20 / 52
20.純情乙女心
しおりを挟む
「リルルさん、早速だけどこの服に着替えてね。そんな恰好でうろうろされたら困るんだよ!」
私はブラックマーケットで購入したミニタイトのレディーススーツとブラウスをリルルに手渡した。何せ今のリルルの格好は、上半身はクロップトップのビスチェで、下半身はローライズタイプのエロエロなショーツである。その上、オープンクロッチのおまけつきである。どこからどう見ても痴女そのものだからだ。
「え~っ、こんな地味な服なんてつまらないですよぉ~! もっと煽情的でセクシーな衣装にしてくださいよぉ~」
「却下します。私の秘書になったからには、人前ではこの服装でいてもらいます。それから悪いけど、このアタッシュケースを持って、明日の昼前に屋敷を訪ねて来てね。辺境伯様に秘書として紹介するから。あっ、勿論人間の姿でだよ」
「えーーーっ、面倒くさいですよぉ~。今すぐ紹介すればいいじゃないですかぁ~」
「警備が厳重な屋敷の中に、いきなり見知らぬ女性が現れたら大問題だよ! 刺客を手引きしたと勘繰られるよ」
「ぶーーーっ、サキュバス使いが荒いですねぇ~。対価としてオジ様とのエッチを所望しますからねぇ~♪」
「前向きに検討する所存です。それからオジ様はやめてくれ、まるで援助交際しているみたいだよ」
「それならご主人様に呼び方を変えますねぇ~。それともお兄ちゃんとかぁ~、にーにの方がよいのかなぁ~。クスクス」
「ほらほら、宿代と小遣いもあげるから行った行った!」
「ご主人様のいけずぅ~! こうなったら街の男をつまみ食いしてやるんだから~」
金貨を受け取ったリルルは、翼を羽ばたかせて窓から飛び出すと、薄暗い夜空に溶け込んでいった。夜の街でエロい騒動を起こさなければよいのだが……。
因みに残りのニャンニャンスクラッチを確認したら、四等の媚薬と五等の精力剤も当たっていた。そしてワンワンスクラッチは、三等の黒柴のぬいぐるみが当たっていた。モフモフした抱き心地の良いぬいぐるみである。どうやら私はクジ運だけは強いようてある。
これからの身の振り方を考え思考に耽っていると、ドアがノックされセバスチャンが部屋に入ってくる。如何やら辺境伯様が帰宅したようである。慌てて身支度を整えると、セバスチャンと共に応接間に向かう。応接間の中に入ると、疲れ気味の辺境伯様が深く椅子に腰かけていた。
「トミタカ殿、待たせたようですまなかったな! 急用で手を離せなかったのだよ」
「こちらこそ、お忙しい時に申し訳ございませんでした」
「いやいや、トミタカ殿から購入した品物が貴族の間で好評でな、嬉しい悲鳴というやつだよ。はっはっは!」
「それに関して朗報が御座います。明日にも部下が、異国の品を携えてやって来ますので、よしなにお願い致します」
「おおっ、早々に異国の逸品を仕入れてきましたか。これは楽しみですな」
「はい、今回はアクセサリー等の装飾品が多いので、アネット様やエリス様にも宜しくお伝えくださいませ」
ガタガタッ!
