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七つの大罪 暴食編
暴食
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男たちに連れていかれたオーメンと女性だったが、すんなりと解放された。
「ごめん。待たせたね」
「何かされませんでしたか?」
アマナスは不安そうに聞く。
「ちょっとお叱りは受けたけど、初犯だったから罰金を払うだけで済ませてくれたよ」
「本当にごめんなさい。オーメンさんは関係ないのに」
「ベルさんは気にしないで。私がしたくてしてことだから」
「その、ベルさん? はどうしてあんなことをしたんですか?」
アマナスが質問する。
「その辺は一度彼女の家に行ってからにしない? 私疲れちゃった」
オーメンは欠伸をする。
「そうですね。俺も眠いですし」
彼らは一度ベルの家に行き、寝かせてもらうことにした。
日も落ちたころ、アマナスたちは目覚め、ベルから話を聞くことにした。
「私は昔から食べるのが好きでした」
半年前。
「相変わらずベルの弁当はデカいな」
クラスメートが興奮交じりにそう言った。
「これぐらい食べないと、気持ちよくなれなくてさー」
ベルは、三リットルほどある弁当箱を広げる。
「お前運動とかしてたっけ?」
「してないよ」
「ならほどほどにしとかないと太るぞ」
「ムッチリ体系の方がウケはいいんですー」
自分に言い聞かせるように言うと、バクバクとご飯を他食べる。
「ふーお腹いっぱい」
心地よい眠気に襲われ、昼休みの残り時間を眠って過ごした。
このなんでもない午後の時間が一番好きだ。
そんな彼女も乙女である。好きな人がいる。隣のクラスのハンス君だ。
彼女はその日の放課後、彼を校舎裏に呼び出し、告白する。
「ハンス君。好きです。付き合ってください」
「いや、太ってる子はちょっと……」
玉砕した。
「そっか。そうだよね太ってる子は嫌だよね。ごめんね。気持ち悪かったよね。あはは」
「ごめん。じゃあ」
太ってる私って、存在価値ないじゃん。
それから彼女はダイエットを始めた。まずは弁当箱を五百ミリリットルにした。そしてそのうえで、残した。彼女が実際に食べている量は二百ミリリットル弱だった。
午後の授業中。
あーー! 駄目だ! 足りない! お腹空いた! 一割以下って何! 全然話入ってこない。でも我慢だ私。これもハンス君に振り向いてもらうため。ここが踏ん張りどころよ!
加えて毎日二キロのランニングもした。
三週間もすると、流石の彼女も標準体型くらいには落ち着いた。すると、他校の男子が告白してきたのだ。
「一目ぼれしました。付き合ってください」
「ごめんなさい」
ベルはフラれた後も、ハンスのことが気になっていたのだ。そもそも彼女は、ハンスに振り向いてほしかったから痩せたのだ。
その後も何人かの男子に告白されることになった。しかしそれが悪かった。
彼女は痩せることで、モテた。故に痩せる事は美しくなることと思い込むようになったのだ。いずれは彼に振り向いてもらえると、信じていた。
だが現実は厳しい。ハンスはベルに振り向かない。そのことは確かに彼女の心を蝕んだ。
「ハッ。私は何を」
深夜。彼女は口元に違和感を抱き、目を覚ました。彼女は食糧庫から盗み食いをしていた。そして吐いた。
「はあ、はぁ。私は何を⁉」
確かに私は美しくなった。痩せると決めて、食事を減らして、運動もした。だから色んな人に告白された。なのに! ハンス君は、ハンス君だけは振り向いてくれない!
痩せなきゃ! もっと痩せなきゃ!
彼女の心は崩壊寸前だった。その日から、過食しては吐いてを時折していた。食事も殆ど摂らず、体を動かしてはすぐ倒れた。
「ううぅ、うっ」
辛い。お腹空いて寝れないし、イライラするし、そのせいでまた食べたくなる。食べちゃダメなのに。
自分で決めたことすら出来ないなんて、この先何もできないんじゃ?
