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レッツ・ダンス!

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「ゆ、祐太! 私は、デカメロンの種が欲しいぞ!」
「アリス殿! それは、妾が先に目を付けたのじゃ!」
「ひゃ~~ん! 祐太様、私は愛し合ってる貝が欲しいです」
「ちょっと、おじさん! エスパーマミーに決まっているでしょ! さっさと手に入れなさいよ、ふん!」
「ウ~、ワンワン(ご主人! 俺はペットンとんが食べたい!)」

 大会の優勝商品を巡って、喧々囂々の議論は収集がつかなくなってしまった。特に女性陣の異様なまでの執念をヒシヒシと肌に感じた私は、自分の意見を述べられなかったのであった。

「リンちゃんは、欲しい物は無いの?」

 唯一議論に参加していないリンちゃんに話し掛けると、満面の笑みを浮かべたリンちゃんが、私に抱き付いてくるのであった。

「くすっ! リンはあんな物より、ご主人様と一緒にいる時間の方が大事なんだよ! だけど、ダンス大会は興味あるかも。ご主人様とペアになって、密着した状態でイチャイチャできるのは良いよね! こんな風に・・・」

 リンちゃんが私に抱き付きながら、ボリューム満点の膨らみを押し付けてくる。至高の感触を堪能しながらデレデレしていると、私とリンちゃんの豊乳に、アリスちゃんとお市様の鋭い視線が突き刺さる。

「ゆ、祐太の奴、何だかんだ言っても――結局、でかい胸が好きなんじゃないか!」
「リン殿はずるいのじゃ! 妾もあれぐらい胸があれば、祐太殿もイチコロなのじゃ!」

 自分の胸とリンちゃんの胸を見比べながら、ぐぬぬの表情を浮かべる二人。そんな二人の羨望の視線を知ってか知らずか、リンちゃんが至極まっとうな事を言い始めた。

「ねぇねぇ、ご主人様! 先に宿を探してから、今後の事を考えようよ。早くしないと、泊まる場所が無くなっちゃうよ」

 私の手を取り、走り出すリンちゃん。それを見た女性陣達は、慌てて後を追いかけるのであった。



「いらっしゃいましぇ! お母しゃん、お客しゃんが来たよ!」 

 あどけない顔の女の子が出迎えてくれた。テンプレの猫耳ではなかったが、目のパッチリとした5歳ぐらいの娘で、舌足らずの発音が可愛く思わずほっこりしてしまう。高級な宿は、既に貴族や大商人が滞在していて空きが無く、何軒も巡ってようやく泊まれる宿を見つけたのだ。

「いらっしゃいませ。ようこそおこしくださいました」 

 奥のドアが開き、この宿の女将と思われる女性が現れた。20代後半位の落ち着いた雰囲気の女性で、フロントのレースアップが特徴の青いワンピースを着ている。胸元を押し上げる重たげに揺れる見事な膨らみと、くびれたウエスト。そして、女盛りのムチムチのヒップが、成熟した大人の魅力を醸し出していてるのであった。

「暫くこの宿に滞在したい。大部屋を二部屋頼む。料金は、とりあえず10日分先払いしておく」

 お市様の侍女である愛と祐希が、淡々と話を進めているが、私の視線は女将の見事なボディラインに釘付けであった。

「祐太! 何処を見ているんだ?」
「いや~、脅威の胸囲を・・・。はっ!?」
《OGP+1》
「ゆ、祐太! お前と言う奴は――どこまで節操が無いんだ💢」
「い、いや・・・、ち、違うんだアリスちゃん! そうだ! アリスちゃんだって、凄い美人じゃないか! スタイルは良いし、お尻は可愛いし――お知り合いのお尻愛する! な~んちゃって!」
《OGP+3》
「ば、ばかっ! そういう事は、二人っきりの時に・・・」

 アリスちゃんは、顔を真っ赤にしながら俯いてモジモジしている。どうやら怒りが収まったようだ。

「ふうっ~! を褒めたおかげ
《OGP+3》

 バキッ!!!

