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夏の思い出 其の二(回顧録 中学生)

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「大和君! いったよ~!」

 由佳ちゃんがパスしたビーチボールが私の方に飛んでくる。一悶着あった後、由佳ちゃんの提案で皆で遊ぶ事になったのだが、二人きりの時間を邪魔された舞ちゃんは終始不機嫌である。それに引き換えて由佳ちゃんは、跳ねる様な足取りで絶好調である。由佳ちゃんの瑞々しいふくらみが、ボールを打ち上げるたびに布面積の狭いセクシーなビキニブラを押し上げながらプルンタプンと揺れ動く。メロン並みの量感を誇る膨らみと、蠱惑的な深い胸の谷間の相乗効果は破壊力抜群である。遠回しで由佳ちゃんを眺めているスケベな連中も、若干前屈みになっているようだ。慎二も鼻の下を伸ばしながら、かぶり付くような視線を向けている。女性は男の視線に敏感なので、私もなるべく凝視しないように気を付けているのだが、ムッチリと盛り上がったメロンには、抗し難い魅力が溢れているのであった。

「大和君! 何を見ているんですか?」
「えっ! メロンだけど……はっ!?」

 振り向くと、舞ちゃんの凍えるような視線が突き刺さる。由佳ちゃんの健康的な肢体――特に胸の部分をチラ見していたのだが、舞ちゃんにはお見通しだったようだ。

「いや、あの、そのっ、違うんだ! そうだ! 僕は、レモンも大好物だから何の問題も無い!」
「な、なんの話をしているんですか!!! 大和君のH!!!」

 ムギュ~~~!

「ぎゃ―――!!! 痛い、痛い! やめて!!!」

 動揺している私は、舞ちゃんの成長過程のささやかな膨らみを見ながら、とんでもない発言をしてしまった。その結果、私のお尻は悲鳴が上がるほど、つねりあげられるのであった。

「こらっ、大和君! イチャイチャばかりしてないで、少しは真面目にやりなさい!」

 背後から抱きついてきた由佳ちゃんの腕が私の首に絡み、軽く締め上げられる。由佳ちゃんの得意技であるスリーパーホールドである。

「あ―――っ!!! ズルイですよ、由佳さん! 大和君を、また誘惑して!」

 舞ちゃんも、負けじと抱きついてくる。前後から女の子特有の、甘い香りに全身を包み込まれる。大きさは違えど柔らかく張りのある双丘が、ムニュンムニュンと揺れ動きながら、密着した身体に押し当てられる。正に前門のレモン、後門のメロンである。

「大和のムッツリスケベ―――! お前なんか、大嫌いだぁぁぁぁ!!」

 美少女にサンドイッチされている私を見て、半泣きの慎二が嫉妬の炎を燃やしながら砂浜を走り去っていく。慎二は海辺を泳いでいた亀に石を投げながら、『お前なんか、ドジでのろまなカメだ!』と叫び出したり、海に向かって『青春のバカヤロ―――! 海のバカヤロ―――! 波のバカヤロ―――! お前は並の波だ―――!』と声を張り上げ叫んでいる。

「ママ! あれなあに?」
「しーっ! 目を合わすんじゃありません!」

 慎二の奇行ぶりに、周りはドン引きである。親子連れをはじめ、近くにいた人達はそそくさと退散し始めた。やがて、アホの慎二に天罰が下ったのだろうか――突如、局地的な大波が発生したかと思うと、慎二はあっという間に波に吞まれてしまった。その後、離岸流によって更に沖に流された慎二であったが、ライフセーバーの懸命の活躍により九死に一生を得たのであった。



「俺のファーストキスが、ファーストキスが……」

 帰りの電車の中で、慎二がブツブツと呟いている。沖に流されて溺れていた慎二は、ライフセーバーの人工呼吸により一命を取り留めたのである。しかし、色黒のマッチョなお兄さんにファーストキスを奪われた事がショックだったようで、悄然として俯いている。

「慎二君、そんなに落ち込まなくても……」
「そうそう! 舞ちゃんの言う通りだよ! それに、ほらっ、ファーストキスを奪われたといっても、あのお兄さん結構格好良かったし……」
「うわぁぁ~ん! 俺は美人のお姉さんか、可愛い女の子としたかったんだよ! それなのに、それなのに……そうだ! 由佳様に舞ちゃん! 傷心の俺に愛の手を! んっ――♡」

 バチ~~ン!
 パ――ン!

「げばらっ!」

 タコのように唇を突き出して、由佳ちゃんと舞ちゃんにキスを迫った慎二は、ツープラトンのビンタでノックアウトされるのであった。


「大和君! 今日は楽しかったです! でも今度は、二人だけで遊びに行こうね!」

『二人だけ』をやけに強調しながら、舞ちゃんがギロリと由佳ちゃんを睨む。バツが悪いのか、由佳ちゃんは視線を合わせず横を向いて口笛を吹いている。喧騒の溢れる駅のホームで、残された時間を惜しむように舞ちゃんが、私の手をしっかりと握っている。父親の都合で此方に来た彼女は、都会に帰らなければいけないのだ。

「大和君! またね!」

 不意を突くように抱きついてきた舞ちゃんが、頬にキスをした後、恥ずかしげに頬を染め、ゆっくりと私から離れる。夕日に照らされた艶のある黒髪が、金色にきらめき、さざ波のようにフワリと揺れ動いていた。私にはその姿が美しくも、とても儚く見えた。愛しさと切なさに胸を締め付けられながらも、涙を堪えて彼女を見送った。彼女の姿が見えなくなるまで……。



