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15.ランジェリーお披露目会♡

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 ショックで崩れ落ちる辺境伯様を尻目に、私は喜び勇んで隣の小部屋のドアをノックする。辺境伯様には気の毒だが、高貴な女性の艶姿を堪能できるのである。こんなチャンスはそうそうないであろう。

「アネット様、トミタカです。お邪魔して宜しいでしょうか?」
「うふふ、トミタカ殿――お待ちしておりましたわ。遠慮なくお入りくださいな」
「失礼致します」

 部屋のドアを開け、一礼してから中に入ると、姿見を見ていたアネット様がこちらを振り返る。アネット様は黒のベビードールを身に着けており、薄いレース生地の下からは、セクシーなビキニショーツがうっすらと浮かび上がっている。シースルーの生地が身体のラインや素肌を魅惑的に演出し、熟れた女の色香を殊更に引き立たせていた。

「トミタカ殿、いかがでしょうか? 少し大胆だと思いますが、思い切って冒険してみましたのよ」

 胸元を形良く盛り上げている膨らみが、プルンと悩まし気に揺れ動く。人妻の濃厚なフェロモンが辺りに漂い、ドキドキと心臓の鼓動が高まっていく。

「は、はい、大変お似合いです。深く開いた胸元もセクシーですが、見えそうで見えないところが男の劣情を殊更に煽ります。この様な姿で迫られましたら、どんな男でも欲望を抑えられないでしょう。……勿論、私も理性を保てる自信がございません」

 出産したとは思えないほどスタイルは抜群で、括れたウエストや張りのある艶めかしいヒップが牡の情欲を焚き付けている。私の波動砲も仰角がグングンと上がっていき、前屈みになる事でなんとか急場をしのぐのであった。

「あらあらあら、私もまだ捨てたものではないようですね♪」

 私の必死の抵抗も空しく、アネット様に股間のテントを気付かれてしまった。あたふたしている私を見つめながら、アネット様が妖艶な笑みを浮かべて近づいてくる。そして耳元でボソッと蠱惑的な言葉を囁く。

「ふふっ、そんな欲情した視線で見られたらゾクゾクしちゃいますわ♡ それにしてもトミタカ殿の此処は、凄い事なっていますわね。こんな場所でこんなにしてしまうなんて、なんて剛胆なお方かしら♡ 」

 他人の目を盗むように、アネット様の手がゆっくりと屹立した股間に宛がわれる。白魚のような細く美しい指に撫でられ、思わずビクンと腰が跳ね上がる。

「うあっ……ア、アネット様!」
「うふふっ、夫はいつも、男を磨く――と称して、何人もの女性と関係を持っていますわ。ですから私が女を磨いても、何の問題も無いと思いませんか?」
「だ、だからといって、このような事をなされては……」
「あらあら、トミタカ殿は、私の身体に魅力を感じませんか?」

 黒のベビードールが艶めく白い柔肌を美しく妖艶に彩っている。脂が乗っている熟れた身体は官能的で、人妻の危険な魅力を解き放っている。抱き寄せて艶やかな唇を奪いたい――そんな衝動に駆られるが、不意にクイクイと袖を引かれた。我に返ると、頬を膨らませたエリス様が不機嫌そうな顔で此方を見ていた。

「トミタカ様! お母様とくっつきすぎです! それに先程から何のお話をしているんですか?」
「あらあら、ヤキモチを焼くなんて可愛いですわね。ですが、もう少しだけトミタカ殿をお借りしますわ♪ あらあら、こちらの下着も大胆でステキなデザインですわ。うふっ、トミタカ殿――こちらの下着など私に似合うと思いませんか?」
「ヤ、ヤキモチなんて焼いていません! だいたいお母様は……。あーーーっ、どうしてこんな所で試着するんですか?! トミタカ様、早く後ろを向いてください!」
「は、はいーっ!」

 慌てて背を向けようとしたが、悩ましい姿がハッキリと目に飛び込んできた。目の前でアネット様が、大胆にも肩紐を肩から滑らせ落としたからである。プルンとまろび出た双丘は重力に逆らうように上を向いており、瑞々しい張りと丸みを帯びた美しい曲線を描いている。

 もうダメです、何で目の前で着替えるんですか? 波動砲のエネルギー充填が120%に達してしまいました。発射しても宜しいでしょうか?
 

