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43.歓迎会とムフフな展開♡
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「オホホ、トミタカ様――お買い上げありがとうございました。是非、またいらしてくださいね♡ 」
「いやいや、こちらもいい買い物ができたよ。さすがアネット様お薦めの商会だね」
張遼ちゃんとレベッカの不毛な闘いを止めた私は、奴隷の購入代金をホルノスキーに支払い帰宅の途につくことにした。リルルがホルノスキーとの賭けで勝利したので、奴隷の購入代金は半額となったのは僥倖であった。しかし張遼ちゃんとレベッカの間で一悶着あった時に、調度品の壷を破損してしまったのだ。ホルノスキーたっての希望で、賠償は高級ブランデーのレミーマ●タン五本で手打ちとなったが、あのシリアナ王朝時代の壷とやらにそれ程の価値があったかは不明である。それでも優秀な奴隷を半額で多数購入できたので、全体から見ればだいぶ得をしたようだ。
「ところでトミタカ様――どのようにして奴隷たちを引率するのかしら? よろしければ馬車の手配と奴隷たちの運び込みは、アドニス商会が受け持ちますわ。勿論、サービスよ♡ 」
「う~ん。小人数しか乗れないハ●ヴィーでここまで来たからなぁ。悪いけどお願いするよ」
「オホホ、トミタカ様とは長いお付き合いになりそうですし、遠慮しないでお任せくださいな」
コワモテ顔に満面の笑みを浮かべ、もみ手をしているホルノスキーは不気味そのものではあるが、ここは好意に甘える事にした。
「それでは先に返って受け入れ準備をするので、運び込みの件はお願いします。あっ、それからスバルには皆の護衛を頼むよ。大事な従業員に万が一の事があったら大変だからね」
「ああ、あたいに任せといてくれよ。チョウリョウさんやレベッカさんには及ばないけど、そこいらのゴロツキなんか赤子の手をひねるようなもんさ」
スバルは大柄のハルバードを振り回しながら、ふんす!と鼻を鳴らしており気合十分である。彼女に任せておけば問題ないであろう。私は張遼ちゃんたちを引き連れて家路を急ぐのであった。
「ふふっ、トミタカといると本当に退屈しないな。この馬なし馬車のハ●ヴィーとか言う魔道具は実に興味深い」
「貴様! シレっと主の隣に乗ろうとするな! そこは私の指定席だ」
街中での混乱を避けるため、貿易街アンチモンを出てからハ●ヴィーを無限収納BOXから取り出した。しかしレベッカと張遼ちゃんのイザコザが再び始まってしまった。今度は助手席をめぐっての争いである。ハ●ヴィーについて一通りの説明をしたのだが、レベッカはいたく興味を持ったようである。堂々と助手席に乗り込もうとしているのだ。
「アハッ! ご主人様ぁ~、助手席は私が乗っていいですよねぇ~。私、今回は頑張りましたよぉ~。優秀な奴隷の目利きもしましたしぃ~、購入代金も半額になったんですよぉ~。少しは労わって下さいよぉ~」
「「むっ!」」
張遼ちゃんとレベッカの争いを尻目に、リルルが甘える様に抱き付いてきた。上目遣いで、はち切れんばかりの胸元をムニュムニュと押し付けてくる。あざといと分かっているが、それに抗えない魅力と色香をリルルは兼ね備えているのだ。張遼ちゃんとレベッカが殺気めいた視線を向けるが、リルルはお構いなしである。我関せずのすまし顔で、平然と助手席に乗り込んでしまった。
「まあまあ二人とも――助手席はリルルに譲ってあげてよ。今回は大活躍したからね」
「主の仰せのままに」
「トミタカがそう言うならば仕方が無いな。今日の所は譲るとしよう」
