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28.それは秘密です!!
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コンコンコン!
ドアをノックする音で目が覚める。窓越しに差し込んでくる光は強く、太陽は高く昇っているようだ。ベッドには張遼ちゃんやリルルの姿も無く、だいぶ寝過ごしてしまったようである。
「う~、太陽の光が黄色く見えるぜ。……クソっ! 張遼ちゃんと夜明けのコーヒーを飲む予定だったのに、リルルの奴め……」
ラブラブエッチの後、二人きりの時間をまったりと過ごしていたのに、リルルに突如として乱入されたのである。その上、愛しの張遼ちゃんが寝ている横で、気絶するまで精を搾り尽くされたのである。男がやり逃げされるとは世も末である。
「にゃはは、オジ様! ご飯の仕度が出来ているから、早く起きるだにゃ! ……んにゃっ?! クンクン」
全身にのしかかる倦怠感で呆けていると、ガチャリと扉が開き、元気いっぱいのニャムが部屋に飛び込んできた。しかし何か違和感を感じたのであろう――しきりに鼻をヒクつかせている。やがて全てを理解したように、意味深の笑みを浮かべるのであった。
「にゃは、昨夜はお楽しみだったようだにゃ! しかもチョウリョウ様だけでなくリルル様の匂いもするにゃ! にゃはは、ひょっとして三人でエッチしたのかにゃ? やっぱりオジ様はとんでもない好色獣だにゃ!」
うぐっ、やはり獣人の鼻は誤魔化しきれないようだ。しかしながら三人でエッチしたというのは、えらい誤解である。リルルに一方的に襲われて、否応なしに搾精されただけである。好色獣というのは否定できないが……。
「ああ、ニャム――すまないが、暫く待ってくれないか? 朝飯の前に風呂に入りたいんだよ」
「にゃにゃ、そんなエッチな匂いをプンプンさせていたら、確かに周りに気付かれるにゃ。分かったにゃ! シーツ交換とベッドメイクはしておくから、オジ様は早く風呂に入るだにゃ」
ヨロヨロとベッドから立ち上がる。両脚ともおぼつかないが、三本目の脚だけはギンギンで元気一杯である。おそらく、疲れマラであろう。おっ立った股間をニャムに凝視されながら、私は風呂場へと足を運ぶのであった。
「あ~、朝寝に朝風呂か……。これで朝酒が加わったら身上潰すだろうな~」
しょうもない事を呟きながら、風呂場で汗や体液にまみれた身体を洗い流していく。お風呂のお湯はほんのりと温かく、張遼ちゃんかリルルが湯を沸かして風呂に入ったようである。私は湯船に浸かると、ゆっくりと身体を沈めていった。
「はあっ~、張遼ちゃんは可愛かったなぁ~。ナイスバディな美人で、感じやすくてエロいなんてトリプル役満だよ。前の世界でもお目に掛かれない、最高にいい女だよ」
風呂に入っても、瞼に浮かぶのは張遼ちゃんのエロい艶姿であった。引き締まった身体なのに、女性らしいしなやかさも兼ね備えているのである。揉んでも揉んでも反発してくる張りのある巨乳、キュッと引き締まったウエスト、プリップリの色白のお尻、ムチムチで強靭な太腿――どれをとっても最高である。私が若い頃に、不知●舞の揺れるオッパイとチュ●リーの鍛え抜かれた太腿のどちらが魅力的か?――の論争が仲間内で絶えなかったが、今ならはっきりと答えを出せるだろう。両方の良さを併せ持っている張遼ちゃんが、一番魅力的であると……。
「揉んで揉んで 揉まれて揉んで揉んで揉みつづけて 寝むるまで♪ ってか!」
風呂に浸かり疲れが癒えてきた私は、オッサンの特技である鼻歌を歌い始めた。勿論、昨夜の情事を思い出しながらである。そしてオッサン全開でアホな替え歌を歌っていると、浴室の扉がガラリと開きニャムが顔を覗かせている。
「オジ様! さっきまでヘロヘロだったのに、もう復活したのかにゃ? そんなに元気なら、今度は私の相手もして欲しいだにゃ♡ 」