駄目だ。そう考えるともっと食べたくなる。
減量を始めてから5か月が経った。その日もいつも通り、少量のサラダだけで昼食を済ませていた。すると、心配した友人がこう言った。
「もっと食べないとまた倒れるよ。卵焼きあげるから食べて」
「いらない」
「でも」
「いらないって言ってるでしょ!」
「私は心配してるんだよ!」
「嘘だ! 痩せてる私が羨ましいから、太らせようとしてるんでしょ⁉ そうはいかないんだから!」
ベルは友達を突き飛ばす。
「痛!」
それを見ていたクラスメートが駆け寄る。
「大丈夫?」
「怪我したら危ないでしょ!」
その他大勢もベルに白い視線を向ける。
「ああ、そう。皆して私が痩せるのを邪魔しようってことね。ふざけるな!」
彼女は椅子を持って暴れた。
後、教員がやってきて彼女は取り押さえられた。
「ベルさん。貴女は少し休んだ方がいい。なおるまで休学でいいですから」
帰宅後、彼女は泣いた。
私だってご飯は食べたい。元々食事だけが楽しみだったのに。恋のためにそれを手放したのに。こんなことって……。
その日の夜も彼女は食糧庫を漁り、目を覚ました。
「あああ!」
食料の入った箱を蹴った。すると箱が倒れ、中身がこぼれた。それを彼女は拾い上げる。
「!」
そして彼女は拾った。この魔道具で水を飲めば、食べても太らない。そんな希望を。
彼女は泣いて喜んだ。
「これなら無理せず、体型を維持できる」
それから彼女は食べまくった。休学中なのをよいことに、朝から晩まで食べまくった。ついには狩りの仕方を覚え、肉を一頭丸々食べる事を考えた。
そして現在に至る。
「ごめん。待たせたね」
「何かされませんでしたか?」
アマナスは不安そうに聞く。
「ちょっとお叱りは受けたけど、初犯だったから罰金を払うだけで済ませてくれたよ」
「本当にごめんなさい。オーメンさんは関係ないのに」
「ベルさんは気にしないで。私がしたくてしてことだから」
「その、ベルさん? はどうしてあんなことをしたんですか?」
アマナスが質問する。
「その辺は一度彼女の家に行ってからにしない? 私疲れちゃった」
オーメンは欠伸をする。
「そうですね。俺も眠いですし」
彼らは一度ベルの家に行き、寝かせてもらうことにした。
日も落ちたころ、アマナスたちは目覚め、ベルから話を聞くことにした。
「私は昔から食べるのが好きでした」
半年前。
「相変わらずベルの弁当はデカいな」
クラスメートが興奮交じりにそう言った。
「これぐらい食べないと、気持ちよくなれなくてさー」
ベルは、三リットルほどある弁当箱を広げる。
「お前運動とかしてたっけ?」
「してないよ」
「ならほどほどにしとかないと太るぞ」
「ムッチリ体系の方がウケはいいんですー」
自分に言い聞かせるように言うと、バクバクとご飯を他食べる。
「ふーお腹いっぱい」
心地よい眠気に襲われ、昼休みの残り時間を眠って過ごした。
このなんでもない午後の時間が一番好きだ。
そんな彼女も乙女である。好きな人がいる。隣のクラスのハンス君だ。
彼女はその日の放課後、彼を校舎裏に呼び出し、告白する。
「ハンス君。好きです。付き合ってください」
「いや、太ってる子はちょっと……」
玉砕した。
「そっか。そうだよね太ってる子は嫌だよね。ごめんね。気持ち悪かったよね。あはは」
「ごめん。じゃあ」
太ってる私って、存在価値ないじゃん。
それから彼女はダイエットを始めた。まずは弁当箱を五百ミリリットルにした。そしてそのうえで、残した。彼女が実際に食べている量は二百ミリリットル弱だった。
午後の授業中。
あーー! 駄目だ! 足りない! お腹空いた! 一割以下って何! 全然話入ってこない。でも我慢だ私。これもハンス君に振り向いてもらうため。ここが踏ん張りどころよ!
加えて毎日二キロのランニングもした。
三週間もすると、流石の彼女も標準体型くらいには落ち着いた。すると、他校の男子が告白してきたのだ。
「一目ぼれしました。付き合ってください」
「ごめんなさい」
ベルはフラれた後も、ハンスのことが気になっていたのだ。そもそも彼女は、ハンスに振り向いてほしかったから痩せたのだ。
その後も何人かの男子に告白されることになった。しかしそれが悪かった。
彼女は痩せることで、モテた。故に痩せる事は美しくなることと思い込むようになったのだ。いずれは彼に振り向いてもらえると、信じていた。
だが現実は厳しい。ハンスはベルに振り向かない。そのことは確かに彼女の心を蝕んだ。
「ハッ。私は何を」
深夜。彼女は口元に違和感を抱き、目を覚ました。彼女は食糧庫から盗み食いをしていた。そして吐いた。
「はあ、はぁ。私は何を⁉」
確かに私は美しくなった。痩せると決めて、食事を減らして、運動もした。だから色んな人に告白された。なのに! ハンス君は、ハンス君だけは振り向いてくれない!
痩せなきゃ! もっと痩せなきゃ!
彼女の心は崩壊寸前だった。その日から、過食しては吐いてを時折していた。食事も殆ど摂らず、体を動かしてはすぐ倒れた。
「ううぅ、うっ」
辛い。お腹空いて寝れないし、イライラするし、そのせいでまた食べたくなる。食べちゃダメなのに。
自分で決めたことすら出来ないなんて、この先何もできないんじゃ?
駄目だ。そう考えるともっと食べたくなる。
減量を始めてから5か月が経った。その日もいつも通り、少量のサラダだけで昼食を済ませていた。すると、心配した友人がこう言った。
「もっと食べないとまた倒れるよ。卵焼きあげるから食べて」
「いらない」
「でも」
「いらないって言ってるでしょ!」
「私は心配してるんだよ!」
「嘘だ! 痩せてる私が羨ましいから、太らせようとしてるんでしょ⁉ そうはいかないんだから!」
ベルは友達を突き飛ばす。
「痛!」
それを見ていたクラスメートが駆け寄る。
「大丈夫?」
「怪我したら危ないでしょ!」
その他大勢もベルに白い視線を向ける。
「ああ、そう。皆して私が痩せるのを邪魔しようってことね。ふざけるな!」
彼女は椅子を持って暴れた。
後、教員がやってきて彼女は取り押さえられた。
「ベルさん。貴女は少し休んだ方がいい。なおるまで休学でいいですから」
帰宅後、彼女は泣いた。
私だってご飯は食べたい。元々食事だけが楽しみだったのに。恋のためにそれを手放したのに。こんなことって……。
その日の夜も彼女は食糧庫を漁り、目を覚ました。
「あああ!」
食料の入った箱を蹴った。すると箱が倒れ、中身がこぼれた。それを彼女は拾い上げる。
「!」
そして彼女は拾った。この魔道具で水を飲めば、食べても太らない。そんな希望を。
彼女は泣いて喜んだ。
「これなら無理せず、体型を維持できる」
それから彼女は食べまくった。休学中なのをよいことに、朝から晩まで食べまくった。ついには狩りの仕方を覚え、肉を一頭丸々食べる事を考えた。
そして現在に至る。
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