席争いを終えた張遼ちゃんとレベッカが後部座席のシートに腰を下ろす。リルルが意味深なウインクをしているのが気になるが、車を動かす事にした。しかし間もなく私は、リルルを助手席に乗せた事を後悔する羽目になるのであった。
「ご主人様ぁ~、少し休憩しませんかぁ~。そして車の中でエッチな事をしましょうよぉ~。狭い場所でのエッチってぇ~、必要以上に身体が密着して興奮すると思いませんかぁ~?」
「……」
車を走らせて直ぐにリルルのエロい誘惑が始まった。ヒソヒソ声なので張遼ちゃんたちには聞こえていないようだが、内容が内容なので敢えてスルーした。しかしそれで引き下がるリルルではない。リルルの誘惑は更にエスカレートしていった。
「クスクス、お気に召さないならぁ~、張遼ちゃんやレベッカちゃんも加えた4Pでもいいですよぉ~。三人の美女たちとぉ~、くんずほぐれつのエッチなんて男冥利に尽きますよねぇ~♪」
「……」
スルーを続けてはいるが、リルルの言葉に触発されてスケベなオッサンの妄想は膨れ上がっていった。引き締まった身体だが、女性らしいしなやかなボディラインの愛らしい張遼ちゃん。野性的だが均整の取れた肢体と褐色肌が魅力的な情の深いレベッカ。非の打ち所がないナイスバディで、エロエロなサキュバスクイーンのリルル。いずれも絶世の美女たちで、前世界では知り合うことすら出来なかったであろう。そんな美女たちとの――うっふんあっはんな光景をエロ妄想していると、私の火星17型は如実に反応してしまうのであった。
「クスクス、ご主人様もその気になったみたいですしぃ~、ギヤをトップに入れてあげますねぇ~♪」
「ちょっと待ってリルル――そのギヤはマズい! ていうか、運転中にそんな処を……うひぃぃぃぃぃっ」
リルルは小悪魔的な笑みを浮かべると、尻尾を伸ばして股間に張ったテントを弄り始める。ズボン越しとはいえ、屹立した男根に尻尾が巻きつき扱き立ててくる。余りにエロいリルルのギヤチェンジで、節操のない下半身はあっという間に臨戦態勢に入ってしまうのであった。
「ううっ、リルルの奴め。危うく発射してしまう所だったよ」
何とか本拠地に辿り着いた私は、前かがみの姿勢のままヨロヨロと車を降りた。張遼ちゃんやレベッカの前での痴態は紙一重で回避したが、私の火星17型は発射寸前であった。何とかポーカーフェイスを保ちながら、従業員を住ます予定の建屋に向かう。これは女神であるテュケー様から授かった物で、昭和の匂いが漂うおんぼろ団地である。しかし各部屋には、寝室を兼ねたリビングルーム、キッチン、トイレ、洗面所、小さなバルコニーが備えられており、この世界では上級の住処である。私は団地の前にブルーシートを敷くと、ブラックマーケットで購入した椅子やらテーブル等の家具を並べていく。アドニス商会から奴隷たちが到着したら、各部屋ごとに配るつもりである。最初は各部屋に3~4人で共同生活をしてもらい、その後は活躍に応じて個々の部屋を与えるつもりだ。こうすれば奴隷たちのモチベーションも上がり、娼館の利益も増えていくであろう。何はともあれ奴隷たちの受け入れ準備は整った。残るは奴隷たちの歓迎会である。張遼ちゃんや獣人のニャムたちにも手伝ってもらい、バーベキューやら酒の準備をしていると、ガラガラと馬車の音が聞こえてくる。そしてアドニス商会の紋章が施された、三台の幌馬車が到着するのであった。
「皆さんをこうして迎え入れられた事を、心から嬉しく思っていますぅ~。新しい環境の中でぇ~、分からない事や不安な事があると思いますけどぉ~、私たちも全力でサポートしますのでぇ~、どんな男でも虜にするような魅力的な女性になってくださいねぇ~。今後の皆さんの活躍とご健勝を祈念しましてぇ~、私の挨拶とさせていただきますぅ~。それでは乾杯の音頭を、ご主人様にお願いしますぅ~」
