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タマネギ編
オツピジェへようこそ
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船に揺られること。3時間。順調にオドニに着くかと思われたその時、巨大な亀のような魔物が横から高速で泳いできた。
迂回して避けようとした。しかし亀が追いかけてくる。
「船長。このままでは進路を大きく外れてしまいます」
「仕方ない。迎撃する」
乗組員が魔法で立ち向かう。魔法を食らった亀は叫び声をあげる。そいつは海に潜る。そのまま引き返してくれるのかと思ったが、違った。魔物は船を下から突き上げ、壊した。
漂流した。目を覚ませば青空。
「ここは」
起き上がって、辺りを見渡す。
――海岸。荷物は無事の様だ。人はいない。とにかく歩こう。
歩くこと25分。町が見えた。
町に入ると「オツピジェへようこそ」という看板が出迎える。
――オツピジェか。たしかタマネギが居る。ならオドニは後にしてこっちから解決していこう。
ナザトはタマネギの情報収集をする。するとあっけなく情報は手に入った。建設中のピラミッドで働いているらしい。そのなかでもミイラ作成師を務めているそうだ。
ピラミッド内部。
立ち入り禁止の看板が所々にあるが、一般開放をしている。
パンフレット曰く、ここは共同墓地である。遺品や死者への贈り物が保管されている。なお、死体は乾燥させ、ミイラにしているらしい。理由はただ1つ。最後の審判の日に故人の魂は肉体に戻って復活する。そのために死体は燃やしたり、埋めたりはしないんだとか。
最奥へ進むとミイラを保管している部屋があった。
「貴女がタマネギさんですか?」
「そうです。今日はまだサボってませんよ?」
「別に注意しに来たわけではありませんよ。お届け物です」
「私に?」
セレカレスからの手紙を差し出す。
「彼女から?」
タマネギは手紙を確認する。
「……。そうですか。再会が楽しみですね」
「皆さんを植物に戻すようにとも仰せつかっています。ですが私はその前に、皆さんが抱えていると問題を解決したいのです。協力できることがあれば、何でも言ってくださいね」
「問題など、抱えてはおりません。それより、腕に傷がありますね」
左腕を見ると確かに切り傷があった。漂流したときに切ったのだろう。
「あっ、本当だ。後で手当てしないとですね」
「よろしければ消毒いたしましょうか?」
「いいんですか?」
「構いませんよ」
そう言って彼女は傷に触れる。掌が緑色に光る。少ししみる。
「はい。これでできました」
「ありがとうございます。それで"問題"の方は――」
「ありません。お引き取りください」
――駄目だった。まあ仕方ない。ひとまず、拠点こと宿を決めよう。
ピラミッドから一番近い宿に泊まることにした。
「お客さんオツピジェは初めてかい?」
「ええ。初めてです」
「なら運がいい。ここのピラミッドで働いてる、タマネギってやつは永遠の命を知ってるって話だぜ。古代の知識を持っていて、不老不死の方法を知ってるんだとよ。上手く交渉して、永遠の命でも貰ってくると良い」
「へえ、そんな噂が」
――彼女が抱える問題はその噂に関するものかも知れない。
「お話ありがとうございました」
翌日。ナザトは再度タマネギの元へ向かった。
「またお客さんですか」
「貴女の抱える問題についてですが、永遠の命を知っているという噂が関係しているのですか?」
「永遠の命? 何のことですか?」
「昨日聞いたんですよ。貴女は古代の知識を持っていて、その中に不老不死についてのものがあると」
「へぇ」
「何でそんなに無関心なんですか……」
少々呆れる。
「他人に興味がないので、誰がどんな話をしているとか、どうでもいいんですよ。大体永遠の命なんて、誰がどう考えてもあり得ないじゃないですか。普通気が付きますよね?」
「噂ってそんなものですよ」
「馬鹿馬鹿しいですね」
「そうですか。出直してきます」
――噂話は関係なかった。では何を抱えているのだろう。
迂回して避けようとした。しかし亀が追いかけてくる。
「船長。このままでは進路を大きく外れてしまいます」
「仕方ない。迎撃する」
乗組員が魔法で立ち向かう。魔法を食らった亀は叫び声をあげる。そいつは海に潜る。そのまま引き返してくれるのかと思ったが、違った。魔物は船を下から突き上げ、壊した。
漂流した。目を覚ませば青空。
「ここは」
起き上がって、辺りを見渡す。
――海岸。荷物は無事の様だ。人はいない。とにかく歩こう。
歩くこと25分。町が見えた。
町に入ると「オツピジェへようこそ」という看板が出迎える。
――オツピジェか。たしかタマネギが居る。ならオドニは後にしてこっちから解決していこう。
ナザトはタマネギの情報収集をする。するとあっけなく情報は手に入った。建設中のピラミッドで働いているらしい。そのなかでもミイラ作成師を務めているそうだ。
ピラミッド内部。
立ち入り禁止の看板が所々にあるが、一般開放をしている。
パンフレット曰く、ここは共同墓地である。遺品や死者への贈り物が保管されている。なお、死体は乾燥させ、ミイラにしているらしい。理由はただ1つ。最後の審判の日に故人の魂は肉体に戻って復活する。そのために死体は燃やしたり、埋めたりはしないんだとか。
最奥へ進むとミイラを保管している部屋があった。
「貴女がタマネギさんですか?」
「そうです。今日はまだサボってませんよ?」
「別に注意しに来たわけではありませんよ。お届け物です」
「私に?」
セレカレスからの手紙を差し出す。
「彼女から?」
タマネギは手紙を確認する。
「……。そうですか。再会が楽しみですね」
「皆さんを植物に戻すようにとも仰せつかっています。ですが私はその前に、皆さんが抱えていると問題を解決したいのです。協力できることがあれば、何でも言ってくださいね」
「問題など、抱えてはおりません。それより、腕に傷がありますね」
左腕を見ると確かに切り傷があった。漂流したときに切ったのだろう。
「あっ、本当だ。後で手当てしないとですね」
「よろしければ消毒いたしましょうか?」
「いいんですか?」
「構いませんよ」
そう言って彼女は傷に触れる。掌が緑色に光る。少ししみる。
「はい。これでできました」
「ありがとうございます。それで"問題"の方は――」
「ありません。お引き取りください」
――駄目だった。まあ仕方ない。ひとまず、拠点こと宿を決めよう。
ピラミッドから一番近い宿に泊まることにした。
「お客さんオツピジェは初めてかい?」
「ええ。初めてです」
「なら運がいい。ここのピラミッドで働いてる、タマネギってやつは永遠の命を知ってるって話だぜ。古代の知識を持っていて、不老不死の方法を知ってるんだとよ。上手く交渉して、永遠の命でも貰ってくると良い」
「へえ、そんな噂が」
――彼女が抱える問題はその噂に関するものかも知れない。
「お話ありがとうございました」
翌日。ナザトは再度タマネギの元へ向かった。
「またお客さんですか」
「貴女の抱える問題についてですが、永遠の命を知っているという噂が関係しているのですか?」
「永遠の命? 何のことですか?」
「昨日聞いたんですよ。貴女は古代の知識を持っていて、その中に不老不死についてのものがあると」
「へぇ」
「何でそんなに無関心なんですか……」
少々呆れる。
「他人に興味がないので、誰がどんな話をしているとか、どうでもいいんですよ。大体永遠の命なんて、誰がどう考えてもあり得ないじゃないですか。普通気が付きますよね?」
「噂ってそんなものですよ」
「馬鹿馬鹿しいですね」
「そうですか。出直してきます」
――噂話は関係なかった。では何を抱えているのだろう。
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