応接間の扉がガタガタと揺れ動いている。如何やらアネット様たちが盗み聞きをしていているようだ。貴族の女性は、アクセサリーや装飾品に目が無いので仕方が無いだろう。私は気付かないふりをするのであった。
「ところでトミタカ殿、セバスチャンから聞いたのだが――エリスを助けてくれたお礼が、街外れの娼館だけで本当によろしいのかな?」
「はい、キングカスの屋敷は広すぎて、私と張遼だけでは手に余ります。レイラ殿が屋敷の管理を受け持ってくれる――という話もありましたが、申し訳ないのでお断りしました」
「ふむ、しかしこれだけでは、恩人に対する礼としては少なすぎですな。他に要望があれば遠慮なく言ってくれたまえ」
「それでは、他の貴族や商人ギルドからの干渉を排除して頂きたいと存じます」
「うむ、トミタカ殿が取り扱う品々を見たら、強欲な商人ギルドや貴族が黙っている訳がないな。よし、アルデンヌ家の威信にかけて、トミタカ殿に手出し出来ないように後ろ盾になりましょう。それから減税措置も考慮しておこう」
「恐縮至極に存じます」
これで面倒ごとに巻き込まれる可能性は低くなっただろう。辺境伯様の威光を背景に、面倒な連中は全てシャットアウト出来そうだ。
辺境伯様との話し合いを終え、自室へと戻っていく。しかし部屋の中は、今だに淫靡で蠱惑的な甘い香りが漂っている。部屋の窓を開けて空気を入れ替えると、涼しく爽やかな夜風が流れ込んでくる。やがて心地よい夜風に吹かれているうちに気が緩んだのだろうか――ベッドで一息ついている内に、いつの間にか深い眠りに落ちていった。
「……主よ……起きてください。……主の秘書と名乗る女が来ていますが、如何なさいますか?」
「……んっ、あと5分、5分だけ寝かしてよ張遼ちゃん……グーグー」
「主よ、困ります。……仕方ありませんね。礼に欠きますが、強硬手段を取らせて頂きます。えいっ! ……えっ? きゃあっ!」
張遼ちゃんの可愛らしい悲鳴でようやく目が覚めた。しかし眼を開けると、顔を真っ赤にした張遼ちゃんがハワハワとしている。よく見ると布団が剥ぎ取られており、テントを張った股間が丸見えであった。私は慌てて股間を隠すと、トイレに駆け込んでいった。そして用を足しながら一句吟じるのであった。
朝立ちや 小便までの命かな(パクリ) 富貴心の俳句
用を足し終えるとマイサンが治まったので、リルルを迎えに城門へと向かう。身元不明のリルルは城には入れず、門番たちに留め置かれているようだ。私に気付くとリルルが恭しく頭を下げる。言いつけを守ったようで、レディーススーツを着込んだ人間の姿であった。
「トミタカ殿、この方は貴方の部下で間違いありませんか?」
「は、はい、私の秘書のリルルです」
「左様でございますか。お前たち、その女性を通してさし上げなさい」
セバスチャンの指示で門番が道を開けると、アタッシュケースを携えたリルルがこちらにやって来た。歩くたびに、見事な巨乳がたゆんたゆんと揺れ動く。ブラウスの上のボタンを外してあるので、深い胸の谷間もバッチリと見えていて実にエロい。ミニスカートからスラリと伸びた脚も艶やかで、門番たちの視線は官能的な肢体に完全に釘付けであった。
「ご主人様、ご要望通りの品をお届けに参りました」
「リルル、ご苦労だったね。あっ、セバスチャンさん、商品の確認をしてからお披露目を致しますので、辺境伯様にお伝えください」
「畏まりました。辺境伯様にお伝え致します」
セバスチャンは一礼すると足早に立ち去っていく。私も客室に戻ると、ブラックマーケットで購入した品物を次々とアタッシュケースの中に詰め込んでいった。回りくどいやり方だが、辺境伯様といえどもこのスキルを知られたくないのだ。その為、外部から仕入れたように見せ掛ける必要があるからだ。
「あ~ん、ご主人様♡ 私も、これが欲しいですぅ~」
アタッシュケースにアクセサリーを詰め込んでいると、上目使いのリルルが抱き付いてくる。弾力と質量に富んだ柔らかな感触と、甘く蕩けそうな香りが鼻腔をくすぐる。人間の精を根こそぎ搾り取る、危険なサキュバスだと分かっていても、抗えないような魅力をリルルは兼ね揃えているのだ。
「待ちなさい! リルルさんとやら――主に対して、慣れ慣れしすぎるのではないですか?」
不機嫌顔の張遼ちゃんが、ギロリとリルルを睨みつける。如何やら嫉妬しているようで、私としては嬉しい限りである。
「クスッ、軽いスキンシップをしただけですよぉ~。うふふっ、ご主人様の思い人の張遼さんですよね? 凛々しい顔立ちに男好きするエッチな肢体。そして才色兼備だけどぉ~、天然で純情。アハッ! スケベなご主人様の琴線に触れまくってますねぇ~♪」
「な、な、な、何を言っているのですか! 主の好みが私のわけが……」
「ご主人様は、女を誑し込むスキルを持っていますからねぇ~、そんな事を言ってると他の女に取られちゃいますよぉ~! クスクス、取られてから悔やんでも後のカーニバルですよぉ~。現にサキュバスである私でさえもイカされまくってぇ~、ご主人様なしではいられない身体に調教……ムギュ~」
