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5.女神のアッパーカット!!
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「あのー、お取込み中の所を申し訳ありませんが、私の事を忘れてないでしょうか?」
「えっ? 君が張遼なの? ……んっ、これは驚いた。凄い美人さんだね」
いつの間にか七色の光が晴れて、明光鎧の上に紅の戦袍を身に纏った美しい女性が姿を現していた。いかんいかん――しょうもないギャグで盛り上がり、張遼の事をすっかり失念していたようだ。改めて彼女に視線を送る。光沢のある黒い髪を束ねた長身の美女である。肢体はしなやかながらも締まっており、名刀のように研ぎ澄まされていた。しかし特筆すべきは、はち切れんばかりの胸元である。鎧の胸部に余裕がある作りのようだが、まるで足りていない。鎧の下のたわわな膨らみが、押し合いへし合いしているのが容易に想像できるのだ。
張遼イコールむさいオッサンのイメージだったのに、まさかナイスバディの美女とは……。しかし何て凶悪なオッパイなんだ、あの胸に顔を埋めてぇ――などと妄想していると、思いっきりお尻を抓られる。そして情けない悲鳴が辺りに木霊するのであった。
「いてぇぇぇぇー! な、何をするんですか、テュケー様」
「嘘つき嘘つきぃぃ、私の事を魅力的で素敵――とか言ってたのに、舌の根も乾かぬ内に目移りしてぇぇ」
「いやいや、目移りなんかしていませんよ! 中々の美人だなあ――と思って見ていただけですよ」
「絶対噓です! 私を蔑ろにして、あの女の胸をジロジロと見ていました! 信じられないです、ちょっと大きい胸を見ただけでデレデレしちゃって! エッチ、スケベ、浮気者!!」
「いやいやいや、デレデレなんかしていませんよ。それに私はテュケー様の方がタイプですよ。美人だし優しいし、何より話が合うじゃないですか」
女神テュケーをキュッと抱き締め、優しく髪を撫でてみる。少々キザったらしいが、この女神には効果てきめんであったようだ。顔を真っ赤にしてハワハワしているが、どことなく嬉しそうである。
「はわわわわ、情熱的なハグです! でもでも、いくら好きになっても、女神と人が恋に落ちるなんて許されない事なんですよ♪ えへへ、私の魅力が善良な人を惑わせたり狂わせてしまうんですね♪ 私って罪な女ですね♪」
うん、アンタに人生を狂わされたのは合っているよ。全然違う内容に改竄されているけどね――そんなツッコミを入れたいけど止めました。だってMAXめんどくせ~じゃん。
「さあさあ、金森さん――あんな胸だけの女はほっといて、色使いのスキルについて説明しますよ♪ このスキルは凄いですよ。色を使ったスキルやアイテムを創造できるレアスキルです♪」
上機嫌の女神がグイグイと迫って来る。確かに可愛らしいが、胸はペッタンコでヒステリーでオタクである。おっさんネタが通じるオヤジギャルなのは好ましいが、ヤンデレの雰囲気も漂い始めている。私は慎重に対応する事を心掛けるのであった。
「ふむふむ、テュケー様――色を使うとは具体的にどういう事でしょうか?」
「えへへ、分かりやすい例で言いますと――日本で有名なFF的なロールプレイングゲームの魔法ですね」
「おーーーっ、白とか黒の魔法ですか? ようするにスキルやアイテムに色が関係してればよいという事ですか、ようやく理解出来ました!」
「ふふふっ、金森さんならきっと色々な発想が出来ますよ。試しにやってみましょう♪」
「それでは、私の苗字の金の字を使って最強のアイテム?を創造して見せましょう。はあーっ、色使いスキル発動! 創造――いでよ黄金聖●士!!!」
シ――――――ン!
大声だけが虚しく響き、周りには何の変化も無いようだ。よく見るとステータス画面が空中に浮かび上がっており、なにやら警告のメッセージが……。
「何々、色んな意味で危険なものを創造するんじゃねえよ! このバカチンが!――って、ちょっとテュケー様、創造出来ませんよ!」
困惑しながらテュケー様を見ると、彼女は腹を抱えながら笑い転げているのであった。
「きゃははは! さすが金森さんです。ネタ的には美味しいですけど――魂を操ったり感覚を剥奪したり、異世界を高速の拳で壊すような人を創造されても困りますよぉ~。ある意味、魔王より始末悪いじゃないですか。うぷぷぷ! もう少し威力や効果を抑えた実用的なものでお願いします」
「そ、そうですか……ならば、手刀で相手を切り裂くスキルを創造――ベ●リンの赤い雨!」
シ――――――ン!