「ちょっと待って、ニャム! さすがに朝っぱらからそれはマズいよ! ていうか、勝手に風呂場に入らないでよ」
「にゃあ~ん♡ 部屋の中はエッチな匂いが充満しているし、ご主人様のぶっといモノを見せられてから、身体の火照りを抑えられないにゃ!」
ニャムの目は、完全に獲物を狙っている獣そのものである。ヤバい、このままだと腎虚か腹上死であの世行きになりそうだ。
「ま、待て、話せばわかる!」
「問答無用だにゃ~♡ 」
「やめてぇ~、これ以上搾り取られたら、干からびちゃうよ」
ドタバタとト●とジェ●ーを彷彿させる追っかけっこが始まり、私は娼館の中でストリーキングをする羽目になってしまったのである。
「あ~、酷い目に遭ったよ。あれもこれも全部リルルのせいだよ」
暫くしてニャムは正気に戻ったが、原因はリルルの残り香のようである。リルルの肢体から発する芳香は催淫効果があるようで、匂いに当てられた獣人のニャムは発情してしまったようである。そのままニャムに襲われて精を出し続けたら、ミスター●ーメンにミイラパッケージをされたレフェリーのようになっていただろう。私は悪態を吐きながら朝食を平らげるのであった。
朝食の後、腹ごなしで辺りを散歩をしていると、何やら勇ましい掛け声が聞こえてくる。声の方に歩みを進めると、青龍偃月刀を振るっている張遼ちゃんの姿が見える。青龍偃月刀を打ち払う度に束ねた美しい黒髪が揺れ動き、肢体に浮かび上がった汗もキラキラと煌めいている。そして目が合った張遼ちゃんは、顔を真っ赤に染め上げて恥ずかしそうに俯いてしまった。
「主よ、おはようございます……」
「や、やあ! 張遼ちゃん、おはよう。精力的にトレーニングをしているけど、身体の方は大丈夫かい?」
「は、はい……大丈夫です。……でも、まだ主のモノが中に入ってるような感覚が……」
「そ、そうなんだ……」
嬉し恥ずかしの甘酸っぱい雰囲気が漂い、私も張遼ちゃんも照れくさくて無口になってしまった。ドギマギとした妙な時間が流れ、私は恥ずかしさを誤魔化すように話題を変えるのであった。
「ところで張遼ちゃん――増々腕を上げたようだね。青龍刀さばきも巧みになっているし、一撃一撃が前より重く鮮やかになっているね」
「は、はい……主と身体を重ねてから活力が漲り始めたのです。技の切れも冴え渡り、不遜ではありますが――旧主であった呂布殿を越えたかもしれません」
張遼ちゃんは、恥ずかしそうにモジモジと身体を捩らせている。そんな可愛らしい張遼ちゃんであるが、どうやら三國無双である呂布をも超越したようである。しかし彼女は、パワーアップした原因を不思議に思っているようである。私としても、愛しい張遼ちゃんには隠し事はしたくないのだ。意を決した私は、女神に貰ったスキルについて語り始めた。
「そ、それは、主と身体を重ねれば重ねるほど強くなれるという事ですか?」
交わった女性の能力を高める――『房中術』のスキルについて説明すると、張遼ちゃんがグイグイと迫って来る。普段の冷静な彼女とは思えない、凄い迫力である。
「そ、そうなんだけど……張遼ちゃん、ちょっと落ち着いてね。能力が上昇するのは間違いないけど、どんな効果が付与されるかはランダムみたいなんだよ」
『房中術』のスキルには、魅力アップ、気品アップ、若返り等の色々なプラス効果があるが、どのように反映されるかは今のところ不明である。おそらく、女性自身が望む効果が優先されると思われるが、あくまでも推測である。
「主よ、失礼しました。しかしこのスキルの効果は、世の女性にとって垂涎の的ではありませんか! 人に知られたら、主の身に危険が及びかねません」
「ははっ、張遼ちゃんだから話したんだよ! 本当に信頼できる人にしか、話せない秘密だからね」
「……それほどまでに私を信頼してくれるのですか? ……嬉しいです♡ 」