慌ててリルルの口を塞ぐと、恐る恐ると張遼ちゃんの様子を伺う。張遼ちゃんはウルウルと涙目になっており、今にも泣きだしそうである。ヤバイと思った私は、張遼ちゃんにとっておきのプレゼントをするのであった。
「張遼ちゃん、右手を出して。君に指輪をプレゼントしたいんだ」
「私みたいな武骨者には指輪なんか似合いませんから……グスン」
「そんな事は無いよ。張遼ちゃんは、誰よりもステキな女性だよ。それに私には、君が必要なんだ!」
強引に張遼ちゃんの右手を取ると薬指に指輪を通す。いわゆる、ラブリングである。張遼ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまったが、どうやら機嫌を直してくれたようだ。図々しく左手の薬指を差し出してきたリルルにチョップをお見舞いすると、私は大急ぎで応接室に向かうのであった。
「辺境伯様、トミタカです。遅れてしまい申し訳ございませんでした」
ノックをして応接間に入ると、臨戦態勢のアネット様とエリス様がテーブルの正面に陣取っており、辺境伯様は端に追いやられていた。昨夜盗み聞きをしていたのは、アネット様とエリス様で間違いないようだ。
「トミタカ殿、すまないな……。アネットたちとの商談を先に済ませてくれたまえ。私はその後でゆっくりと……おおっ、美しい女性ですな。見慣れぬ衣装だが実に色っぽい。う~む、トミタカ殿の部下は、魅力的な美女ばかりで実に羨ましい」
「うふっ、ありがとうございます。秘書のリルルと申します。どうかお見知りおきください♡ 」
リルルは辺境伯様にお辞儀をすると、腕で胸を挟んで胸の谷間を強調する。これぞ男を悩殺する必殺技――だっちゅーのポーズである。タダでさえ凶悪な巨乳と深い谷間が強調され、辺境伯様のエロい視線はリルルの胸元に集中している。
「ゴホン! トミタカ様……大変失礼ですが、外から持ち込まれた物なので、中身を確認しても宜しいでしょうか?」
執事のセバスチャンが、透かさず場に割り込んできた。辺境伯様の痴態をアネット様たちに気付かれる前に手を打ったのだ。さすが出来る執事は違うもので、修羅場を未然に防いだのである。そして手袋を付けたセバスチャンがアタッシュケースをゆっくりと開くと、アネット様たちの驚嘆と感銘の声が部屋に響くのであった。
私はブラックマーケットで購入したミニタイトのレディーススーツとブラウスをリルルに手渡した。何せ今のリルルの格好は、上半身はクロップトップのビスチェで、下半身はローライズタイプのエロエロなショーツである。その上、オープンクロッチのおまけつきである。どこからどう見ても痴女そのものだからだ。
「え~っ、こんな地味な服なんてつまらないですよぉ~! もっと煽情的でセクシーな衣装にしてくださいよぉ~」
「却下します。私の秘書になったからには、人前ではこの服装でいてもらいます。それから悪いけど、このアタッシュケースを持って、明日の昼前に屋敷を訪ねて来てね。辺境伯様に秘書として紹介するから。あっ、勿論人間の姿でだよ」
「えーーーっ、面倒くさいですよぉ~。今すぐ紹介すればいいじゃないですかぁ~」
「警備が厳重な屋敷の中に、いきなり見知らぬ女性が現れたら大問題だよ! 刺客を手引きしたと勘繰られるよ」
「ぶーーーっ、サキュバス使いが荒いですねぇ~。対価としてオジ様とのエッチを所望しますからねぇ~♪」
「前向きに検討する所存です。それからオジ様はやめてくれ、まるで援助交際しているみたいだよ」
「それならご主人様に呼び方を変えますねぇ~。それともお兄ちゃんとかぁ~、にーにの方がよいのかなぁ~。クスクス」
「ほらほら、宿代と小遣いもあげるから行った行った!」
「ご主人様のいけずぅ~! こうなったら街の男をつまみ食いしてやるんだから~」
金貨を受け取ったリルルは、翼を羽ばたかせて窓から飛び出すと、薄暗い夜空に溶け込んでいった。夜の街でエロい騒動を起こさなければよいのだが……。
因みに残りのニャンニャンスクラッチを確認したら、四等の媚薬と五等の精力剤も当たっていた。そしてワンワンスクラッチは、三等の黒柴のぬいぐるみが当たっていた。モフモフした抱き心地の良いぬいぐるみである。どうやら私はクジ運だけは強いようてある。
これからの身の振り方を考え思考に耽っていると、ドアがノックされセバスチャンが部屋に入ってくる。如何やら辺境伯様が帰宅したようである。慌てて身支度を整えると、セバスチャンと共に応接間に向かう。応接間の中に入ると、疲れ気味の辺境伯様が深く椅子に腰かけていた。
「トミタカ殿、待たせたようですまなかったな! 急用で手を離せなかったのだよ」
「こちらこそ、お忙しい時に申し訳ございませんでした」
「いやいや、トミタカ殿から購入した品物が貴族の間で好評でな、嬉しい悲鳴というやつだよ。はっはっは!」
「それに関して朗報が御座います。明日にも部下が、異国の品を携えてやって来ますので、よしなにお願い致します」
「おおっ、早々に異国の逸品を仕入れてきましたか。これは楽しみですな」
「はい、今回はアクセサリー等の装飾品が多いので、アネット様やエリス様にも宜しくお伝えくださいませ」
ガタガタッ!
