になる。
「お気に召していただけて光栄です、ターニャ…様」
サリタニアが何か言いたそうに頬を膨らませて下から覗き込んでくるが、これが今の限界だ。
「もう、お客様がいらしたらどうするつもりなのですか」
「雨季前の閑散期なのでしばらくお客様はいらっしゃらないと思います。それまで練習させてください…」
サリタニアの視線が痛くて両手で顔を覆いたくなる。本当は頭を低くしたいのだ。本来なら見おろされる位置にいなければならないのだ。王族から覗き込まれるなんて何と言う拷問か。これに耐えているだけで許してほしい。
「ターニャ、念の為もうそろそろ薬を飲んでください」
私が嘆いていると、クライスが鞄から取り出した小瓶を持ってきた。
「え、殿下はお身体の具合がよろしくないのですか!?」
「カティアさん、言葉遣い。やり直し」
クライスから怒られる。敬称敬語を使う事で怒られるのは理不尽である。
「う…ターニャ、様、は具合が悪いの…?ですか?」
「…まぁいいでしょう」
そのにやにやした顔をやめてほしい。この人、絶対人をからかうのが趣味でしょう。
「わたしはとても元気です。これは姿を変える薬なのですよ。さすがにこの髪の色では平民に扮する事は出来ないでしょう?」
確かに。この短い時間に色々ありすぎて頭が混乱していて気づかなかったが、私ですら一瞬で王族だとわかったのだ。
サリタニアが小瓶を開けて一口薬を飲むと、根本から徐々に色が変わり、最終的に私より少しだけ明るい赤茶色に変わった。
「まぁ、カティアと同じ色ですね。私の魔力に反応して色が決まるらしく、飲んでみるまで何色になるかわからなかったのです。ふふ、姉妹に見えたりするかしら?」
「とてもよくお似合いですよ。本当に、カティアさんと並ぶと姉妹のようです」
嬉しそうなサリタニアを見て何ともこそばゆい気持ちになる。彼女の言うことは全て心からのものなのだと、この短時間でわかってしまった。恐れ多い気持ちはまだまだ消えないが、それでも心がくすぐったいような嬉しさも感じてしまう。
「5日に一度、忘れずに飲みましょう。薬は私が管理しておきますので」
「ありがとう、クライス」
「それと、カティアさんにはこれを」
そう目の前に出されたのは立派な鍵の付いた平たい木箱だ。クライスは鍵を開け、私の方に向けて箱を開ける。
「こちらに置いていただく為の依頼料を陛下よりお預かりしてまいりました。食費と部屋代に、色々とご迷惑をおかけするかと思いますので…どれくらいで足りるのかわからず、とりあえず季節が一巡りするまで白金貨10枚程を」
「うううう受け取れません!!」
箱には汚れ一つない白金貨が1枚ずつ、上等な光沢を放つおそらくシルクであろう布で覆われたクッションケースに収まっていた。ちなみに白金貨1枚で平民は一生遊んで暮らせるだろう。それが10枚だなんて。しかも陛下よりだなんて。
「困りましたね。お受け取りいただかねば私が陛下に怒られてしまうのですが」
怒られてください。私がこんな大金受け取るより平和です。
「じゅ、従業員なのでしょう?本来なら私がお給料を支払わなくてはならないので、それと相殺でいかがでしょう?」
我ながらひどい逃れ方だとは思う。白金貨のお給料なんて聞いたことない。
「ふむ、それもそうですね。では食費など困った際にはお声がけください。それまでは馬車の中に入れておきましょう」
「えっ外で保管するんですか!?こんな大金を!?」
「大丈夫ですよ、後で馬車ごと見えないように結界を張りますから」
結界…何をするんだろう。次から次へと見知らぬ事が出てきて頭がこんがらがりそうだ。でも馬車が見えなくなるというのはありがたい。見えにくい場所ではあるけれど、いつ誰に見られるかという不安はなくなる。
「クライス、馬車の中にまだ食料の箱が置いてあるだろう。それを回収しがてら、もう結界を張ってしまってくれ」
「わかった。ではここは頼んだ。カティアさん、結界を張るところ、見てみますか?」
