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【PW】AD199908《執悪の種》
張り巡る執念 2
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それは、暁が警視庁に出向してい時の話だった。
テロ事件の後、公安課の目的は教祖である千条の確保とアルファの理の武装状態の把握、そして押収だった。
勿論、暁もその仕事に勤めていた。
しかし、縄張り争いと言うべきなのかプライドと言うべきなのか、出向で来た暁達に用意されていたのは、書類の処理と捜査員達の交代要員という雑務ばかりだった。
別にそれに対して暁は、特別な不満を持つ事は、無かったが流石に降りてこない情報と肝心な時に爪弾きにされる扱いには、不満を持っていた。
その中で暁の逆鱗に触れたのは、情報を報告をしたのにも関わらず無視をし、あわや第2のテロ事件が起きかけたという事実だった。
その当時の暁の相棒を勤めていたのが警視庁の公安に居た崇央だったという事が功を奏し未然に防ぐ事が出来たが、もしそうでなければどうなっていのかわからなかった。
その時も嶋倉は何も言われず、その後に余計な事を出来ない様に事務作業へと回されるという現実だけが突き付けられた。
そうなれば暁が出来る事は出向終わるまで大人しくしているか上の言うことを聞かないで捜査する事だ。
暁は出世なんてモノに興味はない。そして事件が解決するのならば誰の手柄になるのも興味はない。
だからこそ暁は一日でも早く事件が解決する様に捜査へと務めたのだ、しかしそれがその後に大きな問題となった。
捜査中に千条を発見し、取り逃し、1人の女性記者の命を犠牲してしまったのだ。
その際に彼女が亡くなる直前に千条と数名の信者が彼女を取り囲んでいる目撃情報があり、その事について嶋倉に言及したのだが取り合って貰えず、それどころか暁の勝手な捜査を問題視され、捜査及び出向から外されたのだ。
その事については、暁も覚悟の上だったから何も言わなかったが目撃証言があるにも関わらず彼女の死について嶋倉は、事件性無しの突然死と決定付けたのだ。
その決定に納得がいかなかった暁は、嶋倉の部屋に向かい、何故か聞いたが相手にされず、それでも引き下がらないのもありその部屋から力づくで追い出されたのだ。
「頼むから、前みたいな事はしないで下さいな」
力づくで追い出した1人が暁に向かい呆れ顔で言ってきた。
そんな言葉に暁は溜息を漏らすとゆっくりと首を振った。
「それは、向こう次第ですね」
「何様っすか?」
崇央にそう言われ暁はゆっくりと肩を竦めた。
正直、暁には揉めない自信が無い。嶋倉という男の性格は自分とは合わないとその1件からありありと知ったからだ。
嶋倉は、恐らく効率と利益の為なら何にでも犠牲にする。
例えそれが人命だったとしてしも。
1人の命を無くして多くの命を取る。
別にそれを間違っているという批判をする気は暁には無い。警察という組織の管理職という立場を考えれば当然だろう。
しかし、暁はそうなる前に色んな可能性を追求すべきだとも考えている。早期解決、それも大事だ、だがその中で何かを見落としそしてそれが後になってから大きな欠点に繋がる可能性を捨てきれないのだ。
嶋倉の効率に走る傾向は、否定しないが嫌いなのだ。
年間に起きてる事件数を考えれば当然の判断なのだが。
それでも、暁はそれを捨て切れないのだ。
「とりあえず、先輩が今日出来ることは」
崇央は、そう言いながらすっと人差し指を出入口に向けた。
言わずもがな帰れっと言う事だ。暁自身、退院と体に異常無しの報告さえ出来れば良かったのだが思わぬ人物との再会と展開に何となく帰るタイミングと気持ちを失ってもいた。
しかし、崇央の顔には帰らないと追い出すと書かれておりひとまず大人しく帰る事にした。
「そうだ、焼死体の歯型の出処調べておいて」
置き土産を残して。
テロ事件の後、公安課の目的は教祖である千条の確保とアルファの理の武装状態の把握、そして押収だった。
勿論、暁もその仕事に勤めていた。
しかし、縄張り争いと言うべきなのかプライドと言うべきなのか、出向で来た暁達に用意されていたのは、書類の処理と捜査員達の交代要員という雑務ばかりだった。
別にそれに対して暁は、特別な不満を持つ事は、無かったが流石に降りてこない情報と肝心な時に爪弾きにされる扱いには、不満を持っていた。
その中で暁の逆鱗に触れたのは、情報を報告をしたのにも関わらず無視をし、あわや第2のテロ事件が起きかけたという事実だった。
その当時の暁の相棒を勤めていたのが警視庁の公安に居た崇央だったという事が功を奏し未然に防ぐ事が出来たが、もしそうでなければどうなっていのかわからなかった。
その時も嶋倉は何も言われず、その後に余計な事を出来ない様に事務作業へと回されるという現実だけが突き付けられた。
そうなれば暁が出来る事は出向終わるまで大人しくしているか上の言うことを聞かないで捜査する事だ。
暁は出世なんてモノに興味はない。そして事件が解決するのならば誰の手柄になるのも興味はない。
だからこそ暁は一日でも早く事件が解決する様に捜査へと務めたのだ、しかしそれがその後に大きな問題となった。
捜査中に千条を発見し、取り逃し、1人の女性記者の命を犠牲してしまったのだ。
その際に彼女が亡くなる直前に千条と数名の信者が彼女を取り囲んでいる目撃情報があり、その事について嶋倉に言及したのだが取り合って貰えず、それどころか暁の勝手な捜査を問題視され、捜査及び出向から外されたのだ。
その事については、暁も覚悟の上だったから何も言わなかったが目撃証言があるにも関わらず彼女の死について嶋倉は、事件性無しの突然死と決定付けたのだ。
その決定に納得がいかなかった暁は、嶋倉の部屋に向かい、何故か聞いたが相手にされず、それでも引き下がらないのもありその部屋から力づくで追い出されたのだ。
「頼むから、前みたいな事はしないで下さいな」
力づくで追い出した1人が暁に向かい呆れ顔で言ってきた。
そんな言葉に暁は溜息を漏らすとゆっくりと首を振った。
「それは、向こう次第ですね」
「何様っすか?」
崇央にそう言われ暁はゆっくりと肩を竦めた。
正直、暁には揉めない自信が無い。嶋倉という男の性格は自分とは合わないとその1件からありありと知ったからだ。
嶋倉は、恐らく効率と利益の為なら何にでも犠牲にする。
例えそれが人命だったとしてしも。
1人の命を無くして多くの命を取る。
別にそれを間違っているという批判をする気は暁には無い。警察という組織の管理職という立場を考えれば当然だろう。
しかし、暁はそうなる前に色んな可能性を追求すべきだとも考えている。早期解決、それも大事だ、だがその中で何かを見落としそしてそれが後になってから大きな欠点に繋がる可能性を捨てきれないのだ。
嶋倉の効率に走る傾向は、否定しないが嫌いなのだ。
年間に起きてる事件数を考えれば当然の判断なのだが。
それでも、暁はそれを捨て切れないのだ。
「とりあえず、先輩が今日出来ることは」
崇央は、そう言いながらすっと人差し指を出入口に向けた。
言わずもがな帰れっと言う事だ。暁自身、退院と体に異常無しの報告さえ出来れば良かったのだが思わぬ人物との再会と展開に何となく帰るタイミングと気持ちを失ってもいた。
しかし、崇央の顔には帰らないと追い出すと書かれておりひとまず大人しく帰る事にした。
「そうだ、焼死体の歯型の出処調べておいて」
置き土産を残して。
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