応接間の扉がガタガタと揺れ動いている。如何やらアネット様たちが盗み聞きをしていているようだ。貴族の女性は、アクセサリーや装飾品に目が無いので仕方が無いだろう。私は気付かないふりをするのであった。
「ところでトミタカ殿、セバスチャンから聞いたのだが――エリスを助けてくれたお礼が、街外れの娼館だけで本当によろしいのかな?」
「はい、キングカスの屋敷は広すぎて、私と張遼だけでは手に余ります。レイラ殿が屋敷の管理を受け持ってくれる――という話もありましたが、申し訳ないのでお断りしました」
「ふむ、しかしこれだけでは、恩人に対する礼としては少なすぎですな。他に要望があれば遠慮なく言ってくれたまえ」
「それでは、他の貴族や商人ギルドからの干渉を排除して頂きたいと存じます」
「うむ、トミタカ殿が取り扱う品々を見たら、強欲な商人ギルドや貴族が黙っている訳がないな。よし、アルデンヌ家の威信にかけて、トミタカ殿に手出し出来ないように後ろ盾になりましょう。それから減税措置も考慮しておこう」
「恐縮至極に存じます」
これで面倒ごとに巻き込まれる可能性は低くなっただろう。辺境伯様の威光を背景に、面倒な連中は全てシャットアウト出来そうだ。
辺境伯様との話し合いを終え、自室へと戻っていく。しかし部屋の中は、今だに淫靡で蠱惑的な甘い香りが漂っている。部屋の窓を開けて空気を入れ替えると、涼しく爽やかな夜風が流れ込んでくる。やがて心地よい夜風に吹かれているうちに気が緩んだのだろうか――ベッドで一息ついている内に、いつの間にか深い眠りに落ちていった。
「……主よ……起きてください。……主の秘書と名乗る女が来ていますが、如何なさいますか?」
「……んっ、あと5分、5分だけ寝かしてよ張遼ちゃん……グーグー」
「主よ、困ります。……仕方ありませんね。礼に欠きますが、強硬手段を取らせて頂きます。えいっ! ……えっ? きゃあっ!」
張遼ちゃんの可愛らしい悲鳴でようやく目が覚めた。しかし眼を開けると、顔を真っ赤にした張遼ちゃんがハワハワとしている。よく見ると布団が剥ぎ取られており、テントを張った股間が丸見えであった。私は慌てて股間を隠すと、トイレに駆け込んでいった。そして用を足しながら一句吟じるのであった。
朝立ちや 小便までの命かな(パクリ) 富貴心の俳句
用を足し終えるとマイサンが治まったので、リルルを迎えに城門へと向かう。身元不明のリルルは城には入れず、門番たちに留め置かれているようだ。私に気付くとリルルが恭しく頭を下げる。言いつけを守ったようで、レディーススーツを着込んだ人間の姿であった。
「トミタカ殿、この方は貴方の部下で間違いありませんか?」
「は、はい、私の秘書のリルルです」
「左様でございますか。お前たち、その女性を通してさし上げなさい」
セバスチャンの指示で門番が道を開けると、アタッシュケースを携えたリルルがこちらにやって来た。歩くたびに、見事な巨乳がたゆんたゆんと揺れ動く。ブラウスの上のボタンを外してあるので、深い胸の谷間もバッチリと見えていて実にエロい。ミニスカートからスラリと伸びた脚も艶やかで、門番たちの視線は官能的な肢体に完全に釘付けであった。
「ご主人様、ご要望通りの品をお届けに参りました」
「リルル、ご苦労だったね。あっ、セバスチャンさん、商品の確認をしてからお披露目を致しますので、辺境伯様にお伝えください」
「畏まりました。辺境伯様にお伝え致します」
セバスチャンは一礼すると足早に立ち去っていく。私も客室に戻ると、ブラックマーケットで購入した品物を次々とアタッシュケースの中に詰め込んでいった。回りくどいやり方だが、辺境伯様といえどもこのスキルを知られたくないのだ。その為、外部から仕入れたように見せ掛ける必要があるからだ。