「え、いいんですか?」
「興味津々なのが顔に出てますからね」
またも痛いところを指摘されたが、正直とても興味があったので嬉しい。杭を打つ時と同じようなキラキラとした不思議な光景が見れるのだろうか。
「クライスは魔石の扱いがとても綺麗なので、期待していていいですよ」
「ターニャ、ハードルを上げるのはおやめください」
厩舎へ行き、馬車から食料が入っていると言われた箱を出して、少し離れたところで待機していると、白金貨の入った箱を中に入れ終えたクライスが腰のポーチから小さな黄色い石をいくつか取り出した。この間と同じようにぶつぶつと何かを呟いた後、石に息を吹きかけると馬車の周りを四角く囲む様に石を置く。馬車の正面に戻りまた何か呪文を唱えると、四方に置いた石が石と同じ色の光の線で繋がれて、次に対角線上の石同士から次々とアーチ状に光が生まれて馬車を覆った。光の線がすっかり馬車を包み込むと、徐々に明度を落としてゆき、光が消える頃には馬車がまったく見えなくなっていた。
「すごい…」
「カティアさんは魔石術がお好きですね」
魔石を使ったこのような魔術を魔石術というのだろうか。
「だって、こんなに綺麗なもの今まで見たことないです!そういえば、サリタニアでん」
「ん?」
「…ターニャ、様はクライスさんの魔石術?が綺麗と仰ってましたが、人によって違うんですか?」
「そうですね、綺麗かどうかはさておき、魔石はそもそも結界用とか杭用などとは決まってなくて、ただ特性があるというだけなんです。その特性を理解して、術者が呪文や紋様などアレンジをして魔石の力を自分の都合の良いように解放するのが魔石術です。まぁ、料理と同じようなものですよ」
「料理と同じで良いんですか…でも私、クライスさんの魔石術がとても好きです。良かったらまた見せてくださいね」
正直にお願いすると、クライスは少し面食らったような顔をした後「機会があればまた」と少しだけ微笑んで、食糧の入った箱の方へ歩き出してしまった。
(何か失礼な事を言ってしまったかしら…?)
「カティアさん、これ、城の料理長が持たせてくれたんですがキッチンに運んでも良いですか?」
私の言動で不快な思いをさせたかと少し不安になったが、そう言うクライスはもう今までと同じ顔をしていたので、深く追求しないことにした。
「あ、はい。中身はどうしたら良いですか?」
「美味しく調理してください。まずは昼食からですかね」
そうだ。今日は4人分作らなくてはならないのだ。というか何を出せば良いのだろう。私一人だと昨晩のスープの余りなどで済ませてしまうこともあるが、そういう訳にもいかないだろう。
「普段宿泊客にお出ししているようなものをお願いできますか。今後の参考になりますので」
「お料理できるんですか?」
「いえ、残念ながら。でも知っているのとそうでないのとではいざ接客をしようとする時に違うでしょうから」
さっき魔石術と料理は同じようなものと言ったけれど流石に貴族様は料理は嗜んでいらっしゃらないようだ。そして接客する気も満々なようだ。
「調理場はエドアルドに頼ると良いでしょう。遠征時の簡易調理ですが調理器具の扱いには慣れているはずです」
「あの…まずは今後皆さんに何をどのようにどこまでしていただくかのご相談をしたいのですが…」
どんどんと役割を振ろうとしてくるクライスを一度止める。
「それもそうですね。では昼食をいただきながら話しましょう。用意はお願いしても?」
「はい、もちろん」
いつの間にか日がだいぶ高くなってきていた。お腹も空いてくる頃だろう。今日は昼からお肉を焼いても良いかもしれない、と献立を考えながら宿の中へと戻った。
「ベッドの移動終わったぞターニャ」
「素敵なお部屋ね、カティア。ありがとう」
とりあえず荷物を部屋に運んでしまいましょうと案内したのだが、3人からものすごい圧をかけられている。従者2人は既にターニャ呼びだし、エドアルドからは敬語が消えた。サリタニアもだいぶラフな口調になっている。え、貴族ってこんなにすぐに敬語なしに話せるようになるもんなの…?私の中の貴族に対するイメージが偏見だらけなのかと不安になる。
