異世界で娼館と商館経営⁉ ~チートを駆使したオッサンの剛腕繁盛記~

悪代官と越後屋

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30.娼館経営――プロジェクトセックス~痴情の星たちへ~始動!

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「いや~ん、そんなに怒らないでよぉ~♡ 長馬跳びの話は、ほんのジョークですよぉ~! でも、張遼ちゃんもご主人様と、エッチな事をしようとしてたよねぇ~? 同じ事をしただけなのに、咎められるなんておかしいよぉ~!」
「ううっ……そ、それは、リルル殿が主を誑かして、己の欲望のみを満たそうとしているからだ! ……しかし私は本気で主の事を……」
「精を搾り取って、欲望を満たそうとしているは事実ですけどぉ~、それ以前に私はサキュバスですよぉ~。サキュバスが魅力的な男性を狙うのは当然ですしぃ~、ご主人様の事は憎からず思っていますよぉ~!」
「「むむむっ!!」」

 バチバチと二人の視線がぶつかり、辺りに見えない火花が飛び散っている。両者とも一歩も引く気がないようだ。 さすがの私も、私のために争わないで!――と、お約束のネタをぶちかます事が出来なかった。


「クスクス、それならば張遼ちゃん――どちらがご主人様のお役に立てるか、私と勝負しませんかぁ~? そして、勝った方がご主人様を三日間独占できる――というのはどうですかぁ~?」
「主を三日間も独占……。心得た! 主を巻き込むのは気が引けるが、勝負を挑まれて逃げるのは武人の名折れ! 張遼文遠いざ参る!」
「キャ~、武芸で張遼ちゃんに勝てるわけないよぉ~! そうじゃなくて、どちらがご主人様のお役に立てるか――の勝負だよ~。武芸だけの話じゃないよぉ~」

 リルルの提案を受けて、張遼ちゃんはかなり乗り気のようだ。重い青龍偃月刀を、小枝の如くブンブンと振り回している。凄い迫力だ。張遼ちゃんの武威を受けてリルルは完全に及び腰になっている。うむっ、武芸に関しては張遼ちゃんの圧勝である。

「あ~ん♡  ご主人様ぁ~、本当に怖かったですぅ~! 張遼ちゃんが、か弱い私を苛めるんですよぉ~♡ 」

 私を勝負の景品にした張本人が、シレっと抱き付いてくる。あざとい演出に呆れてしまうが、リルルが美人で魅力的なのは紛れもない事実である。甘えた声で抱き付かれ、ムニュムニュとした柔らかな膨らみを押し付けられると、邪な心がムクムクと膨れ上がってしまうのだ。う~む、何て奴だ! いいぞもっとやれ!


「リルル殿、少し戯れが過ぎるのではないか?!」
「いや~ん、張遼ちゃんは、頭が固すぎだよぉ~。仲のいい男女なら、これぐらいのスキンシップは当然だよぉ~。そうだ! ご主人様ぁ~、今から私の考えた娼館経営――プロジェクトセックス~痴情の星たちへ~の立ち上げについてお話合いをしませんかぁ~。勿論、二人でですよぉ~♡ 」
「待て、リルル殿! それのどこが、主の役に立つというのだ?」
「張遼ちゃんは分かってないねぇ~。自分で言うのも何だけどぉ~、男の情欲を知り尽くしている私が娼館を経営すれば、大繫盛間違いなしだよぉ~。ご主人様の懐も潤うだろうしぃ~、虐げられている女の子たちも好条件で雇い入れるつもりだよぉ~。そうすればご主人様の名声も高まるしぃ~、いいこと尽くめだと思いますよぉ~」
「娼館などを建てれば、怪しい人物の出入りが容易になる! 主に危害を加えようとする刺客が紛れ込んでいたらどうするつもりだ?」
「そんなの護衛を増やしたり、腕の立つ奴隷でも購入すれば事足りるよねぇ~。虎穴に入らずんば虎子を得ずだよぉ~!」
「君子危うきに近寄らず――とも言うぞ!」
「「むむむっ!!」」

 共に魅力的な絶世の美女であるが、張遼ちゃんとリルルの相性は最悪である。張遼ちゃんが一途な性格であるのに対して、リルルは自由気ままで奔放な性格である。そしてエッチに関しても張遼ちゃんはMっ気があるが、リルルは完全にどSなのだ。正に陰と陽・正と負・表と裏である。だがしかし、二人ともエッチに積極的で感度が良いのは共通である。そんな二人が私にホの字なのは、男冥利につきるであろう。

「まあまあ張遼ちゃん――リルルとの約束で、娼館を運営するのは決定事項なんだ。すまないが協力をしてくれないかな? 勿論、張遼ちゃんの危惧にも配慮するよ。資金は用意するから、張遼ちゃんには護衛の雇用と訓練をお願いするよ」
「主の仰せに従います。ならば身命を賭して、主を守る精鋭部隊を創設致します。曹操様の精鋭中の精鋭であった虎豹騎こひょうきにも劣らぬ親衛隊を編成いたしますので、楽しみにしていてください」
「そ、そうなんだ……。張遼ちゃんの気持ちはとても嬉しいでよ。でも少し大袈裟すぎでは? 別に戦をするわけでもないし、スキルさえバレなければ、こんな冴えないオッサンを狙う輩はいないと思うけどね」
「何をおっしゃいますか、主は自分の価値を分かっておられません! 主はいずれ偉業をなされるお方です、御身を大切にしてください!」

 あ~っ、張遼ちゃんの期待が重すぎる。こんなスケベで平凡なオッサンに何ができるやら……。しかし彼女は、私にとって無くてはならない存在である。張遼ちゃんに愛想を尽かされたら、もはや生きていけないだろう。何としても娼館も商館も軌道に乗せて、彼女の期待に応えなければならないのである。


「うふふっ、それじゃあ張遼ちゃんは、護衛の編成を頑張ってねぇ~。私はご主人様と、娼館の立ち上げについてじっくりとお話し合いをしますからぁ~♪」
「そうはいくか! 主と二人っきりになどしたら、リルル殿が何をしでかすか分かったものではない! 私も参加させてもらう!」
「張遼ちゃんのおじゃま虫……ボソッ」
「リルル殿、何か言ったかな?」
「うふふっ、何にも言っていませんよぉ~♪」

 二人の仲の悪さを目の当たりにして、私は深い溜息を吐くのであった。


「ご主人様ぁ~、私はただの娼館には興味ありませんから~! 他では体験できないようなぁ~、客の劣情を煽るエロい工夫が必要なんですよ~! ですからぁ~、ご主人様の故郷にあった――ストリップ劇場も掛け合わせて建てて欲しいんですよぉ~」
「おおっ、今のリルルは今までにないぐらい情熱的で真剣だな! う~んそうだなぁ、ストリップ劇場か……。ポールダンスとか、お客様が参加できる――本番まな板ショーなんてやったら大ウケだろうな」
「あ~ん、さすがご主人様ですぅ~♡  アンチモンやロスにある娼館を偵察しましたけど、呆れるほどおもむきがなかったんですよぉ~。酒をかっ喰らった男性が、女性を選んで部屋にしけ込むだけなんですよぉ~。もっと客の情欲を煽ったり、エロい情緒や駆け引きがあったほうが面白いと思ってたんですよぉ~。ですからぁ~、そのアイデアは採用しますね~♡ 」

 リルルの考えた――プロジェクトセックス~痴情の星たちへ~について話し合いを始めたが、リルルはいつになく真剣で、次々と企画を押し進めてくる。途中で合流したニャムたちも、リルルの余りに熱い語りに若干引いているようだ。

「でも、ご主人様ぁ~、本番まな板ショーは、サプライズ企画にした方がいいと思いますよぉ~。そればかりだとありがたみが薄れますし、何より飽きられてしまいますよぉ~。他にも色々と、エロい企画を考えないとまずいですよぉ~」
「ふっふっふっ、リルル君――私を誰だと思っているのかね。故郷のネタを使えば造作も無い事だよ! 先ずツイスターゲーム、スー●ーJ●CKEYの生着替え、野球拳、それからダメージによって衣装が剝がれていく、お客様VS娼婦のおねえさんの対決――ストリップファイターエロなんていいんじゃないの」
「あ~ん、ご主人様ばかり面白いアイデアを出してズルいですぅ~。あっ! 私もいいネタを思い付きました。お客様VS娼婦のおねえさんの対決で、エロエロな前戯を耐えたら賞品が貰える――遅漏伝説。下着道を究めた乙女とのくんずほぐれつの闘い――ガールズ&パンティー。それから日替わりでおねえさんの、くぱぁが拝める――今日のマ❤…いったぁ~い!」
「リルル君、最後のネタは駄目だ! 犬好きの私は、その元ネタの番組が大好きだったのだ! それを下ネタにしてはいけないぞ!」