「何々、あの手の軍服を着てる奴のネタは今のご時世やべえんだよ! 少しは空気を読めよ、このバカチンが!――って、ちょっとテュケー様、やっぱり出来ませんよ」
「あははははっ! やっぱりネタに走るんですね、しかも古いネタ……うふふふっ、もうダメ――笑いすぎてお腹が痛いですぅぅ」
笑い転げている女神を見ながら屈辱に震える私。ならば新しく問題なしのネタで勝負だ。
「はあーーーっ、四神の青竜を創造――ふはははーー! スゴイぞーカッコいいぞー!」
シ――――――ン!
「何々、ポイントが足りません――だと!? だあぁぁーーーっ、いったいどういう事ですかテュケー様!」
「うぷぷ! あれだけ派手に啖呵を切っといて、ポイントが足りないなんて……きゃはははは、うひひ! 画面の下の方をよく見て下さいよ金森さん」
女神に言われて画面の下を凝視する。するとそこには小さな文字が浮かび上がっていた。
「なんじゃあこりゃああ! テレビCMの注意書きより小さいじゃねえか。老眼になりかけのオッサンに対する気遣いが足りないだろ。んっ、そういえば眼鏡を景品でゲットしていたな……」
「あーーーーっ、金森さん! そ、その眼鏡はかけてはダメですよ!」
女神が止めるより一瞬速く、景品でゲットしたスーパー眼鏡をかけてみた。するとどうでしょう――景色が一変して、女神の服がスケスケでヌード姿が見えてるじゃあーりませんか。
「こ、これは――なんて素晴らしいアイテムなんだ、正に男の夢! そうだ、張遼、張遼ちゃんは何処?」
男の本能には逆らえず、張遼の爆乳を拝もうと走り出す。刹那、神力を纏った女神のローキックが次々と襲い掛かってくる。
「ギャーーーーー、痛い痛い痛い! なんて事をするんですか、テュケー様!」
「このスケベ、オッパイ星人! なんで私を見ないで、あの女の所に行こうとするんですか! バカ、バカ、バカァー!」
「えっ!? 見ていいんですか? それじゃあ遠慮なく……(◉ω◉`) ジーーーッ Oh! 女神様なのに観音様が見える……」
「きゃあああああぁぁ!!! 金森さんの出歯亀、ド変態! 食らいなさい――テュケーアッパーカット!!!」
「ふんぎゃ~ああぁぁぁ!」
最悪の親父ギャグとセクハラの代償は、女神テュケーから放たれた5連続ヒットの強アッパーでした。チャンチャン♪
「えっ? 君が張遼なの? ……んっ、これは驚いた。凄い美人さんだね」
いつの間にか七色の光が晴れて、明光鎧の上に紅の戦袍を身に纏った美しい女性が姿を現していた。いかんいかん――しょうもないギャグで盛り上がり、張遼の事をすっかり失念していたようだ。改めて彼女に視線を送る。光沢のある黒い髪を束ねた長身の美女である。肢体はしなやかながらも締まっており、名刀のように研ぎ澄まされていた。しかし特筆すべきは、はち切れんばかりの胸元である。鎧の胸部に余裕がある作りのようだが、まるで足りていない。鎧の下のたわわな膨らみが、押し合いへし合いしているのが容易に想像できるのだ。
張遼イコールむさいオッサンのイメージだったのに、まさかナイスバディの美女とは……。しかし何て凶悪なオッパイなんだ、あの胸に顔を埋めてぇ――などと妄想していると、思いっきりお尻を抓られる。そして情けない悲鳴が辺りに木霊するのであった。
「いてぇぇぇぇー! な、何をするんですか、テュケー様」
「嘘つき嘘つきぃぃ、私の事を魅力的で素敵――とか言ってたのに、舌の根も乾かぬ内に目移りしてぇぇ」
「いやいや、目移りなんかしていませんよ! 中々の美人だなあ――と思って見ていただけですよ」
「絶対噓です! 私を蔑ろにして、あの女の胸をジロジロと見ていました! 信じられないです、ちょっと大きい胸を見ただけでデレデレしちゃって! エッチ、スケベ、浮気者!!」
「いやいやいや、デレデレなんかしていませんよ。それに私はテュケー様の方がタイプですよ。美人だし優しいし、何より話が合うじゃないですか」
女神テュケーをキュッと抱き締め、優しく髪を撫でてみる。少々キザったらしいが、この女神には効果てきめんであったようだ。顔を真っ赤にしてハワハワしているが、どことなく嬉しそうである。
「はわわわわ、情熱的なハグです! でもでも、いくら好きになっても、女神と人が恋に落ちるなんて許されない事なんですよ♪ えへへ、私の魅力が善良な人を惑わせたり狂わせてしまうんですね♪ 私って罪な女ですね♪」
うん、アンタに人生を狂わされたのは合っているよ。全然違う内容に改竄されているけどね――そんなツッコミを入れたいけど止めました。だってMAXめんどくせ~じゃん。
「さあさあ、金森さん――あんな胸だけの女はほっといて、色使いのスキルについて説明しますよ♪ このスキルは凄いですよ。色を使ったスキルやアイテムを創造できるレアスキルです♪」
上機嫌の女神がグイグイと迫って来る。確かに可愛らしいが、胸はペッタンコでヒステリーでオタクである。おっさんネタが通じるオヤジギャルなのは好ましいが、ヤンデレの雰囲気も漂い始めている。私は慎重に対応する事を心掛けるのであった。
「ふむふむ、テュケー様――色を使うとは具体的にどういう事でしょうか?」
「えへへ、分かりやすい例で言いますと――日本で有名なFF的なロールプレイングゲームの魔法ですね」
「おーーーっ、白とか黒の魔法ですか? ようするにスキルやアイテムに色が関係してればよいという事ですか、ようやく理解出来ました!」
「ふふふっ、金森さんならきっと色々な発想が出来ますよ。試しにやってみましょう♪」
「それでは、私の苗字の金の字を使って最強のアイテム?を創造して見せましょう。はあーっ、色使いスキル発動! 創造――いでよ黄金聖●士!!!」
シ――――――ン!