 そんなエロエロのノリで、アネット様のランジェリーお披露目会は続いていった。官能的な肢体はどんなランジェリーにも適合し、呆れ返る程にステキであった。しかし一つだけ……そう、たった一つだけ物足りなさを感じたのである。それはスラリと伸びた脚をセクシーに演出するガーターベルトとストッキングである。

 考えてみると辺境伯様は、張遼ちゃんのチャイナ服のスリットから覗く脚をエロい視線で見つめていた。恐らく脚フェチの性癖があると思われる。ならば辺境伯様へのサプライズには打って付けであろう。私はアネット様にガーターベルトとストッキングを薦める事にしたのである。

「アネット様のランジェリー姿は、セクシュアルな魅力に溢れており言葉もございません。しかし万全を期すために、これらの品物も改めてお薦め致します」
「あらあら、楽しみですわ♪ トミタカ殿のお薦めならば期待できますわね」
「これはストッキングという商品でございまして、おみ足をよりセクシーでエレガントに彩どる効果があります。脚を細く美しく見せる効果もありますので、脚好きの辺境伯様が泣いて喜ぶ、究極の逸品と自負しております」
「夫は脚好きなのですか? 初耳なのですが……」
「はい、先程も張遼ちゃんの脚に見惚れて、エロエロな顔を……ゲフンゲフン」

 アネット様の眉がピクリと動き、背筋が凍る程の凄まじい威圧をヒシヒシと感じ取った。慌ててお口にチャックをしたが、もはや手遅れのようである。恐る恐るアネット様の顔色を窺うが、いつも通りの柔和な笑みを浮かべていた。

「うふふっ、トミタカ殿――どうかしましたか?」
「な、何でもございません。そ、それでは引き続き商品の説明をさせて頂きます。こちらはガーターベルトという品でして、ストッキングのずり落ち防止のアイテムなのですが、それ以外にもお尻や太ももを魅力的に見せる効果もあります。私としては、光沢感のあるサテン生地がお薦めでして……」

 先程の恐怖を振り払うように熱心に商品を薦めていく。しかし中途半端な知識しかないので、ぶっちゃけ自分の好みを薦めているだけである。営業マンでもないただのオッサンにはこれが限界であった。


 その後、ガーターベルトとストッキングを試着したアネット様は、女っぷりに一層磨きがかかっていた。これなら、辺境伯様も間違いなく欲情するだろう。私は安堵の溜息を吐くのであった。

「トミタカ殿、色々とお手数をお掛けいたしました」
「いえいえ、こちらも商売ですのでお気になさらないでください。それに私としては、アネット様の艶姿を拝めたので眼福でございました。このような役得があるのでしたら、何時でも駆け付けますので何なりとお申し付けください」
「あらあら、トミタカ殿は、口も上手でいらっしゃるのね♪ うふふっ、次もステキな品物を期待していますわ」

 結局、アネット様はセクシーランジェリーを全て買い占めていった。過激なシースルーや紐ショーツでもお構いなしである。一日の売り上げとは思えない程の大商いであった。私がホッと一息ついていると、モジモジしたエリス様がこちらに向かって来る。

「ト、トミタカ様、私もこの商品が欲しいのですが、金貨3枚で足りますか?」

 エリス様も、ちゃっかりと好みのランジェリーをキープしていたようだ。持ってきた品は、控えめのベビードールや、ピンクや白の可愛らしいブラやショーツであった。しかし数枚は、総レースやセクシーなランジェリーが混入していた。やはり背伸びしたい年頃なのであろう。

「エリス様、このような下着を購入したら、辺境伯様に叱られてしまいますよ」
「私は、もう子供じゃありません! 疑うなら、ここでお母様のように試着しますので確認してみますか?」

 げっ、なんちゅう事を言うんですかエリス様。タダでさえ娘を溺愛している辺境伯様ですよ。愛娘が透け透けのセクシーランジェリーを穿いているのを知ったら、泡を吹いて卒倒しますよ。ましてエリス様の下着姿を見たりしたら、市中引き回しの上、どこぞの北国のように公開処刑されてしまいます。本当に勘弁してください。

「うふふっ、ありがとうございます♡ でもトミタカ様でしたら、私の下着姿を見せても宜しかったのに……クスクス」

 結局、エリス様の押しに負けた私は、セクシーなランジェリーも売ってしまった。母子揃って強かで、情けないオッサンは振り回されっぱなしであった。


「おいっ、スケベなケダモノ男!」

 今度は面倒くさい女であるレイラが話し掛けてきた。千客万来であるが、私はストイックな紳士であり、スケベでもケダモノ男でもないのであえて無視する。

「無視するな! 貴様はゴミ虫以下だが、取り扱っている品物だけは認めよう。これを買ってやるから感謝しろ」

 レイラが取り出した品物は、色も形も張遼ちゃんに渡したランジェリーと同じ物であった。うん、こいつは間違いなく変態だ。

「ふ~ん、張遼ちゃんと同じ下着を身に着けて、悦に浸るつもりなんだ~」
「ふんっ、下衆の勘繰りだな! アルデンヌ家の騎士である私が、そんないじましい真似をする訳がない。お姉さまの脱ぎたての下着とすり替えて、匂いをクンカクンカするだけ……ぶおっ!」

 気が付くと涙目の張遼ちゃんが、拳をプルプルと震わせている。どうやらレイラの腹にグーパンをお見舞いしたらしい。白目を剥いているレイラだが、何故か恍惚の笑みを浮かべていて幸せそうである。訂正しよう、レイラは変態ではなく筋金入りのド変態だ。
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