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七つの大罪 傲慢編
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街を出てすぐのことだった。
「魔道具を集めてるって言ってたけど、具体的にはどれくらい集めるんだ?」
オーサーが問う。
「出来るだけ全てです。世界を一周することになるかもしれません」
「大きく出たな。二人は知ってたか?」
「いえ、そこまでは」
「私も」
「おいおい大丈夫かよ……」
オーサーは呆れ顔をする。
「因によー、皆は欲しい魔道具とかあんの?」
「俺は人の役に立てるようになれるものが欲しいですね」
アマナスが答える。
「私は頭が良くなるのが欲しい」
リコが続ける。
「で、オーメンは?」
確かに気になる。俺はこの人に拾われたからついてきたけど、具体的なことは聞いてこなかったんだよな。とアマナスは思った。
「私は……」
オーメンは言い淀む。
「皆言ってんだ。お前だけ言わないのはナシだぜ」
「そういうオーサーさんはないんですか?」
「俺は執筆の役に立つものなら何でも。ほら答えたぞ」
「……私は、死者を蘇らせるものが欲しい」
皆息を飲んだ。
「何だ、会いたい人でもいるのか?」
「ちょっと、デリカシーに欠けますよ」
アマナスは制止する。
「でも気になるだろ」
「それはそうですけど……」
オーメンを見る。
「ごめん。それだけは内緒」
「……分かった。もう聞かねーよ」
「ありがとうございます」
「なあ、次はどんなとこに行く予定なんだ?」
オーサーはパッと切り替え、目的地について話を振る。
「次はブリテー王国。農業が盛んな国です」
「農業かー。じゃあ美味いもんでも食えるといいな」
それから二日後、彼らはブリテー王国に到着した。
「やっと着いたー」
とリコが。
「何だか甘い匂いがします」
アマナスは国の匂いを気にした。
「農業が盛んだからね。砂糖や麦、ブドウ、他にも色々作ってるみたい」
「なら酒もあるんだよな?」
オーサーは目を輝かせて聞く。
「酒場ならあると思いますけど、夜に一人で行ってきてくださいよ」
「分かってるって。未成年を連れてくほどバカじゃない」
それから彼らは国を見てまわった。ケーキ屋、果物屋、料理店などが屹立していた。
そして夜が来た。
「じゃあ俺は酒場行ってくるから」
オーサーはそそくさと宿を出ていった。
「じゃあリコちゃんはもう寝ようか」
アマナスはリコを促す。
「うん」
「オーメンさん。リコちゃんを頼みます」
「任せて」
彼らは男女別々の部屋をとった。リコはまだ子どもだが、オーサーがいる手前、オーメンと同じ部屋に泊めることにしたのだ。
夜も更けた頃、オーサーは帰ってきた。
「おいアマナス起きろ」
「んー。何ですか? まだ夜じゃないですか」
「面白い話を聞いたんだ。お前には先に教えてやる」
「面白い話?」
「そうだ。何でもこの国は、魔道具の使用を禁止しているらしい」
「え! 何でですか!?」
「魔道具は不吉なものだから、自分達は綺麗に生きよう。だってさ」
「不吉……」
その一言で、アマナスは自分のことのように感じた。
「でもそれだけなら、面白くはないですよね?」
「ここからさ。魔道具の使用を禁止しているくせに、国王は天災から何度も国を守ってきたらしい」
「それは、怪しいですね」
「だろ? 公式では、王の頭が良いからってことになってるらしいが、ありゃどう考えても魔道具の仕業だ」
「だとしたら何でそんなことをしてるんでしょうか?」
「それは明日オーメンに話してからにしようぜ。俺も眠い」
「分かりました」
そして二人は眠りに落ちた。
「魔道具を集めてるって言ってたけど、具体的にはどれくらい集めるんだ?」
オーサーが問う。
「出来るだけ全てです。世界を一周することになるかもしれません」
「大きく出たな。二人は知ってたか?」
「いえ、そこまでは」
「私も」
「おいおい大丈夫かよ……」
オーサーは呆れ顔をする。
「因によー、皆は欲しい魔道具とかあんの?」
「俺は人の役に立てるようになれるものが欲しいですね」
アマナスが答える。
「私は頭が良くなるのが欲しい」
リコが続ける。
「で、オーメンは?」
確かに気になる。俺はこの人に拾われたからついてきたけど、具体的なことは聞いてこなかったんだよな。とアマナスは思った。
「私は……」
オーメンは言い淀む。
「皆言ってんだ。お前だけ言わないのはナシだぜ」
「そういうオーサーさんはないんですか?」
「俺は執筆の役に立つものなら何でも。ほら答えたぞ」
「……私は、死者を蘇らせるものが欲しい」
皆息を飲んだ。
「何だ、会いたい人でもいるのか?」
「ちょっと、デリカシーに欠けますよ」
アマナスは制止する。
「でも気になるだろ」
「それはそうですけど……」
オーメンを見る。
「ごめん。それだけは内緒」
「……分かった。もう聞かねーよ」
「ありがとうございます」
「なあ、次はどんなとこに行く予定なんだ?」
オーサーはパッと切り替え、目的地について話を振る。
「次はブリテー王国。農業が盛んな国です」
「農業かー。じゃあ美味いもんでも食えるといいな」
それから二日後、彼らはブリテー王国に到着した。
「やっと着いたー」
とリコが。
「何だか甘い匂いがします」
アマナスは国の匂いを気にした。
「農業が盛んだからね。砂糖や麦、ブドウ、他にも色々作ってるみたい」
「なら酒もあるんだよな?」
オーサーは目を輝かせて聞く。
「酒場ならあると思いますけど、夜に一人で行ってきてくださいよ」
「分かってるって。未成年を連れてくほどバカじゃない」
それから彼らは国を見てまわった。ケーキ屋、果物屋、料理店などが屹立していた。
そして夜が来た。
「じゃあ俺は酒場行ってくるから」
オーサーはそそくさと宿を出ていった。
「じゃあリコちゃんはもう寝ようか」
アマナスはリコを促す。
「うん」
「オーメンさん。リコちゃんを頼みます」
「任せて」
彼らは男女別々の部屋をとった。リコはまだ子どもだが、オーサーがいる手前、オーメンと同じ部屋に泊めることにしたのだ。
夜も更けた頃、オーサーは帰ってきた。
「おいアマナス起きろ」
「んー。何ですか? まだ夜じゃないですか」
「面白い話を聞いたんだ。お前には先に教えてやる」
「面白い話?」
「そうだ。何でもこの国は、魔道具の使用を禁止しているらしい」
「え! 何でですか!?」
「魔道具は不吉なものだから、自分達は綺麗に生きよう。だってさ」
「不吉……」
その一言で、アマナスは自分のことのように感じた。
「でもそれだけなら、面白くはないですよね?」
「ここからさ。魔道具の使用を禁止しているくせに、国王は天災から何度も国を守ってきたらしい」
「それは、怪しいですね」
「だろ? 公式では、王の頭が良いからってことになってるらしいが、ありゃどう考えても魔道具の仕業だ」
「だとしたら何でそんなことをしてるんでしょうか?」
「それは明日オーメンに話してからにしようぜ。俺も眠い」
「分かりました」
そして二人は眠りに落ちた。
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