44 / 104
七つの大罪 憤怒編
回収
しおりを挟む
「治療の方法は簡単。「トリートメントブラックマジック。プロインV&ブラックレイン」こう唱えて魔法を使うだけ」
「分かりました」
「まずは、国中の住民を治すだけの魔力を補充してからだね。リコちゃん、魔力分配器貸してもらえるかな?」
「もちろん」
「マルサさんも魔力貸してもらえますか?」
「お前たちの魔力で十分足りると思うが?」
「いいから」
優しい声で誘う。
マルサは何かあるのだろうと思い、魔力を貸すことにした。
杖からは魔力が誘導され、だんだんとアマナスに流れ込む。
「じゃあいきますよ。トリートメントブラックマジック。プロインV&ブラックレイン」
大地に黒い魔方陣が展開される。病に罹っていた人の体が黒く発行する。そして光は魔方陣に流れていく。
魔方陣が消えた。
「これで終わったんでしょうか?」
「治ってるはずだよ。確かめに少し国を歩こうか」
国を歩くと、歓喜の声を上げ、泣いている人たちがいた。また、病院に行ってみると、病で体を震わせていた人たちは皆、落ち着きを取り戻していた。
「本当に治ったんですね」
「君がやったんだよ」
「皆さんの魔力がなければこうはいきませんでした」
「そうか。さて、確認も済んだし、後始末をしようか」
翌日。オーメンはゴミ捨て場を探していた。
「ディレクが使っていた魔道具はマルサが折ってここに捨てた。探せばあるはず」
「お嬢ちゃん、何してるんだ?」
アイクが声をかけた。
「以前のボスが持っていたという刀を探しているんです」
「それなら俺が持ってるぞ」
「本当ですか!」
「捨てるに捨てられず、持っていたんだよ」
「それ、譲っていただくことってできませんか?」
「いいよ。ここも変わるそうだしね」
「王が、教育と仕事を与えるって話でしたもんね」
「決別の時なんだろうな。きっと」
刀を回収した後、オーメンはアマナスたちと合流し、例の国営牧場へやってきていた。
「今回は正式に入れて良かったよ」
「前回はリコを潜入させたんですってね」
アマナスは少し怒る。
「あれしか思いつかなかったんだよ」
「もうさせないでくださいね」
「わかってるよ」
そこに職員が魔道具を持ってくる。
「これが元凶だったんですね」
アマナスはまじまじと見つめる。
「魔方陣が書かれた羊皮紙。これから生き物が召喚されるなんて」
アマナスは関心する。
「なあ、今回は家畜だったけど、人間も呼べるのか」
オーサーが質問する。
「理論上はできますが、どんな人が呼ばれるか分かりませんから、やらないのが無難ですね」
「へー」
オーサーは適当に返す。
「最後に1ついいですか?」
オーメンが質問する。
「これで呼び出した動物の肉は輸出しましたか?」
「いいえ、これは国内のみで消費しました」
「旅行者が口にした可能性はありますよね?」
「そうですね。なので今後はこのことを公表し、魔道具を使い始めた時期から今まででアイソ王国にいらした方には、治療を受けていただかなくてはなりません」
「でも俺はここには残れませんよ」
「故に皆さまには行先が分かるように、次の目的地からは書置きを用意していただきたいと思います」
「まあそれくらいなら」
召喚具の受け渡しが終わった。そしてこの国を出ようとしたとき、声をかけられた。
「四人ともちょっと待ってくれ」
王だった。
「お礼を言いたい。この国を救ってくれてありがとう」
「頭を上げてください。偶然こうなっただけですから」
オーメンがなだめる。
「なあ王様、マルサはどうなったんだ?」
オーサーが聞く。
「彼は、ゴミ捨て場にいた人たちをまとめてもらうことにした」
「よくまとまったな。反対意見は出なかったのか?」
「私の行いが原因であったこと、治療に手を貸したことを考慮し、黙らせた」
「なるほどね」
「ところで、君たちは集めた魔道具はどう保管しているのかね?」
「荷物にまとめてます」
「随分と無防備だね。わらわの旧友が統治している国には、堅牢な倉庫がある。そこに荷物を預けてはどうかね」
「じゃあそうします。書置きを預かってくれますか?」
「ああ。プロインVの後始末を任せてすまないね」
「このままの方が気持ち悪いですから」
書置きの残し、四人はアイソ王国を後にした。倉庫を求め、いざ次の国へ。