馬車を降りた奴隷たちを集合させると、リルルの歓迎スピーチが始まった。普段はエロい発言ばかりだが、意外ととまともなスピーチであった。そして次は私が乾杯の音頭を取る番である。グラスを掲げると、手短に挨拶を述べた。
「若い力を存分に発揮して、皆さんには新しい風を巻き起こしてもらいたいと思っています。失敗を恐れず、勇気を持って色々な事にチャレンジしてください。それでは私たちの娼館の立ち上げを祝いしまして――乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
最初は豪華な歓迎会に戸惑っていた奴隷たちであったが、酒を飲みバーベキューを食しているうちに徐々に打ち解けていった。どうやら奴隷相手に大盤振る舞いをする私たちに、裏があるのでは?――と、警戒していたようだ。しかし美味い酒と料理はそんな警戒心を吹き飛ばしていく。やがて、そこいらで和気あいあいの賑やかな宴会が始まった。
「あ~ん、このお酒もお肉も美味しいです。奴隷の私たちが、こんな上等な物を食べても良いのかしら」
「大丈夫だと思いますよ。リルル様の話ですと、トミタカ様は大変な資産家で、羽振りも良いそうですよ。しかも亜人にも優しい人で、私たちの事も親身になって考えてくれるそうですよ。……それとここだけの話ですけど、女性に目がなくてエッチも上手だそうです。何せ、あのレベッカ様さえメロメロになってしまったようですから」
「そ、それなら、亜人の私たちでもチャンスがあるのかしら?」
「頑張って女を磨けば、可能性はありそうですね。お互いに頑張りましょう」
張遼ちゃんやレベッカと酒を飲みながら雑談をしていると、獣人の女の子たちが艶めかしくシナを作って酌を進めてくる。それを見た亜人の女の子たちがワラワラと集まり始めた。獣人を含めた亜人の女の子たちにはモテモテなのだが、人間の女の子たちは遠回しに此方を見ているだけである。やはり私のスキルである――チャーム(亜人限定)の影響であろう。しかしながらよく考えると――このスキルが無ければ、亜人の女の子たちにも相手にされなかったのであろうか? そう思うと、少し落ち込んでしまうオッサンなのであった。
「アハッ! ご主人様ぁ~、楽しく飲んでますかぁ~?」
女性陣に囲まれながら話をしていると、頬を薄っすらと桜色に染め、グラスを手にしたリルルがこちらにやって来た。後ろにはリルルが特に期待しているマリスの姿も見える。如何やら用があるようである。
「ははっ、魅力的な女性たちに囲まれながら、楽しく飲んでるよ」
「クスクス、ご主人様は、相変わらず亜人の女の子にモテモテですねぇ~。ところでご主人様ぁ~、大事なお話があるのでぇ~、少し付き合ってもらえますかぁ~」
「ああ、構わないがマリスの事かな?」
「そうなんですけどぉ~、此処は人目があるので静かな所で話しませんかぁ~」
「分かった分かった。張遼ちゃんにレベッカ――すまないが少し席を外すよ」
リルルに手を引かれ、おんぼろ団地の裏に連れ込まれる。リルルの事だから、恐らくはエロ絡みの事であろう。しかし普段はおちゃらけている彼女が、至って真面目な顔をしている。いったい何ごとなのだろう。
「ご主人様ぁ~、お楽しみの所なのに申し訳ありませんでしたぁ~。でも大事な話なんですよぉ~、今更取り繕っても仕方ないので、ぶっちゃけて言いますけどぉ~、今夜、マリスちゃんを抱いてあげてくださいよぉ~。あっ、それからマリスちゃんは初めてなので優しくしてあげて下さいねぇ~」