大声だけが虚しく響き、周りには何の変化も無いようだ。よく見るとステータス画面が空中に浮かび上がっており、なにやら警告のメッセージが……。
「何々、色んな意味で危険なものを創造するんじゃねえよ! このバカチンが!――って、ちょっとテュケー様、創造出来ませんよ!」
困惑しながらテュケー様を見ると、彼女は腹を抱えながら笑い転げているのであった。
「きゃははは! さすが金森さんです。ネタ的には美味しいですけど――魂を操ったり感覚を剥奪したり、異世界を高速の拳で壊すような人を創造されても困りますよぉ~。ある意味、魔王より始末悪いじゃないですか。うぷぷぷ! もう少し威力や効果を抑えた実用的なものでお願いします」
「そ、そうですか……ならば、手刀で相手を切り裂くスキルを創造――ベ●リンの赤い雨!」
シ――――――ン!
「何々、あの手の軍服を着てる奴のネタは今のご時世やべえんだよ! 少しは空気を読めよ、このバカチンが!――って、ちょっとテュケー様、やっぱり出来ませんよ」
「あははははっ! やっぱりネタに走るんですね、しかも古いネタ……うふふふっ、もうダメ――笑いすぎてお腹が痛いですぅぅ」
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「はあーーーっ、四神の青竜を創造――ふはははーー! スゴイぞーカッコいいぞー!」
シ――――――ン!
「何々、ポイントが足りません――だと!? だあぁぁーーーっ、いったいどういう事ですかテュケー様!」
「うぷぷ! あれだけ派手に啖呵を切っといて、ポイントが足りないなんて……きゃはははは、うひひ! 画面の下の方をよく見て下さいよ金森さん」
女神に言われて画面の下を凝視する。するとそこには小さな文字が浮かび上がっていた。
「なんじゃあこりゃああ! テレビCMの注意書きより小さいじゃねえか。老眼になりかけのオッサンに対する気遣いが足りないだろ。んっ、そういえば眼鏡を景品でゲットしていたな……」
「あーーーーっ、金森さん! そ、その眼鏡はかけてはダメですよ!」
女神が止めるより一瞬速く、景品でゲットしたスーパー眼鏡をかけてみた。するとどうでしょう――景色が一変して、女神の服がスケスケでヌード姿が見えてるじゃあーりませんか。
「こ、これは――なんて素晴らしいアイテムなんだ、正に男の夢! そうだ、張遼、張遼ちゃんは何処?」
男の本能には逆らえず、張遼の爆乳を拝もうと走り出す。刹那、神力を纏った女神のローキックが次々と襲い掛かってくる。
「ギャーーーーー、痛い痛い痛い! なんて事をするんですか、テュケー様!」
「このスケベ、オッパイ星人! なんで私を見ないで、あの女の所に行こうとするんですか! バカ、バカ、バカァー!」
「えっ!? 見ていいんですか? それじゃあ遠慮なく……(◉ω◉`) ジーーーッ Oh! 女神様なのに観音様が見える……」
「きゃあああああぁぁ!!! 金森さんの出歯亀、ド変態! 食らいなさい――テュケーアッパーカット!!!」
「ふんぎゃ~ああぁぁぁ!」
最悪の親父ギャグとセクハラの代償は、女神テュケーから放たれた5連続ヒットの強アッパーでした。チャンチャン♪
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