「ちぇっ! 口惜しいが、大和と舞ちゃんはお似合いだよな!」

 慎二が舞ちゃんを見送った後、ボソリと呟く。それを聞いた由佳ちゃんの眉がピクリと動く。

「大和! 俺も帰るけど、由佳様を無事に家に送れよ! それから、お前には舞ちゃんがいるんだから、由佳様には手を出すなよ! じゃあな!」

 慎二も、プリプリと怒りながら帰っていった。残っているのは、私と由佳ちゃんだけである。

「由佳ちゃん! 僕達も、そろそろ帰ろうよ!」
「……」

 帰路の間も、由佳ちゃんは無言のままである。それでも、しっかりと握った手は放さない。奇妙な沈黙が続く。

 やがて、家の前に辿り着くと由佳ちゃんが重い口を開く。

「大和君! 舞ちゃんとのデートを、邪魔してごめんなさい!」
「あはは! 由佳ちゃんが駅に居たのは驚いたけど、悪いのはそそのかした慎二であって……」
「違うよ! 私が勝手に嫉妬しただけだよ! 大和君と、二人っきりでデートする舞ちゃんが羨ましくて、だからあんな事を……」
「由佳ちゃん……んんっ!?」

 由佳ちゃんの瑞々しく柔らかな唇が、私の唇に重なる。いつもの、イタズラなキスとは違う情熱的な熱いキスだ。彼女の腕が背中に回り、密着した身体から熱い体温と柔らかな感触がダイレクトに伝わってくる。熱を帯びた甘い少女の芳香が辺りに漂い、頭の芯まで蕩かされるような甘美な感覚に支配される。由佳ちゃんの行為も徐々に大胆になっていく。濡れた唇から突き出された舌がグネグネと蠢きながら、私の唇を強引にこじあけ、貪るように口内を舐め回し舌を絡み取ってくる。由佳ちゃん主導のまま、痺れるような陶酔感に翻弄され思わず恍惚の声を上げてしまうのであった。

「ふふっ! 大和君、可愛い♡」

 私の反応に気を良くした由佳ちゃんは、私の手を取り柔らかな膨らみに導いてくる。服の上から、端麗な曲線を描いた盛り上がりを揉み込むと、ぐにゅりと沈み込んだ指に弾力に満ちた肉感が伝わってくるのであった。

「くすっ! ほらっ、大和君の大好きなメロンだよ!」

 全てを見透かすように、妖艶な笑みを浮かべた由佳ちゃんがクスリと笑う。彼女の手の平で転がされて、口惜しいのだが何故か心地良い。だが、私にも男としての矜恃がある。雄々しさを示すために、私は反撃の狼煙を上げるのであった。

「あんっ! んっ、やあっ、んふっ……」

 由佳ちゃんのふくらみを優しく包み込み、持ち上げるように揉み上げる。圧巻を誇る双丘が、私の指先に食い込むごとに、たわみ歪みながら淫らに形を変えていく。同時に、キスのお返しもする。甘い刺激で唇を離した由佳ちゃんを、追撃するように艶のある愛くるしい唇を奪う。舌を差し込みながら彼女の口内を丹念にねぶり、馴染ますように、お互いの唾液を交換していく。切なげに身体をよじらす由佳ちゃんのくびれた腰に手を回し、キュッと上を向いたまろやかなヒップをショートパンツの上から撫で回すと、トロンと目じりが下がった由佳ちゃんの唇から熱い吐息が漏れる。焚き付けられた牡欲は、燎原の火の如く広がり始める。歯止めが効かなくなった私は、由佳ちゃんのノースリーブの服をたくし上げて右手を滑り込ませると、ムッチリとしたバストをブラの上からやわやわと揉みほぐすのであった。

「だ、ダメだよ、大和君! それ以上は……んっんっ、あぁっ!」

 服の上からでは味わえない、生肌の感触を楽しみながら、重たげな膨らみをクニュクニュと揉みたてる。由佳ちゃんの胸の谷間はしっとりと汗ばみ、膨らみの頂上にある先端が、ブラを通してさえわかる程、ぷっくりと浮かび上がってきた。円を描くように硬くなった突起をこね回してから摘み上げる。切なげに身体を震わす由佳ちゃんは、イヤイヤと首を振りながらも、甘い喘ぎ声を漏らし始めた。見た事もない愉悦を含んだ表情に、劣情を煽られた私の行動は更にエスカレートしていく。はだけ始めた由佳ちゃんのブラに指を這わせ捲り上げると、うっすらと赤みを帯びた白い美巨乳が、弾みながらポロンと転び出るのであった。

「由佳なの? 帰ってきたなら、そんな所で遊んでないで家に入りなさい!」

 由佳ちゃんの家から、母親である真理子さんの声が響き渡る。二人とも驚きで身を竦ませ、慌てて距離を取る。心臓はバクバクと激しく脈を打っている。


「大和君のH! スケベ! ケダモノ! スケコマシ! エロ男! 送りオオカミ! 色情魔!」

 我に返った由佳ちゃんは、服を整えながら顔を真っ赤に上気させ、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせてくる。

「由佳ちゃん、ゴメン! でも、最初に誘惑して来たのは、由佳ちゃん……」

 ギロッ!!!

「ごめんなさい! 悪いのは僕です!」

 長年の付き合いで刷り込まれた上下関係は簡単には払拭できず、私は情けなく屈服してしまうのであった。

「お姉ちゃんに、あんなHで恥ずかしい事をして……! や、大和君には絶対に責任を取ってもらうんだから!」

 
 耳の先まで顔を赤らめた由佳ちゃんが、ビシッと私を指差し逃げるように家の中に入って行く。

 舞ちゃんに告白して舌の根の乾かぬうちに、由佳ちゃんの色香に惑わされ、ディープキスに度を越えたHな振る舞い。私は自分の節操の無さに、深い溜め息を吐くのであった。
 

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