「ぶはっ! ち、ちょっと待ってよリルル! いきなりそんな事を言われても……。第一、彼女の意思を尊重しないと……」
開口一番、リルルのトンデモ発言である。いったい何を考えているやら……。
「ご主人様は相変わらず女心に疎いんですねぇ~。……はあ~っ、いいですかご主人様ぁ~、彼女は幼い妹や弟を養うために娼妓として働くことを決意したんですよぉ~。でもそうなったらまともな恋愛なんて出来ないですよねぇ~。だからその前にぃ~、一目惚れしたご主人様に抱かれたい――と、考えるのは女として当然だと思いませんかぁ~」
こんなオッサンに一目惚れした理由は不明だが、顔を真っ赤にしてモジモジしているマリスを見れば、少なくとも嫌われていない事は理解できる。しかし彼女を抱くとなると、話が飛躍しすぎなのではないか。
「リルルの言いたい事も理解できるが、何もそこまでする事はないだろう。そうだ! 娼妓ではなく娼館のウエイトレスとして働けばいいんじゃないかな。もしそれでもお金が必要なら、私のポケットマネーから出せば……」
「ご主人様! マリスちゃん以外の人達も、色々な事情で奴隷になったんですよ。それなのにマリスちゃんだけを優遇すれば、他の人は面白くないですよ。従業員たちの不満が高まるだけで、私たちへの信用もガタ落ちですよ。それとも全員に同情してお金を援助するつもりなのですか? ご主人様が情に厚いのは美徳ですけど、そんな甘ちゃんでは商売が成り立ちませんし、経営者としても失格ですよ。そして何よりマリスちゃんは、家族を養うために娼妓になる事を決死の覚悟で決めたんですよ! そんな女の決意も、ご主人様は蔑ろにするつもりなんですか?」
普段の間の抜けた口調は完全に影を潜めている。如何やらリルルはかなり憤慨しているようだ。
「ううっ、確かにリルルの言う通りだ。ぐうの音も出ないよ。でもやはり……」
「デモもストライキもありません。いいですか、女がここまでの覚悟をしているんですよ。ここは支えてあげるのが道理ですよね?! 第一、ご主人様は……クドクド!」
「ご主人様は逃げる事も出来ますが、マリスちゃんはそんな事は出来ないんですよ! 全くご主人様は……クドクド!」
「分かってますか? 女にとって初めての相手は、一生の思い出として心に刻まれるのですよ! それなのに惚れた男に断られた挙句、何処の馬の骨だか知れない客に初めてを奪われたら……クドクド!」
結局私は、女心について長々とリルルの説教を受けるのであった。
「アハッ! ご主人様もぉ~、漸く女心を理解したようですしぃ~、お話はここまでにしますねぇ~。クスクス、それから今回の女心講座の授業料も徴収しますねぇ~♪ んっ、ちゅっ、じゅるる♡ 」
長い説教が漸く終わり気が緩んでいた私は、抱き付いてきたリルルにあっさりと唇を奪われる。そして差し込まれた柔らかな舌が、口内を丹念に舐り始める。負けじとリルルの舌を絡め取り、唾液を交換する熱く濃厚なキスを交わしていく。やがてどちらともなく唇が離れ、キラキラと輝く唾液がツーっと糸を引く。そんな光景をマリスは顔を真っ赤に染めながらも、息を凝らすように見つめていた。
「はぁぁん♡ こんな激しいキスをしたらぁ~、ご主人様とエッチしたくなっちゃいましたよぉ~。でもマリスちゃんの為にぃ~、今は我慢しますねぇ~。それからご主人様ぁ~、アネット様たちとエッチしたあの部屋に、今夜必ず来てくださいねぇ~♪ ちゅっ♡ 」
リルルは色っぽく投げキッスをすると、ペコペコと頭を下げているマリスを連れて去っていった。マリスの初めての相手になるのは男冥利に尽きるが、彼女は自分の娘――と、言っても違和感がないぐらいの年齢の少女である。期待と後ろめたさを感じながら、私は悶々とした時間を過ごすのであった。