「ふんぎゃ~~~!!!」

 余分な一言を呟いた故に、私のお尻にアリスちゃんの渾身のキックが炸裂するのであった。


「祐太殿! そんな所で、何をしているのじゃ?」

 ズキズキするお尻を押さえながら蹲っている私に、お市様が話しかけてくる。

「あ、アリスちゃんの逆鱗に触れたみたいで・・・」
「祐太殿は、デリカシーが足りないのじゃ! その結果、そのケツか・・・クスッ!」

 得意の親父ギャグで、お市様に止めを刺された私は、更に落ち込むのであった。




「それではこれより、アーティファクトを手に入れる為の、作戦会議を実施するのじゃ!」

 お市様の号令の下、部屋に集められた私達は、アーティファクトを獲得する為に――闘技大会、ダンス大会、美人コンテストで優勝する為の手筈を整えるのであった。愛や久太郎の集めた情報によると、ダンス大会、美人コンテストでの審査員はスケベなおっさんが殆どで、ベリーダンスの様なセクシーなダンスや性的な魅力を感じさせる煽情的な女性が好まれるようだ。それを聞いたお市様は、我が意を得たりという顔で大きくうなずいたのであった。

「祐太殿、聞いたかえ? 煽情的な女性が好まれるという事は、美人コンテストだけでなく、ダンス大会も大人の魅力を醸し出す妾の優勝で決まりなのじゃ」
「お市様は、ダンスを踊れるのですか?」
「妾の舞踊は絶品なのじゃ! 星が煌めく夜空の下で、篝火の焔に照らされながら、舞い落ちる桜の花びらの様に舞う妾は――夜桜お市とも呼ばれておるのじゃ!」

 どこぞの演歌歌手のヒット曲を彷彿させる様な別名に、私は頭を抱えるのであった。


「ねぇねぇ、ご主人様! リンもダンス大会に参加したいから、セクシーなダンスを教えてよ」

 突然、リンちゃんに話を振られて、しばし考え込む。セクシーなダンスと言われて――私の灰色の脳細胞をフル活用した結果、導き出された答えは80年代後半に流行ったランバダ。やはり、私の発想は完全におっさんであった。グスン!

「ご主人様、ランバダってどんなダンスなの?」

 説明に窮した私は、アイテムボックスの中を漁り、やっと見つけたDVDと電池式のポータブルDVDプレイヤーを取り出した。このDVDは、忘年会の余興の為に編集した物で、こんな所で役に立つとは世の中分からないものである。


「祐太殿、それは何なのじゃ?」

 興味深そうに見つめるお市様や、女性陣の前でDVDプレイヤーを再生させる。やがて、リズミカルな音楽と共に、お互いの身体をエロチックに密着させるダンスを見た女性陣の顔が、徐々に朱に染まっていく。

「ゆ、祐太! な、な、何なんだ! この破廉恥なダンスは!! 人前で、こんなダンスを踊れるわけないだろ!」
「はあっ、はあっ! こんなHなダンスを見せられたら、リンもう我慢できないよ」
「何という事なのじゃ! このような妖艶な舞踊が存在するとは・・・妾も、まだまだなのじゃ」
「ひゃ~~ん! は、恥ずかしいけど、祐太様だったら・・・」
「ちょっと、おじさん! ダンスにかこつけて、女の子にHな事をしようと企んでいるじゃないの!? 変な事をしたら、許さないんだからね!」

 しかし、抗議をしてきたアリスちゃんや春丕でも、好奇心には勝てなかったようだ。彼女達は顔を真っ赤にしながらも、動画が終わるまで画面から目を逸らすことは無かった。

「はあっ、あんっ♡ ご主人様! 早く、リンとランバダの練習をしようよ」

 リンちゃんの潤んだ瞳は僅かに情欲の焔を灯し、透き通るように白い肌は、ほんのりと上気して桜色に染まっていた。そして、彼女の口からは蕩けるような熱い吐息が漏れ、艶やかな太腿を切なそうに擦り合わせているのであった。

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