オアシスの番人事情

前世が蛍の人

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再び訪れる異変

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バラルと別れたトイは部屋に入るなり、床に大の字で寝転がった。
ようやく身体を休められる…。

『トイ、今はなんとも無いのか?』

「うん、これといって。ふぁ~あ…眠」
本格的に寝る前にお風呂に入りたい。
確か…、個室はお風呂も完備されてるってムルーク王が言ってたはず。

「ベタベタするからお風呂入ってくる。」

『風呂で寝るなよ』

「…自重するよ」

『ーおい、本気で寝るつもりか?』

「大丈夫だよ、だいじょうーぶ。って…何?
何で今、担がれてる?」

『俺が運んでやる。』

「冗談を真に受けとるよーこの魔神ジンは。
しかも荷物扱いって…」

『いいから運ばれてろ。
風呂場の外で待ってやる、行ってこい。』
反論も受け付けないときた。
…タオルと着替え、中に持っていこ。

★★★

「ふぅ~~…。気持ちいい…。」
やっぱりお風呂はいいね、特に疲れた後のお風呂は最高。
そう言えば風呂つきの個室を希望した時、ムルーク王は不思議そうに「物好きだな。」と言われた気がする。
ここの人はあまりお風呂を好まず、シャワーでさっぱりしたい派が占めている…勿体ない。
とぼんやり考えつつ、身体を伸ばす。

お風呂を堪能した後、肌触りの良いタオルで身体を拭く。
何これ…凄くふわっふわしてる。
事前に用意されていた服は残念なことにだけしかなかった。

(…………いやいや、男になりきると決めたけどね、腰布だけはちょっと…。他に無いかな??)
ここへ来るときは、大きい布を体に巻き付けてきたから問題なかった。サラシで胸を固定し代わりになる物を探すこと5分。
足拭きマット用に洗濯されていた厚手で大きい布を左寄りの中央で切り、頭からそれを被った。

(思ったよりこの布、軽い…)
軽いならもう一枚拝借しよう。
先程とは逆に右寄りの中央を、今度は少し大きめに切り胸より下で固定出来るようにした。

「お待たせ、アーク。」

『遅かったな、あと数分遅ければ突入もやむ得ないと想っていたが…。
それはトイの世界で着用されている服なのか?』

「突入の前に声かけよ?絶対、声、かけて。

これは民族衣装で似たような服装は見たことあってね、これだけじゃ心許ないから作ってみた。」
腰布を指さす。

『確かにな…トイの言いたいことは察した、日除けなどと誤魔化せば問題あるまい。これからはそれで過ごせ。』

「そのつもりだよ。
明日にでもムルーク王に良いかどうか…聞かな…、い…と?」

『トイ!!』
ふいに身体の力が抜け、私は近くにいたアークにしがみつく。
今のは何?突然どうした私の体!?。
えーっと、つまりこれがアークの言っていた月の加護の影響??
ふと、月が視界に入った。
あ、今日は月が出ているからか。
でもいきなり来るねっていうか、あの綺麗な人誰?どっから現れたっ!?
大きな鏡に映る美女が混乱した様子でアークにしがみついていた。
頭上からアークの声が聞こえる。

『だから俺が傍にいて良かっただろ?』

「え…じゃあ、あれって…。」

『月の加護を身に宿したお前の姿だ。』
…嘘でしょ?あれが??っいやいやいや、何で?
いくらなんでも変わりすぎでしょ!?身長や骨格まで変わってんじゃん!!
171㎝あるはずなのにどう見てもちっさ、可愛いけどさ!

「………うん、考えるの止めて寝る。」

『そうしろ、考えるだけ無駄だ。

…立てるか?』

「今は何ともない、平気。
ただ、自分が別人なくらい美人になったからまるで怖い夢に出てくる幽霊になった気分…。」

『ブフッ。』
あ、アークが吹いた。

『ハハッ、何だその分かりづらい例えは!』
魔神ジンでもお腹抱えて笑うんだ。
笑いが収まりそうにないアークを脱衣室に置いていき、用意されたベッドに沈む。
今日も色々ありすぎて疲れたな…。
明日も仕事、頑張ろ。

『ゆっくり休め、トイ。』

あれ…なんだ、来てたの。
あー…ごめん、瞼が重いし今ものすごく眠いから寝るね。

お休み、アーク。
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