感極まった張遼ちゃんが、目を潤ませながら身体を寄せてくる。そして魔法陣グ●グルのギッ●ルがクサがりそうな甘々の雰囲気が、再び漂い始める。私は張遼ちゃんの背中を優しく撫で下ろすと、腰に手を回してグッと抱き寄せた。
「あっ、はあんっ……。主よ、不躾ながらお願いがあります。女らしくない武骨な私ですが、これからも……あの、その……か、身体を重ねてください。もっと強くならないと、いざという時に主を守り切れませんから……」
熱い抱擁と情熱的なキスの後、張遼ちゃんは恥じらいながらも自分の想いをぶつけてきた。あまりに健気で献身的な態度に、私は増々張遼ちゃんに惚れ込んでいった。
「本当に張遼ちゃんは可愛すぎるよ! 張遼ちゃんが、女らしくなくて武骨? ――そんな事はあり得ないからね! だけどね張遼ちゃん――男にそんな台詞を言ったらどうなると思っているのかな? 男は所詮ケダモノなんだよ!」
「はあんっ、んんっ……主の逞しいモノがコツンコツンとぶつかって……ふあぁぁんっ♡ 」
張遼ちゃんのしおらしい態度は、治まりつつあった私の情欲を再び燃え上がらせていく。張遼ちゃんが愛しくて愛しくてたまらないのである。私は張遼ちゃんの手を引いて物陰に引き込もうとしたのだが、小悪魔的な笑みを浮かべたリルルに遭遇するのであった。
「クスクス、ご主人様に張遼ちゃん、おはようございますぅ~♪ ご主人様ぁ~、朝寝、朝風呂の後は、張遼ちゃんと朝セックスですかぁ~? 色々な意味で精が出ますねぇ~♪ うふふっ♡ 」
「~~~~っ!」
目の前に現れたのは、諸悪の根源であるサキュバスクイーンのリルルである。リルルの遠慮ないエロ発言で、初心な張遼ちゃんは耳たぶまで真っ赤に染まっていった。
「ところで張遼ちゃん――ご主人様のぶっといモノで女にしてもらった気分はどうですかぁ~? まあ、初めてでアレを味わったら、もう他の男では満足できないでしょうけどねぇ~。クスクス」
「~~~~~~っ!」
リルルの容赦ないエロ発言が続き、やがて張遼ちゃんは顔を手で覆うと走り去ってしまった。いい雰囲気が漂っていたのに、リルルのせいで台無しである。
「リルル! 純真な張遼ちゃんに何て事をするんだよ! 恥ずかしがって逃げてしまったじゃないか!」
「あ~ん、そんなに怒らないでくださいよぉ~。あんなに情熱的に愛し合った仲じゃないですかぁ~」
「張遼ちゃんとはそうだけど、君には一方的に襲われた記憶しかないんだけどね」
「それは張遼ちゃんが私の邪魔をしたからですよぉ~。本当は私がご主人様とイチャコラして、くんずほぐれつの一夜を過ごす予定だったんですよぉ~! それを張遼ちゃんに横取りされた上に、簀巻きにされて隣の部屋に放り込まれたんですよぉ~。その上、一晩中エッチな声を聞かされたら、サキュバスの私が我慢できるわけがないですよぉ~」
「はぁ~、分かった分かったよ。今回の件は不問にするけど、同意なく襲うのは禁止だからね! それから張遼ちゃんと仲直りしなさい。彼女はかなりパワーアップしたから、本気で怒らせたらリルルといえども只じゃすまないよ」
「うふっ、私の事も心配してくれるんですねぇ~。嬉しいですぅ~♪ それから襲うのが禁止という事は、ご主人様に襲われたり同意なら問題がないという事ですよね♡ 」
「ああっ、リルルの辞書に反省という文字は無いのか……。まあいいや、それより張遼ちゃんを探さないとな! リルル――張遼ちゃんとは仲直りするんだよ。では、そういうことで……」
「あ~ん、まだ話は終わってませんよぉ~。張遼ちゃんがパワーアップした件について、お話があるんですよぉ~」
「うぐっ、それは張遼ちゃんの努力の賜物じゃないのかな?」
「うふふっ、隠しても無駄ですよぉ~。ご主人様の素敵なスキル――『房中術』について話合いをしたいんですよ~♪ アハッ! 少し付き合ってくれますよねぇ~」
「はい……」
リルルは私のスキルに気付いているようである。サキュバスクイーンのリルルは、交わった相手の記憶を読み取ることが出来るのだ。おそらく、襲われた時に記憶を読み取られたのであろう。知られたくない相手にヤバい秘密を知られ、私は頭を抱えるのであった。
