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七つの大罪 暴食編
食い倒れの町
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マモ邸宅を出た四人は、彼の進言通り食い倒れの街に来ていた。
「すっかり夜になっちゃたね」
とオーメンが。
「夕食は近場でチャチャっと済ませちゃいましょうか」
「そうだね。夜遅くまでリコちゃんを連れ歩くわけにはいかないし」
「俺は酒場に行きたい」
「宿をとってからにしてください」
オーメンが注意する。
四人は早速、レストランに入ることにした。
「いらっしゃいませ」
「四人です」
「こちらのお席どうぞ」
四人はカウンター席に案内された。
「混んでますね」
「それだけ人気ってことでしょ。期待できそうね」
オーメンは塩、アマナスは味噌、オーサーは豚骨ラーメンを頼んだ。リコはオーメンから少しわけてもらうことにした。
注文の品が来るまで手持ち無沙汰になったが、退屈はしなかった。なぜなら……。
「わー、美味しそう!」
隣の客が特盛チャレンジを始めたからだ。しかもやせ細っている女性が。
器を除いても四キロはありそうな量だった。それをズルズルとかきこんでいく。その姿は圧巻だった。
周囲の客も彼女に注目していく。
彼女が四分の一ほど食べきったころ、四人の注文の品がやってきた。
四人も彼女を気にしながら食べた。
そして驚くことに、ほぼ同時に完食した。
「おめでとうございます。お代は無料。そしてこちら次回割引券です」
「おー」
歓声が上がる。
その裏で四人は会計をしようとしていた。
「二千百ゼニーです」
「やっぱり安かった」
「マモも案外庶民的なんだな」
店を出るとオーメンが急に喋り出す。
「彼女、魔道具を持ってる」
「!」
「探知機が反応してたし、それでなくても、あの食べっぷりは魔道具の関与を疑わざるを得ない」
彼女は店を出ると、水筒で飲み物を飲んでいた。
オーメンの魔道具が強く反応する。
「あれだ」
オーメンが飛び出す。
「あのーすみません。今何を飲んでいたんですか?」
「ただの水ですよ」
彼女は愛想よく答える。
「先程の大食いのアフターケアみたいなものですか?」
「フッフッフ。これはですね。何を食べても太らない魔道具何ですよ」
オーメンはニヤリとする。
「私は魔道具を集める旅をしておりましてね。それ、譲ってはいただけませんか?」
「駄目です! これは私に舞い降りた希望であり、奇跡なんです」
「そうですか。そのお話、詳しく聞かせていただいても?」
「嫌です! そんな義理はありませんから! じゃあ」
彼女は怒って去ってしまった。
「まあ落ち込まないでくださいよ」
「他の方法を考えようぜ」
男性陣は励ます。しかしリコは違った。
「ねぇお姉ちゃん。本当にあの人からも集めないと駄目?」
「なんでそう思うの?」
「あの人は希望って言ってたでしょ? 私にとっても魔道具は希望だったから、取られたくない気持ちも分かるの」
「ならあの人ごと連れていっちゃえばいいんだよ」
「お姉ちゃんは、そんな理由で私を連れていったの?」
「いや、リコちゃんの意思を汲んだだけだよ」
「だったらあの人にも、ついてきたいかどうか、ちゃんと聞いてね」
「勿論」
ニコっと答える。
「さて、説得の準備だ」
オーメンは声をかける。
はたしてこの説得はうまくいくのだろうか?
「すっかり夜になっちゃたね」
とオーメンが。
「夕食は近場でチャチャっと済ませちゃいましょうか」
「そうだね。夜遅くまでリコちゃんを連れ歩くわけにはいかないし」
「俺は酒場に行きたい」
「宿をとってからにしてください」
オーメンが注意する。
四人は早速、レストランに入ることにした。
「いらっしゃいませ」
「四人です」
「こちらのお席どうぞ」
四人はカウンター席に案内された。
「混んでますね」
「それだけ人気ってことでしょ。期待できそうね」
オーメンは塩、アマナスは味噌、オーサーは豚骨ラーメンを頼んだ。リコはオーメンから少しわけてもらうことにした。
注文の品が来るまで手持ち無沙汰になったが、退屈はしなかった。なぜなら……。
「わー、美味しそう!」
隣の客が特盛チャレンジを始めたからだ。しかもやせ細っている女性が。
器を除いても四キロはありそうな量だった。それをズルズルとかきこんでいく。その姿は圧巻だった。
周囲の客も彼女に注目していく。
彼女が四分の一ほど食べきったころ、四人の注文の品がやってきた。
四人も彼女を気にしながら食べた。
そして驚くことに、ほぼ同時に完食した。
「おめでとうございます。お代は無料。そしてこちら次回割引券です」
「おー」
歓声が上がる。
その裏で四人は会計をしようとしていた。
「二千百ゼニーです」
「やっぱり安かった」
「マモも案外庶民的なんだな」
店を出るとオーメンが急に喋り出す。
「彼女、魔道具を持ってる」
「!」
「探知機が反応してたし、それでなくても、あの食べっぷりは魔道具の関与を疑わざるを得ない」
彼女は店を出ると、水筒で飲み物を飲んでいた。
オーメンの魔道具が強く反応する。
「あれだ」
オーメンが飛び出す。
「あのーすみません。今何を飲んでいたんですか?」
「ただの水ですよ」
彼女は愛想よく答える。
「先程の大食いのアフターケアみたいなものですか?」
「フッフッフ。これはですね。何を食べても太らない魔道具何ですよ」
オーメンはニヤリとする。
「私は魔道具を集める旅をしておりましてね。それ、譲ってはいただけませんか?」
「駄目です! これは私に舞い降りた希望であり、奇跡なんです」
「そうですか。そのお話、詳しく聞かせていただいても?」
「嫌です! そんな義理はありませんから! じゃあ」
彼女は怒って去ってしまった。
「まあ落ち込まないでくださいよ」
「他の方法を考えようぜ」
男性陣は励ます。しかしリコは違った。
「ねぇお姉ちゃん。本当にあの人からも集めないと駄目?」
「なんでそう思うの?」
「あの人は希望って言ってたでしょ? 私にとっても魔道具は希望だったから、取られたくない気持ちも分かるの」
「ならあの人ごと連れていっちゃえばいいんだよ」
「お姉ちゃんは、そんな理由で私を連れていったの?」
「いや、リコちゃんの意思を汲んだだけだよ」
「だったらあの人にも、ついてきたいかどうか、ちゃんと聞いてね」
「勿論」
ニコっと答える。
「さて、説得の準備だ」
オーメンは声をかける。
はたしてこの説得はうまくいくのだろうか?
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