「いやいや、こちらもいい買い物ができたよ。さすがアネット様お薦めの商会だね」
張遼ちゃんとレベッカの不毛な闘いを止めた私は、奴隷の購入代金をホルノスキーに支払い帰宅の途につくことにした。リルルがホルノスキーとの賭けで勝利したので、奴隷の購入代金は半額となったのは僥倖であった。しかし張遼ちゃんとレベッカの間で一悶着あった時に、調度品の壷を破損してしまったのだ。ホルノスキーたっての希望で、賠償は高級ブランデーのレミーマ●タン五本で手打ちとなったが、あのシリアナ王朝時代の壷とやらにそれ程の価値があったかは不明である。それでも優秀な奴隷を半額で多数購入できたので、全体から見ればだいぶ得をしたようだ。
「ところでトミタカ様――どのようにして奴隷たちを引率するのかしら? よろしければ馬車の手配と奴隷たちの運び込みは、アドニス商会が受け持ちますわ。勿論、サービスよ♡ 」
「う~ん。小人数しか乗れないハ●ヴィーでここまで来たからなぁ。悪いけどお願いするよ」
「オホホ、トミタカ様とは長いお付き合いになりそうですし、遠慮しないでお任せくださいな」
コワモテ顔に満面の笑みを浮かべ、もみ手をしているホルノスキーは不気味そのものではあるが、ここは好意に甘える事にした。
「それでは先に返って受け入れ準備をするので、運び込みの件はお願いします。あっ、それからスバルには皆の護衛を頼むよ。大事な従業員に万が一の事があったら大変だからね」
「ああ、あたいに任せといてくれよ。チョウリョウさんやレベッカさんには及ばないけど、そこいらのゴロツキなんか赤子の手をひねるようなもんさ」
スバルは大柄のハルバードを振り回しながら、ふんす!と鼻を鳴らしており気合十分である。彼女に任せておけば問題ないであろう。私は張遼ちゃんたちを引き連れて家路を急ぐのであった。
「ふふっ、トミタカといると本当に退屈しないな。この馬なし馬車のハ●ヴィーとか言う魔道具は実に興味深い」
「貴様! シレっと主の隣に乗ろうとするな! そこは私の指定席だ」
街中での混乱を避けるため、貿易街アンチモンを出てからハ●ヴィーを無限収納BOXから取り出した。しかしレベッカと張遼ちゃんのイザコザが再び始まってしまった。今度は助手席をめぐっての争いである。ハ●ヴィーについて一通りの説明をしたのだが、レベッカはいたく興味を持ったようである。堂々と助手席に乗り込もうとしているのだ。
「アハッ! ご主人様ぁ~、助手席は私が乗っていいですよねぇ~。私、今回は頑張りましたよぉ~。優秀な奴隷の目利きもしましたしぃ~、購入代金も半額になったんですよぉ~。少しは労わって下さいよぉ~」
「「むっ!」」
張遼ちゃんとレベッカの争いを尻目に、リルルが甘える様に抱き付いてきた。上目遣いで、はち切れんばかりの胸元をムニュムニュと押し付けてくる。あざといと分かっているが、それに抗えない魅力と色香をリルルは兼ね備えているのだ。張遼ちゃんとレベッカが殺気めいた視線を向けるが、リルルはお構いなしである。我関せずのすまし顔で、平然と助手席に乗り込んでしまった。
「まあまあ二人とも――助手席はリルルに譲ってあげてよ。今回は大活躍したからね」
「主の仰せのままに」
「トミタカがそう言うならば仕方が無いな。今日の所は譲るとしよう」
席争いを終えた張遼ちゃんとレベッカが後部座席のシートに腰を下ろす。リルルが意味深なウインクをしているのが気になるが、車を動かす事にした。しかし間もなく私は、リルルを助手席に乗せた事を後悔する羽目になるのであった。
「ご主人様ぁ~、少し休憩しませんかぁ~。そして車の中でエッチな事をしましょうよぉ~。狭い場所でのエッチってぇ~、必要以上に身体が密着して興奮すると思いませんかぁ~?」