ドアをノックする音で目が覚める。窓越しに差し込んでくる光は強く、太陽は高く昇っているようだ。ベッドには張遼ちゃんやリルルの姿も無く、だいぶ寝過ごしてしまったようである。
「う~、太陽の光が黄色く見えるぜ。……クソっ! 張遼ちゃんと夜明けのコーヒーを飲む予定だったのに、リルルの奴め……」
ラブラブエッチの後、二人きりの時間をまったりと過ごしていたのに、リルルに突如として乱入されたのである。その上、愛しの張遼ちゃんが寝ている横で、気絶するまで精を搾り尽くされたのである。男がやり逃げされるとは世も末である。
「にゃはは、オジ様! ご飯の仕度が出来ているから、早く起きるだにゃ! ……んにゃっ?! クンクン」
全身にのしかかる倦怠感で呆けていると、ガチャリと扉が開き、元気いっぱいのニャムが部屋に飛び込んできた。しかし何か違和感を感じたのであろう――しきりに鼻をヒクつかせている。やがて全てを理解したように、意味深の笑みを浮かべるのであった。
「にゃは、昨夜はお楽しみだったようだにゃ! しかもチョウリョウ様だけでなくリルル様の匂いもするにゃ! にゃはは、ひょっとして三人でエッチしたのかにゃ? やっぱりオジ様はとんでもない好色獣だにゃ!」
うぐっ、やはり獣人の鼻は誤魔化しきれないようだ。しかしながら三人でエッチしたというのは、えらい誤解である。リルルに一方的に襲われて、否応なしに搾精されただけである。好色獣というのは否定できないが……。
「ああ、ニャム――すまないが、暫く待ってくれないか? 朝飯の前に風呂に入りたいんだよ」
「にゃにゃ、そんなエッチな匂いをプンプンさせていたら、確かに周りに気付かれるにゃ。分かったにゃ! シーツ交換とベッドメイクはしておくから、オジ様は早く風呂に入るだにゃ」
ヨロヨロとベッドから立ち上がる。両脚ともおぼつかないが、三本目の脚だけはギンギンで元気一杯である。おそらく、疲れマラであろう。おっ立った股間をニャムに凝視されながら、私は風呂場へと足を運ぶのであった。
「あ~、朝寝に朝風呂か……。これで朝酒が加わったら身上潰すだろうな~」
しょうもない事を呟きながら、風呂場で汗や体液にまみれた身体を洗い流していく。お風呂のお湯はほんのりと温かく、張遼ちゃんかリルルが湯を沸かして風呂に入ったようである。私は湯船に浸かると、ゆっくりと身体を沈めていった。
「はあっ~、張遼ちゃんは可愛かったなぁ~。ナイスバディな美人で、感じやすくてエロいなんてトリプル役満だよ。前の世界でもお目に掛かれない、最高にいい女だよ」
風呂に入っても、瞼に浮かぶのは張遼ちゃんのエロい艶姿であった。引き締まった身体なのに、女性らしいしなやかさも兼ね備えているのである。揉んでも揉んでも反発してくる張りのある巨乳、キュッと引き締まったウエスト、プリップリの色白のお尻、ムチムチで強靭な太腿――どれをとっても最高である。私が若い頃に、不知●舞の揺れるオッパイとチュ●リーの鍛え抜かれた太腿のどちらが魅力的か?――の論争が仲間内で絶えなかったが、今ならはっきりと答えを出せるだろう。両方の良さを併せ持っている張遼ちゃんが、一番魅力的であると……。
「揉んで揉んで 揉まれて揉んで揉んで揉みつづけて 寝むるまで♪ ってか!」
風呂に浸かり疲れが癒えてきた私は、オッサンの特技である鼻歌を歌い始めた。勿論、昨夜の情事を思い出しながらである。そしてオッサン全開でアホな替え歌を歌っていると、浴室の扉がガラリと開きニャムが顔を覗かせている。
「オジ様! さっきまでヘロヘロだったのに、もう復活したのかにゃ? そんなに元気なら、今度は私の相手もして欲しいだにゃ♡ 」
「ちょっと待って、ニャム! さすがに朝っぱらからそれはマズいよ! ていうか、勝手に風呂場に入らないでよ」
「にゃあ~ん♡ 部屋の中はエッチな匂いが充満しているし、ご主人様のぶっといモノを見せられてから、身体の火照りを抑えられないにゃ!」