「お気に召していただけて光栄です、ターニャ…様」
サリタニアが何か言いたそうに頬を膨らませて下から覗き込んでくるが、これが今の限界だ。
「もう、お客様がいらしたらどうするつもりなのですか」
「雨季前の閑散期なのでしばらくお客様はいらっしゃらないと思います。それまで練習させてください…」
サリタニアの視線が痛くて両手で顔を覆いたくなる。本当は頭を低くしたいのだ。本来なら見おろされる位置にいなければならないのだ。王族から覗き込まれるなんて何と言う拷問か。これに耐えているだけで許してほしい。
「ターニャ、念の為もうそろそろ薬を飲んでください」
私が嘆いていると、クライスが鞄から取り出した小瓶を持ってきた。
「え、殿下はお身体の具合がよろしくないのですか!?」
「カティアさん、言葉遣い。やり直し」
クライスから怒られる。敬称敬語を使う事で怒られるのは理不尽である。
「う…ターニャ、様、は具合が悪いの…?ですか?」
「…まぁいいでしょう」
そのにやにやした顔をやめてほしい。この人、絶対人をからかうのが趣味でしょう。
「わたしはとても元気です。これは姿を変える薬なのですよ。さすがにこの髪の色では平民に扮する事は出来ないでしょう?」
確かに。この短い時間に色々ありすぎて頭が混乱していて気づかなかったが、私ですら一瞬で王族だとわかったのだ。
サリタニアが小瓶を開けて一口薬を飲むと、根本から徐々に色が変わり、最終的に私より少しだけ明るい赤茶色に変わった。
「まぁ、カティアと同じ色ですね。私の魔力に反応して色が決まるらしく、飲んでみるまで何色になるかわからなかったのです。ふふ、姉妹に見えたりするかしら?」
「とてもよくお似合いですよ。本当に、カティアさんと並ぶと姉妹のようです」
嬉しそうなサリタニアを見て何ともこそばゆい気持ちになる。彼女の言うことは全て心からのものなのだと、この短時間でわかってしまった。恐れ多い気持ちはまだまだ消えないが、それでも心がくすぐったいような嬉しさも感じてしまう。
「5日に一度、忘れずに飲みましょう。薬は私が管理しておきますので」
「ありがとう、クライス」
「それと、カティアさんにはこれを」
そう目の前に出されたのは立派な鍵の付いた平たい木箱だ。クライスは鍵を開け、私の方に向けて箱を開ける。
「こちらに置いていただく為の依頼料を陛下よりお預かりしてまいりました。食費と部屋代に、色々とご迷惑をおかけするかと思いますので…どれくらいで足りるのかわからず、とりあえず季節が一巡りするまで白金貨10枚程を」
「うううう受け取れません!!」
箱には汚れ一つない白金貨が1枚ずつ、上等な光沢を放つおそらくシルクであろう布で覆われたクッションケースに収まっていた。ちなみに白金貨1枚で平民は一生遊んで暮らせるだろう。それが10枚だなんて。しかも陛下よりだなんて。
「困りましたね。お受け取りいただかねば私が陛下に怒られてしまうのですが」
怒られてください。私がこんな大金受け取るより平和です。
「じゅ、従業員なのでしょう?本来なら私がお給料を支払わなくてはならないので、それと相殺でいかがでしょう?」
我ながらひどい逃れ方だとは思う。白金貨のお給料なんて聞いたことない。
「ふむ、それもそうですね。では食費など困った際にはお声がけください。それまでは馬車の中に入れておきましょう」
「えっ外で保管するんですか!?こんな大金を!?」
「大丈夫ですよ、後で馬車ごと見えないように結界を張りますから」
結界…何をするんだろう。次から次へと見知らぬ事が出てきて頭がこんがらがりそうだ。でも馬車が見えなくなるというのはありがたい。見えにくい場所ではあるけれど、いつ誰に見られるかという不安はなくなる。