「……」
車を走らせて直ぐにリルルのエロい誘惑が始まった。ヒソヒソ声なので張遼ちゃんたちには聞こえていないようだが、内容が内容なので敢えてスルーした。しかしそれで引き下がるリルルではない。リルルの誘惑は更にエスカレートしていった。
「クスクス、お気に召さないならぁ~、張遼ちゃんやレベッカちゃんも加えた4Pでもいいですよぉ~。三人の美女たちとぉ~、くんずほぐれつのエッチなんて男冥利に尽きますよねぇ~♪」
「……」
スルーを続けてはいるが、リルルの言葉に触発されてスケベなオッサンの妄想は膨れ上がっていった。引き締まった身体だが、女性らしいしなやかなボディラインの愛らしい張遼ちゃん。野性的だが均整の取れた肢体と褐色肌が魅力的な情の深いレベッカ。非の打ち所がないナイスバディで、エロエロなサキュバスクイーンのリルル。いずれも絶世の美女たちで、前世界では知り合うことすら出来なかったであろう。そんな美女たちとの――うっふんあっはんな光景をエロ妄想していると、私の火星17型は如実に反応してしまうのであった。
「クスクス、ご主人様もその気になったみたいですしぃ~、ギヤをトップに入れてあげますねぇ~♪」
「ちょっと待ってリルル――そのギヤはマズい! ていうか、運転中にそんな処を……うひぃぃぃぃぃっ」
リルルは小悪魔的な笑みを浮かべると、尻尾を伸ばして股間に張ったテントを弄り始める。ズボン越しとはいえ、屹立した男根に尻尾が巻きつき扱き立ててくる。余りにエロいリルルのギヤチェンジで、節操のない下半身はあっという間に臨戦態勢に入ってしまうのであった。
「ううっ、リルルの奴め。危うく発射してしまう所だったよ」
何とか本拠地に辿り着いた私は、前かがみの姿勢のままヨロヨロと車を降りた。張遼ちゃんやレベッカの前での痴態は紙一重で回避したが、私の火星17型は発射寸前であった。何とかポーカーフェイスを保ちながら、従業員を住ます予定の建屋に向かう。これは女神であるテュケー様から授かった物で、昭和の匂いが漂うおんぼろ団地である。しかし各部屋には、寝室を兼ねたリビングルーム、キッチン、トイレ、洗面所、小さなバルコニーが備えられており、この世界では上級の住処である。私は団地の前にブルーシートを敷くと、ブラックマーケットで購入した椅子やらテーブル等の家具を並べていく。アドニス商会から奴隷たちが到着したら、各部屋ごとに配るつもりである。最初は各部屋に3~4人で共同生活をしてもらい、その後は活躍に応じて個々の部屋を与えるつもりだ。こうすれば奴隷たちのモチベーションも上がり、娼館の利益も増えていくであろう。何はともあれ奴隷たちの受け入れ準備は整った。残るは奴隷たちの歓迎会である。張遼ちゃんや獣人のニャムたちにも手伝ってもらい、バーベキューやら酒の準備をしていると、ガラガラと馬車の音が聞こえてくる。そしてアドニス商会の紋章が施された、三台の幌馬車が到着するのであった。
「皆さんをこうして迎え入れられた事を、心から嬉しく思っていますぅ~。新しい環境の中でぇ~、分からない事や不安な事があると思いますけどぉ~、私たちも全力でサポートしますのでぇ~、どんな男でも虜にするような魅力的な女性になってくださいねぇ~。今後の皆さんの活躍とご健勝を祈念しましてぇ~、私の挨拶とさせていただきますぅ~。それでは乾杯の音頭を、ご主人様にお願いしますぅ~」
馬車を降りた奴隷たちを集合させると、リルルの歓迎スピーチが始まった。普段はエロい発言ばかりだが、意外ととまともなスピーチであった。そして次は私が乾杯の音頭を取る番である。グラスを掲げると、手短に挨拶を述べた。