ニャムの目は、完全に獲物を狙っている獣そのものである。ヤバい、このままだと腎虚か腹上死であの世行きになりそうだ。
「ま、待て、話せばわかる!」
「問答無用だにゃ~♡ 」
「やめてぇ~、これ以上搾り取られたら、干からびちゃうよ」
ドタバタとト●とジェ●ーを彷彿させる追っかけっこが始まり、私は娼館の中でストリーキングをする羽目になってしまったのである。
「あ~、酷い目に遭ったよ。あれもこれも全部リルルのせいだよ」
暫くしてニャムは正気に戻ったが、原因はリルルの残り香のようである。リルルの肢体から発する芳香は催淫効果があるようで、匂いに当てられた獣人のニャムは発情してしまったようである。そのままニャムに襲われて精を出し続けたら、ミスター●ーメンにミイラパッケージをされたレフェリーのようになっていただろう。私は悪態を吐きながら朝食を平らげるのであった。
朝食の後、腹ごなしで辺りを散歩をしていると、何やら勇ましい掛け声が聞こえてくる。声の方に歩みを進めると、青龍偃月刀を振るっている張遼ちゃんの姿が見える。青龍偃月刀を打ち払う度に束ねた美しい黒髪が揺れ動き、肢体に浮かび上がった汗もキラキラと煌めいている。そして目が合った張遼ちゃんは、顔を真っ赤に染め上げて恥ずかしそうに俯いてしまった。
「主よ、おはようございます……」
「や、やあ! 張遼ちゃん、おはよう。精力的にトレーニングをしているけど、身体の方は大丈夫かい?」
「は、はい……大丈夫です。……でも、まだ主のモノが中に入ってるような感覚が……」
「そ、そうなんだ……」
嬉し恥ずかしの甘酸っぱい雰囲気が漂い、私も張遼ちゃんも照れくさくて無口になってしまった。ドギマギとした妙な時間が流れ、私は恥ずかしさを誤魔化すように話題を変えるのであった。
「ところで張遼ちゃん――増々腕を上げたようだね。青龍刀さばきも巧みになっているし、一撃一撃が前より重く鮮やかになっているね」
「は、はい……主と身体を重ねてから活力が漲り始めたのです。技の切れも冴え渡り、不遜ではありますが――旧主であった呂布殿を越えたかもしれません」
張遼ちゃんは、恥ずかしそうにモジモジと身体を捩らせている。そんな可愛らしい張遼ちゃんであるが、どうやら三國無双である呂布をも超越したようである。しかし彼女は、パワーアップした原因を不思議に思っているようである。私としても、愛しい張遼ちゃんには隠し事はしたくないのだ。意を決した私は、女神に貰ったスキルについて語り始めた。
「そ、それは、主と身体を重ねれば重ねるほど強くなれるという事ですか?」
交わった女性の能力を高める――『房中術』のスキルについて説明すると、張遼ちゃんがグイグイと迫って来る。普段の冷静な彼女とは思えない、凄い迫力である。
「そ、そうなんだけど……張遼ちゃん、ちょっと落ち着いてね。能力が上昇するのは間違いないけど、どんな効果が付与されるかはランダムみたいなんだよ」
『房中術』のスキルには、魅力アップ、気品アップ、若返り等の色々なプラス効果があるが、どのように反映されるかは今のところ不明である。おそらく、女性自身が望む効果が優先されると思われるが、あくまでも推測である。
「主よ、失礼しました。しかしこのスキルの効果は、世の女性にとって垂涎の的ではありませんか! 人に知られたら、主の身に危険が及びかねません」
「ははっ、張遼ちゃんだから話したんだよ! 本当に信頼できる人にしか、話せない秘密だからね」
「……それほどまでに私を信頼してくれるのですか? ……嬉しいです♡ 」
感極まった張遼ちゃんが、目を潤ませながら身体を寄せてくる。そして魔法陣グ●グルのギッ●ルがクサがりそうな甘々の雰囲気が、再び漂い始める。私は張遼ちゃんの背中を優しく撫で下ろすと、腰に手を回してグッと抱き寄せた。
