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TS編
チェーンジ
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夜が明けた。
「アマナス君。起きて」
「……」
「大変なことになってるの。起きて」
「んー」
「しょうがない」
軽い雷撃を当てて起こす。
「うわー!」
アマナスは飛び起きる。
「おはよう」
「おはようございます。って、あれ?」
彼は自分の声が高くなっていることに気が付いた。そして水面に映る自分の姿を確認する。
「なんじゃこりゃー!」
そう。彼は女になっていた。
「オオオオーメンさん。これって」
「魔道具のせいだね」
「そんなー」
「まあ落ち着けよ。俺も女だ」
「 ~~」
声にならない声を出す。
「しかし男だけか。何故だ?」
「それを確認しに向かってるよ。幸い、竜宮城に行く前に進んでた方向だよ」
「なんで2人ともそんなに冷静なんですか? リコちゃんなんてさっきからポカンとしてますよ」
「何事も経験だし」
「性別でその人の価値は決まらないし」
オーサーとオーメンは達観していた。
「クソッ、次元が違う」
「生きてりゃそのうち分かるさ」
アマナスはイラっとする。
「それよりも陸地が見えてきたよ。アンカーの準備して」
陸地に着いた。しばらく進むと小さな村があった。
村に入ると、そこは混乱の最中だった。
「神様、俺のモノを返してくれよー」
「声が低くて気持ち悪いー」
「なんでお前は変わってないんだよ」
「知らないわよ」
など、怒声や悲痛な叫びが聞こえる。
「うわー。混乱してんなー」
「そりゃそうですよ。性別が変わればこうもなります」
「でも落ち着いている人もいるはずだよ。そういう人を探そう」
村を歩いていると、こんな状況でも開店している喫茶店があった。
「いらっしゃい」
ハードボイルドな男性が迎えてくれた。店には女性客が1人いた。
「紅茶を4つお願いします」
オーメンが注文をする。
「あいよ」
「少しお話聞いてもいいですか?」
「村に起きたことかい?」
「お察しの通りです」
「俺もさっぱり分からん。今朝目覚めたら、村中大騒ぎよ。俺の家族には何の変化もなかったがな」
「それは幸いでしたね。変わった人とそうでない人の違いって、何ですかね?」
「見た限りじゃ、子どもは変わってなかったな」
紅茶が出来上がった。
一口飲んでからオーメンは続ける。
「なら、これをやった犯人って誰だと思いますか?」
「さあな」
一瞬視線が逸れたのをオーメンは見逃さなかった。
「そうですか」
オーメンは席を立ち、先客に声をかける。
「愉しいですか? 今の状況は?」
「え? 何のことですか?」
「とぼけないでください。女性になりたくて、魔道具を使ったんですよね? 村を巻き込んで」
「違う! 巻き込むつもりはなかった! ……あ」
「墓穴を掘りましたね」
「ッ!」
「すごいですねオーメンさん。どうやって気づいたんですか?」
「ただのハッタリだよ」
「え?」
「勿論候補は絞ったけどね」
「候補って?」
「まず、性転換した人とそうでない人がいるわけだけど、犯人がどっちなのかは関係ない」
「どうして関係ないんですか?」
「大事なのは服装と態度だよ。犯人が性転換した場合、服の性別の人間の性別が違う。犯人が性転換していない場合、服と人間の性別は一致している」
「それだけじゃ、絞れないと思いますけど」
「次が大事なのさ。態度について。どちらにしても犯人は冷静なままでいられるし、服と体の性を一致させられる。だって性別が変わることが分かっていたから」
「冷静な人なら店長も当てはまりますけど」
「そうだね。だから私も店長かとも思ったけど、さっきの質問をしたとき視線がこの人に向いた。だから最初はこっちの人から聞こうと思ったの」
「それじゃあ、女性になりたくて魔道具を使ったっていうのは?」
「女装した人がこの魔道具を使うなら、きっとこんな理由かなって思っただけ」
「お見事ね。オーメンさん。それで、私をどうするの?」
「どうもしません。魔道具を回収出来たらそれでいいです」
「あと俺たちの体を戻してください」
「嫌よ。あれは私にとって希望だもの」
「お話聞かせてもらっても?」
「話したら引き上げてくれる?」
「もちろん」
オーメンはニヤァと笑う。
「アマナス君。起きて」
「……」
「大変なことになってるの。起きて」
「んー」
「しょうがない」
軽い雷撃を当てて起こす。
「うわー!」
アマナスは飛び起きる。
「おはよう」
「おはようございます。って、あれ?」
彼は自分の声が高くなっていることに気が付いた。そして水面に映る自分の姿を確認する。
「なんじゃこりゃー!」
そう。彼は女になっていた。
「オオオオーメンさん。これって」
「魔道具のせいだね」
「そんなー」
「まあ落ち着けよ。俺も女だ」
「 ~~」
声にならない声を出す。
「しかし男だけか。何故だ?」
「それを確認しに向かってるよ。幸い、竜宮城に行く前に進んでた方向だよ」
「なんで2人ともそんなに冷静なんですか? リコちゃんなんてさっきからポカンとしてますよ」
「何事も経験だし」
「性別でその人の価値は決まらないし」
オーサーとオーメンは達観していた。
「クソッ、次元が違う」
「生きてりゃそのうち分かるさ」
アマナスはイラっとする。
「それよりも陸地が見えてきたよ。アンカーの準備して」
陸地に着いた。しばらく進むと小さな村があった。
村に入ると、そこは混乱の最中だった。
「神様、俺のモノを返してくれよー」
「声が低くて気持ち悪いー」
「なんでお前は変わってないんだよ」
「知らないわよ」
など、怒声や悲痛な叫びが聞こえる。
「うわー。混乱してんなー」
「そりゃそうですよ。性別が変わればこうもなります」
「でも落ち着いている人もいるはずだよ。そういう人を探そう」
村を歩いていると、こんな状況でも開店している喫茶店があった。
「いらっしゃい」
ハードボイルドな男性が迎えてくれた。店には女性客が1人いた。
「紅茶を4つお願いします」
オーメンが注文をする。
「あいよ」
「少しお話聞いてもいいですか?」
「村に起きたことかい?」
「お察しの通りです」
「俺もさっぱり分からん。今朝目覚めたら、村中大騒ぎよ。俺の家族には何の変化もなかったがな」
「それは幸いでしたね。変わった人とそうでない人の違いって、何ですかね?」
「見た限りじゃ、子どもは変わってなかったな」
紅茶が出来上がった。
一口飲んでからオーメンは続ける。
「なら、これをやった犯人って誰だと思いますか?」
「さあな」
一瞬視線が逸れたのをオーメンは見逃さなかった。
「そうですか」
オーメンは席を立ち、先客に声をかける。
「愉しいですか? 今の状況は?」
「え? 何のことですか?」
「とぼけないでください。女性になりたくて、魔道具を使ったんですよね? 村を巻き込んで」
「違う! 巻き込むつもりはなかった! ……あ」
「墓穴を掘りましたね」
「ッ!」
「すごいですねオーメンさん。どうやって気づいたんですか?」
「ただのハッタリだよ」
「え?」
「勿論候補は絞ったけどね」
「候補って?」
「まず、性転換した人とそうでない人がいるわけだけど、犯人がどっちなのかは関係ない」
「どうして関係ないんですか?」
「大事なのは服装と態度だよ。犯人が性転換した場合、服の性別の人間の性別が違う。犯人が性転換していない場合、服と人間の性別は一致している」
「それだけじゃ、絞れないと思いますけど」
「次が大事なのさ。態度について。どちらにしても犯人は冷静なままでいられるし、服と体の性を一致させられる。だって性別が変わることが分かっていたから」
「冷静な人なら店長も当てはまりますけど」
「そうだね。だから私も店長かとも思ったけど、さっきの質問をしたとき視線がこの人に向いた。だから最初はこっちの人から聞こうと思ったの」
「それじゃあ、女性になりたくて魔道具を使ったっていうのは?」
「女装した人がこの魔道具を使うなら、きっとこんな理由かなって思っただけ」
「お見事ね。オーメンさん。それで、私をどうするの?」
「どうもしません。魔道具を回収出来たらそれでいいです」
「あと俺たちの体を戻してください」
「嫌よ。あれは私にとって希望だもの」
「お話聞かせてもらっても?」
「話したら引き上げてくれる?」
「もちろん」
オーメンはニヤァと笑う。
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