「あ~ん、ご主人様♡ 私も、これが欲しいですぅ~」
アタッシュケースにアクセサリーを詰め込んでいると、上目使いのリルルが抱き付いてくる。弾力と質量に富んだ柔らかな感触と、甘く蕩けそうな香りが鼻腔をくすぐる。人間の精を根こそぎ搾り取る、危険なサキュバスだと分かっていても、抗えないような魅力をリルルは兼ね揃えているのだ。
「待ちなさい! リルルさんとやら――主に対して、慣れ慣れしすぎるのではないですか?」
不機嫌顔の張遼ちゃんが、ギロリとリルルを睨みつける。如何やら嫉妬しているようで、私としては嬉しい限りである。
「クスッ、軽いスキンシップをしただけですよぉ~。うふふっ、ご主人様の思い人の張遼さんですよね? 凛々しい顔立ちに男好きするエッチな肢体。そして才色兼備だけどぉ~、天然で純情。アハッ! スケベなご主人様の琴線に触れまくってますねぇ~♪」
「な、な、な、何を言っているのですか! 主の好みが私のわけが……」
「ご主人様は、女を誑し込むスキルを持っていますからねぇ~、そんな事を言ってると他の女に取られちゃいますよぉ~! クスクス、取られてから悔やんでも後のカーニバルですよぉ~。現にサキュバスである私でさえもイカされまくってぇ~、ご主人様なしではいられない身体に調教……ムギュ~」
慌ててリルルの口を塞ぐと、恐る恐ると張遼ちゃんの様子を伺う。張遼ちゃんはウルウルと涙目になっており、今にも泣きだしそうである。ヤバイと思った私は、張遼ちゃんにとっておきのプレゼントをするのであった。
「張遼ちゃん、右手を出して。君に指輪をプレゼントしたいんだ」
「私みたいな武骨者には指輪なんか似合いませんから……グスン」
「そんな事は無いよ。張遼ちゃんは、誰よりもステキな女性だよ。それに私には、君が必要なんだ!」
強引に張遼ちゃんの右手を取ると薬指に指輪を通す。いわゆる、ラブリングである。張遼ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまったが、どうやら機嫌を直してくれたようだ。図々しく左手の薬指を差し出してきたリルルにチョップをお見舞いすると、私は大急ぎで応接室に向かうのであった。
「辺境伯様、トミタカです。遅れてしまい申し訳ございませんでした」
ノックをして応接間に入ると、臨戦態勢のアネット様とエリス様がテーブルの正面に陣取っており、辺境伯様は端に追いやられていた。昨夜盗み聞きをしていたのは、アネット様とエリス様で間違いないようだ。
「トミタカ殿、すまないな……。アネットたちとの商談を先に済ませてくれたまえ。私はその後でゆっくりと……おおっ、美しい女性ですな。見慣れぬ衣装だが実に色っぽい。う~む、トミタカ殿の部下は、魅力的な美女ばかりで実に羨ましい」
「うふっ、ありがとうございます。秘書のリルルと申します。どうかお見知りおきください♡ 」
リルルは辺境伯様にお辞儀をすると、腕で胸を挟んで胸の谷間を強調する。これぞ男を悩殺する必殺技――だっちゅーのポーズである。タダでさえ凶悪な巨乳と深い谷間が強調され、辺境伯様のエロい視線はリルルの胸元に集中している。
「ゴホン! トミタカ様……大変失礼ですが、外から持ち込まれた物なので、中身を確認しても宜しいでしょうか?」
執事のセバスチャンが、透かさず場に割り込んできた。辺境伯様の痴態をアネット様たちに気付かれる前に手を打ったのだ。さすが出来る執事は違うもので、修羅場を未然に防いだのである。そして手袋を付けたセバスチャンがアタッシュケースをゆっくりと開くと、アネット様たちの驚嘆と感銘の声が部屋に響くのであった。
31
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる