魔道具は希望と共に

小鳥遊怜那

文字の大きさ
上 下
101 / 104
オーメン編

語れ

しおりを挟む
「殺せたのか?」
 ナザトがオーサーに問う。
「魔道具になったってことは、そうだと思う」
「アマ兄は? アマ兄はどうなっちゃったの?」
 リコが迫る。
「魔王と共に死んだと考えるのが妥当だろう」
「そんな! 嫌だよ! こんなお別れなんて嫌だよ!」
「そう言われても……こればっかりは……」
「いや、まだ方法はある」
「ナザト?」
「オレの魔道具で元に戻せば――」
「駄目だ! それを使っても魔王が復活するだけだ!」
 オーメンが怒鳴る。そこにオーメンが割り込む。
「大丈夫だと思うよ」
「お前、もう意識戻ったのか」
「お陰様でね。それよりも復活のことだよ」
「なぜ大丈夫だと言える」
「最期に彼は意識を降り戻した。そのうえで魔王の体で自害したのなら、きっと戻るのはアマナス君だ」
「……約束しろ。もし復活するのが魔王だたら、今度こそ協力して戦ってもらうぞ」
「……分かったよ。敗者に意見する権利はない」
「じゃあナザト。やってくれ」
 ナザトが風呂敷でネックレスを包む。中が光る。そして人型になる。
 頼む。アマナスであってくれ。そう思いながら風呂敷を取る。
 出てきたのはアマナスだった。皆ほっと溜息をつく。

「んー」
 アマナスが目覚める。
「アマ兄!」
 リコが抱きつく。
「リコちゃん。ごめんね。心配かけて」
「ううん。起きてくれて嬉しいよ」
「皆さんもご心配おかけしました」
 いいよいいよ。魔王を倒してくれてありがとう。そんな言葉が返ってきた。
「オーメンさん。事情を聞かせてください」
「そうだよね。こうなった以上は、話さないわけにはいかないよね」
 彼女は腹を括った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

浅野浩二
恋愛
研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

処理中です...