「若い力を存分に発揮して、皆さんには新しい風を巻き起こしてもらいたいと思っています。失敗を恐れず、勇気を持って色々な事にチャレンジしてください。それでは私たちの娼館の立ち上げを祝いしまして――乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
最初は豪華な歓迎会に戸惑っていた奴隷たちであったが、酒を飲みバーベキューを食しているうちに徐々に打ち解けていった。どうやら奴隷相手に大盤振る舞いをする私たちに、裏があるのでは?――と、警戒していたようだ。しかし美味い酒と料理はそんな警戒心を吹き飛ばしていく。やがて、そこいらで和気あいあいの賑やかな宴会が始まった。
「あ~ん、このお酒もお肉も美味しいです。奴隷の私たちが、こんな上等な物を食べても良いのかしら」
「大丈夫だと思いますよ。リルル様の話ですと、トミタカ様は大変な資産家で、羽振りも良いそうですよ。しかも亜人にも優しい人で、私たちの事も親身になって考えてくれるそうですよ。……それとここだけの話ですけど、女性に目がなくてエッチも上手だそうです。何せ、あのレベッカ様さえメロメロになってしまったようですから」
「そ、それなら、亜人の私たちでもチャンスがあるのかしら?」
「頑張って女を磨けば、可能性はありそうですね。お互いに頑張りましょう」
張遼ちゃんやレベッカと酒を飲みながら雑談をしていると、獣人の女の子たちが艶めかしくシナを作って酌を進めてくる。それを見た亜人の女の子たちがワラワラと集まり始めた。獣人を含めた亜人の女の子たちにはモテモテなのだが、人間の女の子たちは遠回しに此方を見ているだけである。やはり私のスキルである――チャーム(亜人限定)の影響であろう。しかしながらよく考えると――このスキルが無ければ、亜人の女の子たちにも相手にされなかったのであろうか? そう思うと、少し落ち込んでしまうオッサンなのであった。
「アハッ! ご主人様ぁ~、楽しく飲んでますかぁ~?」
女性陣に囲まれながら話をしていると、頬を薄っすらと桜色に染め、グラスを手にしたリルルがこちらにやって来た。後ろにはリルルが特に期待しているマリスの姿も見える。如何やら用があるようである。
「ははっ、魅力的な女性たちに囲まれながら、楽しく飲んでるよ」
「クスクス、ご主人様は、相変わらず亜人の女の子にモテモテですねぇ~。ところでご主人様ぁ~、大事なお話があるのでぇ~、少し付き合ってもらえますかぁ~」
「ああ、構わないがマリスの事かな?」
「そうなんですけどぉ~、此処は人目があるので静かな所で話しませんかぁ~」
「分かった分かった。張遼ちゃんにレベッカ――すまないが少し席を外すよ」
リルルに手を引かれ、おんぼろ団地の裏に連れ込まれる。リルルの事だから、恐らくはエロ絡みの事であろう。しかし普段はおちゃらけている彼女が、至って真面目な顔をしている。いったい何ごとなのだろう。
「ご主人様ぁ~、お楽しみの所なのに申し訳ありませんでしたぁ~。でも大事な話なんですよぉ~、今更取り繕っても仕方ないので、ぶっちゃけて言いますけどぉ~、今夜、マリスちゃんを抱いてあげてくださいよぉ~。あっ、それからマリスちゃんは初めてなので優しくしてあげて下さいねぇ~」
「ぶはっ! ち、ちょっと待ってよリルル! いきなりそんな事を言われても……。第一、彼女の意思を尊重しないと……」
開口一番、リルルのトンデモ発言である。いったい何を考えているやら……。
「ご主人様は相変わらず女心に疎いんですねぇ~。……はあ~っ、いいですかご主人様ぁ~、彼女は幼い妹や弟を養うために娼妓として働くことを決意したんですよぉ~。でもそうなったらまともな恋愛なんて出来ないですよねぇ~。だからその前にぃ~、一目惚れしたご主人様に抱かれたい――と、考えるのは女として当然だと思いませんかぁ~」