「分かりました」
「まずは、国中の住民を治すだけの魔力を補充してからだね。リコちゃん、魔力分配器貸してもらえるかな?」
「もちろん」
「マルサさんも魔力貸してもらえますか?」
「お前たちの魔力で十分足りると思うが?」
「いいから」
優しい声で誘う。
マルサは何かあるのだろうと思い、魔力を貸すことにした。
杖からは魔力が誘導され、だんだんとアマナスに流れ込む。
「じゃあいきますよ。トリートメントブラックマジック。プロインV&ブラックレイン」
大地に黒い魔方陣が展開される。病に罹っていた人の体が黒く発行する。そして光は魔方陣に流れていく。
魔方陣が消えた。
「これで終わったんでしょうか?」
「治ってるはずだよ。確かめに少し国を歩こうか」
国を歩くと、歓喜の声を上げ、泣いている人たちがいた。また、病院に行ってみると、病で体を震わせていた人たちは皆、落ち着きを取り戻していた。
「本当に治ったんですね」
「君がやったんだよ」
「皆さんの魔力がなければこうはいきませんでした」
「そうか。さて、確認も済んだし、後始末をしようか」
翌日。オーメンはゴミ捨て場を探していた。
「ディレクが使っていた魔道具はマルサが折ってここに捨てた。探せばあるはず」
「お嬢ちゃん、何してるんだ?」
アイクが声をかけた。
「以前のボスが持っていたという刀を探しているんです」
「それなら俺が持ってるぞ」
「本当ですか!」
「捨てるに捨てられず、持っていたんだよ」
「それ、譲っていただくことってできませんか?」
「いいよ。ここも変わるそうだしね」
「王が、教育と仕事を与えるって話でしたもんね」
「決別の時なんだろうな。きっと」
刀を回収した後、オーメンはアマナスたちと合流し、例の国営牧場へやってきていた。
「今回は正式に入れて良かったよ」
「前回はリコを潜入させたんですってね」
アマナスは少し怒る。
「あれしか思いつかなかったんだよ」
「もうさせないでくださいね」
「わかってるよ」
そこに職員が魔道具を持ってくる。
「これが元凶だったんですね」
アマナスはまじまじと見つめる。
「魔方陣が書かれた羊皮紙。これから生き物が召喚されるなんて」
アマナスは関心する。
「なあ、今回は家畜だったけど、人間も呼べるのか」
オーサーが質問する。
「理論上はできますが、どんな人が呼ばれるか分かりませんから、やらないのが無難ですね」
「へー」
オーサーは適当に返す。
「最後に1ついいですか?」
オーメンが質問する。
「これで呼び出した動物の肉は輸出しましたか?」
「いいえ、これは国内のみで消費しました」
「旅行者が口にした可能性はありますよね?」
「そうですね。なので今後はこのことを公表し、魔道具を使い始めた時期から今まででアイソ王国にいらした方には、治療を受けていただかなくてはなりません」
「でも俺はここには残れませんよ」
「故に皆さまには行先が分かるように、次の目的地からは書置きを用意していただきたいと思います」
「まあそれくらいなら」
召喚具の受け渡しが終わった。そしてこの国を出ようとしたとき、声をかけられた。
「四人ともちょっと待ってくれ」
王だった。
「お礼を言いたい。この国を救ってくれてありがとう」
「頭を上げてください。偶然こうなっただけですから」
オーメンがなだめる。
「なあ王様、マルサはどうなったんだ?」
オーサーが聞く。
「彼は、ゴミ捨て場にいた人たちをまとめてもらうことにした」
「よくまとまったな。反対意見は出なかったのか?」
「私の行いが原因であったこと、治療に手を貸したことを考慮し、黙らせた」
「なるほどね」
「ところで、君たちは集めた魔道具はどう保管しているのかね?」
「荷物にまとめてます」
「随分と無防備だね。わらわの旧友が統治している国には、堅牢な倉庫がある。そこに荷物を預けてはどうかね」
「じゃあそうします。書置きを預かってくれますか?」
「ああ。プロインVの後始末を任せてすまないね」
「このままの方が気持ち悪いですから」
書置きの残し、四人はアイソ王国を後にした。倉庫を求め、いざ次の国へ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる