魔道具は希望と共に

小鳥遊怜那

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七つの大罪 嫉妬編

犯行動機

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四人は近くの喫茶店に入り、話をすることにした。
「ネタを探してるとのことですけど、魔道具の影響です」
「根拠は?」
「これです」
 オーメンはそう言って、探知機を見せる。
「これは魔道具かい?」
 そう言って手に取る。
「なるほど。これが反応したということは、そういうことなのだろう」
「問題は、いつ誰が何故に、どのようにして魔道具が使われたかです」
「ネタが出なくなったのは、今朝からだよ」
「次は誰がやったかですね」
 アマナスが話を進める。
「因みに犯人は分かってるよ」
「「「!!」」」
「昨日、オーサーさんの家で魔道具を見つけた。効果は、発想力の操作」
「発想力の操作って、どういうことですか?」
 アマナスが食いつく。
「発想の癖を知ってる人の名前を書くと、その人の発想力を引き出すことも、抑えることもできるの」
「発想の癖?」
「好みの傾向と言い換えてもいい。兎に角、相手をよく知っていないと使えない魔道具ね」
「少し嬉しいな。彼は他人に興味を持たない人だと思ったから」
「最後に理由ですね。心当たりはありますか?」
「今言ったけど、彼は人に興味を持たない人だ。足を引っ張るよりも、研鑽を積むタイプのはずなんだが」
 四人は考え込む。

「そういえば二人は師弟関係なんですよね? 教えてる最中に何かあったのでは?」
 アマナスが問う。
「だとしたら今さら魔道具を使う理由は分からない」
「じゃあ最近彼と何かありましたか?」
「最近は各々執筆に心血を注いでいたから、特に何かあるとは思えないが」
「もしかしたら、サイン会が原因かもしれませんよ」
 オーメンが提案する。
「二人のサイン会は同日に行われましたが、人気の差は歴然でした」
「そんなことで?」
「人間、何が切っ掛けで人を呪うか、分からないものですよ」

 ひとまずの結論を出した四人は、今後どうするかを話し合うことに。
「アイデアが出ないのは、ミステリー作家にとっては致命的です。何とかしましょう」
 アマナスは正義感に充ちた顔をする。
「確かに致命的だが、これを機に、彼に再度教育を施したい。魔道具のことはその後にしてもらってもいいかな?」
「教えたいこと?」
「大事なことさ」

 二ヶ月後。ライトは新たに本を出版した。
 売れ行きも評判は上々だった。
「驚きましたよ先生。今回はトリックではなく、犯行動機に重きを置いたんですね」
 編集がライトに感想を述べる。
「今回の作品には思うところがあってね」
「ところであの方たちは?」
 アマナスたちを見る。
「彼らは本作の協力者さ。パーティーをするために家に呼んだんだ」
「そうでしたか」
「さ、この後はもう一人呼んでパーティーなんで。今日のところはお暇願うよ」
「はい。失礼します」

 編集と入れ替わるようにして、最後のメンバーが現れる。
「何の用ですか? 師匠」
「私の新作は読んでくれたかな?」
「トリックが売りの作家がネタに困り、犯人の心理描写と犯行動機に力を入れて乗り越える。今の師匠そのものですね」
「そうだね。問題は何故ネタに困ったのか」
「作中では、薬に飲まれたから、でしたね」
「そう。でも私は薬なんてやってない」
「何が言いたいんですか!?」
「君、魔道具を使っただろ」
「根拠は!? 根拠は何ですか!?」
「彼女たちだよ」
 後ろの三人を指す。
「あんたたちか」
 オーサーは三人を睨む。
「こらこら、お客さんを睨んじゃいけないよ」
 今度はライトを睨む。
「私は別に怒ってないよ。ただ、理由は聞きたい。君は人気が欲しいのかい?」
「いいんですよ。そんなことはどうでも」
「では何故?」
「ただの八つ当たりですよ」
 彼は苦々しい顔をして話始めた。
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