 あまりにお下劣なネタに走ったリルルに、チョップをお見舞いするのであった。

 何はともあれ、リルルとのエロくて熱い話し合いは終了し、娼館経営――プロジェクトセックス~痴情の星たちへ~は次の段階へと移行するのであった。


「にゃにゃ、オジ様は外で何をするつもりだにゃ?」

 会議も終わり、私はリルルたちを引き連れて外に出た。女性陣は何をするのか分からず訝しがっているが、勿論、ストリップ劇場を建てるためだ。まあ建てると言っても、女神であるテュケー様から授かった(押し付けられた)建物を代用するだけなのだが……。ぶつかり防止で娼館から距離を取ると、私は無限収納ボックスから映画館を取り出した。

 ズズ――――ン!!!

「にゃにゃにゃ、一体何が起こったにゃ?」

 凄まじい地響き共に辺りが粉塵で覆われる。獣人たちは突然の出来事で余程驚いたのだろう――どこぞの戦闘民族のように毛が逆立っている。やがて視界が晴れていくと、元世界にあった映画館が姿を現すのであった。

「さすがご主人様ですぅ~。一瞬でこんな凄い建物を用意できるなんて……。あ~ん♡ ご主人様は、まだまだ秘密を隠しているようですねぇ~♪ うふっ、もっとご主人様の事を知りたくなっちゃいましたぁ~♡ 」
「ゴホン! それは追々で! それよりも、この建物は改装しないとストリップ劇場として使えないぞ。元々は違う用途の建物だからね」
「それは大丈夫ですよぉ~。こんな事もあろうかとぉ~、目星をつけた職人たちはエッチで骨抜き……ゲフンゲフン――もとい、お願いしてあるので問題ないですよぉ~♪ きっと格安で仕事をしてくれますからぁ~」

 う~ん、リルルの奴は鬼だな。魅了されてしまった職人は、気の毒としか言いようがないな。奥さんがいたらそれが元で大惨事になりそうだ。殺人の動機は異性絡みとお金の揉め事が大半だというし、崖のシーンがお約束の某サスペンス劇場みたいな展開は勘弁である。

「分かった分かった、この件はリルルに任せてあるから細かい事は言わないよ。でも資金は用意しておくから、経費はケチらなくていいよ。問題が発生したほうが高くつきそうだよ」
「分かりましたぁ~、ご主人様のお眼鏡に叶うように頑張りますねぇ~♪」


 その後、従業員の為の住居も用意した。これもテュケー様から授かった建物を代用したのである。元世界にあった、昭和の匂いが漂うおんぼろ団地である。古い故に災害に耐えられるか心配だったが、鑑定のスキルで確認したところ問題はないようだ。どこぞのCMのように――地震が来ても、台風だって、火事と親父が一緒に来ても大丈夫の仕様である。テュケー様の心遣いと思われるが、実にご都合主義な展開であった。

 何はともあれ、娼館開業の準備は整いつつあった。次は本業である商館の立ち上げである。娼館から300メートルほど距離を取り、とある建物を取り出した。そう、元世界の近所にあった豪邸である。高い塀に囲まれたこの豪華な屋敷は、土地転がしや先物取引で財を成した有名な資産家――金賀多丸かねがたまる氏の別宅であった。しかしいつの頃からか、金賀氏のドラ息子が住むようになり、女性をとっかえひっかえ連れ込んでいたようである。敷地の中にはプールもあったようで、夏になると若い女性のキャッキャウフフの黄色い声が聞こえていた。社畜時代の私は上級国民との格差に嘆き、屋敷の近くを通るたびに――妬み、嫉み、僻みの感情を爆発させていた。だがしかし、今の私は昔とは違うのだ。それなりの収入を得ており、財を成す目処も立っているのだ。絶世の美女である張遼ちゃんやリルルも傍らにいるし、可愛い獣人たちにも好かれている。社畜だった私が、今や上級国民になりつつある。誠に感無量だ。


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