どうせクソババアと言われるなら,徹底的にクソババアになってやる・・・

猫山

文字の大きさ
上 下
12 / 53

12 きよこ婆さんと言う人

しおりを挟む


「ハウウェルぜんばいっ、あいたかったでず~~~~っ!?」

 アルトの声が響いて、ドン! と脇腹になにかがぶつかって来た。

「ぐっ、がっ!?」

 長時間の乗馬の疲れからか、踏ん張ることができず、べしゃっと地面に倒れ込む。頭突きの入った脇腹と、ぶつけた背中が痛い。そして、上に乗っている奴が重い。

「人にっ、いきなりタックルすんなって何度も言ってんだろうがっ、このボケがっ!?」

 イラッとして怒鳴り、わたしにしがみ付いている奴を蹴飛ばして退かす。

「がはっ!?」

 息の詰まる音が聞こえたけど、気にしない。痛む背中をさすりつつ、身を起こす。

「は、ハウウェルが襲って来た奴怒鳴って蹴っ飛ばしたっ!? つか、それなに?」
「?」

 それ、と言われて蹴飛ばした奴の方を見ると、ストールで顔をぐるぐる巻きにした男子(多分)が地面に倒れていた。イラッとして思わず蹴飛ばしたけど、なんだかすっごく怪しい奴だ。

「えっと、ネイサン様の名前を呼んでいましたが、お知り合いでしょうか?」
「名前、呼ばれてました? 脇腹に頭突きされて、背中もぶつけて痛かったのでちょっと……」

 あと、なんて怒鳴ったっけ?

「ふむ・・・もしかして、フィールズだろうか?」
「ふぇ? その声は、レザン先輩ですかっ!?」

 と、ストールで顔をぐるぐる巻きにした奴がパッと立ち上がる。

「そうですっ、僕です! エリオット・フィールズです! エルです! 会いたかったですっ!! ハウウェル先輩っ、レザン先輩っ!!」
「……もしかしなくても、騎士学校時代の後輩か?」
「はいっ!! ハウウェル先輩の弟子ですっ!!」
「え? 弟子?」
「や、違うから」
「そんなっ、ヒドいですよハウウェル先輩! って、なんでそんなところに座っているんですか? 服が汚れますよ? あ、もしかして怪我でもしたんですか? 大丈夫ですか? 立てます?」

 と、わたしにいきなりタックルをかましたアホが手を差し出す。

「ははっ、つい今し方、どこぞのアホにタックルかまされて転ばされたんだけどな?」
「ハウウェル先輩にそんなことをする奴がっ!? 一体誰ですかっ!?」

 と、辺りを見回すストールぐるぐる巻きの頭。その状態で見えるのか? というか、なぜにそんな格好しているんだか?

「や、今ハウウェル押し倒したのお前じゃん」
「え? ええっ!? 僕ですかっ!? ごめんなさいハウウェル先輩っ!!」

 がばっと頭を下げるエリオット。

「な、な、ハウウェル。もしかしてアホの子?」
「まぁ、見ての通りだね。ありがと」

 声を潜めて聞くテッドの手を取って立ち上がる。ああ、背中と脇腹が痛い。

「その、背中と脇腹が痛いとのことですが……大丈夫でしょうか? ネイサン様。そちらの方も、どこか痛いところはありませんか?」
「っ!! お、女の子がいる~~~っ!?」

 ケイトさんが言った途端、ビクッ! として、レザンの背中に隠れるエリオット。ケイトさんはさっきからいたんですけどね?

「ハウウェル先輩、レザン先輩っ、ここ、このがっこう、女の子がいっぱいいるんですっ!? 助けてくださいっ!?」
「は? ここ共学だぞ? 女の子いて当然だろ、なに言ってんのコイツ?」
「……まあ、ちょっと気持ちはわかるが……」

 エリオットの言葉に、アホを見る視線になるテッド。わかると呟いたリールは……まぁ、女の子が苦手だったな。

 でも、エリオットはリールよりも深刻のようだ。

「女の子こわい、女の子こわい……」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

京都かくりよあやかし書房

西門 檀
キャラ文芸
迷い込んだ世界は、かつて現世の世界にあったという。 時が止まった明治の世界。 そこには、あやかしたちの営みが栄えていた。 人間の世界からこちらへと来てしまった、春しおりはあやかし書房でお世話になる。 イケメン店主と双子のおきつね書店員、ふしぎな町で出会うあやかしたちとのハートフルなお話。 ※2025年1月1日より本編start! だいたい毎日更新の予定です。

山蛭様といっしょ。

ちづ
キャラ文芸
ダーク和風ファンタジー異類婚姻譚です。 和風吸血鬼(ヒル)と虐げられた村娘の話。短編ですので、もしよかったら。 不気味な恋を目指しております。 気持ちは少女漫画ですが、 残酷描写、ヒル等の虫の描写がありますので、苦手な方又は15歳未満の方はご注意ください。 表紙はかんたん表紙メーカーさんで作らせて頂きました。https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html

遥か

カリフォルニアデスロールの野良兎
キャラ文芸
鶴木援(ツルギタスケ)は、疲労状態で仕事から帰宅する。何も無い日常にトラウマを抱えた過去、何も起きなかったであろう未来を抱えたまま、何故か誤って監獄街に迷い込む。 生きることを問いかける薄暗いロー・ファンタジー。 表紙 @kafui_k_h

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...