「あっ、はあんっ……。主よ、不躾ながらお願いがあります。女らしくない武骨な私ですが、これからも……あの、その……か、身体を重ねてください。もっと強くならないと、いざという時に主を守り切れませんから……」
熱い抱擁と情熱的なキスの後、張遼ちゃんは恥じらいながらも自分の想いをぶつけてきた。あまりに健気で献身的な態度に、私は増々張遼ちゃんに惚れ込んでいった。
「本当に張遼ちゃんは可愛すぎるよ! 張遼ちゃんが、女らしくなくて武骨? ――そんな事はあり得ないからね! だけどね張遼ちゃん――男にそんな台詞を言ったらどうなると思っているのかな? 男は所詮ケダモノなんだよ!」
「はあんっ、んんっ……主の逞しいモノがコツンコツンとぶつかって……ふあぁぁんっ♡ 」
張遼ちゃんのしおらしい態度は、治まりつつあった私の情欲を再び燃え上がらせていく。張遼ちゃんが愛しくて愛しくてたまらないのである。私は張遼ちゃんの手を引いて物陰に引き込もうとしたのだが、小悪魔的な笑みを浮かべたリルルに遭遇するのであった。
「クスクス、ご主人様に張遼ちゃん、おはようございますぅ~♪ ご主人様ぁ~、朝寝、朝風呂の後は、張遼ちゃんと朝セックスですかぁ~? 色々な意味で精が出ますねぇ~♪ うふふっ♡ 」
「~~~~っ!」
目の前に現れたのは、諸悪の根源であるサキュバスクイーンのリルルである。リルルの遠慮ないエロ発言で、初心な張遼ちゃんは耳たぶまで真っ赤に染まっていった。
「ところで張遼ちゃん――ご主人様のぶっといモノで女にしてもらった気分はどうですかぁ~? まあ、初めてでアレを味わったら、もう他の男では満足できないでしょうけどねぇ~。クスクス」
「~~~~~~っ!」
リルルの容赦ないエロ発言が続き、やがて張遼ちゃんは顔を手で覆うと走り去ってしまった。いい雰囲気が漂っていたのに、リルルのせいで台無しである。
「リルル! 純真な張遼ちゃんに何て事をするんだよ! 恥ずかしがって逃げてしまったじゃないか!」
「あ~ん、そんなに怒らないでくださいよぉ~。あんなに情熱的に愛し合った仲じゃないですかぁ~」
「張遼ちゃんとはそうだけど、君には一方的に襲われた記憶しかないんだけどね」
「それは張遼ちゃんが私の邪魔をしたからですよぉ~。本当は私がご主人様とイチャコラして、くんずほぐれつの一夜を過ごす予定だったんですよぉ~! それを張遼ちゃんに横取りされた上に、簀巻きにされて隣の部屋に放り込まれたんですよぉ~。その上、一晩中エッチな声を聞かされたら、サキュバスの私が我慢できるわけがないですよぉ~」
「はぁ~、分かった分かったよ。今回の件は不問にするけど、同意なく襲うのは禁止だからね! それから張遼ちゃんと仲直りしなさい。彼女はかなりパワーアップしたから、本気で怒らせたらリルルといえども只じゃすまないよ」
「うふっ、私の事も心配してくれるんですねぇ~。嬉しいですぅ~♪ それから襲うのが禁止という事は、ご主人様に襲われたり同意なら問題がないという事ですよね♡ 」
「ああっ、リルルの辞書に反省という文字は無いのか……。まあいいや、それより張遼ちゃんを探さないとな! リルル――張遼ちゃんとは仲直りするんだよ。では、そういうことで……」
「あ~ん、まだ話は終わってませんよぉ~。張遼ちゃんがパワーアップした件について、お話があるんですよぉ~」
「うぐっ、それは張遼ちゃんの努力の賜物じゃないのかな?」
「うふふっ、隠しても無駄ですよぉ~。ご主人様の素敵なスキル――『房中術』について話合いをしたいんですよ~♪ アハッ! 少し付き合ってくれますよねぇ~」
「はい……」
リルルは私のスキルに気付いているようである。サキュバスクイーンのリルルは、交わった相手の記憶を読み取ることが出来るのだ。おそらく、襲われた時に記憶を読み取られたのであろう。知られたくない相手にヤバい秘密を知られ、私は頭を抱えるのであった。
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