こんなオッサンに一目惚れした理由は不明だが、顔を真っ赤にしてモジモジしているマリスを見れば、少なくとも嫌われていない事は理解できる。しかし彼女を抱くとなると、話が飛躍しすぎなのではないか。
「リルルの言いたい事も理解できるが、何もそこまでする事はないだろう。そうだ! 娼妓ではなく娼館のウエイトレスとして働けばいいんじゃないかな。もしそれでもお金が必要なら、私のポケットマネーから出せば……」
「ご主人様! マリスちゃん以外の人達も、色々な事情で奴隷になったんですよ。それなのにマリスちゃんだけを優遇すれば、他の人は面白くないですよ。従業員たちの不満が高まるだけで、私たちへの信用もガタ落ちですよ。それとも全員に同情してお金を援助するつもりなのですか? ご主人様が情に厚いのは美徳ですけど、そんな甘ちゃんでは商売が成り立ちませんし、経営者としても失格ですよ。そして何よりマリスちゃんは、家族を養うために娼妓になる事を決死の覚悟で決めたんですよ! そんな女の決意も、ご主人様は蔑ろにするつもりなんですか?」
普段の間の抜けた口調は完全に影を潜めている。如何やらリルルはかなり憤慨しているようだ。
「ううっ、確かにリルルの言う通りだ。ぐうの音も出ないよ。でもやはり……」
「デモもストライキもありません。いいですか、女がここまでの覚悟をしているんですよ。ここは支えてあげるのが道理ですよね?! 第一、ご主人様は……クドクド!」
「ご主人様は逃げる事も出来ますが、マリスちゃんはそんな事は出来ないんですよ! 全くご主人様は……クドクド!」
「分かってますか? 女にとって初めての相手は、一生の思い出として心に刻まれるのですよ! それなのに惚れた男に断られた挙句、何処の馬の骨だか知れない客に初めてを奪われたら……クドクド!」
結局私は、女心について長々とリルルの説教を受けるのであった。
「アハッ! ご主人様もぉ~、漸く女心を理解したようですしぃ~、お話はここまでにしますねぇ~。クスクス、それから今回の女心講座の授業料も徴収しますねぇ~♪ んっ、ちゅっ、じゅるる♡ 」
長い説教が漸く終わり気が緩んでいた私は、抱き付いてきたリルルにあっさりと唇を奪われる。そして差し込まれた柔らかな舌が、口内を丹念に舐り始める。負けじとリルルの舌を絡め取り、唾液を交換する熱く濃厚なキスを交わしていく。やがてどちらともなく唇が離れ、キラキラと輝く唾液がツーっと糸を引く。そんな光景をマリスは顔を真っ赤に染めながらも、息を凝らすように見つめていた。
「はぁぁん♡ こんな激しいキスをしたらぁ~、ご主人様とエッチしたくなっちゃいましたよぉ~。でもマリスちゃんの為にぃ~、今は我慢しますねぇ~。それからご主人様ぁ~、アネット様たちとエッチしたあの部屋に、今夜必ず来てくださいねぇ~♪ ちゅっ♡ 」
リルルは色っぽく投げキッスをすると、ペコペコと頭を下げているマリスを連れて去っていった。マリスの初めての相手になるのは男冥利に尽きるが、彼女は自分の娘――と、言っても違和感がないぐらいの年齢の少女である。期待と後ろめたさを感じながら、私は悶々とした時間を過ごすのであった。
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三矢さくら
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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