悪役令嬢は家族に支えられて運命と生きる

西 ゆう

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「さてこの後の事だが……

とりあえずアル、エリーナ嬢を放しなさい」
「嫌です。またエリィの匂いが戻ってきたんです。もう放しません」
とエリーナを膝の上乗せ横抱きにして、尻尾を振り回し、頭に頬擦りをしていた。


「この光景が帰ってきた事を喜ぶべきな否か……」
陛下は頭を抱えた。

もう諦め気味のロバートは
「そのままでいいので、ちゃんと話を聞いていて下さい」
と言い、異世界に行った事、小説の事を含めて話をした。

それを聞いたアルフォンスは
「あんな女ツガイでも何でもない。
勝手に付き纏っているだけだ!
何がツガイだ!俺のツガイはエリィだ!!」

あっ怒ると俺って言うんだ。カッコいい。
とエリーナも前のアルフォンスが戻ってきてくれた事が嬉しくて、テンションがおかしくなっていた。


「分かっておる。そのヒロイン真凛が本当に同じ行動をするかも分かってないだから、お前には小説の通りの行動を取って貰いたいんだ」

「嫌です。エリィを嫌う演技なんてもうしたくありません。
前だって辛かったのに…」
とまた泣き出した。

情緒不安定なアルフォンスである。

「それにお前に術を掛けた者のまだ分かってない。もしヒロインと繋がって居たら、エリーナ嬢に攻撃が行くかもしれない。
だからお前が囮になり、エリーナを守ってあげたいんだ」

それを聞いたアルフォンスは
「辛い想いも沢山するよ。エリィは本当にそれで構わないの?」

「アルとずっと一緒いたいから、堪えます」
両手顔の下で握り拳を作り微笑んだ。

「ありがとうエリィ」

「分かりました。囮になります。
ご協力お願いします」
アルフォンスとエリーナは皆に頭を下げた。

「ついでに悪い事している者達も懲らしめてしまいましょう」
ニヤリと笑いアルフォンスは言った。
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