「クライス、馬車の中にまだ食料の箱が置いてあるだろう。それを回収しがてら、もう結界を張ってしまってくれ」
「わかった。ではここは頼んだ。カティアさん、結界を張るところ、見てみますか?」
「え、いいんですか?」
「興味津々なのが顔に出てますからね」
またも痛いところを指摘されたが、正直とても興味があったので嬉しい。杭を打つ時と同じようなキラキラとした不思議な光景が見れるのだろうか。
「クライスは魔石の扱いがとても綺麗なので、期待していていいですよ」
「ターニャ、ハードルを上げるのはおやめください」
厩舎へ行き、馬車から食料が入っていると言われた箱を出して、少し離れたところで待機していると、白金貨の入った箱を中に入れ終えたクライスが腰のポーチから小さな黄色い石をいくつか取り出した。この間と同じようにぶつぶつと何かを呟いた後、石に息を吹きかけると馬車の周りを四角く囲む様に石を置く。馬車の正面に戻りまた何か呪文を唱えると、四方に置いた石が石と同じ色の光の線で繋がれて、次に対角線上の石同士から次々とアーチ状に光が生まれて馬車を覆った。光の線がすっかり馬車を包み込むと、徐々に明度を落としてゆき、光が消える頃には馬車がまったく見えなくなっていた。
「すごい…」
「カティアさんは魔石術がお好きですね」
魔石を使ったこのような魔術を魔石術というのだろうか。
「だって、こんなに綺麗なもの今まで見たことないです!そういえば、サリタニアでん」
「ん?」
「…ターニャ、様はクライスさんの魔石術?が綺麗と仰ってましたが、人によって違うんですか?」
「そうですね、綺麗かどうかはさておき、魔石はそもそも結界用とか杭用などとは決まってなくて、ただ特性があるというだけなんです。その特性を理解して、術者が呪文や紋様などアレンジをして魔石の力を自分の都合の良いように解放するのが魔石術です。まぁ、料理と同じようなものですよ」
「料理と同じで良いんですか…でも私、クライスさんの魔石術がとても好きです。良かったらまた見せてくださいね」
正直にお願いすると、クライスは少し面食らったような顔をした後「機会があればまた」と少しだけ微笑んで、食糧の入った箱の方へ歩き出してしまった。
(何か失礼な事を言ってしまったかしら…?)
「カティアさん、これ、城の料理長が持たせてくれたんですがキッチンに運んでも良いですか?」
私の言動で不快な思いをさせたかと少し不安になったが、そう言うクライスはもう今までと同じ顔をしていたので、深く追求しないことにした。
「あ、はい。中身はどうしたら良いですか?」
「美味しく調理してください。まずは昼食からですかね」
そうだ。今日は4人分作らなくてはならないのだ。というか何を出せば良いのだろう。私一人だと昨晩のスープの余りなどで済ませてしまうこともあるが、そういう訳にもいかないだろう。
「普段宿泊客にお出ししているようなものをお願いできますか。今後の参考になりますので」
「お料理できるんですか?」
「いえ、残念ながら。でも知っているのとそうでないのとではいざ接客をしようとする時に違うでしょうから」
さっき魔石術と料理は同じようなものと言ったけれど流石に貴族様は料理は嗜んでいらっしゃらないようだ。そして接客する気も満々なようだ。
「調理場はエドアルドに頼ると良いでしょう。遠征時の簡易調理ですが調理器具の扱いには慣れているはずです」
「あの…まずは今後皆さんに何をどのようにどこまでしていただくかのご相談をしたいのですが…」
どんどんと役割を振ろうとしてくるクライスを一度止める。
「それもそうですね。では昼食をいただきながら話しましょう。用意はお願いしても?」
「はい、もちろん」
いつの間にか日がだいぶ高くなってきていた。お腹も空いてくる頃だろう。今日は昼からお肉を焼いても良いかもしれない、と献立を考えながら宿の中へと戻った。
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