悪役令嬢は家族に支えられて運命と生きる

西 ゆう

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日本某所の公園に眩い光が一瞬差し込んだ。
ただ深夜ということもあり誰にも気づかれず、黒い2つの影が闇に溶け込んだ。


「ここが異世界、日本という国かぁ。エリィが言う通り私達が暮らしてる国とは違うんだな。
エリィの事直ぐに信じれなくてすまなかった」

「全然大丈夫だよ。
私だって逆の立場だったら信じきれないのも判るし、日本に連れてきてくれてありがとう。

それよりこれからどうしようか?」

「あまり時間がないから今からでも小説を探しに行きたいんだが、深夜みたいだし、どこも空いて所は無いよな…」
 

うーん。空いてるお店は沢山あるけど、日本で使えるお金がないんだよねー。
あっ!
あの眠らない街の貴金属買取ショップは深夜空いてるって、前テレビでやってたの思い出した。
そこだったら、持ってきた金貨を日本円に変える事が出来はず。
 
父親に説明しながら、貴金属買取ショップの近くまで転移魔法で移動し歩いていた。
日本で服が浮かない様に、ロバートは白のシャツに黒いズボン、エリーナは黒色のティアードロングワンピースを着て居たが、日本人離れした顔付きをしている為、凄く目立ってしまっていた。
そこで、父親に気配消しの魔法を掛けて過ごす事にした。

どうにかお金を換える事が出来た2人は
父親に日本の事を教えながら、ネットカフェに移動した。

ネットカフェでまず小説の事を調べて、全文をコピー(本当は違法だけど…)をした。
父親はエリーナの手を握り
「エリィが言ってた通りの内容だね。
ただ僕達は生きて本当に存在している。
これはただの物語だ。
エリィはエリィの人生の物語を進むべきだと私は思う」


「ありがとうお父様。
アルの為に運命と戦うと決めたから、私は大丈夫だよ」

父親の手を握り返して、エリーナは答えた。

その後仮眠を取り、図書館に移動して、これから必要になる対策の為の本、アルフォンスの体の事を調べる本、医療の本、エーヴィヒ国の発展の為の本をコピーしながら、過ごした。

2日目の夕方父親はおもむろに
「前の家族に会わなくていいのかい?」
とエリーナに問いかけた。

神妙な面持ちで
「会いたいけど、姿が違うし、元家族にどんな影響が出るか分からないから……」

「姿は変えられるし、本人として会わなくても友達だったとして、会ってみたらいいんじゃないかな?
もう2度ここには来れないんだよ。
一緒に会いに行こう!」

「うん。そうだね。会って気持ちを伝えたい」
エリーナは満面の笑みを浮かべながら頷いた。
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